「目標視認!って、やべぇぇぇぇぇ!?」
アウトレンジで一方的に敵機を撃墜した後、90式対艦誘導弾で敵艦隊の主力にダメージを与えたところ、目標の全てが中破以上のダメージを受けていた。
その結果、暴走状態になった深海棲艦が負傷している響達に砲撃を与え、その内の1発が大破している雷に命中するコースをとっていた。
そのため、30ノット以上で航行していた俺はさらに加速して、そのコースに割って入るように砲弾を拳で強制的にコースを変更させて、大破していたタ級を撃沈した。
(これがキャッチ&リリースって奴だと思うけど、かなり痛い!)
実際には違うが、アニメ版の金剛はこれを平気でやってのけたんだからすごい。
そんな感覚とは裏腹に、平気な顔で負傷している響達に顔を向けて声を掛ける。
「みんな!大丈夫か!?」
「私達は大丈夫だけど、さっきの攻撃って・・・」
「俺らの攻撃だ!あしがら!みらい!彼女達を頼む!」
俺がそう言うと、あしがら達がやって来て慌てたように俺に聞いてきた。
「紀伊姉さん!どういう事ですか!?」
「囮になるつもりですか?」
「あぁ、そうだ。負傷している響達を一旦、赤城達に任せた後は支援艦隊が来るまで囮役として粘るつもりさ。そのための装甲なんだしね」
俺が即答すると、あしがらは悔しそうに言葉を詰まらせてこう言ってきた。
「だったら!すぐに沈まないで下さいよ!」
「わかっている。俺だって初陣でくたばりたくないんでね」
俺がそう言うと、あしがらとみらいは動けないであろう木曾達を支えながら赤城達のところに向かい、その間に俺が周囲の深海棲艦を撃沈させていく。
俺達が喋っている間は、深海棲艦達には何が起こっているのかがわからない様子で呆然としていたが、俺の攻撃によって現実へと引き戻された。
「人の
俺はそう叫びつつ、クロスレンジからの砲撃を敢行した。
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加賀side
「そう、それで彼女は残ったのね」
「はい、少なくとも撤退戦に持ち込むよりかは遙かにマシとの判断でした」
突出した紀伊さんについて行くように、あしがらとみらいが速度を上げてからすこしして、その2人が響達を連れてきたので理由を尋ねたらそのようなことが返ってきました。
正直に言って、紀伊さんには無茶はしてほしくはないのですが、状況的にはそうするしかないのが現実でした。
負傷した仲間を抱えて、戦闘に加われば10隻以上はいる深海棲艦の内、何隻かは私達に牙を向けることになりますし、それでは紀伊さんが残った意味がなくなります。
また、あしがらさんとみらいさんは驚異的な回避力と射程を持っていますがその分、装甲自体はペラペラの紙装甲ですので砲弾1発で戦闘不能になってしまいます。
さらに、これだけ騒がしくしていればこの近海に生息している敵潜水艦に見つかってしまう恐れがあるため、長居する理由はありません。
「妙高さん、この状況をどう解釈しますか?」
「ここは支援艦隊に任せて撤退するのがベストですね。クロスレンジでは、砲撃や魚雷がメインになりますので私はともかく、ロングレンジを前提にして作られたあなた方ではこの戦闘に介入することは進められません」
「そうですね、では急いで戻りましょう。負傷者の手当てが先です」
「・・・」
あしがらさんは悔しそうに唇を噛んでいましたが、ここはおとなしく撤退する方がベストだと判断して、後は支援艦隊に任せるとしましょう。
大和さんと陸奥さんはともかく、伊勢さん達は古参メンバーですので紀伊さんのフォローはできると思います。
「みらい、鎮守府に連絡して下さい。『負傷艦を救出した。主力艦隊はこれより撤退する』」
「わ、わかりました・・・」
みらいさんもあまり納得していないようですが、ここで誰かを失うと怒られるのは
私達の提督は、何かを失うことにひどく敏感ですから。
みらいさんが通信を行ったのを確認してから、私達は鎮守府に帰投するのでした。
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~紀伊side~
「ふぅ、やってくれたか」
俺は水上レーダーによってあしがら達、主力艦隊が戦闘海域から離脱するのを確認した。
帰投する際に、その方針についてやや揉めたようだがそれでも彼女達は、目的をはっきりさせて帰投していったのだから加賀達には感謝しないとな。
それはともかく
その間、こっちはこっちで敵陣の中で大暴れして負傷した敵の戦艦群は全員、撃沈した上に敵の砲弾を可能な限りビリヤードみたいに跳ね返したので、敵の駆逐艦もかなり撃沈させていった。
おかげで、両手はかなりボロボロになってしまったので後であしがら達に怒られるだろうなぁと思いつつ、残った深海棲艦達と睨み合っていた。
敵からすれば、逃げればロングレンジでやられる上に砲弾が飛び交うクロスレンジでは、砲弾が跳ね返されるのでまともに攻撃ができない相手となった。
このまま、膠着状態になれば俺らの勝ちになるのだがその反面、敵の潜水艦が魚雷攻撃でも仕掛けてきたらその隙に逃走されるか、反撃をもらってしまう。
おまけに、今はお互いがそれぞれの砲門を敵に向けているため、そう簡単に攻撃できない。
『紀伊さん!こちら、大和です!』
「(どうした?)」
『主砲の射程に入りました!いつでも撃てます!』
「(よし、やってくれ!)」
『ですが・・・!』
「(そう簡単にはやられはしないさ、やってくれ)」
『・・・わかりました!』
そんな中、大和達からの通信で彼女達の主砲の射程圏内に入ったことを伝えてきた。
とは言え、彼女達のレーダーは俺やあしがら達のレーダーと比べて精度が悪く、精密射撃ができないので俺に当たってしまうことを警戒していた。
しかし、現場にいる俺からのデータリンクで正確な位置情報を知らされると、自信をもってそれに従って砲撃をしてくれた。
(後はどうするかというと・・・)
タン!タン!タン!タン!
俺はVLSの両脇にある発射台から、円筒状の物体を発射させて敵の注意を引きつける。
円筒状の物体は、一定の高度に達すると「バァン!」と言う炸裂音と共に細長い銀紙を大量に放出して、レーダーに白い霧を浮かび上がらせる。
こうすることによって、増援がどのぐらいなのかが判断しにくくしている。
その反面、大和達のレーダーにも障害が出るのでネットワークを介して情報を提供し続けている。
そして、大和達の砲撃が正確に深海棲艦に当たっていき、残すは南方棲戦鬼だけとなった。
「地獄に落ちろ!」
俺はそう言って、51センチ主砲で南方棲戦鬼に対して砲撃を行い、撃沈していった。
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「だ、大丈夫ですか!?紀伊さん!」
「大丈夫大丈夫、中破で済んでるから」
「さすがに頭から血を流しながら言うレベルではないと思うわ」
「敵陣地で大暴れしたからその途中で切っちゃったんだと思う」
「紀伊~、手までボロボロじゃん。いくら何でもさすがにやりすぎだよ~」
「敵の砲弾を殴りまくってたらこうなってたわ。次からは自重するよ」
「そうしてくれ、そうじゃないと見ているこっちもつらい」
「すまんすまん」
支援艦隊の皆から言われているのは、俺の負傷具合についてだった。
初陣で遠征艦隊の支援と聞いた時には、あまり能力を使わないかなと思っていたが実際には、能力をフルに使っての戦闘だった。
おかげで、自分の限界値やどうやったら効率的に戦えるかが少しだけ、見えてきた。
とは言っても、レーダー関係は被害は出なかったが単装砲やVLSなどに被害が出たため、一歩間違えれば轟沈は逃れなかった。
そのため、次からは自重しようと思う。思うだけで実行するかはわからないけど。
そんな訳で、俺は仲間達にどやされながら鎮守府に戻っていった。
うぅ、戦闘の書き方がわからないんだぜ・・・
もっとうまく書きたいねぇ