ってやりとりをしたい
ドラムのささかわ
ずっと前に見てたやつだけど、俺にも夢があった。小学生、中学一年の頃まで見ていたかも。
「小林、ジャッカマンって知ってる?」
あ、つい口に出ちゃった。女子が知ってるはずないじゃん。ましてや小林なんて、総理大臣の名前すら知らなそうだもん。
「2004年に放送された戦隊ヒーローシリーズで、ヒーローがネコ科の動物をモチーフにして変身するやつ? ラストは主人公が倒した敵怪人の毛皮を剥いで、部屋に飾るところが話題になったね。わたしはトリニク怪人の回が一番すきだなぁ〜。毛皮が鶏皮だから腐っちゃって、主人公がなんとも言えない表情になるところが良かった」
おまえ知ってんのかよ。詳しすぎるでしょ。軽く引くよ。あとドヤ顔すんのやめろ
「やめてー! オタクきもいよ!」
「あ? 殺すどワレ。おどれが振ってきた話だろ」
シンプルに口が悪い小林。無表情の棒読みで言われても怖くないけど
「あ、俺はチンチラ怪人の回が好きだったかな。手触りが良すぎて、主人公が半年間ずっと肌身離さず持ってるやつ。片時も離したくなくて洗濯もしないから、油で真っ黒になって、匂いもやばくて、周りの隊員にドン引きされてたのが最高だった」
「わかるよー、ささかわちゃん。」
「基本キモい主人公だけどさ、戦う時にはかっこいいんだよねー」
「ささかわちゃんはそんな風になりたかったんだね?」
「え?」
……………
ボーカルの福岡
……………
昼休み終わり、部室に行くと姫川さんがいた。腕を前に投げ出して、机に突っ伏して寝ている。部室の安っぽい木目調の机の上で、姫川さんの長くて黒い髪が机の上で躍動感のある模様を形づくっている。
福岡誠は寝ている姫川春子の隣に座り、彼女の頭を人差し指で突っつく。
「姫川ちゃん、三限始まったよー」
起こさないように、優しく呟く。
姫川はこの時間ロシア語だったはず。きっと弁当を食べたらお腹がいっぱいになって眠たくなってしまったに違いない。いつも3限の時間になれば狭い部室いっぱいに空きコマを抱えた暇人達が寄ってくる筈が、どういう巡り合わせか、今は姫川さんしかいない。
姫川さんは部室に誰もおらず、おしゃべりの相手もいないのでそのまま寝てしまったといったところか。
ロシア語を含めた第二外国語は姫川がいる文学部の必修科目で、初級と中級をそれぞれ一年間ずつ取得しなければならない。姫川さんはこのあいだ「わたしもう4回休んじゃったんだよ〜! ワイルドだろー!」と言っていたし、この授業に行かなければ単位を落とすはずだ。
「姫様ー? 早くも落単ですねぇ、お気持ちは?」
起こさないように、小声で問いかける。
来週もここで姫川と会うために
姫川さんはわりと性格悪いです
笹川との映画の約束を集合3時間前になってドタキャンしたことがあります