Aqoursと失われた記憶   作:ねぎぼうし

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この作品に読者がいるのが自分の中での最大のミステリー。
ミステリー作家の斜めに構えるです。
誰にも見てもらえないでいいから書き溜めておくのももったいないし投稿しようと思っていたらいつの間にか読者がいました。
ありがたやありがたや。
さて、本編行きましょーか。


【第十九話】Aqoursと動き始めた勘違い

「ふぅーーー」

 

目を瞑り、大きく息を吐いて心を落ち着かせる。

ゆっくりと目を開けてるとそこは自室。

正座で黙って熟考する。

すると後ろから声が。

 

「お兄ちゃん?なにやってるんですか?」

「ん?ルビィか。いや……」

 

そこで言葉をにごす。

ルビィも不思議に思ったのか首をかしげる。

 

「なぁルビィ、もしおまえがダイヤさんから大事な秘密を教えてもらったとする」

「う、うん」

「それをダイヤさんから『誰にも知られないように何かに記録しろ』なんて言われたらどうする?」

 

よくわからない問いにルビィは少々困惑するがおずおず答えだす。

 

「例えば……どこかに隠すとか」

「でも偶然見つかったら?」

「それは……重要な所だけ暗号にするとか」

「重要な所?」

「お姉ちゃんの名前とか……ルビィが書いたこととか……」

 

ふむ……。

……で、だったら……

 

「これがこう?いや、そうじゃない。」

「ちょ、ちょっとお兄ちゃん?」

 

一人でブツブツ言う僕に恐怖を覚えたらしい。

 

「悪い悪い。あ、そこの上着に僕の携帯あるから取ってくれないか?」

 

遠くの上着をさすと「わかりました!」といいながら小動物のように駆けだして言った。

なにあれ超可愛い。

っと、他人から見たらシスコンだのなんだの言われそうだ。

 

「どうぞ!」

「ん。さんきゅ」

 

携帯を受け取ってラインを開く。

グループ名は『Aqours』。

 

『あー、みんないる?』

 

数秒後に既読八がつく。

 

『あれ?Aqoursで九人、蒼輝くんとレオくんで十一人だよね?二人足りなくない?』

 

千歌が真っ先に返信。

これに僕が補足。

 

『いや、ルビィは僕の携帯で一緒に見てるからあと一人だ。まぁ多分言わずともがな……』

 

リアルのルビィを見ると苦笑している。

だって、ねぇ?

 

『…………点呼』

『ヨハネ降臨!』

『千歌います!』

『梨子います』

『曜います!』

『果南いるよ』

『鞠莉イマース!』

『レオいるぞ』

 

 

 

 

 

『はなまるいるずら』

 

花丸返信おっそ!しかも自分の名前変換できてないし!

いや、それよりもだ。

 

『あれ?ダイヤちゃんは?』

 

そう、これだ。

あと一名は黒髪の金剛石さん。

理由は、

 

『あ、そういえば……』

 

あ、善子からの返信。何気にタイピング速いな。で、何々?

 

『ダイヤちゃんってガラケーじゃ……』

 

はい気付いたー!

そうなんだよ!実はダイヤさんの文明レベルって花丸より下だったんだよね!

 

「……しゃーない。ルビィ、行ってきて」

「はい!」

 

テテテー!と扉に向かって小走りする。

か わ い い。

 

ティロン♪

 

ん?通知音?まだ会話続いてたのか。

視線をルビィから画面にスライドさせ……。

 

『……シスコン』

『ちょっと待って善子おまえエスパー!?』

 

僕なにも情報与えてないよね!?

なんで画面越しにシスコン宣言できるの!?

 

『あんたならそうすると思ったからよ。当たってた?』

『ええ当たってましたよ。シスコン以外はねッ!』

『早く要件を言いなさいよ』

 

まさかのガン無視!?

 

『あー、まずはその……ごめん』

『どうしたのよ急に?』

『あの時冷静になれなくてAqoursを疑った。だから、ごめん』

 

よくよく考えればあり得ないのに。

 

『過ぎたことはいいよ。なんでそう思ったのかは聞きたいけどね』

 

果南さんから説明要請。

いわずともする気だったが。

 

『じゃあ打ち込むと長いんで直接会いましょう』

『どこで?バスあるの?』

『大丈夫ですよ。僕らが集まるのは……』

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「ゼェ……ゼェ……」

 

扉を今にも死にそうな顔つきで開けるみかん色の髪の女の子。

さてさて、ここがどこかと言いますとですね、

 

「おー!結構早かったな」

「はぁ、はぁ、お、鬼ー!」

 

浦の星の屋上でございます。

切り出してみたが「バスない!」と言われたのでじゃあ走ってこい、なんていったらマジで来た。

人間やればなんでもできるんだね。

 

「鬼だぁ?なんとでも言え」

「悪魔!人でなし!」

「はいはい」

「…………紅八朔!日南1号!」

「絶妙に分からないみかんの品種で攻めてくるのやめてくれる?」

 

紅八朔とか誰がしってんだよ。

 

「蒼輝くんがっ…!紅八朔っ……!!ふふっ……!」

「え、ちょっと待って曜さんウケてんの?」

 

分かったの?んで相当面白い弄られ方してんの僕?

 

「ま、まぁいいや。全員いるな?」

「うん。千歌ちゃんが以外は車で来たから」

「ええ!?だったら曜ちゃん乗せてよ!」

「ごめーん!なんかスゴく頑張って走ってたから……」

「そんな~……」

 

また話題がそれた。

 

「さてと、まずは現状確認だな。曜からどこまできいた?」

「それが……なにも」

「え、話してねぇの!?」

 

曜を見ると苦笑いし、

 

「一応蒼輝くんが私たちといたくないって話したけど具体的には……」

「な、なんで?」

「深く喋りすぎると……千歌ちゃんじゃない?」

「ああ……」

 

「千歌ちゃんじゃない?」これで通じるんだよなぁ……

つまり千歌なら「なにそれ!」とか言って無理矢理きそうだ。

まぁそれでも千歌ならなんとかしそうだが。

 

「あー、んじゃこれは?」

「book?」

「イエースッ!地下一階で曜が見つけた。内容はなんとー?」

 

 

パラッ

 

「人為的記憶喪失……ってええ!?」

「しかも著・黒澤玉髄って……」

「なんか同じ名字聞いたことあるよなぁ?」

 

メンバーの視線が2人に向く。

 

「ダイヤちゃん……ルビィちゃん……!」

「わー!ごめんごめん!言い方悪かったから落ち着け梨子!そもそも怪しすぎるだろこの本!」

「怪しい?」

「冷静に考えろ!そもそもこんな本書くなら……」

 

 

 

「名乗るかな?」

 

思わず首がちぎれそうなほどの速度で振り向く。

だってその声は……。

 

「ち、千歌?どした?熱でもあるのか?」

「ないよ!どうしたの急に!?」

「いやだってあの千歌が的を得たことをいうから!」

「私が言っちゃいけないの!?」

 

僕の中での衝撃度は小学生がエントロピー語りだしたときぐらいでかい。

よくわからない例えだがまぁとにかくすごいショックだということだ。

やべぇ、千歌のアホキャラ消えたじゃん。

……いや!まだ推理してない可能性がある!

 

「千歌、そっから説明してみ?」

 

千歌は一瞬唖然とするがすぐに気を取り直して話し出す。

 

「えっと……ルビィちゃん」

「はい?」

「もしルビィちゃんがダイヤちゃんから大事な秘密を教えてもらったとするよね?」

「う、うん」

 

なにこれすっげぇデジャビュ。

 

「それをダイヤちゃんから『誰にも知られないように何かに記録しろ』って言われたらどうする?」

 

なにこれ完璧にデジャビュ。

 

「えっと……」

 

ルビィが顔を引きつらせながらこっちを見てくる。

ああうん。答えてあげて、でないと多分進まないから。

 

「例えば……どこかに隠すとか」

「でも偶然見つかったら?」

「それは……重要な所だけ暗号にするとか」

「重要な所?」

「お姉ちゃんの名前とか……ルビィが書いたこととか……」

 

うわ返答まで完璧一致かよ。

もしかすると記憶喪失前は千歌と兄妹だった可能性が……ないか。

 

「ルビィちゃんの言う通り普通なら名前を誤魔化すはず。でもここでは?」

「黒澤玉髄、まんまだな」

 

千歌の話に割り込み話し手を変わる。

推理当番は僕の役目だ、誰にも取らせない。

 

「てなわけで多分この名前はウソ。ミスリードだな」

 

全員がほっとする。

オイオイ、黒澤の汚名は晴れたが僕の手がかりが一つ消えたことも忘れんな。

 

「さぁ本題にはいろう!」

「今のが本題じゃ……」

「いや違う。本命はコレッ!」

 

懐からバッ!とでも鳴りそうな勢いで取り出した物は、

 

「封筒?」

「うみさんにもらった♪」

「中身は?」

「みかいふー♪さてさて、鬼が出るか蛇が出るか……」

「どっち転んでもダメじゃん……。っと、これは……」

 

視線を落とし封筒を開け、中身を取り出すと……

 

「写真かぁ……千歌どう思うよ?」

「左端が破れてるの気になるね?」

「だな。みんなはどう思う?」

 

………………。

 

「……?みんな?」

 

そういえば全員さっきから黙りこくっている。

封筒見せたあたりから僕千歌としか話してないじゃん。

 

「なぁ、どう思うって……」

 

返事がないのでみんなを見ると……。

 

「……何やってんの、そんな離れて」

「いや~蒼輝と千歌がズイブンloveloveだったから~」

「「はぁ!?」」

「息ピッタシ♪相性もso good♪」

「殴りますよ!?」

「よーちゃんもこっち来て!梨子ちゃんも!」

「そんなこと言って~ホントは来てほしくないくせに~」

「私たちは千歌ちゃんの彼氏が蒼輝くんだったとしても友達だから」

「違うから!そんなんじゃないから!なんでこんな紅八朔と!」

「誰が紅八朔だ!たとえはよくわからんが馬鹿にされてんのはわかるぞ!」

「紅っ……八朔っ……!」

「曜そこでひとりウケないッ!」

「スクールアイドルが恋愛というのはどうなのかしら?」

「じゃぁ調べてみる?スクールアイドル、恋愛っと」

「ダイヤさん真に受けないッ!果南さん調べないッ!」

「あら?オッケーらしいわよよかったわね」

「なら善子じゃねぇわ!ちげぇっつてんだろ!」

「いまのは『良し』と『善子』をかけて……」

「花丸は解説すんな!恥ずかしいだろ!」

 

やばい、封筒どころじゃない!

 

「ルビィ、なんとかして静かにさせて!」

「えっと、えっと……」

 

もうなんでもいい!この状態を止めるんだルビィ!

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんの彼女さんはお姉ちゃんだもん!!」

 

 

 

 

 

 

───時が止まった。

いや、正確に言おう。場が凍った。

時間にして1秒あったかなかったか。

だがそれは確実に僕を殺すための時間であったことは間違いない。

全員が意識を戻す前、僕が最も早く意識が戻ったのだが結局無駄だった。

なぜならどれだけ早くても

 

「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

動揺が襲ってくるからだ。

それから遅れてみんながたたみかける。

 

「蒼輝くん……ほんと?」

「まぁひとつ屋根の下だし……」

「ルビィちゃんが襲われないようみんなで守らないと……」

 

ヤバい!真に受けてる!

ダイヤさん赤面しないで誤解が進むでしょ!

ああもう取りかえしがつかないことに……

 

 

 

「ぜえええええええええええいんッ!黙れッッッ!」

 

叫んだのは僕ではない。

では誰か?

それは唯一最初から無言だった人。

 

「推理は聞くがそれ関係ないだろ!さっきからごちゃごちゃごちゃごちゃ!」

 

レオがキレた!

 

「いいか!一つ言うぞ!!」

 

大きく息を吸い、

 

「本ぐらい静かに読ませろオラッ!」

「「「「「「「「「「は、はい……」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

結論:レオを怒らせないようにしましょう 読書中はお静かに

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