機動戦士ガンダムSEED DESTINY〜インフィニティー・セイバーズ〜 作:剣舞士
今回から、本編スタートとなります!
第1話 怒れる瞳
C.E72年。
一年半に及ぶプラント・連合間による大戦は、ヤキン・ドゥーエ攻防戦を最後に、終結。
ユニウスセブンにて、今後の互いの講和条約を結ぶ為の、ユニウス条約を締結……。
停戦への道を歩み、世界は再び、平和への道を歩み進んでいた。
そして、C.E73年10月 2日。
プラント軍事工廠コロニー《アーモリーワン》。
ここでは、ある式典の準備が行われていた。
それは……戦後初の新造艦『ミネルバ』の進水式
そのコロニー内に、オーブから極秘裏に訪問するシャトルが一機……。
管制員の指示に従い、シャトルのパイロットは減速、微速前進を行なっていく。
入射角をコンピュータに入力し、ゆっくりとコロニー内へと続く港に入っていく。
一方、コロニー内、アーモリーワンの式典会場ともなるハンガー区画では、急ピッチで式典の準備が行われていた。
「違う違うっ! その隊の《ジン》は全て式典用装備だ、あっちの第三ハンガーに向かわせろ!」
「マッケラーの《ガズウート》か……! 早く移動させろ!」
「ライフルの整備っ、急げよっ! 明日じゃ間に合わなくなるからなっ!」
コロニー内では慌ただしく整備班が走り回っている。
そんな中を、一台の車が通る。
乗車しているのは三人。
運転席には、髪の赤いメッシュが特徴の少年『ヴィーノ・デュプレ』。
新造艦ミネルバのメカニック担当の少年だ。
その隣、助手席に座る赤髪の短髪の少女『ルナマリア・ホーク』は、着々と準備が進んでいる様子を眺めていた。
そしてその後ろには、銀色の長髪に、蒼色の瞳が特徴の少女『アリサ・ラインハルト』の姿があった。
アリサも、ルナマリア同様に、式典準備に忙しい整備班の様子を見ていた。
しかし、そんな忙しくなっているところに、車で通っていると…………。
「うおっ!?」
「ぁあっ……!?」
「うわっ!?」
目の前に式典用装備のMS『ジン』が歩いていく。
ヴィーノはとっさにハンドルを横にきって、ジンの股の間を抜けていく。
「ふぅー……! ほんと、もうごちゃごちゃね……」
「あっぶなぁ〜……普通に事故るところだったわよ……っ?!」
「あぁ〜……心臓止まるかと思ったぁ〜……」
ルナマリアにアリサ、ヴィーノが胸を撫で下ろしながら、新造艦ミネルバの方へと向かっていく。
「たしかにルナの言う通り、ちょっとごちゃごちゃし過ぎじゃない……?」
「仕方ないよ……こんな事、滅多にない……っていうか、初めての奴も多いと思うよ〜? 俺たちみたいにさ」
「まぁ、そうよね……前の大戦が終わって、2年も経ってるしね」
「それにしても壮観よね……ジン、シグー、ガズヴート、ディン、ゲイツR……それに新型のザク。
モビルスーツの展覧会開けるんじゃない?」
「たしかに……! メカニックとしちゃ、ちょっと惹かれるものがあるなぁ〜♪」
「全く……ほんと好きよねぇ、メカ」
アリサの指摘に、メカニックとしての血が騒ぐらしいヴィーノ。
それをあきれた様子で見ているルナマリア。
明日行われる式典の為に、モビルスーツまで並べるようで、ハンガーの前には、沢山のモビルスーツでいっぱいだった。
三人が乗った車は、ミネルバへ向かいながら、その途中にあるMS収容のハンガーへと向かっていた。
「そういえば、イチカとシンたちは? 朝から見かけないけど……」
「シンは、ヨウランと一緒に買い物に行ってて、イチカはレイと一緒に、MSの搬送やらOSをチェックしてるんじゃなかったけ?」
「あぁー、そんなこと言ってたわね。じゃあ、向こうに着いたら、私達も手伝ってあげますか……」
「そうね。いよいよ明日なんだしね」
パイロットとしてミネルバに乗艦するルナマリアとアリサは、自分の機体のこともある。
ほとんどの工程は、ヴィーノ達整備班がやってくれてるとはいえ、最終的には、自分たちで確認しないといけない。
「ほんと、いよいよだよなぁ〜。ミネルバも無事就役だ……配備は、噂通り月軌道なのかな?」
ヴィーノ達が、今後のことで話し合っている中、その目的地には、一機のヘリが降り立った。
中から現れたのは、白を基調とした服装と、それを覆うほどのコートを着た黒色長髪の男性。
その男性が降りた瞬間に、その場にいた兵士たちは、みな彼に向かって敬礼し始めた。
その男性の正体こそ、プラント最高評議会議長『ギルバート・デュランダル』議長その人だ。
デュランダル議長が降り立ち、その後ろを紫色の服装をした文官の長の者と話していた。
「彼の言うこともわかるがね……しかし、『ブルーコスモス』は組織と言うより、主義者だろう……」
議長ともなれば、自国の事のみならず、世界情勢の影響などにも内応しなくてはならない。
そんな難しい話をしている最中、議長はある一人の兵士に気づいた。
白髪の長い髪に、赤い制服。
10代の赤服少年もまた、議長に向かって敬礼をしていた。
その少年を見ると、議長は柔らかい笑みを浮かべ、すぐに話に戻る。
そして少年もまた、自分の作業へと戻っていった。
「いくら条約を強化したところで、テロは防げんよ……」
「議長」
「ん?」
議長が先約との会談に選んだ建物に入った瞬間、またしても紫制服の文官に呼び止められた。
「『オーブの姫』がご到着です」
「…………ふっ、やれやれ……忙しいな」
議長はそのまま歩みを進め、先に会談場所へと移動していった。
一方、シャトルが停泊した港からから、オーブの要人が降りて来ていた。
ワインレッドのような色合いのジャケットとズボンを履いた金髪の女性と、その後ろをやってくる黒色ジャケットにズボン……そして青髪にサングラスという、いかにもボディーガード的な雰囲気の男性『アレックス・ディノ』。
その後ろには、オーブから随伴してきたプラントの大使達がやってくる。
無重力の中を、移動専用の機械に触れて、エレベーターシャフトまで移動する。
「……本当にそのままでいいのか? ドレスも一応持って来ているよな?」
「っ……なんだっていいよ……! 別にいいだろ? このままでも……」
「…………演出みたいな事をした方がいい時もあるんだよ……。馬鹿みたいに気取るのも良くはないけど、だからと言って、軽く見られるのもダメなんだ……。
今回は非公式の会談とはいえ、今の君は、オーブの国家元首なんだからな」
「っ…………」
その後、二人はエレベーターシャフトに入り、港からコロニー内へと降りる。
「明日は戦後初の新型艦の進水式だったか……。こちらの用件もすでに知っているだろうに、こんな時期にこんな場所でとは、恐れ入る……」
「「っ…………」」
プラント側から来ていた迎えの人員。
紫制服の文官二名に対して放った言葉には、ややトゲを感じられる。
文官二名も、どう答えればいいのかと、悩んでいる様子だった。
「元々、内々かつ秘密裏にと、こちらから会談を申し出たのです。プラント本国よりも、こちらの方が目立たないと、デュランダル議長の配慮があってのことだと思いますよ、アスハ代表」
「…………」
アレックスからの指摘に、オーブ連合首長国代表の『カガリ・ユラ・アスハ』は少しだけ顔をしかめた。
そんな時、一気に目の前の視界がひらけた。
ずっとコロニーの機械的な外壁ばかりが見えていたのだが、突如として光が差し込み、目の前には、水と緑豊かな景色が広がっていた。
オーブの代表が、ようやくアーモリーワン内に入った頃。
街中で買い物をしていた黒髪の少年は、待ち人と合流していた。
ビルとビルの間にある裏路地に待っていた黒髪に赤い瞳の少年は、褐色の肌を保つ少年の姿を確認し、地面に置いていた買い物袋を持ち上げた。
「わりぃわりぃ、遅くなった……!」
「遅かったな? なんかあったのか?」
「レジの娘が、新人さんみたいだったからさ……なんか、操作に手間取っちゃって……」
「なるほど……でも、ちょっと急がないと、またレイに小言を言われるぞ?」
「うわ〜、そりゃ勘弁だな。なら急ごうぜ」
「あぁ……」
黒髪の少年が先に歩き出し、その後ろを褐色肌の少年が付いて行く。
「やぁ、これは姫。遠路はるばるお越しいただいて、申し訳ない」
一方、会合場所にて待機していたデュランダル議長は、その会談相手が部屋に入ってくると、座っていた椅子から立ち上がり、暖かく迎え入れた。
一方、その会談相手……アスハ代表は、少々表情を強張らせながら入室する。
「いや、議長の方も、ご多忙の中時間を割いていただき、嬉しく思う」
二人は典型的な挨拶と握手を交わし、会談を進めるために、互いに席に着く。
「いやぁ〜、姫が代表になられたからというもの、様々な問題を解決されているようで……。
私も一国を代表する者として、また盟友として嬉しくもあり、羨ましい限りです」
「まだまだ至らないことばかりだ……」
「それで? この情勢下、代表自らお忍びで会談をなさりたいと申したのは、なんでも火急の用件のようですね?
我が大使の話によれば、なにやら複雑な案件だとか……」
議長の問いかけに、カガリはわざとらしくため息をつく。
「私にはそう複雑とは思えんのだがな……だが、未だこの案件に対する貴国の返答を得られないということは、そちらとしては、やはり複雑な案件……という事になるのかな?」
「…………」
「我が国は再三再四、貴国に対して何度も通告した筈だ。かのオーブ占領戦のおり、我が国から流失してしまったその技術と、人的資源の貴国の軍事利用を即刻中止してほしいとっ……!
「…………」
「なのに何故、未だ明確なご返答をいただけないっ……!」
まるで挑発するような、そんな口調で問いただすカガリ。
しかし議長は、不敵な笑みを浮かべながら、カガリとの会談を進めた。
一方、会談が進んでいる最中……。街中では、三人の少年少女自適悠々に歩いていた。
そんな中、金髪の少女は服飾店のガラスに映る、自分を見て、不思議そうな顔をしていた。
「ぁ……」
突然、クルリと回ってみせる。
フワッと浮き上がる白いワンピースのスカート。
それをじっと眺めている少女に、前を行く少年二人は、それを見ていた。
「なに? あれ……」
金髪の少女の行動を見ながら、水色髪の少年は呆れ気味に言った。
すると、その前を行く緑色の髪をした少年が答える。
「浮かれてるバカを、演じてるんだろうよ……」
「え?」
「お前もバカをやれよ……バカをさ」
「…………ふん……」
馬鹿馬鹿しいと思いながら、水色髪の少年は先に歩いて行く。
しかし、金髪の少女は、そのままクルクルと回りながら、楽しいそうに笑う。
周りの人たちが見て何か言っているが、全く気にならないのか、それとも、あえて何も聞かないようしているのか……。
確かに言えるのは、彼女はとても楽しんでいるという事だ。
しかし、街中は人が多い。そんな中を、何も気にせず歩いていると…………。
「のあっ……!??」
「あっ……!!?」
ぶつかって危ないのだ。
「あっ……えっと、大丈夫?」
「え…………誰?」
ぶつかって倒れそうになった少女を、黒髪の少年が受け止めた。
少年……『シン・アスカ』は、抱きかかえた少女を心配して見ていた。
少女も少女で、自分に触れる赤の他人の少年の方を向いていた。
「くっ……!」
「あっ……!」
突然、少女は血相を変えて、走り去っていった。
シンがどうしたのだろうという風に、少女が走り去っていった方を向いていると、シンとともに買い物に来ていた褐色肌の少年……『ヨウラン・ケント』は後ろからニヤリと笑いながら近づいてくる。
「……胸触ってたろ……お前」
「えっ……!!!?」
確かに、何か柔らかい感触はしたが、それが女性の胸だったとは……。
シンは慌てたように自分の両手を見ていた。
その顔は焦っており、真っ赤だ。
「このラッキースケベ」
「なっ!? ち、違う! おいっ、ちょっと待てってっ……! ヨウラン!!」
ニヤケながら歩くヨウランを追いかけるようにして、シンは走り出した。
「姫は先の大戦でも、自らMSに乗り、勇敢に戦ったお方だ……。そして、最後まで圧力に屈せず、自国の理念を貫いた『オーブの獅子』……ウズミ様の後継者でもある」
「…………」
場所は変わり、議長とカガリは共に会談場所を出て、明日式典が執り行われる軍のハンガー区画に来ていた。
カガリ側に控えるアレックスと、議長側の護衛を言いつかっている緑服の兵士数名と共に。
「ならば、この世界情勢の最中……我々が取るべき行動は、姫もご存知でしょう……」
「……っ!?」
カガリと議長が話をしている最中だった……。
アレックスが、ふと目の前にあったハンガーに目を向けて、驚いていた。
二人が立ち止まって話していたそこには、新型の量産機が格納してあったからだ。
緑色の機体……今までにザフト軍が保有していた機体にはない、全く新しい機体だ。
青年が驚きを感じている最中でも、二人の話し合いは止まらない。
「我々は、自国の理念を守り通すだけだ……!」
「『他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない』?」
「そうだ」
「それは、我々とて同じです。それが出来たら一番いい……だがーーーー」
議長はここへ来て、強く、固い意思を感じさせる瞳を、カガリに見せつけた。
「力なくば、それは叶わないっ……!! それは姫とて……いや、姫の方がよくご存知なのではないですか?」
「っ…………!!!!」
かのオーブ侵攻作戦の折、オーブ側は自国の理念に従い、大西洋連邦の地球軍艦隊と交戦した。
圧倒的な物量の軍相手に、オーブは善戦をするも、その物量に耐えきれなくなっていった。
その結果、当時の代表……つまり、前代表であり、カガリの父親でもある『ウズミ・ナラ・アスハ』は、残存するオーブ軍の戦力を、オーブの戦闘艦《クサナギ》と、当時地球軍から脱退していた《アークエンジェル》をマスドライバー施設を使って、宇宙艦隊の兵力と合流させ、オーブ国民の避難完了と同時に、前代表、それに仕えていた官僚の長たちとともに、マスドライバー施設、MSの開発を担っていた《モルゲンレーテ社》の本社と開発工場を爆破した。
「だから姫も、オーブの軍備を整えているのでしょう?」
「っ…………その、姫というのはやめてもらえないだろうか……!」
「おっと、これは失礼致しました……アスハ代表」
二人はまた歩き出した。
そして今度は、議長の方から切り出す。
「では、アスハ代表は、今更何に怯えていらっしゃるのです?」
「っ…………」
「大西洋連邦の圧力ですか? オーブが我がプラントに対して、条約違反の軍備提供をしていると……?」
「…………」
「そんな事実は、無論ありません……。我々は、かのオーブ防衛戦の折に避難・移住して来た者たちを、暖かく迎え入れはしたが、それだけです。
彼らに強制的に技術提供をしろと持ち掛けたこともない……。しかし、彼らがここで生きていくのに、その持てる技術を使うのは、仕方のないことなのではないですか?」
「っ…………」
確かに、生きていくためには、お金が必要だ。
そして、お金を稼ぐには、働くしかない。
それに付け加え、自分にメカニックとしての技術があるのならば、なおさらそれを使わない手はない。
それをやめろと言う権利は、誰にも無いのだから……。
「だがっ! 強すぎる力はっ、また争いを呼ぶっ!」
議長の言葉は正しく聞こえる……だが、それでも……このままでは…………。
カガリは堪らず、議長の行く道の前に出て、真正面から議長に向き合う。
しかし…………。
「いいえ、姫…………。争いが無くならぬから、力が必要なのです……っ!」
「っ…………!」
どちらの意見が正しいのか……?
いや、本当なら、どちらも正しいのだろう…………しかし、その問いかけに、どちらが正解なのかと答えられる者は、いなかった。
一方、同じ工廠区画内では、先程シン達と出会った少女と、その連れである少年達が、No.6と書かれたハンガー内へと入っていく。
その三人とともにその場にいるのは、武装した緑服のザフト兵だ。
五人は物陰に隠れながら、ザフト兵士が持ってきた荷物の中身を取り出す。
中に入っているのは、アサルトライフルに軽機関銃。そして鋭利な形に、眩しいほど輝く刀身を持った、コンバットナイフ。
それぞれの安全装置を外し、戦闘態勢は万全だ。
「っ……」
「「っ!」」
無言の会話。
緑髪の少年がアイコンタクトをすると、水色髪の少年と、金髪の少女は静かに頷いた。
そして、三人は一気に駆け出し、その手に持つ銃のトリガーを引いた。
ババババババッーーーーーー!!!!
6番ハンガー内に響く銃声。
虚を突かれたザフト軍の兵士とパイロット、そして、そのハンガー内に保管していたMS三機を整備していた整備班のメカニックたちが、その銃弾の餌食となっていく。
「ぐわっ!?」
「ぐふっ……!」
「なんだっ!」
アサルトライフルを二挺……両手に持つ緑髪の少年が先行し、水色髪の少年は、その後ろから両手に持つ軽機関銃をぶっ放す。
かなりのアクロバットテクニックを使い、その場にいる者たちを次々と射殺していく。
「はあああっ!!」
一方、金髪の少女は、水色髪の少年が持っている軽機関銃と、右手にはコンバットナイフを装備。
ザフト軍兵士の中に単騎で乗り込んでいくと、軽快な身のこなしで、敵を斬り裂き、左手の機関銃を撃ち、再びナイフで喉元を斬り裂いた。
「ふっ……! アウル! 上だっ!!」
「へへっ!」
緑髪の少年が、『アウル』と呼んだ水色髪の少年は、振り返ることなく、右手に持っていた軽機関銃を後方上部に向けて放つ。
その放つ銃弾が、MSを固定している台の上から狙うザフト兵士に命中。
最後には、緑髪の少年が投げたグレネードが、見事後方で生き延びていたザフト兵士たちを爆死させる。
これで、この場で立っているのは、少年たち以外にはいなくなった。
「スティング!」
「おしっ、いくぞっ!」
緑髪の少年……『スティング』の声に反応して、アウルと金髪の少女の二人とスティングを含めた三人は、ハンガー内で横たわっている三機のMSのコックピットの中へと駆け出した。
スティングが一番右へ、金髪の少女が真ん中、アウルが一番左だ。
コックピットに入ると、三人は急いでハッチを閉めて、MSのメインシステムを起動させる。
「どうだ?」
『オーケー、情報通り』
『いいよ』
通信越しに聞く二人の声に、さらに作業を進める。
「量子触媒反応良好っ、システムオールグリーン!」
「各種システム起動、オールウエポンズ、フリー〜♪」
「システム、戦闘ステータスで起動……!」
三機のMSのツインアイが光る。
固定していた拘束具を強引に引き剥がし、三機のMSが立ち上がる。
コックピット内では、起動した “新型MS” を動かしている少年たちが、その起動に心踊っていた。
そして、三機が完全に立ち上がった瞬間、三機の装甲が、見る見るうちに色が変わっていく。
灰色だったそれが、順に濃淡二色の緑、黒一色、水色と青のツートンカラーへと変わっていく。
『ヴァリアブルフェイズシフト装甲』……それが、三機に組み込まれている装甲材質の名だ。
三機はゆっくり歩み出し、ハンガーのシャッター方面へと向かって歩く。
しかし、そんな彼らにも、一つの誤算があった。
「くっ……ぁあっ……!」
たった一人……整備班の男が、風前の灯火とも言える命を振り絞り、緊急警報のボタンがある端末へとたどり着いていた。
男は、残る力を振り絞って、スクランブル警報ボタンを力強く叩いた。
ウウウウウウッーーーーーー!!!!!!!!
「っ!?」
「えっ!?」
「なにっ!?」
「この警報はっ……!」
ハンガー区画全体に、その警報は鳴り響いた。
自機の近くにいた、アリサやルナマリアたちもそうだが、その警報を聞いていたのは、その場に居合わせた、カガリと議長も同じだった。
「んっ?」
「えっ……?」
「警報っ!?」
「なんだっ……!?」
「6番ハンガーからだ!」
兵士の誰かがそう叫んだ瞬間、その6番ハンガーから、いくつもの緑色の閃光がシャッターを突き破り、爆散させた。
そして、再び放たれる閃光。
その閃光は、向かい側にあったハンガーに格納していたMS《ゲイツR》に直撃。
ハンガー諸共大爆発を起こし、爆散してしまった。
「議長っ!」
「カガリっ!!」
「なに……うわっ!?」
突如起きた爆発に、ザフト兵士たちは数人で議長の周りを囲み、黒服のボディーガードは、カガリの前に回り込んで、とっさに装甲車両の陰に飛んだ。
その数秒後には、爆発によって舞い上がった黒煙と衝撃が襲いかかってきた。
一体何が起きたのか……。
誰もが唖然としていた中、その元凶は現れた。
破壊したハンガーの中から、三機のMSが現れたのだ。
「《カオス》っ、《ガイア》っ、《アビス》っ!!!」
周りは慌ただしく、まるで蜘蛛の子を散らしたような状況に追いやられた。
「まずはハンガーを潰す。MSが出てくるぞっ!」
「ステラ、お前は左……」
「わかった……」
カオスに乗るスティングの指示により、アビスに乗ったアウルは右側へと向かい、ガイアに乗った『ステラ』という少女は、左側へと向かった。
ガイアを変形させ、MA形態に。
四足歩行が可能になった状態で、背中に装備されている二門のビーム砲と、右肩の装甲に取り付けられたロングビームライフルから、ビームの光が放たれる。
ライフルのビームが、MSやハンガーを直撃……派手な爆発を起こした。
そのほかにも、アビスの連装砲が放たれMSを破壊し、カオスのポッドからミサイルが発射され、ハンガーを次々に破壊していく。
「発進急げぇっ!」
「6番ハンガーの新型だ! 何者かに強奪された!」
「MS発進! なんとしても取りおさえるんだ!」
周りが慌ただしくなり、その声に、ようやく今の現状を知ることとなった。
「なんだとっ!?」
「新型……?」
議長が驚き、カガリが事態についていけず、呆然としている中、その近くで、またしても爆発が起こった。
その破壊工作を行なっているMSを見て、カガリと、お付きの青年アレックスは驚いた。
「あれはっ……!?」
「ガンダムっ……!!?」
2年前にも、ガンダムと呼ばれる新型MSの強奪から、戦火は広まっていった。
その技術提供をしてしたのは、オーブだった。
そしてまたしても、オーブの持てる技術が作り上げた機体が、ハンガー区画を破壊して回っている。
「姫をシェルターに! エバンスはっーーーー」
議長の指示に従い、緑服の兵士がカガリとアレックスをシェルターへと誘導していく。
その姿を確認しながら、議長はさらに指示を出す。
「なんとしても取りおさえるんだ! ミネルバにも救援を要請しろっ!!」
一方、救援要請を受けたミネルバ艦内も、慌ただしくなっていた。
「アーサー! 彼はっ!?」
「は、はい! メイリン!?」
「すでにこちらに到着している模様、今準備をしているそうです!」
急速に対応が迫られる中、三機のMSはなおも破壊活動を継続している。
カオスがライフルによる迎撃、アビスは圧倒的な火力で殲滅し、ガイアはMA形態で高速移動をし、撹乱しながらザフト軍のMSを落としていく。
そんな中、同じハンガー区画内にいたルナマリアやアリサたちの近くにも、砲撃が飛んでくる。
「きゃあっ!?」
「アリサっ!」
「伏せろ、ルナマリア!」
「ぁあっ……!?」
砲撃やミサイルが着弾し、目の前にあるハンガーの全てが廃墟に変わる。
レイがルナマリアを、その場にいたイチカがアリサを庇うように地面に伏せる。
そんな中、アリサたちの搭乗機たちが、瓦礫の下敷きになっていた。
「あーー! 私のザクがっ!」
「ちぃっ……」
「くそっ……!」
「あ……!」
明日自分たちも進水式のために整備していた機体が倒され、瓦礫に埋もれている。
アリサが悲痛にも似た大声を出し、レイとイチカが苦虫を噛んだような表情で睨み、ルナマリアもアリサ同様に、目の前の惨状に驚き、驚嘆していた。
そして、その場にいたのは、彼らだけではない。
避難するようにと、議長からの指示によって、シェルターへと向かっていたカガリとアレックス……しかし、目の前でカオスとジンが戦闘を行なっており、ジンの腹部をカオスのビームサーベルが突き刺した。
アレックスはとっさに、生き残っていたハンガーの陰に隠れて、爆発の衝撃を避ける。
目の前では、自分たちを誘導してくれていた緑服の兵士が、爆風によって吹き飛ばされた。
二人は急いで別の場所へと逃げるが、またしても目の前で戦闘が……。
今度は空中から、ディンがマシンガンなどを撃ってきているが、その目標であるガイアは、あえて突っ込んでいく。
背中に装備していた《グリフォンブレード》を展開。
すり抜け様に、ディンの胴部を一刀両断に斬り裂いた。
爆発を起こし、落ちてくるディンが、ハンガーの屋根に落ちる。
そしてその中で再び爆散し、中にいたMSをはじき出した。
『インパルス発進! パイロットはコアスプレンダーに』
一方、ミネルバでは、ようやくパイロットの準備が整い、機体の発進準備に取り掛かっていた。
『シルエットフライヤーは《ソード》を選択。シルエットハンガー2番を解放します。中央カタパルト、オンライン。気密シャッターを閉鎖します! 非常要員は退避してください!』
ミネルバ艦内のオペレーターによる発進シークエンスが開始された。
パイロットは、《コアスプレンダー》と呼ばれたファイターに搭乗し、システムを起動させる。
それと同時に、発進させる機構にシャッターが展開され、まるでエレベーターのように発進位置へと移動する。
『ハッチ解放! 中央カタパルトエンゲージ!』
発進位置に到着したファイター。
機体を発進させるカタパルトデッキのシステムも同時に起動し、コアスプレンダーはその推力を上げていく。
『システムオールグリーン! 《コアスプレンダー》発進、どうぞ!』
「っ!」
発進の合図が取られ、パイロットの乗った小さなファイターは、勢いよく加速して、アーモリーワンの空へと飛び去った。
『続いて、《シルエットフライヤー》発進、どうぞ!』
白いシャトルのような機体に接続している形で、大きな対艦刀を二本も装備したファイターが飛んでいく。
『続いて《チェストフライヤー》発進、どうぞ!』
今度は、MSの上半身だけが、飛行していく。
腕が、肩の部分から折り曲げられており、よりコンパクトな状態になっているのだ。
『《レッグフライヤー》、どうぞ!』
最後はMSの下半身部分。
膝の部分が折り曲がてた状態で、先に飛んで行っているコアスプレンダーを追いかけて、飛翔していった。
「ふっ……!乗るんだ!」
「え? ……ちょ、うわっ!?」
インパルスが発信したのとほぼ同時……ハンガー区画で、なんとか避難しようと思っていたカガリとアレックス。
と、そこに爆発の衝撃でハンガーから出てきた一機のMSを発見する。
それを見たアレックスは、カガリを誘導して、そのMSのコックピットへと登る。
カガリをお姫様抱っこで持ち、コックピットの中へと入り、ハッチを閉める。
「おい、お前っーーーー」
「こんな所で、君を死なせるわけにいくかっ……!」
システムを起動させて、戦闘ステータスで稼働させる。
ゆっくりと、仰向けに倒れていた機体。
ザフトの最新鋭量産機『ZGMFーX1000 ザクウォーリア』だった。
緑色の塗装が施された機体を立ち上がらせて、急いでこの場を離脱する。
その手はずだったのだが……。
「?……なんなの……?」
「「あっ……!!」」
目の前には、MA形態からMS形態に変形していたガイアが立っていた。
ガイアは立ち上がったザクを敵だと認識、即座にライフルを構えた。
「チィッ!」
アレックスはスラスター全開にし、放たれたビーム攻撃を躱した。
「っ!? なに……!」
至近距離からの攻撃を躱され、ステラは驚いた。
そして、躱したのと同時に、ザクはガイアに対して突撃し、左肩に装備してある盾で体当たりしてきた。
「ぐっ……!!?」
即座にスラスターを噴かせて、ガイアは体勢を整える。
「こいつっ……!!」
突撃の際に、ビームライフルは落としてしまった為、ステラはビームサーベルを取る。
「でやあぁぁぁぁ!!!!」
「くっ……!」
対してアレックスも、盾の内部に収納してあるビームトマホークを取り出し、ガイアに斬りかかる。
互いに盾と剣と斧を交わし、ガイアの方が攻めの姿勢を見せる。
「はあああっ!!!」
「ぐぅっ……」
ガイアの猛攻に、アレックスは一旦距離をとった。
しかし、その後方には、カオスが現れる。
「ステラっ!」
カオスのパイロット……スティングが、後方からビームサーベルで斬りかかる。
「あっ……!」
「くそっ、もう一機っ……!!」
上段から振り下ろされたビームサーベルは、ザクの左腕を斬り裂いた。
そして、返す刃でザクを斬ろうとした瞬間、カオスの背中を強襲する攻撃があった。
「なっ!!? なんだ……っ!?」
爆発音が聞こえたので、それがミサイルだと言うことはわかった。
そして、その攻撃をされた方へと視線を移すと、そこに、一機のファイターが飛んできていた。
「「「「っ!!!???」」」」
スティング、ステラ、アレックス、カガリの四人が驚いている中、ファイターは上空へと飛んでいく。
そして、ファイターは装備していたミサイルパックを分離すると、羽根を閉じて、コックピットも折り曲げて、丸く変形した。
そして、レーザーサイトで下半身と繋がり、射線を合わせる。
すると、ファイターの推力が落ち、次第に二つは重なり、合体した。
合体すると、折りたたまれていた両脚は展開して、次は上半身。
レーザーサイトでまたも誘導して、今度は上半身が合体……折りたたんでいた両腕を展開する。
そして最後に、対艦刀を装備したバックパックのフライヤーが分離……レーザーサイトで結びつき、一機のMSとなった機体の背中に連結する。
すると、そのMSの装甲が、カオス、ガイア、アビスの時同様に、灰色から色鮮やかな赤色へと変化していく。
胸部装甲と、肩の装甲……脚の一部が赤色へと変化し、あとは白と黒へと変化していく。
「なにっ……!?」
「あっ……!」
スティングとステラは、突如合体した、MSへと変わった機体に驚いた。
その機体……『インパルス』は、背中に装備してある二本の対艦刀を抜き放ち、ガイアとザクとの間に割って入る。
振り下ろした対艦刀が地面をえぐる……。
そして、柄同士を連結させると、頭上でクルクルと回し、再び構えた。
刀身に現れるピンク色のレーザー光。
新たに現れたガンダムタイプの機体……。それを見ていたカガリとアレックスは、先ほどの議長の言葉を思い出していた。
ーーーーいいえ、姫…………。争いが無くならぬから、力が必要なのですっ……!!
そして、インパルスに乗る黒髪に、真紅の瞳を持った少年……シン・アスカは、この惨状を作り出した強奪犯に向かって叫んだ。
「なんでこんなことをっ……また戦争がしたいのかっ、あんた達はっ!!!!」
基本的には原作アニメベースで進めていきますので、よろしくお願いします(^^)
感想よろしくお願いします!