Fate/ fallen brade   作:阿後回

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第二話 『依頼』と『邂逅』

 

『ほほう、あやつら『カレイドステッキ』に裏切られるとはのう?』

 

現在朝の五時。イギリスの時間帯では夜の九時。

昨日、仕事中で出られなかった依頼人『キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』に連絡を入れていた。

 

あの後、家に帰るとセラがの怒髪天の姿を発見した。どうやら壁に突然凹みができており、『犯人を捕まえてひき肉にしてグラム 98円出荷してやる』等の愚痴を聞かされた。

『ゼルレッチの爺さん』に例の報告(カレイドステッキ)をする前に、壁の凹みを見るとどうも最近見たような形(・・・・・・・・)の大きな凹みを見つけた。

嫌な予感がした為、すぐに家を調べたところイリヤの部屋に『遠坂凛』がいることがわかり・・・・・盗み聞きしたところイリヤもカレイドステッキと契約していたことが判明した。

 

その後、つい『なんでさ』と言ってしまい、オグドモンに笑われてしまった。

 

『クックック、まああやつらの性格では仕方なかろう』

 

「それは・・・まあ仕方ないか」

 

どう考えてもあの二人が悪い

・・・が、あの二人を一緒の任務を下したこの爺さんも悪いとは思う。

 

『それで・・・お主が考えていた『最悪の事態』が発生したわけじゃが、一体どうするつもりじゃ?』

 

そう『最悪の事態』。

この世界に『衛宮美遊』という並行世界の『異物(いもうと)』が侵入したこと。

世界の次元を超えて並行世界に移動することは、ほぼ不可能(・・・・・)である。。それを成し遂げるということは、異世界(・・・)との壁に穴を開ける行為といっていい。この世界の抑止力(・・・)はそこまであまいものではない。

この爺さんの『第二魔法』も、『並行世界(・・・・)』の『観測』や『移動』はできるが、『権限』を使い移動するのであって、無理に並行世界への壁をこじ開ける(・・・・・・・)ようなことはしない。

 

だから、『別世界』には行くことができなかった。

 

だが、今回は違う。

壁をこじ開けることによって、かつてどこかの『並行世界』で起きた、『EDEN』の二の舞になりかねない。

たとえ、『運命』だろうと、『奇跡』だろうと、又聞きで聞くだけでも悲惨であった『人間』と『デジモン』との戦いのようなことをを繰り返してしまう可能性もあるのだ。

 

「あんたはこの世界の異常について調べてくれ。俺の方は、『依頼』通り『危険だと判断した場合、カード回収の介入』および、『カードの製作方法とその出どころの調査』を行う」

 

『ほう、それではお主の『イリヤスフィール(いもうと)』を守れないのではないか?』

 

「いいのさ・・・俺みたいな『傍観者』の側にいれば危険が伴う。きっといつか『(エミヤ)』では守れなくなるときがくる。そのときのために『戦闘』を経験していくのは仕方ないことだ。

 

・・・・・それに、無力であれば(ちからがなければ)友人さえ助けられない(すくえない)からな」

 

決して『衛宮士郎(せいぎのみかた)』が言わない言葉。今の(・・)()』だからこそ言える言葉だ。

俺は、『自身の罪』を戒めるようにに言った。

 

『カッカッカ!!!『経験者』だからこそ言えることもあるのじゃな』

 

「まあ、そういうことだ。

並行世界のことを知っているなら、『イリヤ達の中にあるもの』ぐらいわかってんだろ」

 

『聖杯か?』

 

「そう『聖杯』だ。

今は、切嗣(オヤジ)達がもう二度と『聖杯戦争』を起こさないように奮闘しているが、いつかは切嗣達では守れなくなるときがくるし、なによりそのときに俺がここにいる(・・・・・・・)とは限らないからな」

 

第四次聖杯戦争は『未然に』終わったらしいが、正確な情報が足らずわからなかった。聖杯は今もイリヤの中に存在していることは確かである。

 

『それを本当にワシみたいな捻くれ者に頼んでも良いものなのか?』

 

きっとその顔には薄ら笑いを浮かべているだろう。

だが、俺は確信して言った。

 

「大丈夫、これはあんたの『管理』の一環だ

俺がわざわざ出しゃばる案件になったら、それなりな連絡をしてくるだろ」

 

『・・・・・カッカッカ、それもそうじゃのう。

『この世界で起きた異常について』はこちらで調査をしよう。それじゃあ、探偵事務所(・・・・・)の面々によろしくのう』

 

「よろしく・・・ねえ?」

 

電話を切られ、少し憂鬱な気分に戻る。

美遊(かのじょ)が来てしまった以上、『最終段階』に入っている『工事』のペースを上げなければならない。

 

「はあ・・・・・忙しくなるな」

 

 

 

「クックック、三年か・・・・・あやつも変わったのう」

 

最初に会ったのは確か・・・・・

 

 

 

 

「なんじゃ、この小僧は?」

 

イギリスのとある浜辺に打ち上げられたどこかで見たことあるような顔の日本人の少年。先日、ワシは管理していた世界の異変(・・・・・・・・・・・)に気づき、この世界へとやってきた。

現代において、浜辺に打ち上げられていること自体に驚きだが、それ以上にこの少年への既視感(・・・)根源的な恐怖(・・・・・・)に興味を持った。

 

近くのホテルに連れて行き看病をしていたのだが、少年はワシの顔を見ると一言、決して見逃せない言葉を言った。

 

「元の世界に・・・戻ってきたのか?

・・・・・いや、元の世界(・・・・)かなんて(・・・・)わからないな(・・・・・・)

 

似たような『並行世界』なんてたくさんあるからな」

 

今、この少年は『並行世界』と確かにそう言った。まるで、ここに似た世界を知っているような口ぶり。

 

「あんた『キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』だろ」

 

「貴様、何者だ?」

 

年不相応にどこか諦めたような笑みを浮かべる少年。その行為に、ワシはこの少年への警戒度を引き上げる。

 

「『俺は何者だ?』か・・・・・一体なにになれたんだろうな、俺は。結局俺はただの『傍観者』でしかないはずなのにな」

 

「『傍観者』だと?」

 

少年はようやくこちらを向いた。

 

「そう警戒しないでくれないか。『俺が何者か』という質問どころか、俺がここにいる経緯をすべて話しますよ。

 

・・・・・もう話したっていい気分なんだ」

 

そうすると少年は魔術回路を起動し、一言。

 

「『投影開始(トレース・オン)』」

 

たった一言でその少年の正体を理解した。

少年は机の上に、対となる二振りの『夫婦剣(・・・)』を置いた。

 

「まさか・・・お主は・・・・・?」

 

観測した世界よりもやや幼い(・・・・)少年は、自身の魔術に対し苦笑して、自身の名を告げた。

 

 

 

「俺の名前は『衛宮士郎』。

『人形』から『傍観者』になれただけの、ただの『悪人』だ」

 

 

 

 




次回はちょっとした説明会と、暮海探偵事務所のメンバーの登場です。

誤字脱字等あればよろしくお願いします。

番外編に関するアンケート

  • 1.間桐雁夜に召喚されるZERO編
  • 2.岸波白野に召喚されるEXTRA編
  • 3.FGO二部を暴走して終わらせる編
  • 4.始まらないヘブンズフィール編
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