機動戦士ガンダムSEED DESTINY〜インフィニティー・セイバーズ〜   作:剣舞士

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ごめんなさい。
今回は発進まででしたぁ〜( ̄▽ ̄)




第7話 世界の終わる時

「こうして改めてみると、デカイなぁ……」

 

「当たり前だ。住んでるんだぞ、俺たちは……同じような場所に」

 

 

 

ナスカ級戦艦『ボルテール』のブリッジにて、落下を続けるユニウスセブンを目の前に、話している軍服を纏った青年二人。

一人は一般兵と同じ緑色の軍服を着た褐色の肌を持った青年。

名をディアッカ・エルスマン。

二年前の大戦の時、アスランと同じクルーゼ隊の所属で、ヘリオポリスのガンダム強奪作戦にも加わった兵士だ。

その時に、バスターガンダムを駆使し、多くの戦場を共に渡り歩いてきた人物だ。

そんな彼が、気さくな感じで話している人物は、本来ディアッカよりも立場は上になる白い服を着た青年。

ミネルバ艦長のタリアと同じ立場にいる白髪の青年の名は、イザーク・ジュール。

彼もまた、ディアッカ同様二年前の大戦時にクルーゼ隊所属のMSパイロットとして戦ってきた凄腕パイロットだ。

二年前の大戦の功績を称えられ、今では自身の隊を持つほどの立場にまでなった。

そんな二人は、ボルテールのブリッジの映像から、今もなお地球に向かって降下していくユニウスセブンを見ていた。

 

 

 

 

「わかってるよ……。それを砕けって今回の命令が、どれほど大事か……改めて実感したって事だよ」

 

 

 

ディアッカは、イザークに対してそれだけ述べると、ブリッジを出るために後方の入り口へと向かって行った。

 

 

 

「いいかっ、時間がたっぷりあるわけじゃない。ミネルバも来る……効率よくこなせよ?」

 

「あいよっ、わかってるって隊長……!」

 

 

 

本来ならばこのようなやりとり、上官であるイザークに対して失礼を働いてると思われるのだが、そこは昔からの馴染みというものなのだろう。

イザークとて、ディアッカの腕を信用しているし、共に戦場を生き抜いた仲間であることもしっかりと認識している。

それ故に、彼との関係は、昔のままだ。

着々とユニウスセブン破砕のための準備が行われている中で、ミネルバの方も、全速力でユニウスセブンに向けて、航行していた。

パイロット達は、それぞれ機体の整備チェックを行ったり、作戦内容の復習……そして、出撃準備を行っていた。

 

 

 

 

「ぁ……」

 

 

出撃前の待機室にて、シンはモニターを見ながら、なにやら作業をしているレイの姿を発見した。

レイも、一応はシンが入室した事に気付いてはいるが、わざわざ声をかけようとはしなかった。

またシンも、そんなレイに声をかける事なく、今も整備班のみんなが頑張ってチェックしてくれている自分達の機体を見下ろす。

だが、つい先ほどまでの出来事……カガリに対して、今まで溜め込んでいた感情を、全て吐き出した。

一国の代表であるカガリに対して、あのような物言いは、本来ならば許されない。

だが、どうしても抑えきれなかった。

そのせいか、あの場にいたレイやルナマリアたちにも、変な気分にさせたのではないか……?

シンはそう思いながら、作業をしているレイの後ろ姿を見ていた。

 

 

 

「ん……なんだ?」

 

「いやっ、別に……!」

 

 

 

流石に視線に気づいたのか、レイがこちらに問いかけて来るが、シンはすぐに顔をそらす。

しかし、レイもまた、シンが言わんとしている事がわかったのか…………。

 

 

 

「気にするな。俺は気にしていない」

 

「え?」

 

「お前が言ったことも正しい……」

 

「っ…………」

 

 

 

普段はあまり感情を表に出そうとしないレイだが、こうやって、他人の事を思いやれる人物であると、シンは知っている。

いや、シンだけではなく、ルナマリアもイチカもアリサも……。

 

 

 

「あら、二人だけ? イチカとルナは?」

 

「ん……アリサ」

 

「まだ二人とも来ていない。だが、もうそろそろくる頃合いだろう」

 

「ふーん……」

 

 

と、そこにアリサがやってきた。

シン、レイと同様に、パイロットスーツを着ている。

 

 

 

「アリサ、その……」

 

「ん? どうしたの?」

 

「さっきは、その……イチカとケンカして、ごめん……」

 

「なによ、いきなり……それにそれって、私じゃなくてイチカに謝るべきなんじゃないの?」

 

「いやぁ、まぁ……そうなんだけどさ……その、親父さんの事、俺……あの時に……」

 

「あぁ……」

 

 

 

イチカの態度にイラつき、シンは咄嗟にイチカとアリサの父親の事を言ってしまった。

あの時のイチカの怒った表情は、今でも鮮明に思い出せる。

ならば、アリサだって、当然怒っている筈だ……。

 

 

 

「別に……もういいことよ。それに、私だって、代表に対してあんな口聞いちゃったし……」

 

「あぁ……」

 

「はぁ……これが公になっちゃったら、私とシンは不敬罪かなぁ〜?」

 

「はあっ!? マジでぇっ!?」

 

「当たり前でしょ……! でもまぁ、代表はそんな事しない……っていうか、あのアスランって人が、そういう事させなさそうだけど……」

 

「あいつか……」

 

 

 

 

アスラン・ザラの事は、シンだって知っている。

そんな人が、何故にオーブの……それも、アスハの護衛をしているのかと、いささか疑問に思う。

 

 

 

 

「ま、シンは後で、イチカと仲直りしときなさいよ?」

 

「わかってるよ……。でもさ、なんであいつ、あんな風に言うんだ?」

 

「あんな、風に……?」

 

「ほら、なんていうかさ……あいつだってその、親父さんを亡くしたんだろ?

なら、俺やアリサみたいに、アスハの奴に一言とか言いそうじゃんか!」

 

「あぁ……それもそうなんだけど……」

 

「なんだよ? 何か心当たりがあるのか?」

 

「別に、大した事じゃなかったと思うんだけど……私も、一度だけ、その質問をイチカにした事があるのよ……」

 

「え?」

 

「まだ私たちが士官学校……アカデミーにいる時にね」

 

 

 

 

そう、オーブを出て、プラントにやってきたアリサたち家族は、早々に首都であるアプリリウスに住居を構えて、イチカとアリサの二人は、軍の士官学校へと入った。

あの時は、父親を失った悲しみと、それを防げなかった怒りを覚えながら、軍人になるための勉強をしていたアリサ。

それは、当初イチカもそうだった。

しかし、MSに実際に乗り、ペイント弾を使った実戦形式の訓練を何度も行なっていく内に、イチカの中で、何かが変わったのだろう……。

その時に、アリサはイチカに聞いたのだ……「あなたには、憎しみは無いのか」……と。

 

 

 

 

「そしたらね、イチカはこう答えたのよ……」

 

 

 

 

ーーーー確かに、義父さんが死んだ時、俺はいろんなものを憎んだよ……。攻めてきた地球軍の連中も、守りきれなかったオーブの軍人たちも……でも、実際に今、俺はMSに乗って、動かして、戦う技術を身につけて行ってるけど……そんな時、ふと思うんだ……。

俺があの時戦っていたとしても、義父さんを守れたのかな……ってさ。

 

 

 

 

「悪いのはオーブ軍人とか、地球軍とか、そんなんじゃなくて、戦争そのものなんだ……っとかなんと言ってたけ……」

 

「なんだよそれ……そんなの、当たり前じゃんか!」

 

「でも、イチカにとっては、そうじゃないんじゃないの?」

 

「でも、そんなこと言って、戦わなかったら、結局何も守れないよ!」

 

「うん……そうだよね……。けど、イチカだって、それはわかってるんだと思うよ?

むやみに相手を傷つけるのは好きじゃないけど、自分の大切な物を傷つけられるのも、俺は我慢ならないって、なんだが口癖のように言ってるし……」

 

「…………」

 

「イチカもイチカなり、シンと同じ事を考えてるのよ、きっと……! ただ、その想いの考え方が、シンとイチカでは違うってだけなんだと思うよ?」

 

「っ……なんだよ、それ……。そんなの、俺とイチカが馬鹿みたいじゃん……!」

 

「あれ? そうじゃないの?」

 

「なんでだよっ!」

 

「アッハハ! 怒んない怒んない♪ ちょっとした冗談よ♪」

 

「ったく……」

 

「ふふっ……」

 

「ははっ……」

 

 

 

 

 

 

なんとも言えないピリピリとした雰囲気から一転して、今までみたいに、和やかな雰囲気が、待機室を包む。

そんな時、仕官室から出てきたアスランは、ミネルバのブリッジ目指して、ミネルバ艦内を移動する。

そんな時、エレベーターに乗ろうとしたら、その中からイチカとルナマリアの二人が出てきた。

 

 

 

「あ……」

 

「あら……大丈夫ですか、お姫様は?」

 

「…………」

 

 

 

バツが悪そうな表情で俯くイチカと、相変わらず度胸が据わった物言いをするルナマリア。

 

 

 

「彼女だって、前の戦争で父親も友達も失っている……」

 

「「っ……」」

 

「何もわかっていないわけじゃないさ……」

 

「あのっ、アスランさん!」

 

「ん?」

 

 

 

エレベーター内に入っていくアスランを、イチカが呼び止める。

 

 

 

「その、シンとアリサが、アスハ代表にあんな事を……ほんと、すみませんでした!」

 

「ぁ…………」

 

 

 

頭を下げるイチカ。

それを横で見ているルナマリアは、またか……と言った表情で呆れており、謝罪されたアスランも、キョトンとしていた。

 

 

 

「ふっ……君は、謝るのが趣味なのかい?」

 

「えっ?! いや、そんな事はっ……!」

 

「冗談だよ……。まぁ、君たちの言葉も、正しい。そこは否定できないし、しないよ。

でも、彼女だって、何も犠牲にせずに、ああいう事を言っているわけじゃないってことは、知っていて欲しいんだ」

 

「はい……それは、もちろんです」

 

「……ありがとう」

 

 

 

 

アスランはそれだけ言って、エレベーターのドアを閉めた。

そのままブリッジへと続く階に登っていった。

 

 

 

「はぁ……」

 

「アンタも律儀よねぇ」

 

「悪いか?」

 

「別に……そういうのがアンタらしいっちゃ、アンタらしいけど」

 

 

 

残されたイチカとルナマリアは、出撃前の待機室へと向かうべく、共に急いで移動した。

そんな時に、ルナマリアから話しかけてくる。

 

 

 

「それも何? サムライ精神って奴?」

 

「別にそんなんじゃないよ……って言うか、馬鹿にしてるだろ、それ……!」

 

 

 

サムライ……ルナマリアがそう言ったのは、それは、イチカがかつて士官学校での時に、やたらと武士道精神に精通した言動をとっていたからだった。

自分自身を鍛えるためと、時折手作り感満載の木刀を振ったり、律儀に挨拶したり、謝罪したり……。

周りの生徒たちからも、『サムライ』や『ござる』などというあだ名をつけられていた事もあった。

 

 

 

「そもそも、その『サムライ』って呼び方、ルナから始めたんだろっ?!」

 

「あれ? そうだったっけ?」

 

「そうだよっ……! おかげで道行くところ、何度も『サムライ』だの『ござる』だのって、変な呼び方されたんだからなっ!」

 

「だって、しょうがなじゃん〜。アンタがあの木の剣を振り回してる姿、昔の西暦の時の歴史写真なんかに写ってたんだもん♪

そこに『サムライ』って書いてたんだから、別に間違いじゃないでしょう?」

 

「サムライは馬鹿にするような呼び名じゃないんだよ……! それでこそ、昔の戦士たちの呼び名だっ……馬鹿にしていい呼び方じゃないよ……!」

 

「はいはい、ごめんってば……。でもまぁ、アンタはそれで接近戦で負け無しだもんね?」

 

「まぁ、今時剣術とか、剣道とかやってる奴は、いないだろうからなぁ……」

 

「確かに、軍隊格闘術も、徒手格闘とナイフ術くらいだったしねぇ……」

 

「ナイフや徒手格闘は別に苦手じゃないけど、やっぱ俺には、こっちの方が合ってるなぁ〜」

 

 

 

そう言って、イチカは剣を振るうような仕草を取る。

それを見て、またルナマリアが茶化す。

 

 

 

「はいはい……じゃあ、次の出撃も期待してますよ、サムライさん?」

 

「ルナっ……お前ぇ……!」

 

「アッハハっ、怒んないの♪ シンもアンタも、ほんっとからかいがいがあるわね♪」

 

「全く……」

 

 

 

ルナマリアのこういう性格は、昔とほんと変わらない。

相手が誰であろうと、持ち前の度胸で入り込んでくる。

そんな性格に、イチカもアリサもある意味で救われたと思っているくらいだ……。

 

 

 

「さっさと行かないと、レイにまた小言言われるわね」

 

「そうだな……なら、急ごうぜ」

 

「了解」

 

 

 

 

二人は艦内を急いで移動して、パイロットスーツに着替える。

そして待機室へと入って行くと、やはりというかなんというか……レイからの小言が待っていたのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アスランはミネルバのブリッジへと到着し、中に入る。

中ではすでに、MS発進の準備が進められているようで、クルーたちも慌ただしく動いている。

そんな中、先ほどと同じ先に座るギルバートが、アスランの入室に気づいた。

 

 

 

 

「おや? どうしたのかね、アスラン……いや、アレックス君か」

 

「…………」

 

 

 

わざとらしい……と言えばそう聞こえるが、アスランはあえてその問いかけには応じなかった。

アスランの入室に、艦長のタリアや、副長のアーサー、オペレーターのメイリンの視線が一気に集まる。

しかしアスランはひるむ事なく、タリアを見ながら、あるお願いをした……。

 

 

 

「無理を承知でお願いします」

 

「……?」

 

「私にも、MSをお貸しください……っ!」

 

「っ……」

 

「ええっ!!?」

 

 

 

 

アスランの申し出に、タリアは険しい表情となり、アーサーはいつもの如く驚いている。

いや、アーサーだけではない。

その場にいたクルー達の表情も、驚きに満ちている。

 

 

 

 

「たしかに、無理な相談ね。今は他国の民間人であるあなたに、そんな許可が下りると思う?」

 

「っ……」

 

「カナーバ前議長の計らいを……無駄にしたいの?」

 

 

 

そう、前の大戦の折、アスランは父であり、前最高評議会議長であったパトリック・ザラに『FAITH』の称号を与えられ、最新鋭機とまで言われた『ジャスティス』を与えられた。

しかし、その途中で、彼はザフトから脱退し、当時オーブに亡命していたアークエンジェルと合流……その後は、オーブへの協力者としてザフトとも戦った。

その後、パトリック・ザラは死亡し、大戦終結のキッカケにもなったが、その後、アスランはプラントに戻る事なく、そのままオーブに亡命した形になっている。

今もなお、アスランに対するプラントへの追求がないのは、前議長のことを思ってのことだろう……。

しかし、今はオーブの民間人という立場のアスランが、他国であるザフトのMSになるという事は、今までのことを無駄にするという事にもなる……。

 

 

 

 

「分かっています……っ! しかし、この状況をただ見ている事なんて出来ませんっ……!

使える機体があるのなら、どうか……ッ!!!!」

 

 

 

 

 

必死の請願だった。

ユニウスセブンは、アスランにとっても忘れらない過去がある。

かつて、あの地には母がいた。

そこに地球軍の放った核ミサイルが着弾し、ユニウスセブンは崩壊……。

そこに住んでいた人は皆、一人の例外もなく死亡した。

その出来事から、アスランは軍人への道を歩もう決めたのだ。

それが今度は、地球へと落ちようとしている。

そうなってしまえば、地球で生きている生命体は死滅する……そして、それだけではなく、世界はまた二分される。

かつての報復と、そう捉えられても仕方のないシナリオが出来上がってしまう。

それだけは、どうしても避けたい。

かつての大戦を経験し、親しい者たちを多く失ってしまったアスランだからこそ、そう思ったのだ。

 

 

 

 

「気持ちは嬉しいけど……」

 

 

 

 

やはり、認められない。

それは軍の規定に反することだからだ。

しかしここで、思わぬ助け舟が出た。

 

 

 

「いや、いいだろう」

 

「えっ……?」

 

「議長権限の特例として、機体の貸し出しを認めよう」

 

「議長っ!?」

 

 

 

そう、今まで静観していたギルバートだった。

しかし今度は、タリアがギルバートに問い詰める。

 

 

 

「議長っ、しかし、それは……!」

 

「ふっ……戦闘に行くわけではないんだ、艦長。出せる機体があるなら、一機でも多い方がいいだろう?」

 

「そ、それはそうですが……」

 

「腕が確かなのは、君も知っているだろう。ならば、任せても大丈夫だと思うのだがね?」

 

「…………議長が、そうお望みなら」

 

「ありがとう、艦長」

 

 

 

改めて礼を言うギルバート。

そして、その視線を、タリアからアスランへと向ける。

 

 

 

「ありがとうございます、議長」

 

「いやいや、君の申し出は、素直に嬉しいよ。ただでさえ未曾有の危機になろうとしているこの状況で、人手が足りないというのは、正直に言ってどうしたものかと悩んでいたところでね」

 

「自分のような者で、力になれるのならと、思っただけです……」

 

「そんなに畏る事もないだろうに……。君の腕の良さは、十分に知っているよ。

それで、君に乗ってもらう機体なんだが……タリア、余っている機体はあるのかな?」

 

「はい……彼とアスハ代表がこちらに来る際に乗ってこられたザクが一機……」

 

「その機体の整備状況は?」

 

「メイリン、彼の乗ってきたザクの整備状況、わかる?」

 

「は、はい!」

 

 

 

タリアの指示により、メイリンは画面を素早くタイピングしながら、状況を確認する。

 

 

 

「既に損傷した箇所のパーツ交換は完了しているようです。あとは、機体の動作チェックなどをすれば、万全な状態になるようです」

 

「わかった、ならば君には、そのザクに乗ってもらおうかな」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

アスランはそれだけ言って、ブリッジを出ていった。

一方、落下しているユニウスセブンの内部では、先に出撃したディアッカたちが、メテオブレイカーを持ち、破砕作業に取り掛かろうとしていた。

メテオブレイカーの脚を展開して、ドリルの先端部分を地表面に向けて立てかける。

ゲイツRが2機ずつで作業に当たっていた……が、しかし、そんなゲイツの背後から、緑色の閃光が降り注ぎ、ゲイツRの機体を撃ち抜いた。

 

 

 

 

「なにっ!?」

 

 

 

攻撃された。

ディアッカはすぐさまそう思った。

そして、自身の乗る黒いザクウォーリアに対しても、攻撃が仕掛けられた。

咄嗟の判断で機体を飛ばして、攻撃を回避する。

 

 

 

「一体なんだっ、これはっ!?」

 

 

 

突然の出来事に混乱するディアッカ達。

しかし、その攻撃を仕掛けてきた者達の姿を捉えた。

黒く塗装され、手に持ったビーム兵器『ビームカービン』と『対ビームシールド』を持ったジンだった。

そして、その情報はすぐにヴォルテールにいるイザークにも伝わる。

 

 

 

 

「ジンだとっ!? どういう事だっ? 一体どこの部隊だ!?」

 

「Unknownです! IFF、応答ありません!」

 

「なぁにっ……!?」

 

 

 

 

予想だにしていなかった出来事。

そして、それはユニウスセブンに近づいてきたもう一隻の船も確認する。

 

 

 

 

「ここにザフトのMSとは……一体どういう事ですか?」

 

「うーん……どうやらこの事態は、気まぐれな神の手による物では無いのかもしれないなぁ」

 

 

 

メインモニターに映る、ザクとジンが撃ち合っている映像。

それを見ていたのは、先ほどまでミネルバと激しい追撃戦を行なっていたガーティー・ルーだった。

そのブリッジで、イアンとネオは、この事態にどう接触するかを考える。

 

 

 

「スティング達を出せ……。状況を見たい。記録もなるべく多くとってきて欲しいしな」

 

「ハッ」

 

 

 

ネオからイアンへと指示が降る。

一方、ミネルバでは、着々と発進準備が整えられていた。

 

 

 

 

 

 

「破砕作業の支援ったって、一体何すればいいのよ?」

 

「それは……」

 

「あれ?」

 

 

 

赤いザクウォーリア。

ルナマリア専用機のコックピットの前で、パイロットであるルナマリアと、整備班のヨウランが話していた。

しかし不意に、目の前にあった緑色のザクウォーリアに視線がいった。

そこには、同じようにコックピットの前で、赤いパイロットスーツに身を包み、整備班長のマッドと話しているアスランの姿があった。

 

 

 

「あぁ、あいつも出るんだってさ。作業支援なら、一機でも多い方がいいんだとよ」

 

「ふーん、まあ、MSには乗れるんだもんね」

 

 

そして、アスランがともに出撃するという情報は、瞬く間に広がった。

 

 

 

「え? あいつが……!?」

 

「うん。さっき班長が言ってたぜ?」

 

「っ…………」

 

 

 

最終チェックをしていたヴィーノから情報をもらうシン。

コアスプレンダーのコックピット内でしていた作業の手が、一瞬止まる。

 

 

 

「まぁ、邪魔にならなきゃなんだっていいさ……」

 

 

 

先ほどのこともあり、アスランに対しても思うところはあるが、それでも、今は目の前のことに集中しようと、シンは作業の続きを急いだ。

一方、同じ格納庫内にいたイチカとアリサも……。

 

 

 

「あの人……一緒に出るつもりなの……?」

 

『みたいだぜ? さっきヨウラン達から聞いた』

 

「ふーん」

 

 

 

既にコックピット内に入っていたアリサとイチカ。

中から通信を使って会話をしていた。

 

 

 

『アリサはあんまり納得が行ってなさそうだな?』

 

「別に? そうでもないわよ。たしかに、噂に聞く彼の腕は、相当なものって言うし、手伝うって言うなら、うんとこき使ってやればいいんじゃない?」

 

『こき使うって……お前な……』

 

「まぁ、目的は破砕作業の支援なんだし、戦闘技術を見ることはないと思うけどね」

 

『あぁ、それはそれで、ちょっと残念だけどな……』

 

「なに? 気になるの?」

 

『まぁね。ザフトのエースパイロットと言われた人だ……気にならないって言ったら……嘘になるな』

 

 

 

 

しかも彼は、同じ近接格闘を比較的得意としているようだ。

射撃の腕も良く、格闘戦にも秀でている……そんな彼の技術を間近で見られるのは、非常に貴重なことだ。

そして、ようやくミネルバでも、MSの発進準備が整った。

 

 

 

 

「MS発進、1分前!」

 

「発進後は、ジュール隊長の指示に従うよう言ってちょうだい」

 

 

 

 

艦長タリアの指示により、メイリンはMSの発進シークエンスに入ろうとした。

しかし、索敵係であるバートから、驚くべき情報が入る。

 

 

 

「ユニウスセブン内に、戦闘と思しき熱分布を確認っ!」

 

「っ!?」

 

「MSです!」

 

「ええっ?!」

 

「メイリンっ、発進中止! 戦闘用装備に変えて、再出撃させて!」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

慌ただしいブリッジ内。

そして、全艦へのアナウンスが鳴り響いた。

 

 

 

『発進中止! ユニウスセブンで、ジュール隊がUnknownと交戦中!』

 

「「「「「「っ!!!??」」」」」」

 

『MS各機は、対MS戦仕様の装備に換装してください!』

 

 

 

そして、またしても驚くべき情報が入ってくる。

 

 

「さらにボギー1確認! グリーン25 デルタ!」

 

「あれがっ!?」

 

「「「「「「っ!!!??」」」」」」

 

 

 

まさに発進する寸前だった。

ザク各機は、両舷のカタパルトに移動して、バックパックであるウィザードを装備する。

 

 

「どう言うことだっ!?」

 

『わかりません! しかし、本艦の任務が、ジュール隊の支援である事に変わりなし……! 換装終了次第、随時発進願います!』

 

「っ……イザーク達が……」

 

 

 

メイリンからの情報からすると、そのUnknown部隊の存在を、イザーク達も検知していなかったと見える。

そうそうにやられることはないとは思っているが、やはり心配だった。

 

 

 

『状況が変わりましたね。危ないですよ?』

 

「ん……?」

 

『お辞めになりますか?』

 

「っ……バカにするな……!」

 

 

 

今度は姉のルナマリアだった。

挑発にも聞こえた言葉。

本来ならなにも言い返さず、スルーしていたところだが、状況が状況であったためか、思わず言い返してしまった。

 

 

 

『全カタパルト、オンライン。機密隔壁閉鎖! 非常要員は退避してください!

コアスプレンダー、全システムオンライン! 発進シークエンスに入ります!』

 

「っ…………まさか、ボギー1までとはね……!」

 

 

 

中央カタパルトのハッチが開き、コアスプレンダーの発進シークエンスが完了した。

 

 

 

「シン・アスカ、コアスプレンダー、行きますッ!!」

 

 

 

スラスターを一気に吹かせ、コアスプレンダーが発進していく。

その後、チェストフライヤー、レッグフライヤー、そしてフォースシルエットが射出されて行った。

その間、ガーティー・ルーでも、カオス、ガイア、アビスの三機が発進し、ユニウスセブン内へと入って行った。

そして、ミネルバの両舷カタパルトでも、随時発進準備が整った。

 

 

 

「レイ・ザ・バレル、ザク、発進するッ!!」

 

 

 

左舷カタパルトから、ブレイズウィザードを装備した、白いザクファントムが発進する。

そして今度は、右舷カタパルトから……。

 

 

 

「イチカ・ラインハルト、ザクファントム、行きますッ!!」

 

 

 

先の戦闘と同じスラッシュウィザードを装備し、カスタム化されたイチカの灰ザクファントムが発進する。

そして、再び左舷カタパルトへ……。

 

 

 

「アリサ・ラインハルト、ザク、行くわよッ!!」

 

 

 

こちらもブレイズウィザードを装備した、赤紫色のザクウォーリア。

右肩に装備したビームスナイパーライフル《ファルコン》を引っさげ、先に発進したイチカ達を追う。

そして再び、右舷側のカタパルトにいく……。

 

 

 

「ルナマリア・ホーク、ザク、出るわよッ!!」

 

 

 

砲撃戦仕様のガナーウィザードを装備した、赤いザクウォーリアが、アリサのザクウォーリアとほぼ同時に飛び立つ。

そして、最後に左舷側に戻る。

上部のハッチが開放し、その中からブレイズウィザードが現れる。

それを背部に取り付け、発進可能となった緑色のザクウォーリア。

 

 

 

『カタパルト、推力正常! 全システムオンライン! 発進、どうぞッ!!!』

 

 

 

発進カウントが、出撃可能を示した。

操縦桿を握りしめ、緑色のザクウォーリアに登場したパイロットは、再び戦場へと赴く。

 

 

 

「アスラン・ザラ、出るッ!!!」

 

 

 

カタパルトを滑り、高速で射出されるザクウォーリア。先に出た後輩たちの背中を追いかけ、再びアスランは、戦場へと舞い戻ってきたのだった……。

 

 

 

 

 

 





次回こそ、ユニウスセブンでの戦闘に入りたいと思います!

感想、よろしくお願いします!


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