Fate/ fallen brade   作:阿後回

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お気に入り100件とUA15000達成、本当にありがとうございます!!!

前回の予告通りの番外編。

あと、タイトルを変更しました。


今は遠き日の記憶 嫉妬との対話

「『投影(トレース)開始(オン)』」

 

 

昨日(さくじつ)の戦闘を思い出すように契約者(シロウ)は『嫉妬の剣(ツミノキオク)』にあった『魔術』を行使していた。

 

「・・・・・儂にとって、どれほど聴いても理解しがたい魔術(もの)じゃな・・・それは」

 

 

赤い・・・いや、何本か黒が混じった髪を揺らして契約者は振り向いた。

 

 

「誰だっ・・・って、なんだオタマモンか。

俺も慣れないよ・・・お前のその口調には・・・・・」

 

警戒した声を出す契約者。

それにしても、初めて出会った頃とは比べ物にならないくらいに成長しているようじゃ。

 

「儂の慣れないと契約者の慣れないは間違いじゃ・・・儂のは『嫉妬の剣(ツミノキオク)』のせいじゃが、おぬしが使っておるのはおぬしの世界の技術(もの)じゃろうが・・・・・まあ、慣れぬというのならば、口調も戻さぬこともないのじゃが」

 

『嫉妬の罪』の試練のなか、剣の記録(キオク)・・・かつて並行世界では()()()()()()()だった存在の記憶を儂は植えつけられた。

 

それにより、儂はとてつもない力を与えられたかわりに、口調などに多少の影響を受けてしまった。

 

「いゃ、いい・・・お前がどんな口調だろうが、リヴァイアモン(おまえ)オタマモン(おまえ)だからな・・・・それに、口調に関してはいちいち俺が口に出すことでもないさ、お前の好きにすればいい」

 

それに、バケモンのときに慣れてるしな。

そう言った契約者は空を見上げる。

 

 

 

 

 

「『正義』ってなんなんだろうな?」

 

 

そう言った契約者の顔にはどこか諦めがあった。

 

 

「なんじゃ・・・おぬしは『正義の味方』になるとか言っておらんかったか?」

 

 

そう言う儂には疑問とは真逆の、確信めいたなにかが心の中に居座っている。

 

そして、その言葉に反応した契約者は自嘲気味に笑った。

 

 

「目標を見失ったから・・・いや、自分が『正義の味方』だと思っていたあの人たちが、あの災害を起こした原因だと知ったからかな」

 

ふむ・・・どうやら『嫉妬の剣(ツミノキオク)』のことを言っておるが、儂は『憤怒の剣(ツミノキオク)』を見ておらぬからそんなことを言われても知らぬのじゃが・・・・・

 

 

まあ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ほう・・・詳しくは知らぬが、あの衛宮切嗣という養父救われたのだろう?・・・その男が原因の一つだからといって、契約者が『正義の味方』を目指すのになんの問題がある?」

 

 

契約者は苦笑いとともに顔をかいた。

 

 

「はは・・・そうだな・・・・・」

 

 

「あの記録を見て、俺の中に目標にしていた人(せいぎのみかた)はいなくなったからさ」

 

ふむ・・・これは、ちと難しいか。

正義の味方であり続けようと『固執』をしていたのを『憤怒(いぜん)』の試練でやめてしまったことで、少し問題になってしまったのお。

 

かつての自分を見たことでの『正義の味方』に対する『固執』を失ったまではよかったのじゃが・・・今回の試練で、目標となった『衛宮切嗣(せいぎのみかた)』の真実を知ってしまったことが迷わせている要因じゃ。

 

目指す存在が原因となったことで、契約者は目標を見失ったか。

 

 

・・・仕方ない。

こういうのは『傲慢』の得意分野じゃが、いったからには儂が一肌脱ぐかのう。

 

「つまりおぬしは、目指す目標がなくなったから『正義』とはなんぞやと考えておるわけじゃな?」

 

契約者はコクリとうなづいた。

儂は少し考えていると思わせる間おいた。

 

 

「ふむ・・・では、儂が知っておる一人の『正義の味方』の話をしようではないか」

 

 

契約者はキョトンとした顔になり、数秒後儂を睨みつけた。

 

「なんだよ、それ・・・今更俺に、なにかを目指せってのかよ」

 

「まあまあ、そんなに儂を睨むな。儂はただ話を聞いてもらいたいだけじゃよ。そこからなにを感じるかなどおぬしの勝手じゃ」

 

契約者は少し時間をおいて、頷くことで肯定を示した。

 

 

「そうじゃな・・・儂の知っておる『正義の味方』は()()()()()()()()()()

 

 

「無鉄砲で人の話を聞かず、できるできないに問わずいつも何かをやろうとして周囲を巻き込むうえ、失敗して後悔はするものの、それはその場限りで、結局同じような行動を起こして周囲を困らせる」

 

 

契約者は眉を寄せる。

まあ、そうじゃな。こんな人間のどこが正義の味方であろうか?しかし、儂の話は続いているから静かに聞いておる。

 

 

 

「・・・でも、その無鉄砲さに儂は救われた」

 

 

「・・・・・は?」

 

 

契約者の間抜けそうな表情は腹にくるものがあるのう。

 

 

「儂は周囲のオタマモンから、()()()()という理由だけでいじめられておった」

 

そう、儂の体の色は『赤』。

 

周囲のオタマモンの体の色は『青』。

 

多少の差はあれど、集落にたった1匹だけ体色が違えば()()()()()()()()()()()。儂は赤いオタマモンに進化してから迫害というものを受けていた。

 

 

「ただの成長期だった儂自身ではどうにもならず、ただ自身と周りとの差(いろのちがい)をひたすらに妬んでおった」

 

 

たったそれだけの違いで、『なぜ()は周囲とは違うのか』とか、『()も他のオタマモンみたいな色がよかった』とか、ずっと考えておったの。

 

 

 

「そんなときじゃったよ、一人の大バカ者が現れたのは・・・・・」

 

 

世界を救う旅路だと申して儂らの前に姿を現した。

 

世のため、人のために、果ては世界すら救いたい。

 

そんな荒唐無稽な夢を、恥ずかしげもなくいってのける。

 

そんな大バカ者が儂の前に現れた。

 

「いきなり儂が住んでいた集落に押しかけてきて、迫害を受けている儂のことを知った大バカ者は、儂を集落の者たちから救い出した」

 

 

「・・・・・それは」

 

 

契約者はようやくだれかわかったようじゃな。

 

 

「それはおぬしじゃよ、契約者」

 

「少なくとも、あの頃の儂に対して平等に接した存在(もの)は珍しかった。しかしそれ故に、あの頃のおぬしの無鉄砲さに()()()()()()

 

「おぬしは『嫉妬の剣(ツミノキオク)』の英雄のように、並行世界の同種(リヴァイアモン)を倒したり、死ぬ間際にパートナーとともに、イグドラシルに甚大な影響を与えて封印されていた『とあるデジモン』を新たな世界(ニューデジタルワールド)へと逃し、希望を繋いだわけではない」

 

嫉妬の剣(ツミノキオク)』で知ることができた存在。

 

イグドラシルによって奪われた『とある危険なプログラム』を、取り戻すために、退化してしまった城の主人(パートナー)とともに立ち向かい、最後の最後に敗北してしまった『英雄(にんげん)』。

 

それは契約者とは決定的に違っていた。

 

 

 

「・・・・・それでも!!!」

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

儂はできある限り契約者の顔を見ないようにした。

正直なところ、とても恥ずかしい。それでも、今のコヤツには伝えなくてはならない。

 

とても大事なことを。

 

 

「おぬしがどう考えようとも、儂や救われた奴らにとってはおぬしこそが『正義の味方』で間違いはない」

 

「それを卑下しようものなら、いくら『お前』でも『僕』は起こるからな!!!」

 

 

契約者の顔を見た。

恥ずかしかったが、どうしても面と向かってそれを言いたかったからだ。

 

契約者は唖然とした顔をした後・・・・・

 

 

「くっ・・・くははははははははははは!!!」

 

 

と笑い出した。

 

 

「・・・なにがおかしいんだよ」

 

それに『僕』はイラついてしまった。

 

 

「わ・・・悪い、けど・・・口調戻ってるし・・・・・さっきまで、『儂』とか言ってたやつが、いきなり『僕』とか・・・ああ、だめだ笑える、あははははははははははははははは!!!」

 

そうして『士郎』に言われて気づいたのは、自分が『嫉妬の剣(ツミノキオク)』の試練前までの口調に戻っていることだった。

 

「おっと・・・笑ったのは別にどうでもいいから、『儂』としてはさっきの言葉を考えて欲しいのじゃがな」

 

 

口調を戻して、自身の話はどうだったかと今現在笑い続ける契約者へと聞く。

 

すると、契約者はすぐに笑いをやめた。

 

 

「・・・そうだな、口調が戻るまで言ってくれたことだし、俺自身いつか向き合わないといけないことだった」

 

憤怒の剣(ツミノキオク)』の時にもなにかあったとは聞いたが、儂はよう知らんから、今契約者は自身と向き合わなければならないのじゃろう。

 

それでも、契約者は・・・・・

 

 

「だから、俺自身がおまえにとっての『正義の味方』であることはしれた」

 

 

さっきとは違う晴れ晴れとした笑顔で・・・・・

 

 

「だから、俺はもう少し頑張ってみるよオタマモン」

 

 

悩みを振り切るように走り出した。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・これなら大丈夫じゃろ」

 

 

契約者が見えなくなった頃に、独り言をつぶやく。

 

 

「・・・いずれ来る、災厄に対しても・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 




今回の裏話。

嫉妬の剣(ツミノキオク)』で得た記憶はデジタルモンスターゼヴォリューションの前日譚。

序盤のドルモンの登場シーンに違和感を覚えた結果、この作品の世界観はこうなった。

ゼヴォリューションのデジタルワールドの世界でイグドラシルが『Xプログラム』を盗み出し、グランドラクモンが自らの力を使って人間の子供を呼び出したが、力と知識のほとんどを失いドラクモンへと退化。

子供はドラクモンとともにダークエリア内で戦い続け、グランドラクモンの力を取り戻した時に、ドラクモンが使命を思い出す。

だが、ダークエリアを出るときに、リヴァイアモンと戦うことになりなんとか勝利した。

しかし、そのダメージが残ったままイグドラシルと戦うことになり、イグドラシルに大ダメージを与えたが、グランドラクモンは敗北。

子供もドルモンとなったアルファモンを連れ出して、『新世界(ニューデジタルワールド)』へと送り出すが、ロイヤルナイツに殺された・・・・・という、裏話がありました。

これに関しては、この作品限定なので原作とは全く違うと思います。

感想や評価、誤字・脱字等あればよろしくお願いします。

番外編に関するアンケート

  • 1.間桐雁夜に召喚されるZERO編
  • 2.岸波白野に召喚されるEXTRA編
  • 3.FGO二部を暴走して終わらせる編
  • 4.始まらないヘブンズフィール編
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