【改稿版】ユグドラシルのNPCに転生しました。 作:政田正彦
待機状態で意識を手放し、ただそこに佇むだけの存在だった私は、唐突に、フッと意識を取り戻した。
……あれからどれだけ経ったんだろう?
ご主人様が辞めてから……。
いや、もうその事はいい。
いつかはこうなるって分かっていたから。
あれから、私は何度か待機モードのまま意識を覚醒させることがあった。
一度目にそうなった時はまさか転移したのかと思ったが、どうやら、私が居るエリア……具体的な範囲は不明だけれども、そこに誰かが入ってくると、意識が覚醒するらしい。
おそらくはゲームのプログラム的な事が原因なんだろう。
ひょっとすれば、誰もエリア内に居ない時、私の存在はゲームに認識すらされていないものになっているんじゃないかと思い恐怖したが、少しすればそれすらもどうでもよくなった。
私に近づくプレイヤーが居ると目覚める。
そのほかにも、スキルで遠くから覗かれたりしたら意識が覚醒する事もあるかもしれない。
そして私は今回も、どれ程時間が経ったかは分からないが、それを確認しようとも思わず、恐らく周囲に誰かいるのだろうなと結論付けてその場でぼうっと過ごす事にした。
誰だか知らないが、そっとしておいてほしい物だ。
いや恐らくは気まぐれか何かでモモンガさんが訪れたんだろうけど。
あるいは別のギルドメンバーの人かな?
まぁ、どうでもいいや。
ご主人様だったら真っすぐにこの部屋、それか向かいのシャルティアの部屋に来るはずだし。
思わず、「はぁ」とため息を…………つく…………??
待て待て待て待て、なんでNPCである私がため息なんかつくことが出来るんだ?
驚愕に顔が動くのを感じる。
顔も動く!表情がある!息が出来る!
これはまさか。
私は、恐る恐る、自室の大きな鏡の前に立つ。
そこには、綺麗なヴァンパイア娘の姿が。
試しに、ニコリと微笑むと彼女もまた微笑んだ。
あら可愛い。
「あ、あ~、私はナザリック地下大墳墓、第一、第二、第三階層守護者、エレティカ=ブラッドフォールン……でありんす?いや、間違った廓言葉までわざわざ真似する必要もないよね……」
声もちゃんと……おいおい今の美声私のかい?いやまぁそれはいいとして。
うん、どうやら今回は本当の本当に転移後の世界のようだ。
……今頃はモモンガさんが「コンソールが出ない!GMコールも効かない!一体どういうことだ!?」とかやっている辺りかな……。
たしかこの時はアルベドに呼ばれるハズだから……待ってればそのうちアルベドから連絡来るよね。
……拠点NPCじゃなくて傭兵NPCだからって理由で呼ばれなかったりしたらどうしよ。
まぁそんときはそんときって事で……。
とりあえずは、ようやく戻った自分の表情筋を確かめるようにぐにぐにと動かしていた。
「エレティカ?今いいかしら?」
……予想より全然早かったぞ。
「はい、どうぞ」
「失礼するわね」
ふぉぉ、リアルアルベド様や……やっぱ綺麗だなぁ……っておっぱいデカッ!いや私が言えたことでもないけど……。
「……どうかした?私の部屋に来るなんて珍しいんじゃない?」
どういう話し方をすればいいのか分からないのでとりあえずシャルティアをお手本にして、同じクラスの子と話すような感覚で話す。
いや、待って。
そういえば私ってアルベドの中で一体どういう存在なんだろう?
「そうね、率直に言いましょう。モモンガ様より、1時間後、第六階層の闘技場に、ヴィクティム、ガルガンチュアを除く全守護者は集結せよとのご命令よ。貴女も迅速に準備して、時間通りに来なさい。いいわね?」
「承ったわ、アルベド、知らせてくれてありがとう」
アルベドの中での私の立ち位置は分からないけど、とりあえず階層守護者として認識はされているらしく、話し方にも特に問題はなかったようでホッとする。
「では私はこれで失礼するわ、また後で」
「ええ」
こうして事務的な報告と伝令だけ伝え、アルベドは部屋を出て行った。
うん……今後色々と話すこともあるだろうし、積極的に仲良くしていきたいところだけど……シャルティアの件もあるからなぁ……難しいところだ。
……さて、着替えないと……。
「(あの子とは守護者であるという事以外接点も無いし全然話したことないから緊張したわ……シャルティアよりはまともな感じといっていいのかしら?あれは……いや、まだ油断は出来ない。ああ見えてとんでもない性癖の持ち主とか……)」
アルベドはアルベドで、部屋から出て少しすると、エレティカとのファーストコンタクトが割と上手く行った事にホッと胸をなで下ろしていた。
彼女は元々”ペロロンチーノ様専属の従者”であり、自分の命令を聞くかどうかも不明な存在であったというのもあるが、設定上理解しただけであって、実際彼女と一度でも会話した記憶が無いのだから仕方ない。
例えるなら一度も話したことはないけど名前だけは知ってるクラスメートを呼びに行く心境だ。
「シャルティア?居る?居るわよね?入るわよ?」
「ちょっ、待ちなんし!」
……だが不安だった一番の理由は、自分の中の知り得る知識が正しければ、シャルティアの姉であるからである。
――……50分後
「そろそろ、かな?……《異界門ゲート》オープン」
時間より数分早く行くのは基本ですよね。
とっくに着替え終わり、髪のセット(ほとんど必要はなかったが)も終わり、その他、軽いお化粧、香水、ネイルケア、と行くばかりになっていた私は、時計を見て50分経ったのを確認する。
ユグドラシルの世界では一般的な移動手段である転移の魔法を使い、第六階層の闘技場へと門を繋いだ。
いやぁ、これほんと便利よね。
学校の登下校とかこれで出来たらいいのにとアニメ観てた当時思ったのは私だけじゃないはず。
門をくぐり抜けて、第六階層に足を踏み入れる。
見れば、どうやらまだ双子が炎の精霊と戦っている所だったようで、ちょうど私が来たと同時に、決着がついたようだ。
空気中には、パラパラと火花が散っている。
「あれ?早かったじゃない」
「ご命令だもの、指示された時間より早く来るのは当然というもの。でしょう?」
可愛いなーこの双子ダークエルフ……ぶくぶく茶釜さんもほんといい仕事してるわ。
今は何故か祭壇っぽいところでぷよんぷよんしてるけどね。
……ん?
「えっ……ぶくぶく茶釜……様……?」
私は幻か何かかと思って目をこする。
だがそこに居るのは紛れもなく、ピンクの肉棒のようなスライム。
ぶくぶく茶釜様その人であった。
「あは、は……えっと……久しぶり、エレティカ」
……一体このデロデロした卑猥な形の肉塊にしか見えないスライムのどこからその萌えボイスが出ているのだろうか……って、そうじゃなくて!
なんでぶくぶく茶釜様がここに!?
辞めたんじゃなかったの!?
「お、おかえり、なさいませ……ぶくぶく茶釜様……よくぞお戻りに」
ひとまず、疑問を口にするのはやめておいた。
なんだか分からないけれど、多分、本来の……原作では居ないハズの私が居る事で、バタフライエフェクト的な作用が起こって、ぶくぶく茶釜様がこっちに来る事になったんだな。
良かったね、アウラ、マーレ。
「ぶくぶく茶釜様!見てくださいましたか?私達の戦闘!」
「ぶくぶく茶釜様ぁ……!僕、その、頑張りましたぁ」
「ちょ、フフ……二人共甘えん坊なんだから……おいで」
双子のダークエルフは私と少し会話を交わすと、ビュンッと風切り音が鳴りそうな程早く、生みの親であるぶくぶく茶釜に飛びついた。
それに応えるぶくぶく茶釜も、語尾になるにつれて声が若干震えるのが分かった。
これも演技だったら私ちょっと声優のファン辞めます。
なんて思いつつ、感動的なシーンに思わず涙が流れそうになるのをグッとこらえる。
見た目は完全にロリショタダークエルフを捕食するスライムだけど。
「モモンガ様、エレティカ=ブラッドフォールン、御身の君命に従い参りました」
「う、うむ……ちょっと……いつまでも私の影に隠れてないで出てきてくださいよ」
「いや、でもさ…………だってさ……」
「でも、もだっても無いでしょう!ほら、早く!!」
……ん?なんか様子おかしくない?
「後ろに誰か居るのですか?」
「あぁ、そうなんだが……このっ……いい加減に……!!」
「嫌だって!無理だって!だってもう何ヶ月ほったらかしにして……絶ッッッ対、怒ってるもん!!もう嫌われているまである!!!」
「それを確認するためにもまず隠れるのをやめろこのエロゲバードマン!!」
「エロゲ……バードマン……?」
「……あっ」
一瞬、思考が真っ白になる。
その言葉の意味するところがわからなくて。
しかし、ひょこっとモモンガ様の後ろから出てきた顔を見て、理解する。
ほんの数刻であったか、それとも何秒、何十秒の間だったか、私は石のように静止したかと思うと、モモンガ様のその後ろに何故か隠れているその御方の元へ足を進める。
「そんな、まさか……」
まさか。
いや、そんなはずはない。
だって、あの方は既にこの世界を去ってしまったはず。
その悲しみを乗り越え、ここで頑張るという決意だって決めた。
ここに居るはずがない。
そう思いつつ、願わずにはいられなかった。
転移して初日、途方にくれていた私を雇ってくれた人。
その後も私の育成を真剣に考え、今では人間種対抗として随一の強さを誇るまでに育て上げてくれた恩人。
時々エロい発言もするけれど、NPCの私に対してもすごく優しくて。
エロゲー脳で、変な衣装を着せたりもするけれど、色々な服を作ってくれて。
時々私の前で独り言のように愚痴を垂れたりもするけれど、いつも前向きで……。
この世界において、私の育ての親。
私は、素早くモモンガ様の後ろに回り込み、その姿を確認する。
そこには、もう帰ってこないと思っていた、あの人の姿が。
「ペロロンチーノ、様……?」
ヤダ、あまりの寂しさに私は幻覚でも見ているのだろうか?それ程までに精神が参っていたなんて自分でも気付かなかった。
「や、やぁ……エレティカ、久しぶり……」
なんて思っていたら目の前の幻覚が私の声に反応してくれた。
「ペロロンチーノ様ですか?本当に、本当に?」
そんな、嘘だ。何で。
「えっと、うん、そう、本当に……ペロロンチーノ……本人だよ」
私は、目の前で、苦笑いするような、バツの悪いような顔のバードマンの胸に、震える手でそっと抱きつく。
羽毛布団のような柔らかな感触が肌を撫でる。
あぁ、これは幻ではないんだ。
「どうして……?だって、もう、会えないと……思っていました……」
「……ごめん……」
「いえ、いいんです……こうしてまた会えたのですから……」
胸にすがりつくようにする私をご主人様が慈しむように抱きしめる。
あの時は流せなかった涙が遅れて頬を伝い始める。
「でも……ごめん、本当にすまなかった……エレティカを、君たちを、置き去りにして……俺は……」
「……何も、言わないでください」
「いや、けど」
「今はただ……ここに……傍に居てください。もう、私を一人にしないで……」
「……!!……あぁ、約束する。もう、俺は……どこにも行ったりなんかしない。お前達を……エレティカを、離さない」
「ご主人様……」
「エレティカ……」
嬉しい。嬉しい。これは私が見ている夢なのだろうか。
夢なら覚めないで欲しいなんて使い古されたフレーズだけど、今は本当にそう思う。
抱きついた私達は、しばらく見つめ合い、どちらからともなく、唇を近づけていく。その距離は段々と狭まっていき、最後は、0に……。
「ん゛ん゛っん゛ー!!」
「「!!!!」」
「二人共……悪いが今は緊急事態だ……”そういうの”は、後で、存、分、に……!!」
気付けば、モモンガさん、ぶくぶく茶釜さんの全員が生暖か~~~い目でこちらを見ていたので、私達は、どちらからともなく、バッ!と飛び退くように離れ、私は恥ずかしさから、顔を真っ赤にしながら俯いた。
「す、すみません、なんか、感極まって……」
「もう会えないと思っていたので、つい……」
「気にするな。ただ今は非常事態だからな?邪魔するようで悪いとは思うが、そういうのは後で、二人だけの場所で、ひ、っ、そ、り、と、するように……な?はは……ははははは!!!」
「「は、はい」」
要するに「俺の目に入らないところでやれや」という事ですね分かります。
見れば双子の姉弟も「やれやれ」みたいな呆れ顔でこちらを見ていた。
な、なんだよもう!お前らだってやってたじゃないか!
「おや、私は二番でありんすかえ?…………えっ、えっ、どういう状況でありんすのこれは?えっ、ぶくぶく茶釜様……えっ?ぺ、ぺぺぺ、ペロロンチーノ様ぁ!?」
こうして訪れたシャルティアが「うおおん」と言いながら号泣してご主人様に抱きついてダメージを与えたり、それを引っペがしたりしている内に、各守護者が集結し、各々「おお!至高の御方が二人もお戻りになられた!」とかなんとか反応していた。
(未だに顔が熱くてあまり周囲の事まで気が回せなかったのでこの辺はあやふやである)
「……では、皆?至高の御方々に、忠誠の儀を」
「第一、第二、第三階層守護者、エレティカ・ブラッドフォールン」
「同じく第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン」
「「御身の前に」」
「第五階層守護者、コキュートス、御身ノ前ニ」
「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ」
「お、同じく第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ」
「「御身の前に」」
「第七階層守護者、デミウルゴス、御身の前に」
「守護者統括、アルベド……御身の前に」
「第四階層守護者ガルガンチュア……及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御身の前に平伏し奉る。……ご命令を。我らの忠義全てを、御身に捧げます」
うん……と……自分も流れるようにやっているからアレなんだけど、こうしてみると、壮観だなぁ……レベルカンストしている絶対的強者であるNPCが、それを上回る上位存在に対して膝を折り、頭を下げ、命令を待つ光景っていうのは。
「(ど、どうしましょうこれ……)」
「(ど、どうしましょうったって……ここはギルド長であるモモンガさんがビシィッと決めてくださいよ)」
「(うっ、し、仕方ないですね)」
あの、すみません、聞こえてるんですがそれは……。
「……各階層守護者の皆、よく集まってくれた……感謝しよう」
「感謝なぞ勿体無い!我ら至高の御方々にこの身を捧げた者達……その御身からすれば、私達なぞ取るに足らない者でしょう。しかしながら、我らが造物主たる至高の御方々に恥じない働きを、誓います!」
「「誓います!!」」
各々の声で闘技場がびりびりと振動するのを感じる。
いや、自然にプレッシャーのようなものが出ているのだろうか。
あるいは目の前の闇のオーラを発しているモモンガ様のせいか。
確実に後者です本当にありがとうございました。
「……素晴らしいぞ!守護者達よ!お前たちならば、失態なく事を運べると強く確信した!!」
「おお……!」
「おお……!」
いやご主人様まで「おお……!」って言っちゃダメでしょ!?
「(馬鹿っ……!!)」
「(いやペロロンチーノさんまで「おお……!」って言っちゃダメでしょう!?)」
「(すみません、つい)」
「(このっ、馬鹿! 後で覚えてな!)」
「……さ、さて、現在ナザリック地下大墳墓は、原因不明の事態に巻き込まれている。現在セバスに地表を捜索させている所だが……」
そう言って目線を移すと、そこには既に地表の捜索から帰還したセバスの姿。
そしてセバスが報告した内容には、信じられないものがあった。
「「……草原?」」
「そんな。ナザリック地下大墳墓の周りはグレンデラ沼地のはずじゃないの?」
「確認したところ、ナザリックを中心に半径1km以内は全て、ただの草原でございました。人型の生物、建築物、及びモンスターの類は、一切、確認できませんでした」
これでもう確定だ。
ここは、オーバーロード本編で言うところの、転移後の世界だ。私は人知れず、このあとの展開について頭の中の記憶を探っていく。もう最後に原作を見たのも何ヶ月……下手したら何年も前の話なので、覚えていない部分も多い。
それ以前に、私の存在という差異があるため、正常に原作通りのルートに進むかどうかも怪しい……。
まぁ、もろもろ全部を原作通りに進ませるつもりもないんだが……。
「ご苦労だったセバス、やはりナザリック全体が、どこか不明の地に転移してしまったのは間違いないようだな……守護者統括アルベド、並びに防衛戦責任者であるデミウルゴス」
「「はっ」」
「両者の責任のもとで、より完璧な情報共有システムを構築し、警護を厚くせよ!」
「「はっ!!」」
うわぁ、実際に見ると結構すごいな。
確かにこれは守護者のみんながモモンガ様万歳ってなるのも分かるわ。
だってもう、ねぇ?
見た目とか言動が本当に、死の支配者って感じするもの。
「マーレ、ナザリックの隠蔽は可能か?」
「ま、魔法という手段では難しいと思います、で、でも、例えば、壁に土をかけて、そこに草を生やしたりするなら……」
「栄光あるナザリックの壁を土で汚すと……?」
……ここは止めるべきだっただろうか?
いや、流石に仕方ないよねこれは。
「アルベド、今は私がマーレと話している。余計な口出しをするな」
「ハッ、申し訳ございません」
「で、マーレ?壁に土をかけて隠すというのは可能なのかな?」
「は、はい!おゆ、お許し頂けるのでしたら……あ、でも……」
「ふむ、大地の盛り上がりが不自然か……セバス、近辺に丘のような場所はあったか?」
「残念ながら、確認できておりません」
「であれば……周りにも土を盛って、ダミーを作った場合ならばどうだ?」
「それならば、さほど目立たなくなるかと」
……まぁよく考えたら近隣の国の人達からみてつい最近まで平坦だった草原のあちこちに突然丘が出来たら不思議に思いそうなものだけどね……今は黙っておこう。
「ふむ……では、そうだな……マーレは、ぶくぶく茶釜さんと共に、それらの作業に当たれ」
「ハッ!」
「二人からは何かありますか?」
「そうですね……俺のスキルを使えばより遠くの物まで視認する事が可能だ、なので、丘を作る際、一つ、目立たない程度で、出来るだけ高い丘を作って欲しい。そうすればより遠くを見渡すのが楽になる」
「か、かしこまりました!」
「俺からは以上でいいかな……」
「私は……これは今行おうとしている隠蔽作業が終わってからでいいんだけど、ナザリックそのもののダミーを、敢えて分かりやすい場所に作り、そこへ注意を向けるのはどうかな、と思ったんだけど……どうかな?セバス」
「もしご指示していただけるのでしたら、マーレ様の隠蔽作業が終わり次第、直ぐにでも配下の者を集め、建造に取り掛からせて頂きます」
「うん、じゃあそれに取り掛かる人員について後ほどまた打ち合わせをしましょう、私も今のところはこれだけで」
アレ?こんな事あったっけ……?いや、そうか……ご主人様は元からこういう、接近する敵を事前に補足する役割だったから、そういった事前に敵を察知するための事に関しての関心が高く、ぶくぶく茶釜様はヘイト稼ぎや防御に長けた盾担当だから、防衛面についての関心が高いという事かな。
「では、最後に、私から各階層守護者に聞いておきたいことがある……まずはシャルティア、お前にとって私は一体どのような人物だ」
「美の結晶!正にこの世界で最も美しい存在であり、私の創造主であるペロロンチーノ様とも深い絆を持つお方でありんす」
「では、エレティカ」
えっと……?ここで私は彼に対して忠誠を誓ってもいいものなのだろうか?
一応雇っているのはペロロンチーノ、ご主人様だけだしなあ……。
でもまあ、ここは波風立てず、穏便に済ませますか。
「我が主であるペロロンチーノ様と同等の力を持つ……死をも超越した支配者、妹を含む各階層守護者が至高の御方と呼ぶ存在の頂点に君臨する御方であると認識しております」
「(……待てよ? エレティカは拠点NPCではないはずだよな?……にも関わらず。こうして言うことを聞いてくれるのは、俺への忠義というよりは、ペロロンチーノさんの友人である事から発生する俺への忠義、といった感じなのだろうか? ……それに加え、実際にはそう設定されてはいないはずのシャルティアを「妹」と言った……俺たちが設定に書き込む事の無かった口先だけの設定も反映されている……という事なのだろうか)」
続いて他の守護者達も同じようにモモンガへの本心を口にしていく。
そのほとんどが「偉大なる御方」「慈悲深き御方」「まさに頂点に君臨するに相応しい」「絶対なる支配者」等のこれでもかという程の強い忠誠心が現れていた。
「……そして、私の愛しい御方ですっ!」
あ、やっぱりアルベドは『モモンガを愛している』と書き換えられたのね。
モモンガさんェ……。
「うっ!?うむ、そうか……あぁ、言い忘れていた……と言ってももうお前たちの目の前に居るのだから、既にわかっているとは思うが……私の同胞であるペロロンチーノさんと、ぶくぶく茶釜さんがナザリックに帰還した。この件についてはまた後日、他の下僕も集めて改めて発表する。……私からは以上だ、二人からは他に何かありますか?」
「……エレティカとシャルティアには後で言わなければならない事がある……後で俺の部屋まで来てくれ」
「「ハッ」」
「あっ……私も、マーレとアウラはこのあとの作業で一緒になるけれど、その時に言うべき事があるの、あぁ、でもマーレは作業があるから……そうね、アウラもマーレと共に行動しなさい、後で表層に私が向かいます」
「ハッ」
「わ、わかり、ました」
うん……?何かあったっけかな……?早速原作にないイベントの発生かな?
「……では、今後とも忠義に励め!」
「「はっ!」」
そう言うと、モモンガ様、ご主人様、ぶくぶく茶釜様の姿がかき消える。
こうして、転移後初めての守護者が全員集結する会議は終わりを告げた。
……今頃、「あいつら、マジだ……!!(ビコーン×3)」とかやってるのかな?