それは
それも途方もなく、『なにか』に自身の激しい感情を
ある人は・・・『者』へぶつけた。
ある人は・・・『理想』へぶつけた。
ある人は・・・『世界』へぶつけた。
それでは・・・衛宮士郎は『なに』にぶつけたのだろう。
今は遠き日の記憶 憤怒の夜
主は『憤怒の剣』の封印を解いた。
それにあたって『
・・・・・『我』と『
並行世界の
崩壊した街並み。
老若男女問わず、死へと向かう火の海。
誰しもがその中では歩くことさえままならないほど、苦しみ、悲しみ、痛みを訴えている。
ーーーー嫌だッーー死にたくない!!!ーーーー
ただ一人の『子供』を除いて・・・・・
『子供』はこの火の海の中をひたすらに走った。
目の前で死に堪える姿を見ても・・・
すぐそばで誰かの悲鳴が聞こえても・・・
『子供』の体に助けを求め、足を掴まれても・・・・・
見たのなら、見なかったことにして・・・
悲鳴が聞こえたのなら、耳を塞ぎ・・・
足を掴まれたのなら、その足を振りほどいて・・・
我はその『
しかし、
なぜなら我の知る『子供』は・・・
・・・・・決して、そんなことはしないのだから。
あの
それは理解した。
ならば、『主』に聞きに行こう。
思い立ったが吉日という言葉もある。
我には聞くことができるのだから。
数刻・・・主を探した結果見つかりはした・・・・・
しかし、
なぜなら・・・・・・
「・・・・・結局、あんたは剣の記憶・・・『デジタルワールドの英雄達』の記録を見たのよね?」
「まあ・・・そうですね。一応・・・見ましたよ、英雄って言っていいのかわからないほど、
「へえ・・・それは、この世界より『平和』だったってことよね・・・なら、なおさら聞いてみたいわ!!!」
主と『師匠』殿が対話をしている。
それに・・・待てば『あの』話も聞けるだろう。
『憤怒』の剣の記録には、かつて我等の世界のように
(まったく・・・
生きている存在はいずれ死ぬ。
敵対するのならば殺すのは必然。
それを理解していながら、相手をできうる限り殺したくはない。
・・・
この世界では一定以上の強者以外は、
・・・・・・愚かしいにもほどがある。
主は師匠殿と笑っている。
その世界の話で笑っている。
ただ、この世界の方よりも幸せで平和な世界があるというだけで、この世界にも希望があるのだと・・・・・そんな世界にして見せるのだと、前を向いて話している。
そんな時に、主の顔つきが変わった。
「・・・・・なあ、師匠が言ってた『
主が一呼吸おきそう言ったすぐ後、師匠殿の雰囲気が変わる。
「・・・へえ、どうやってわかったの?」
師匠殿の声に刺々しさがある。
・・・しかし、敵意ではない。
「・・・・・昔、ずっと昔のとあるところに子供がいました」
主は物語を語るように話し始めた。
「幸せだったかもしれません。
不幸せだったかもしれません。
それは、
師匠殿は少し不思議な顔をしたが、それでも静かに聞いていた。
「・・・・・でも
ここで、我の知りたい話を聞けるのだと思う。
少しの罪悪感・・・それを上回る好奇心は我の足を止めた。
「
師匠殿が顔を顰める。
『少年』という言葉が『主』自身であることを察していたのだろう。それが、今の主の
「
師匠殿の顔が驚愕へと変わった。
我は
「少年の住んでいる街は火の海へと変わったのです」
「少年は火の海から逃げ出そうと、必死に走りました」
「・・・・・その過程で、
主の言葉とともに、周囲の音が消えた。
主の目は、今までで見たことがないほどの狂気が見える。
「走っている最中に焼け爛れた男の死体を見ました」
「少年は男を見なかったことにしました」
我が見た記録の中の地獄の一つ。
データの存在とは違う醜き姿は、我等との存在の違いを理解せざる得なかった。
「少年は子供の悲鳴を聞きました」
「少年は耳を塞いで無視をしました」
我が聞いた地獄の一つ。
我等の世界にはなき平和の中にいた存在の、生へ縋る空しき姿を理解した。
「少年は自身に『どうか子供だけでも連れてってください』と頼む女に足を掴まれた」
「少年は掴まれた足とは逆の足を使って、自身を掴む女の手を踏みつけました。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も・・・足から手が離れるまで・・・・・」
最後の地獄。
強き存在ではない者が必死に生きようと、他人の願いを足蹴にすることは、こちらでもよく聞く話だ。
・・・・・それでも、その世界は『ダークエリア』以上の地獄に思えた。
主は嗤いながら話し続け、師匠殿はそれを悲しそうに見つめた。
「・・・・・そうして少年は火の海から逃れることができました。しかし、ようやく救われるってときに・・・・・少年は力尽きてその場で倒れてしまいました」
「暗黒の太陽が昇り『もう助からない』・・・そう思ったとき・・・・・」
主の顔が無表情へと変わった。
「そんなときに奇跡が起こったのです」
主は無表情な顔で歪な声をあげました。
「瀕死の少年を突然現れた夫婦が救ったのです」
「泣きながら、それでも笑って『生きていてくれてありがとう』と夫婦は言いました」
無表情の顔とは違い、明らかに尊敬の念がこもっている。
「何度も、何度でも言いました・・・・・」
それ以上に、『
「少年はそんな姿に憧れました」
主は心底からくだらなさそうにして、話し始める。
「自分もこんな人間になりたい」
「自分もこの人たちみたいに、たくさんの人を救いたい」
「たくさんの人を救って、たくさんの人を笑顔にしたい」
「そうすればきっと・・・・・」
「
嫌悪感をあらわにしながら主は話す。
「それから数年・・・夫婦に引き取られた少年はこの記憶を忘れました」
「感情だけが残り、なぜ救いたかったのかなどの疑問すら抱かないまま、『正義の味方』に・・・たくさんの人を救える『英雄』になりたいと考えるようになりました」
我の知りたいことは聞けた。
しかし、それならばなぜこの世界にきたのか?
「
今までの中で最も冷たい声が聞こえた。
「少年は困っている世界があることを教えられ、すぐにその世界へ向かいました」
「そして・・・その少年こそこの俺・・・・・『衛宮士郎』です」
主はあっけなく自身のことだと言った。
「『憤怒の剣』が教えてくれたよ。
「本当にくだらないと思わないか?
あれほど、『誰かの為になりたい』、『正義の味方になるんだ』などと言っておきながら、本当は『贖罪』の為に生きてきたんだ」
主自身が今までの生き方を否定する。
「・・・ルーチェモンの言った通り」
「まるで・・・・・『人形』みたいな生き方だ」
かつて『
そのときーーーーー
「・・・かはッ!?」
(・・・・・は?)
師匠殿が一発・・・主の腹を殴った。
防御態勢どころか、無防備に等しい土手っ腹に師匠殿の拳がめり込み、主は地面に這いつくばる。
「あんたはバカ?
師匠殿は体をくの字に曲げている主に向かって言う。
「
あんたの不幸も・・・あんたがどうしてそうなったかも・・・」
師匠殿は主を見下ろして言い続ける。
「でもね・・・あんたが『自己批判』してどうすんの?」
主がもがくのをやめる。
「私は今までなんのために『愛』を教えてきたと思ってるの?」
主は首を振った。
我にもそこまで愛というものが重要なのかはわからない。
それを見た師匠殿は大きなため息をついた。
「
主は顔をあげる。
師匠殿は主と同じ目線の高さになるようにしゃがんだ。
「『愛』ってのはね・・・人それぞれに形はあるけれど・・・・・
師匠殿の力説は続く。
「自分を『愛』していない奴が世界を救う?・・・・・笑わせるのも大概にしなさい!!!」
「そんな奴は絶対に自分を犠牲にしようとする」
「・・・・・
主は自身が体を揺らした。
実際に
「私があんたの修行をみたのは、これからくるどんな困難にも負けない強さと、あんたに
主の顔つきが変わった。
今までの諦観が一瞬で驚きに変わるとは我にもできないであろう。
「・・・いい、私が言ったことを胸に刻みなさい」
「・・・はい!!!」
主は立ち上がり返事をする。
「そこにいる『白いのも』さっさとでてきなさい」
(・・・バレていたのか)
我は木陰から姿をあらわす。
「・・・
「・・・すまない、主」
我は主へ謝罪する。
「盗み聞きなんて許さないわ・・・こいつと一緒に説教の続きよ!!!」
どうやら師匠殿は逃がしてくれないようだ。
「わかったらさっさと正座!!
朝までどんなに『愛』が大切か骨身にしみさせてやるわ!!!」
主と我は顔を見合わせて笑ってしまった。
遅れて申し訳ありません。
今回は過去編という形で出しました。
こんな感じで2wei!中に出していくつもりです。
次回から2weiスタートです。
番外編に関するアンケート
-
1.間桐雁夜に召喚されるZERO編
-
2.岸波白野に召喚されるEXTRA編
-
3.FGO二部を暴走して終わらせる編
-
4.始まらないヘブンズフィール編