ボロボロの彼女たち・・・
無防備な状態であの雷撃をくらったみたいだね。
士郎からギリッと、何かの音が聞こえた。
「タクミさん、頼みます」
はあ、と少し溜息を俺はついた。
「いいよ、少しぐらいなら話していても問題ないよ」
手元にカードを出しながら背後の士郎を見る。
「あーあ、士郎だいぶ怒っちゃってるな」
「貴様等は何者だ・・・いや、もう一人のほうは知っている。正確には、貴様は何者だ」
俺たちの登場にフリーズしていた侵入者が声をかけてきた。
「さあね、ただのしがない探偵助手だよ」
平行世界で俺を救ったアルファモンのように、俺は静かにそう言った・・・っと、もうそろそろ作戦を開始しないとな。
「そこの彼女もらってっていいかい?」
「あ゛!?なんだ、テメェ!!!
この体は、全部ジュリアン様のものに決まってんだろうがッ!!!」
げっ・・・!?
なんか嫌な勘違いをされた。
「いやいや、そういう意味じゃないよ。
ただ、場所を移して戦わないかって言ったんだよ」
「場所を・・・移すだと?」
金髪のほうの彼女が眉をひそめた。
「あいにくと彼の間合いで戦うと彼の邪魔になりそうなんでね・・・君もそうなんだろ」
さっきの雷は、彼女の攻撃だ。
これは、金髪の彼女がここへ来るときに『
「私達は、そこの少女を連れて帰ることが目的だ。貴様等と戦う必要はない」
「残念だけど、それは無理だよ。
『マヨヒガ空間』のままでは君たちは元の世界に帰ることはできない。これは俺達が起こした現象だからね・・・俺や士郎を戦って倒せば、もしかしたら元に戻るんじゃないかな?」
これは嘘だ。
俺達を倒しても元の場所には戻れない。しかし、街の停電が復旧して、擬似龍脈のデジタルウェイブが途切れたら、マヨヒガ空間から強制的に元の世界へと戻ってしまう。
タイムリミットがあるわけだけど、
「では、なぜベアトリクスを・・・?」
「簡単なことだよ。君の相手はあっちだからさ。
それに・・・・・」
彼女への問いに、親指で後ろを指す。
そこには倒れている彼女達を介抱している士郎の姿があった。
そして俺は言葉を付け足す。
「
「・・・・・なんだとッ!!!」
あまりにもお粗末・・・としか言いようのない雷撃。
滑稽すぎて、
「待て」
キレているところも、金髪の彼女によって抑えられている時点で、ふざけているようにしか思えない。
「さっさと、連れてけ!!
テメェを先にぶちのめしてやるッ!!!」
「じゃあ、行こうか」
士郎・・・もう充分時間を稼いだよね。
タクミさんが会話をしている時、俺は倒れている五人へと近づいた。
「・・・お兄ちゃん?」
「イリヤ、よく頑張ったな。
しばらくの間、眠ってていいぞ」
『
『
俺の足の下からベルフェモンの鎖を取り出した。
「ゆっくりお休み」
ベルフェモンの鎖で包む・・・そうすると静かに寝息を立て始めた。
「衛宮くんッ!?」
「シェロ!?」
二人が気絶から戻ってきたらしい。
「やあ、遠坂にルヴィアさん・・・夏休み以来か。
とりあえずこの三人を見ていてくれないかな?」
そうして、寝ているイリヤと気絶している美遊とクロエを渡してあいつへと視線を向ける。
「シェロ、危険ですわ!?
あの女は、ギルガメッシュという・・・ああ、もうっ、どう説明すればいいんですの!!!」
ルヴィアさんが相手がどれほど危険な相手か教えようとするも、魔術師ではない一般人の俺に説明してもいいものか悩んでいた。
「大丈夫だ・・・だいたい状況はわかっているさ」
「そう・・・衛宮くん、貴方は魔術側の人間なのね」
遠坂は冷静に考えているが、少し違うな。
「少し違うな・・・俺はどちらかといえば、科学側の人間だと思うぞ」
「・・・なッ!?いったい、どういうことよ!!!」
平静を装っていた彼女が慌てているので、少しだが笑いがこみ上げてくる。
「とりあえずは今は俺に任せてくれないか?」
遠坂はなにかを察してくれた。
ルヴィアさんはまだ、思考が安定していない様子。
「衛宮くん・・・とりあえずは預かっておくけど、あとで絶対に話を聞かせてもらうからね」
「・・・ああ」
「・・・お兄ちゃん」
意識を少し回復美遊がそう言った。
俺を『あの』衛宮士郎と重ねているのか、俺の服を離そうとしない。
「俺は君のお兄ちゃんじゃないし、代わりにもなれない・・・だけど、安心して眠っていてくれ。その頃には終わっているからさ」
そう言って俺は彼女の手を服から話して、敵のほうへと歩いて行った。
「ありがとう、待っていてくれて」
「貴様を倒さなければ、彼女を連れて帰ることができないからな・・・一つ、聞きたいことがある」
「貴様等はなぜ邪魔立てをする?
彼女と貴様は
・・・ああ、それは俺にしかわからないことだったな・・・と、思い出した。
「
この解答であっているだろう。
「恩人・・・だと!!!
貴様はあの男には出会ったことすらなかったはずだ。それなのになぜ恩人だと言える!?」
「出会ったことはない・・・だけど、知ることができた。
そのおかげで俺は、
お前にはわからないだろうが、彼は俺に『
「『出会ったことはない』・・・だと、わからない!・・・なぜ、そんなことが言える!!!」
・・・滑稽だな・・・ここまで、不毛な会話を続けるとは。俺しかわからないことを言ったところで、無駄だろうな・・・・・
「結局、誰かのキオクなんて本当に知ることはできないさ」
関わってきた人々と、経験したこと。
それをどう感じるかは人それぞれ・・・本当に知ることなんてできやしない。どう感じるかは、当人の気持ち次第だが。
「あいにくと、こちらも時間がないんでね。
このまま、不毛な会話が続くというのならば、戦わせてもらおう」
「ほう・・・ならば、貴様と戦い、彼女を連れて行こう。そうした方が、懸念もなくこのまま終わることができる!!!」
そして、俺達の戦いが始まった。
「・・・ここら辺でいいかな」
山の中腹・・・あの二人の戦火が届かない場所まで来ることができた。
「へえ、じゃあ見せてくれよ、俺のテメェの雷をよ!!!」
彼女はすでに臨戦態勢のようだ。
俺はポケットにしまってある金のカードを取り出した。
「・・・なんだ、そのカードは!?」
「このカードは、君たちみたいな『劣化品』とは違う、完全に『複製』されたカードだよ・・・
その言葉に再びキレた様子の彼女。
・・・俺は助手とはいえ探偵だ。
他人の力を、まさに自分の力のように使う。
そんなものは見ているだけで不愉快だ。
「『
そして、この世界を侵食しよとしている。
だから、倒そう・・・
「『
この姿で。
「へえ・・・なかなか、可愛らしい姿してるじゃねえの」
姿としては顔の部分が空いている着ぐるみだ。
「そのカード・・・
しかし、
「盗人風情が調子にのるなよ・・・
「なんだとッ!!!」
そう言ったら、案の定キレた様子の敵さん。
だけど、
「あれが本気だと思ったか・・・ジュリアン様から許可はもらってないが、ここは並行世界だしな・・・躊躇なく『二雷目』をブッパさせてもらうぜ」
ハンマーに雷が集まっていく。
さっきより何倍もの威力があった。
・・・
「見せてやるよ、本物の神の雷撃ってやつをよ!!!」
「吹き狂え、元素の彼方まで、
『
ハンマーを振り下ろしたとき、雷の柱が俺に迫ってきた。
ミョルニル・・・ということは、北欧神話の神の雷撃だろう。
・・・・・
「力を貸してくれ、ケルビモン」
俺達の旅路でこの程度の敵に阻まれたことはない。
ならば、答えてくれるはずだ。
お前の本当の力を!!!
「『ヘブンズ・ジャッジメント』」
一瞬だった。
「・・・ンなッ!?」
だが、天から降る雷は止まらない。
屠った雷撃をものともせず、一瞬で主人の敵を捕捉し、敵を命を根こそぎ奪うために、地面を這う。
自身の自慢の攻撃が弾き飛ばされて、呆然と動くことができなかった彼女は、天雷によって焼き尽くされた。
悲鳴すら響かない轟音が、地面を貫いた。
彼女の声は届くまもなく、雷によって吸い尽くされたのだ。
雷が終わると、ひとりの少女が倒れていたのが見えた。
「そういえば、カードは意識を失えば外れるんだったかな」
そして、俺は戦いの場所を目指した。
「・・・士郎は大丈夫だといいけれど」
目が覚めたとき、少しだけ前のことを思い出した。
たしか雷を受けた後、お兄ちゃんがわたしたちを助けてくれて・・・・・
「お兄ちゃん!!!」
「美遊ッ、起きましたの!?」
ルヴィアさんが目の前にいる。
「お兄ちゃんは、お兄ちゃんはどうなったの!?」
「少し落ち着きなさい。衛宮くんは貴女のお兄ちゃんじゃないわよ」
そう言っている、凛さんもイリヤの治療に専念している。
「・・・士郎さん?」
そうだ、ここはわたしの世界じゃない。
じゃあ、わたしを守ってくれた士郎さんはどうなったの!?
「ルヴィアさん・・・士郎さんはどうなったんですか?」
「・・・それが・・・」
ルヴィアさんは苦しそうに唸った。
そして、ルヴィアさんが向いている方を見ると、片膝をついて傷だらけの士郎さんがいた。
「・・・無様だな」
無傷の彼女は俺を侮蔑した目で俺を見た。
「貴様の投影はあの世界の衛宮士郎のものより・・・いや、我が宝具よりも上のランクの物を投影できていた」
それはそうだ、七つの並行世界の衛宮士郎の投影の経験が俺の中にある上に、俺はあの世界を生き延びたのだ。それに、『罪の剣』によるバックアップもあるため、あの世界の大体の武器は投影できる。
「・・・しかし」
「貴様はあちらの衛宮士郎とは違い、
なんて、情けないんだろう。
そんなときだった。
「これ以上、士郎さんを傷つけないで!!!」
美遊が遠坂たちのほうから走って、俺のほうへと駆け寄ってきた。
「わたしが戻れば、士郎さんを傷つけないんでしょ」
なんだよ、また俺は守られるのか?
「そうだ、こちらへとくれば、そこの男の命は助けてやろう」
こんな奴に見逃されるのか?
こんな雑魚相手に俺は淘汰されるのか?
許せるわけがない!!!
「・・・だったら!!!」
「大丈夫だよ、美遊」
泣きそうな目で俺を見た美遊。
そんな顔をしないでくれよ、
「ほう、まだ立ち上がる力があるのか・・・」
「あいにくと、そこら辺は『師匠』に鍛え上げられたのでね」
・・・思い出してくる
楽しかった思い出。
悲しかった思い出。
苦しかった思い出。
楽しかった思い出。
・・・・・そして最後の、
『
本当に辛かった思い出。
なんで思い出せなかったのだろう。
俺は今まで『
「・・・・・貴様は!?」
俺は彼女を無視して美遊の頭を撫でた。
「・・・士郎さん」
できる限り、安心できる言葉を『選択』しよう。
「大丈夫、
美遊の頭から手を離して、俺は『アイツ』に声をかける。
『決まッたか』
「ああ、俺が間違っていた」
嫌いだ、嫌いだと言いながら、こんなふうに生きているのが、楽しかったんだろう。
・・・
『「
手をかざそう。
あの夜空に届くように・・・・・
『「
手をかざそう。
あの日々に戻れるようにと・・・・・
『「
手をかざそう。
あの場所に戻れるようにと・・・・・
『「
『「
そうだ、覚えている。
『
抑止よ、
体が作り変わる。
「
・・・ということで、士郎君覚醒回。
次回・・・決着。
誤字・脱字、感想等あればよろしくお願いします。
番外編に関するアンケート
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1.間桐雁夜に召喚されるZERO編
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2.岸波白野に召喚されるEXTRA編
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3.FGO二部を暴走して終わらせる編
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4.始まらないヘブンズフィール編