拙作ですが喜んで頂ければ幸いです。
深淵とは何だろうか。
遙か昔の、最初の火の時代より現われた謎の存在。
何かの形を取っているものや、液体のように何の形も保っていないものと二つある。と、発見した者がいた。
だが、それは置いておこう。
深淵は人を、地形を、何もかもを蝕んだ。
最初の火の頃には狼騎士と呼ばれる騎士が歩き、それを狩っていたらしい。
だが、その騎士も遂には深淵に呑まれ、発狂したとも伝えられている。
深淵とは何か。
それは人間性の暴走した物だと言った者がいた。それは世界の意思だと言った者がいた。それは人の持つ暗い感情だと言った者がいた。
それは、愛だと言った者がいた。
人を殺し、建物を殺し、全てを犯す存在を「愛」だと。
その話をいつ、どこで、どんな状況で聞いたのかは忘れたが、俺はそれを聞いた時に納得しつつ嘲笑した。
数多の英雄が火を継ぐ為に動き出したのに、深淵に呑まれて全てが台無しになった時代の方が多いのだ。
俺の記憶では、火継ぎに成功したのはロードラン・ドラングレイグのただ二つのみ。その他では火が消えた事があったり、火継ぎに辿り着き薪になった時点で呑まれた者もいたとか。
ならば、俺は考えた。「深淵が湧かなければ俺達は幸せな時代を過ごせたのだろうか」と。
答えは未だに分からない。
ならば「深淵はどうやって湧くのだろうか」と、考えた者がいた。
自然災害、異世界からの召喚、誰かが愚かな願いを叶えた時、火継ぎの鐘が鳴る時。
この答えも、分からなかった。
ただ、ロスリックの時代。俺達はファランの不死隊という組織の中である発見をした。
時間軸は動いては止まり、跳ねて曲がって、いつかは時間軸同士がくっつき合う。その時に深淵が発生するのだと。
時間軸同士がくっつき合う時はただ一つ。不死の使命を達成する際に困難が発生した時に「白いサインろう石」という物を使い、その困難を突破するのだと。
となれば、さしずめ闇霊は深淵に呑まれた者か?
まぁ、どうでも良い事だ。
ファランの不死隊。その頭部の防具は不吉の兆候。必要とあれば一国ですら堕とす化け物の軍団。
呼び方は様々あるが、俺達にとってはどうでもいい事だ。
不死には使命があるように、俺達には深淵を狩るという使命がある。
生者も死者も、同じ価値でしか無い。邪魔ならば殺す。ただそれだけだった。
薪の王になってからは深淵の監視者とも呼ばれるようになったか。遙か昔すぎて記憶には無い。
数百年もの長い時間を墓の中で考えていた。時間があるから考える事が止まらない。そもそも俺は考える事は苦手ではあるが。
ふと、音が聞こえた
ゴーン....ゴーン....
何かを呼ぶように。
あぁ、この鐘の音は
火継ぎの鐘か。
そうして、俺達ファランの不死隊は目覚めた。
ファランの不死隊に所属する者は全て不死人である。
切ろうが刺されようが潰されようが焼かれようが、俺達は生き返る。
ただ、不死と聞くと死なない存在を思い浮かべる者もいるようだ。
俺達は死なない訳ではない。ただ何度も死ぬ事が出来るだけでしかない。
ただ、その不死の特性を生かした訓練が出来る。
お互いに刃引きされていない剣を持ち、防具をつけ、寸止めも無しに切る事が出来る。
魔術師は魔法を撃ち、呪術師は炎を使い、聖職者は奇跡を放つ。
今回の火継ぎを行う「灰」が来るまでは俺達も訓練なり、深淵を狩るなりしよう。と思っていた。
ある日突然、深淵に呑まれるまでは。
これは、そんな俺達の。呪われた話だ。
初めましての方は初めまして。
久しぶりの方はお久しぶりです。
無様にも逃げ帰ってきました。
感想や注意点、直したら良い点などありましたら是非ともご指摘ご鞭撻よろしくお願い致します。
また、再掲した事から話を大きく変えました。