機動戦士ガンダムSEED DESTINY〜インフィニティー・セイバーズ〜   作:剣舞士

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ユニウスセブン編です!

あんまり戦闘描写を書かなかったんですが、大目に見てほしいです( ̄▽ ̄)





第8話 混迷へ

ユニウスセブン。

元々は農業用プラントとして存在していたコロニー。

C.E.70年に、地球軍の核ミサイル攻撃によって、コロニーを破壊され、のちに地球連合とプラント間による地球圏内の全面戦争に発展したキッカケを作った廃コロニー。

C.E.72年には、その大戦の停戦協定がこの地で結ばれて、『ユニウス条約』という名の条約が締結された。

しかし今、そのユニウスセブンは、地球に向かって落下していると言う、未曾有の被害をもたらそうとしている。

そして今……ユニウスセブンでは、その落下事故を企てたテロリスト側と破砕作業を行おうとしていたジュール隊側のMSによる戦闘が繰り広げられていた。

 

 

 

「やらせはせんわっ!!」

 

 

 

テロリストのリーダー……サトーは、メテオブレイカーを運ぶゲイツRを発見すると、ビームカービンで次々に撃ち抜いていく。

 

 

 

「ふんっ、こんなヒヨッコどもに、やられるかっ!」

 

「うわぁぁっ?!」

 

「おちろぉ!!」

 

「た、隊長ぉぉぉっ!!!?」

 

「我らの思いっ、やらせはせんわ、今さらぁっ!!!」

 

 

 

ジン・ハイマニューバⅡ型。

かつて配備されていたジン・ハイマニューバの改良型だ。

今まで持つことのなかったビーム兵器と対ビームシールドを装備し、スラスターを改良してできた機体。

そして、何より目を引くのは、腰にマウントしてある日本刀型武装《斬機刀》。

ロストテクノロジーで作られた武装。

その切れ味は、元々装備していたジンの《重斬刀》を超えており、パイロットの技量では、MS三機をも斬り裂くほどの物だという。

 

 

 

「下がれっ! 一旦下がるんだ!」

 

 

 

どこからともなく現れるジン部隊に、ディアッカ達破砕部隊は作業を行うこともままならない。

その状況に、ボルテールにいるイザークからも指示が飛ぶ。

 

 

 

「ゲイツのライフルを射出する! ディアッカっ、メテオブレイカーを守れっ! 俺もすぐに出る!!」

 

 

 

ボルテールの射出口から、ゲイツのライフルが次々に射出されていく。

そして、ユニウスセブンに近いて来ていたガーティー・ルーでもすでにカオス、ガイア、アビスの三機が出撃し、ユニウスセブンの内部に侵入しようとしていた。

さらに、ミネルバから発進したMS部隊もまた、ユニウスセブンへと近づいて来ていた。

コアスプレンダーは合体し、フォースインパルスへと変わる。

その後ろを、五機のザクが追いかけていく。

一方、ミネルバでは、いつの間にか眠っていた体を起こして、ブリッジへと赴いたカガリの姿があった。

 

 

 

 

「ジンを使っているのかっ、その一群は……?!」

 

「ええ、ハイマニューバⅡ型のようです。付近に母艦は?」

 

「見当たりません」

 

「しかしなんでこんな事をっ……! ユニウスセブンの軌道をずらしたのは、こいつらって事ですか?」

 

「え……っ?!」

 

「一体どこのバカがっ……?!」

 

 

 

 

ミネルバクルー達の交わす情報のやり取りに、カガリは思わず驚いてしまった。

ジンは、ザフトが作った最初に作ったMSであり、先の大戦でも多くのジンが最前線で使用され、今では新型量産機であるザクウォーリアに取って代わられている一面がありながらも、機体の信用性を買っており、未だに搭乗される機体でもある。

そんなザフトのMSに乗った者達が、彼らにとっても記憶に焼き付いているユニウスセブンを地球に落とそうとしているとは……誰も考え得なかった事であり、また信じられない事実だった。

 

 

 

「ならなおのこと、これを地球に落とさせるわけにはいかないわっ……!

レイ達にもそう伝えてくれる?」

 

「はい!」

 

 

 

タリアの指示に、メイリンはすぐさま反応し、先行していったシン達に通信を送る。

起き抜けで状況をいまいちよく理解できなかったカガリは、ただその場で呆然と見ていることしかできなかった。

 

 

 

「姫……」

 

「え、あぁ……」

 

 

 

ギルバートがカガリに気づいて、席に着くよう勧めた。

カガリはその行為に甘えて、座椅子に座る。

 

 

 

「その……アスランは?」

 

「おや? ご存知なかったのですか?」

 

「え?」

 

「彼は、自分も破砕作業を手伝いたいと言ってきて、今はあそこですよ」

 

「なっ……!!?」

 

 

 

つまりは、MSに乗って、もっとも危険な場所にいるということになる。

自分の愛する人が、頼りになる人が、今また戦場にいる……。

そう思うと、胸が締め付けられるようだった……。

 

 

 

「っ……!!」

 

「申し訳ない……。私は、すでに姫にも話しているものだと思ったもので……」

 

「…………いや、構わない。私だって、出来ることならそうしていたと思う……。

それに、あいつの腕が確かなのは、知っているからな……」

 

「ありがとうございます。しかし、よもや戦闘が起こっているとは……」

 

「っ…………アスラン……」

 

 

 

 

モニター越しに映るユニウスセブンでの戦闘。

機体が爆発する際に発する爆炎……ビームライフルの光……ミサイルや砲撃が着弾した際に捲き上るデブリの破片や爆煙。

アスランの行く場所が、とんでもない激戦地であることは、火を見るよりも明らかだった。

そんな時、ボルテールからもスカイブルーのザクファントムが射出された。

背中には、イチカのザクが搭載しているスラッシュウィザードが配備してある。

その搭乗者は、アスランとも既知の仲であるイザーク・ジュールだった。

 

 

 

「ちっ……」

 

 

 

厳しい顔のまま、イザークの乗ったザクファントムは、ユニウスセブンへと入っていった。

そして、メテオブレイカーを守ろうと、ゲイツR達はライフルを受け取り、ジン部隊に対して反撃を開始する。

が、そもそも戦況からして不利になっているこの状況で、その反撃も、あまり功を成さない。

ビームライフルの攻撃をたやすく躱し、シールドで受け切って、間近に迫って斬機刀で斬り裂く。

次々と仲間達が落とされていく中で、ディアッカはガナーの装備を構え、ジンに向けて高火力砲を発射する。

しかし、寸での所で躱されてしまった。

 

 

 

「くそっ! どういう奴らだよ一体! ジンでこうまで……!」

 

「工作隊は破砕作業を進めろ! これでは奴らの思うつぼだぞ!」

 

 

 

破砕部隊とジン部隊との戦闘に、ようやくイザークも介入する。

メテオブレイカーを持って移動するゲイツに対して攻撃を仕掛けてくるジンを牽制し、また撃ち落とす。

しかし、まだまだテロリストと化したジン部隊は攻めてくる。

そんな中、新たに来た三機の敵が、戦場へと入り込んでくる。

 

 

 

ーーーーピーッ、ピーッ、ピーッ

 

 

「っ!」

 

「なんだ!?」

 

 

 

 

MSから発せられる警告音。

その警告音の先に、現れた三機。

その機影が、戦場へと介入してくる。

 

 

 

 

「全く冗談じゃないぜっ! こんな所でドタバタとっ!」

 

「お前らの所為かよっ! こいつが動き出したのはっ!!」

 

「っ……!」

 

 

 

カオス、ガイア、アビスの三機。

そして、そのパイロットであるスティング、ステラ、アウルの三人だった。

カオスが先行して、機動兵装ポッドを射出する。

その後ろをガイアが駆け、背部のビーム突撃砲と、右手のライフルを撃ち放つ。

ガイアのビームはジンを撃ち抜き、カオスのポッドはゲイツを撃ち抜く。

そして、その後方からやってきたアビスの砲撃は、メテオブレイカーを持ったゲイツ二機をメテオブレイカーごと破壊した。

 

 

 

 

「なんだっ、カオス、ガイア、アビス!?」

 

「アーモリーワンで強奪された機体かっ!?」

 

 

 

脱ザフトのテロリスト部隊、ザフト軍のMS部隊、そして地球軍と思われる強奪機部隊。

三者三様の思惑などが絡み合い、戦場は混沌と化していた。

そんな中に、ミネルバのMS部隊も加わり、戦場は苛烈さを増そうとしている。

 

 

 

 

「ちっ、あいつらっ……!」

 

「あの三機っ……! 今日こそっ!」

 

「おいっ、目的は戦闘じゃないぞ……っ!」

 

 

 

 

先行するインパルスとガナーザクに、アスランが停止をかける。

が、その言葉を聞かずに二機先にいく。

 

 

 

 

「わかってます……! でも、撃ってくるんだもの。これじゃ作業も手伝えないでしょ!」

 

「っ……」

 

 

 

ルナマリアの言う通りだ。

作業も何も、テロリストと強奪部隊……この二つの勢力の邪魔が入っている以上、作業もままならない。

ならば、敵を排除するのみ。

 

 

 

「私も援護に向かうわ! イチカ達は作業支援を!」

 

「お、おい! アリサっ!」

 

 

 

シン、ルナマリアの後を追って、アリサも戦場へと入っていく。

 

 

 

「ったく、アリサまで……」

 

『イチカ、俺たちは作業支援に回るぞ。状況次第で、シン達の援護もすればいい』

 

「はいよ、了解した!」

 

 

 

 

レイからの通信が入り、イチカ、レイ、そしてアスラン右から迂回して、メテオブレイカーを持つ工作隊へと合流する。

一方、ミネルバでは、今もなお降下を続けるユニウスセブンの状況と、未だになんの動きも見せないガーティー・ルーの行動を監視していた。

 

 

 

「ユニウスセブン、さらに降下角1.5。速度4パーセント!」

 

「ジュール隊っ、カオス、ガイア、アビスの攻撃を受けています!」

 

「え?!」

 

 

 

バートとメイリンが入ってきた情報を随時報告する。

テロリストが邪魔するだけでも難航している破砕作業……しかし、そこに強奪機三機まで介入してくるとなると、より一層作業は滞る。

 

 

 

「これじゃあ、破砕作業などできません……! 艦長っ、我らもボギー1を!」

 

「…………議長は、ボギー1をどう見ますか?」

 

「ん?」

 

「海賊と? それとも地球軍と?」

 

「んん……」

 

 

 

 

タリアの問いに、ギルバートはどう答えたものかと悩んだ。

 

 

 

「難しいな……。私は、地球軍とはしたくなかったんだがな……」

 

「どんな火種になるか……わかりませんものね」

 

「しかし状況は変わった」

 

「はい……もしもあの船が、自らを地球軍……あるいはそれに準ずる部隊であるというのなら、この戦闘に、なんの意味もありません」

 

「…………ボギー1とコンタクトは取れるか?」

 

「国際救難チャンネルを使えば……」

 

「ならばそれで呼びかけてくれ。我々は、ユニウスセブン落下阻止の為の、破砕作業を行なっているのだとな」

 

 

 

 

 

淡々と受け答えをするギルバートとタリア。

そして、ミネルバから国際救難チャンネルを開き、電文でボギー1へと状況説明を行い始めた。

一方、ユニウスセブン内では、三者三様が入り乱れる混戦模様となっていた。

 

 

 

「てえぇぇいッ!」

 

 

ユニウスセブン内に入って、まずシンが狙いを定めて撃ったのは、アビスだった。

アーモリーワンから始まった騒動、カオス、ガイア、アビスの三機との因縁は、かなり大きな物に変わった。

まずは強奪機の破壊、あるいは鹵獲を試みたいが、なにぶん、相手も相手でかなりの腕を持っている。

シンの放ったビームを、アビスは肩部につけてあるシールドで受け切る。

 

 

「おおっと!」

 

 

 

本来は水中戦仕様に開発されたアビスだが、宇宙空間でも安定的な戦闘ができるように設計されている。

インパルスからの攻撃を受け切った後、その両肩のシールドを大きく広げて、内装してある三連装ビーム砲を放つ。

逆にインパルスもこれを躱されて、旋回してくるアビスに警戒しながら、距離を取る。

すると、今度は胸部のカリュドス砲を放つが、インパルスはこれも躱す。

そして、インパルス以外にも、強奪機と戦い始めた者たちがいる。

 

 

 

「「くっーーー!!!」」

 

 

 

旋回しながら、互いにビームライフルを撃ち合うガイアと、赤いガナーザク。

そこに、赤紫のブレイズザクが、狙撃体勢に入った。

 

 

 

「ルナっ、避けて!!」

 

 

 

伸縮式のスナイパーライフルが伸びて、銃口と照準をガイアに合わせるアリサ。

システムが自動的に狙いを敵機に定め、コックピット内にある精密射撃用のスコープでさらに狙いを定める。

 

 

 

「狙い撃つッ!」

 

 

銃の引き金が引かれ、緑色の閃光が空間を切って飛んでいく。

しかし、ガイアはMA形態に変形して、背部のグリフォンブレードのスラスターを全開。

急な回避行動を取る。

 

 

 

「なっ!? 避けたっ……!?」

 

「なんだ、お前は……!」

 

「このパイロット、やるわね……!」

 

「お前もっ、敵かあぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「次こそっ、狙い撃つッ!」

 

 

 

素早く二、三度引き金を引いた。

が、MA形態になった事で、今までのMS形態とはまた違った動きをするガイア。

宙に浮いている岩塊などに飛び移ったりして、アリサの狙撃を躱していく。

 

 

 

「くっ……私が二度も外すなんてっ……?!」

 

「はあああっ!!」

 

「っ!」

 

 

 

一瞬にして間合いに入ってきたガイア。

そのままアリサのザクにタックルをかまして、ザクを後方に吹き飛ばす。

 

 

「くっ……! こいつッ!?」

 

 

背部のブレイズウィザードのスラスターを吹かせて、なんとか体勢を整えた。

だが、頭上からMS形態に再び戻り、ビームサーベルを振りかぶって、ガイアが攻め込んできた。

 

 

 

「でえぇぇぇいッ!!!!」

 

「ちぃっ……!」

 

 

アリサは咄嗟に、左肩のシールドでその斬撃を受け止めた。

ガイアの圧力に負けじと、こちらもスラスター全開で弾き返した。

そして、右手に持っていたファルコンを捨て去り、腰部にマウントしていたビーム突撃砲を取り出し、ガイアに向ける。

 

 

 

「これならどうっ!?」

 

「はっ……!!?」

 

 

 

弾き返されて、態勢は悪い状態だ。

その一瞬の隙を、アリサは見逃さない。

すぐさまビーム突撃砲の引き金を引き、ガイアを討とうとするが、ガイアは手に持っていたバックラーシールドで受け切った。

 

 

 

「っ……これも防いだっ!?」

 

「チィッ! お前えぇぇッ!!!!」

 

 

 

思わぬ反撃に遭い、ガイアのパイロットであるステラは激昂にかられる。

再びアリサのザクに対して斬りかかろうとするが、機体から、警告音が発せられた。

 

 

 

『アリサッ!』

 

「っ!」

 

 

通信から、ルナマリアの声。

それを聞いて、アリサはその場を跳びのき、それと同時に、ガイアに対して高火力砲が撃ち込まれた。

 

 

 

「くっ!?」

 

「ちっ、これも躱すなんてっ……! 一体どんな反射神経してんのよっ!」

 

 

 

高火力砲の正体は、ガナーパックのオルトロスだった。

その場を離れていくガイアに、ルナマリアはもう一度オルトロスの引き金を引く。

だが、再びMA形態に変化し、高速で動き回るガイアには、当たりもしなかった。

 

 

 

「あぁーもうっ!」

 

「ルナっ、挟み込んで仕留めるわよっ……!」

 

「ええっ!」

 

 

 

再びファルコンを手にしたアリサ。

ルナマリアとともに、ガイアを追いかけていき、左右に展開しながら挟撃に持ち込もうとしているようだった。

そして、強奪機体のもう一機……カオスは、今もなおメテオブレイカーを持つゲイツを狙おうとしていた。

が、それを阻むべく立ちはだかったのは、灰色のザク。

 

 

 

「ちっ、またテメェかよっ!」

 

「やらせるかっ……!」

 

 

 

機動ポッドを射出し、多角的な攻撃を仕掛ける。

しかし、その攻撃を、イチカは錐揉み状に飛び回って、回避する。

 

 

 

「その動きはもう知ってるっ!」

 

 

 

背部のガトリング砲《ハイドラ》を起動させ、ビームの弾丸を射出するイチカ。

そのままの状態でスラスターを全開、カオスに接近戦を仕掛ける。

 

 

 

「はあああッ!!!」

 

「やろうっ……!!」

 

 

 

対してカオスも、ビームサーベルを抜き、接近戦へと移る。

イチカは対艦刀《オーバーエッジ》を右手に抜き、ビーム突撃砲を左手に持ち替えた。

ハイドラからばら撒かれていたビームの弾雨は止み、次の瞬間には、刃と刃が交わされる際に発せられる火花が散っていた。

 

 

 

「このっ、量産機如きに、俺があぁぁ!!!」

 

「剣で俺に勝てるなんて思うなよっ……!」

 

 

 

互いに再び接近する。

そして、渾身の一振りを放つ両者。

しかし、お互いの刃は、お互いのシールドによって受け止められた。

その状態で数秒……鍔迫り合いの状態になる。

 

 

「チィッ……!」

 

「くっ!」

 

 

激しい火花が散る。

そんな時、両機のセンサーが、敵機の襲来を告げる警告を鳴らす。

 

 

 

「あぁんっ?」

 

「っ……?!」

 

 

 

両者が対峙している場所から、向かって右……スティングからは左からやってくるジンが三機。

 

 

 

「ったく、次から次へと!」

 

「チィッ、邪魔すんなよ!」

 

 

 

ジンのビームカービンが、両機を射程に捉えた。

ビームライフルよりも小さい銃から、緑色の閃光が複数放たれる。

鍔迫り合いの状態だった灰ザクとカオスは、一旦離れてビームを躱す。

そして、互いに距離を取ったところに、ジンが接近してきた。

二機はカオスに、一機が灰ザクへと向かう。

 

 

「舐めてんじゃねぇーよっ!」

 

 

向かってくるジンに対して、ビームライフルを放つカオス。

しかし、ジンもまたビームカービンを撃って、互いに牽制し合う。

そして、イチカの方では、ジンが斬機刀を抜き放ち、再び接近戦へともつれ込む。

 

 

 

「日本刀っ……!」

 

 

 

ジンの近接型武器といえば、諸刃の直剣型の武装だった筈だ。

しかし、このⅡ型の武装は、斬撃に優れた日本刀型……。

その造形は、イチカにとっては懐かしくも感じる。

 

 

 

「へぇ……いいなぁ、その武器っ……!」

 

 

 

互いに接近するザクとジン。

そして、反りのある日本刀と剣の様な直刀が振りかぶられ、思いっきりぶつかった。

互いに物理武装であるためか、その衝撃が体に伝わってきそうだった。

しかし、鍔迫り合いも一瞬だった……。

イチカが斬機刀を払いのけ、ガラ空きになったジンの腹部に、オーバーエッジを突き立てた。

 

 

 

「はあああッ!!!」

 

 

 

オーバーエッジはジンの体を貫き、貫かれた部分から火花が散っていた。

イチカはすぐにオーバーエッジを引き抜き、ジンから離れる。

その数秒後、ジン爆発して、その破片を宙にばら撒いた。

しかし、まだまだ敵機はやってくる。

今度はジンが二機、こちらに向かってきた。

対してイチカも、ハイドラとビーム突撃砲を撃ちながら、ジンに接近する。

ビームカービンで狙い撃ってくるジンに接近し、ビームを左肩のシールドで受けながら、一気に懐へと入る。

 

 

 

「せえやあっ!」

 

 

 

ジンの右腕を斬り落とし、左手に持っているビーム突撃砲を、至近距離でジンに対して撃ち放った。

爆破したジンから離れてると、もう一機のジンがすでに接近していた。

慌ててビーム突撃砲を向けるも、ジンの斬機刀の方が速く、ビーム突撃砲を断ち切られてしまう。

 

 

 

「チィッ……!?」

 

 

 

ビーム突撃砲は爆散し、爆炎が視界を覆う。

だが、その爆炎の中からジンが接近するのを、イチカは見た。

咄嗟に右肩のシールドで受け止め、攻め立てられる。

 

 

 

「こんのぉぉぉッ!!!」

 

 

しかし、ザクの盾の中からビームトマホークが現れて、左手でつかんだそれを、イチカはジンに対して振り抜く。

リーチが短かった故に、腕は斬り落とせなかったものの、斬機刀を持っていた手を切断……その後、右手に持っていたオーバーエッジを、投剣の様に思いっきり投げつけた。

投げつけたオーバーエッジは、ジンの胸部を突き穿ち、ジン諸共爆散した。

 

 

「ふぅ〜……あぶないあぶない……」

 

 

 

オーバーエッジ一本と、ビーム突撃砲を失ったが、まだ戦力的には大丈夫な方だ。

イチカは振り返り、工作支援に向かおうと思っていたその時……。

 

 

「あ……」

 

 

目の前を浮遊する斬機刀を発見した。

 

 

 

「オーバーエッジの代わりに、もらっておこうかな……」

 

 

 

見た感じ、刃こぼれしている形跡もないので、武器としては充分過ぎるくらいの物を手に入れた。

右手で掴み取り、二、三度振るう。

 

 

 

「懐かしい感覚だな……さて、もう一仕事、頑張りますかね!」

 

 

 

スラスターを吹かせ、灰ザクは作業支援へと向かっていった。

一方、着々と作業支援を行っていたアスランは……。

 

 

 

「チッ!」

 

 

 

メテオブレイカーを打ち込む地点に向かっているゲイツの警護をしていた。

しかし、それでも狙ってくるジン部隊。

アスランは極力相手を殺さない様に、コックピットブロックを避けてビーム砲を撃つ。

左脚、頭部と順に撃ち抜いて、戦闘能力を下げていく。

 

 

 

ーーーーピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ!!!

 

 

「っ!!?」

 

 

 

機体から鳴らされる警告音。

右からやってくるジン二機。

アスランを落とす気満々でビームカービンを撃ってくる。

しかし、アスランのザクは、バク宙の要領でアクロバティックな動きをしてビームを躱すと同時に、ビーム突撃砲を放つ。

無重力空間でのアクロバットな動きをしながら、正確な射撃を行う。

体勢を入れ替えて、右手を背中に回して背面から射撃を行う。

ジンの右肩、頭部、手に持っているビームカービン、左脚……確実に相手の戦闘能力を奪う様な戦い方をする。

しかし、敵はジンだけではない。

メテオブレイカーを持つゲイツの背後から、ビームライフルで狙いを定める機影が一つ。

アーモリーワンで強奪された新型機の一つ……カオスだった。

 

 

 

「くそっ……!」

 

 

 

ビームライフルでゲイツを撃ち落そうとするカオス。

しかし、それを阻む様に、再びザクが立ち塞がる。

カオスの前をアスランのザクが現れて、ビーム突撃砲で牽制する。

 

 

 

「あぁん?」

 

 

 

再び現れた量産機に、ウンザリと言った表情のスティング。

接近するザクに対して、得意の機動ポッドを射出し、オールレンジ攻撃を仕掛けるが、ザクは錐揉み状に飛び回り、攻撃を躱すだけではなく、ポッド一基をビームで撃ち抜いて破壊……さらに、カオスの懐に入り込んだ。

 

 

 

「なにっ!?」

 

「もうやめろっ……!」

 

 

 

ビームライフルでは間に合わないと、カオスは頭部のCIWSで迎撃するが、弾丸が当たる前に、ザクの振りかぶった渾身の左ストレートが、カオスの腹部に叩き込まれる。

 

 

 

「ぐおおっ!!?」

 

 

 

吹き飛ばされたカオス。

反撃とばかりに残っていたポッドのビーム突撃砲をザクに対して放つ。

しかし、ザクは左肩のシールドを傾けて、ビームを完全に受け切る。

そして、シールドの中からビームトマホークを取り出すと、それをカオスに投げつけた。

しかしそのトマホークは、カオスを狙ったのではなく、カオスの元へと戻っていくポッドを狙ったものだった。

ポッドをビーム刃が斬り裂き、真っ二つにした。

 

 

 

「なんだこいつっ……!? 強いっ……!」

 

 

 

それもそのはずだ……。

二年前の大戦を生き抜いた英雄であり、エースパイロットと呼ばれた人物だという事を、スティングは知らない。

そして、各地で戦闘が勃発している中でも、工作隊の働きにより、複数のメテオブレイカーを配置・作動させる事に成功した。

大きなドリル状の機械が、地面を抉りながら地中へと入っていく。

やがて、地中では大きな振動が起こり、大きな亀裂が入った。

 

 

 

「ぬう……っ?!」

 

 

 

地面が揺れ、割れるていく大地。

そして、その亀裂が端から端まで届いた瞬間、ユニウスセブンは、真っ二つに引き裂かれた。

 

 

 

「ぁあ……!!?」

 

 

 

サトーの表情が凍りついた。

おそらくここまでの計画遂行に、ただならぬ思いを抱いて、そして時間をかけて来たはずだ。

それが今、水泡となろうとしていると思ったからだ。

そしてこの行動が、ザフト、強奪部隊の面々にも影響を与えた。

 

 

 

「「ぁ……!!」」

 

「んあ……?」

 

「ん……?」

 

「「…………」」

 

 

 

砕け散った岩塊が上へと浮遊していき、撃ち合っていたMS同士の周りにも散らばっていく。

それぞれ岩塊にぶつからない様に移動しながら、距離を開けていく。

 

 

 

「グウゥレイトッ!! やったぜっ!」

 

 

 

やっとの事で真っ二つに割った事で、破砕部隊を率いていたディアッカが歓喜の声を上げる。

そして、何がなんだかわかっていないスティング達からしてみれば、これはどういう事なのかと疑問に思わざるを得ない。

 

 

 

「あぁん? どうなってんだ、こりゃあ……?」

 

「割れたぜ、おい……!」

 

 

 

MSのコックピットの中から、驚きと疑問の声を上げるスティングとアウル。

今もなお地球に近づいていくユニウスセブン。

ようやく希望が見え始めた。

 

 

 

「だが、まだまだだ……ッ!!!」

 

 

 

アスランはスラスターを吹かせて、メテオブレイカーを運んでいた二機のザクを発見し、その支援へと向かう。

メテオブレイカーを運んでいたのは、スカイブルーのスラッシュザクファントムと、黒いガナーザクウォーリアだった。

 

 

 

『もっと細かく砕かないとっ……!!』

 

「っ……アスランっ……!?」

 

「貴様ァ……っ、こんなところで何をやっているっ!」

 

『今はそんな事どうでもいいだろうっ……! とにかく作業を急ぐんだ!』

 

「あ、ああっ!」

 

「わかっているっ!!」

 

 

 

 

アスランはイザークとディアッカ……二人の速度に合わせて、破砕地点へと向かった。

久しぶりの再会……それがよもや、この様な場所でとは……。

アスラン自身も、そして、イザークとディアッカも、それは同じ思いだった。

 

 

 

「相変わらずだな、イザーク」

 

「ふんっ、貴様もだ……っ!」

 

「やれやれ……」

 

 

 

士官学校の候補生時代から、イザークは事あるごとにアスランをライバル視していた。

それは常に自分の前をいくアスランに対しての、対抗心や嫉妬心からだったと思う。

そして、それは今も変わっていない。

いけすかない奴……だが、共に戦った仲間……。

 

 

 

ーーーーピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ!!

 

 

 

「「「っ!!?」」」

 

 

 

しかし、そんな束の間の再会の余韻すらも、すぐにかき消された。

前方から接近する機影が二つ……。

ジン・ハイマニューバⅡ型だった。

 

 

 

「「っ!!」」

 

 

ビームカービンを放ちながら接近してくる二機。

対してアスラン、イザークも前に出て、アスランがビーム突撃砲で牽制し、双方は互いにすれ違う。

そして、振り返ってすぐに、アスランはビーム突撃砲を放ち、ジンのビームカービンを正確に撃ち抜く。

その瞬間、無防備となったジンの間合いに入ったイザーク。

手に持っているビームアックスを振りかぶり、ジンの左肩から左脚までを断ち切った。

さらに、背後に回っていたジンに対して、イザークはビームガトリング砲《ハイドラ》を放つ。

流石にこれは躱せると言わんばかりに、ジンはその場を離れるが、それこそがイザーク達の連携。

躱す事に必死で、遠方からディアッカが狙いを定めている事には気づかなかった。

 

 

 

「ええいっ!」

 

 

 

オルトロスから放たれた高出力のビーム砲は、ジンの腹部を確実に撃ち抜き、ジンは見事に撃破された。

そのあまりの連携っぷりに、テロリストのリーダーたるサトーも、苦虫を噛んだ様な表情を取った。

ジンを片付けた三機は、急いでメテオブレイカーを運ぶ。

しかし、またしてもそれを邪魔する者が現れた。

 

 

 

「あいつらァッ……!!!」

 

 

 

アビスに搭乗していたアウルだった。

三機の背後から狙いを定め、背部のバラエーナ改ビーム砲と、胸部のカリドュス複相ビーム砲を放つ。

これは惜しくも外れてしまうが、その破壊力を持ってすれば、メテオブレイカーは一撃で破壊されてしまう。

 

 

 

「イザークっ!」

 

「うるさいっ!」

 

 

 

再びアスランとイザークで、アウルを迎え撃つ。

ビーム突撃砲とハイドラで牽制しつつ、アスランは背後へ、イザークは左側から攻め込む。

 

 

 

「今は俺が隊長だっ! 命令するなっ、民間人がぁぁぁぁッ!!!!」

 

 

 

大きく振りかぶったビームアックス。

それを思いっきりアビスに対して振り下ろした。

アビスも咄嗟にビームランスを前に出し、受け止めようとするか、あまりの勢いに、ビームランスの中腹部分を圧し斬った。

そして、背後からアスランが、ビームトマホークでアビスの左脚部分を斬り裂く。

 

 

 

「ううっ!!?」

 

『アウルっ!』

 

 

 

アウルの危機を見ていたスティング。

すかさず援護に向かうが、その行く手を、今度はアスランが阻む。

ビーム突撃砲を連射しながら、高速で接近して、カオスの脚を止める。

そして、止まった状態のカオスの元へ、再びイザークが接近。

振りかぶったビームアックスを、カオスに対して振り下ろした。

ビームアックスは対ビームコーティングをなされたシールドをいとも簡単に両断し、アスランはビームトマホークを投げつけ、カオスの持つビームライフルを切りつけた。

 

 

 

「ぁっ……!」

 

「凄いっ……なんて鮮やかな連携……!」

 

 

 

アビスとカオスは、たまらずその場から撤退する。

その様子を見ていたシンとイチカは、思わず賞賛の念を抱いた。

 

 

 

(これが、ヤキン・ドゥーエを生き残った、パイロットの力かよ……!)

 

(俺たちじゃ仕留めきれなかった敵を、一瞬の内に……。それも、援護のタイミングも、仕留めに入るラストアタックも、何もかもが速いっ……!)

 

 

 

無駄な動きはなく、互いの戦力をわかった上で、あの連携を瞬時に取れる。

その判断力と技術力の高さ……今のイチカ達にはないものばかりだった。

 

 

 

『シンっ、イチカっ、何をボーッとしているっ! 作業はまだ終わってないんだぞっ!』

 

「っ……!」

 

「わ、悪りぃ!」

 

 

 

レイの言葉で我に帰った二人。

カオス、アビスの二機は、これ以上の戦闘は不可能に近い。

あとは、アリサとルナマリアが相手をしているガイアと、テロリスト達のジン部隊をどうにかすれば、作業の邪魔は入らない。

すると、ガーティー・ルーから、三つの信号弾が放たれた。

 

 

 

 

「っ……!」

 

「もう?!」

 

「ぁ……」

 

 

 

 

赤、青、緑の信号弾。

それは、艦への帰還信号だ。

しかし、今回は前回のデブリ戦とは違い、あまりいい戦果とは言えない……。

三機は不本意ながらも、その場から撤退し、戦線から離脱する。

そしてそれは、その場にいたシン達の他にも、ミネルバからも確認できていた。

 

 

 

 

「ようやく信じてくれたのか……」

 

「そうかも知れませんし、別の理由かもしれません」

 

 

国際救難チャンネルを用いて、ミネルバではガーティー・ルーに対して呼びかけを続けていた。

そしてようやく、その呼びかけに応えてくれた……そうギルバートは思っていたのだが、タリアは別の理由を示唆した。

 

 

 

「別の理由?」

 

「高度です」

 

「ぁ……!」

 

 

 

タリアの回答に、アーサーは小さく驚いた。

そう、地球に落下し続けているユニウスセブン。

本来の安定軌道からだいぶ離れて、今や地球のすぐそばまで来ている。

そうなると、考えられる問題が浮上する。

 

 

 

「このままユニウスセブンとともに降下していけば、艦もやがて地球の重力に吸い寄せられます……。

我々も、命を選ばねばなりません……助けられる命と、そうでないと命を……!」

 

 

 

タリアの言葉に、ギルバートを始めとした、ミネルバクルー全員が、息を飲んだ…………。

 

 

 




次回で、ユニウスセブン編は終了となる予定です。
その後から、混沌へと化していく開戦編になります!


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