Fate/ fallen brade   作:阿後回

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久しぶりに戦闘描写を書いてみたものの、やはり物足りなさを覚えてしまいます。


第四話 実験の過程と遅れて来た彼女

 

 

実験場・・・『デジタルシフト』化された空間で二人は小さく言った。

 

「「夢幻召喚(インストール)」」

 

急激な光により、二人の姿は変化した。

 

「『降臨者(フォーリナー) イーター・アダム』

 

一人は全身に鋼色の触手を纏わせる。

光沢は幻想的であるものの、どこか嫌悪感を覚える見た目であったが、カードを使った当人には多少の後悔の念と、これからの実験に向ける固い意思が見られる。

 

 

「『魔術師(キャスター) ケルビモン(善)』」

 

もう一人の青年・・・タクミは白とピンクのファンシーな見た目の着ぐるみに顔・・・・・というよりも、口の部分に大きな切れ目ができており、青年の顔が出せるような仕組みになっている。

 

しかし一人目の青年・・・アラタとは違い、この姿に全幅の信頼を寄せ、この姿で戦うことを誇りに思っていた。

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

そのアナウンスが聞こえると同時に青年二人は前に出た。

 

「まずは、小手調べから行かせてもらうぜ!!!」

 

 

『力の渇望』

 

彼は彼自身の攻撃力を上げ、触手を使ってタクミをしめあげようとする。

 

「・・・こっちだって」

 

『ホーリーライトIII』

 

タクミの手をを中心に光の塊ができ、触手に向かって放たれる。

触手は強力な光に押され、明後日の方向へとそのまま飛んで行ってしまう。

 

そしてそのままアラタへと命中するところであったが・・・・・

 

「負けるか!!!」

 

アラタの方ももう一方の手の触手を大きく広げ、攻撃自体をバグ化・・・弱くなった光を地面に叩きつける。

 

『マッハ・ラッシュII』

 

「おごッ!?」

 

その隙を見たタクミは攻撃し、それに反応しようとしたアラタ・・・()()()()()()()()()()

 

 

()()()()()

 

『テクスチャー・ブロウ』

 

「は?!」

 

触手を通じて送り込まれたウィルスは少しずつ力の根源である服を侵食していく。

 

「・・・くっ!!!『ドットリカバリー』」

 

並行世界(あちら)ではすぐに使えなかった回復アイテムであるが、この世界(こちら)ではデジモン(パートナー)どうしではなく、当人同士での戦いである為にタイムラグは少なかった。

 

タクミは彼のカードに対して疑問を抱いた。

 

「なんでって顔だな・・・俺が作ったのは『イーター』のカードそのものだ。当然他の『イーター』の技も使うことができる・・・それじゃ、()()()()()()()()()()()()・・・・・」

 

「ッ!!!」

 

その会話自体も力を溜める時間稼ぎであったのだが、どうやら二人とも同じ考えに至っていたらしい。

 

 

「負けない・・・『ヘブンズ・ジャッジメント』」

 

「それじゃ、終わりだ・・・『インタラプトパンドラー』」

 

 

二人はために溜めた力を一気に解放しようとした。

 

 

しかし、()()()()()()()()()()

 

 

「「・・・は・・・?」」

 

 

力を解放しようとした途端、二人は元の姿に戻ってしまった。

 

当然、技は発動せず、溜めていた力も霧散し、残ったのはアホ面晒した二人の青年と二枚のカード。

 

 

「技の出力オーバーです。

タクミさんにアラタさん、わざわざ究極体クラスの『必殺技』を発動しないでください」

 

淡々と述べられてはいるものの、背後には般若がいると二人は判断した。

 

「その・・・勢いあまってつい」

 

アラタ失言である。

 

 

()()()()()()・・・()()・・・そんなことでで計測器壊さないでくれませんか・・・」

 

 

その言葉は般若の怒りを助長させ、怒気を通り越して殺気まで感じるほど、悠子(かのじょ)は怒っていた。

 

「「すみませんでした!!!」」

 

この殺気を受け、二人は遅れながらの謝罪・・・しかし、というよりも当然彼女の怒りは収まらなかった。

 

彼女はこの実験のために、ここ数日徹夜していた。

 

父親から任命されたこの仕事を一生懸命にやってはいたのだが、他世界(へいこうせかい)の記憶がない他の重鎮に対し、この実験の説明や対応に追われ、ようやく許可が降りた実験であったものの、計測器が壊れるという事件が発生・・・このことで再び、重鎮達への対応は確定してしまったのである。

 

 

「へえ・・・今さら謝っても遅いんですよ・・・二人は減給および、雑よ・・というよりも、今後の私の仕事を手伝ってもらいましょうか」

 

こきつかわれることを理解した二人。

 

 

「「・・・・・はい・・・」」

 

しかし、彼女の般若のような顔には反論するすべもなかった。

 

 

 

 

同時刻、暗い夜道を一人、慎二は歩いていた。

 

 

「・・・・・ようやく・・・ようやくだ」

 

 

なんどもそう言いながら歩いている。

 

周囲の人間が奇異の視線を送っているにもかかわらず・・・・・

 

普段の彼であるならば、このような不可思議な行動は決してとらない。しかし、それ以上に彼自身を高揚させることが起こった。

 

 

「ふひ・・・ふひひ・・・ふははははははははははははははは・・・・・・ようやく・・・ようやく俺はやったんだ!!!」

 

 

 

誰もいないところで叫んだ。

 

 

「桜でも衛宮でもない・・・俺が、()()()()()()()()()()!!!」

 

 

その声が、誰かに届かなくとも、彼はただ・・・大きな声で叫び続けたんだ。

 

 

 

 

(・・・・・そういうことか・・・・・)

 

 

あの騒動から、一週間ほど経った水曜日の夜。

 

タクミさん経由で、藤咲さんへと連絡、ライブの案内や実態についていろいろと頼んだり、慎二の尾行や他のファンの人から、ライブについての聞き込み調査を行なっていた。

 

・・・そして、今日はライブ前日。

 

かなりぎりぎりだったけど裏どりも取ることができた。

 

そのおかげでようやく慎二の行動の意味を理解した。

 

『昼まは、アヤうくバレそうに成っていた癖によ・・・』

 

意外と慎二は警戒心が強く、数回、俺の尾行がバレそうになったりと、並行世界では考えられないような進歩もこの世界では起きている。

 

 

『・・・デモよ、コレジョーちゃんに伝えラレナイダロ』

 

 

(ああ、そうだな)

 

オグドモンの言葉通り、間桐には伝えることができなさそうだ。

 

裏どりをした結果・・・やはりこれは間桐本人に行ってもらうしかないか・・・・

 

 

「少し、アプローチを変えてみるか・・・はあ」

 

 

手元の資料とともに()()()()()()()、今後の予定を確認しようと、尾行前に切った携帯の電源を入れると・・・・・

 

 

「は・・・・・どういうことだ?!」

 

百を超える・・・とまではいかないが、留守番電話のメッセージとメールだけでも相当な数の通知があり、それはそれで驚いたものの内容を見た瞬間、つい声を出してしまった。

 

「うちの風呂が壊れた!?・・・いや、そうじゃなくて、それでルヴィアさんちの人に厄介になって・・・って、えっ俺の風呂どうするのさ!?もう十二時半だよ!!!決行明日だよ!!!」

 

 

・・・・・その日は結局ホテルに泊まってしまった。

 

男一人で泊まるようなホテルではないところで・・・・・

 

もともと、バイト先でよく泊まっていたこともあって、ホテルで泊まったことはバレてはいないが、今まで泊まるときには連絡を入れていたので、そのぶんの説教を次の日の朝に受けるはめになるだろうとその時は思っていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・今日でよかったですよね」

 

今日は木曜日・・・と言っても夕方や夜ではない、昼まである。健全な少年少女であるならばしっかりと学校へと行っている時間である。しかし、彼女には学校を休んでも行かなければいけない理由があった。

 

 

(今朝の書き置き・・・先輩の文字で今日の十二時半に駅前まで来てくれって書いてあったけど、先輩はまだ来てないかな・・・)

 

現在十二時四十五分。

先輩に呼び出されたけど・・・先輩はまだ来ない。

 

 

すると・・・ひとりの女性が私の私の前に現れた。

 

 

「・・・君が、『間桐桜』ちゃんでいいのかな?」

 

 

 

 




次回は慎二編最後だと思いたい・・・・・そして、これから少しずつ戦闘描写が増えていくと思います。


誤字・脱字、感想等あればよろしくお願いします。

番外編に関するアンケート

  • 1.間桐雁夜に召喚されるZERO編
  • 2.岸波白野に召喚されるEXTRA編
  • 3.FGO二部を暴走して終わらせる編
  • 4.始まらないヘブンズフィール編

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