……はい、投稿遅れてスミマセンデシタ。
「……なぁ、
「ああ、あいつならさっき
「分かった、サンキュ!」
そう言ってカフェテリアを出ていく
「満の奴、また啓太郎の答え書き写す気かな?毎度毎度懲りないよね」
「いつもの事だろ」
「……それもそうか」
SAO帰還者学校が設けられてから早一週間、嘗て共に戦った仲間の、その本来の姿にも既に慣れていた。ここでは戦士でも商人でもない、只の学生。あの頃からでは想像もつかなかった生活にこうして馴染めているのだから、人間というモノは恐ろしい。
「全く、少しは自分でやれば良いのに……」
「ホントにね」
背後からした声に、大地は思わず振り返った。先程まで不在だった筈の、
「あれ?二人ともいつからここに?」
「僕は最初からここにいたけど……」
「蘭丸……遂に黒子キャラを受け入れたか」
「違うよ!?」
ずっと真後ろにいるのに、全く気付かれない程の影の薄さ。SAOに入る前はそうでもなかったらしいのだが、如何せん周りが濃すぎたか、或いは視線誘導の副産物か。いずれにせよ、最早蘭丸は黒子キャラという運命からは逃れられないだろう。
「って事は、蘭丸の所に行ったってのは……」
「そ、フェイク。アイツが出てったタイミング見計らって、ちょっと遠回りして戻って来たのさ」
ゼリー飲料のパックを咥えながら、啓太郎はニヤリと嗤う。もしやその展開すら予想していて、昼食を手軽なゼリー飲料に抑えたのだろうか?
「うっわーヤラシイ」
「だろうと思った」
「頭が回る、と言って欲しいな」
その時、再びカフェテリアの扉が開く。しかし現れたのは満ではなく、すらりと伸びた背丈のガタイの良い成人男性。その背広から、彼が教師である事は一目で判る。教師はカフェテリアをサッと見渡すと、真っ先に啓太郎に声を掛けた。
「啓太郎ー、満がどこ行ったか分かるか?」
「多分そろそろ戻って来るかと」
そして、三度扉が開かれる。そこには啓太郎の言った通り、目的の蘭丸が見つからずUターンしてきた満の姿が。
「おい啓太郎!蘭丸どこにもいねぇぞ!?」
「おかえり」
教師は満の肩にポンと手を置き、満面の笑みを浮かべる。満はみるみる顔を青くし、気配のする方を振り向いた。
「げ、ディアベル先生!?」
教師の名は、
……但し、唯一人を除いては。
「か・だ・い♡ まだ出してないよね?」
氷の様な鋭い眼光が、満の瞳に突き刺さる。彼の心臓は危険を報せる様に拍動を増し、その身体からは滝の如き冷や汗が流れた。
「う、うわああああっ!?」
「おいこら逃げるなぁっ!」
全身の生存本能に従い、一目散に逃走する満。内藤教諭もそれを全速力で追いかけて行く。最早日常の一環と化したこの光景に、四人はやれやれと呆れた様子で肩を竦めた。
「あ、そうそう」
すると啓太郎は携帯端末を取り出し、大地に見せた。そこには新聞社が取り纏めたネットニュースが映っており、そのトップには、彼らがよく知る人物の写真。そしてその見出しには大きく「劉崎W・Cが拓く、フルダイブ型VRの新世代」と掲げられていた。
「これ、もしかしなくてもそういう事、だろ?」
「……ははは。ノーコメント、って事にしとくよ」
目を逸らす様に、大地は苦笑いを浮かべた。
ALOから帰還した巧磨は、自分のPCに奇妙なファイルが送られているのを見つけた。その差出人は不明で、その形跡も一切残っていなかった───のだが、そんな真似出来るのが一人しかいない時点で、誰の仕業かは火を見るより明らかであった。
茅場晶彦。文字通り電脳化した彼ならば、多少のセキュリティなど赤子の手を捻る様に突破してみせるだろう。肉体を捨ててさらに厄介になった、と巧磨はボヤいていた。
そしてその中身なのだが、それがまた頗る厄介な代物であった。
『ザ・シード』と名付けられたそれは、一言で言えば「フォーマット」、まさに『種子』を冠するに相応しいシステムだった。このプログラムさえあれば、茅場の様な複雑な技術を用いずとも個人で仮想世界を創る事が出来る。VR技術の新たな時代のプラットホームとなり得るそれは、言わば茅場晶彦の集大成、巧磨曰く「少なくとも五年、未来を先取りしてる」という技術がふんだんに盛り込まれていた。
巧磨はそれを自社製品として販売。理由は聞かなくても解る。茅場晶彦が製作したと知られれば、どんな出鱈目なイチャモンが飛んで来るか分からないからだ。敢えて有料にしたのも、変に勘ぐられない様にするためである。実際、価格はとてもリーズナブルなものであるし、その儲けの半分は事件被害者への寄付に、もう半分は頒布に協力してくれた社員達の給料に全て回されている。本来は茅場の彼女さんである
そして、『ザ・シード』は大ヒット。個人用、商業用問わず手軽に仮想世界を創れるその汎用性は、フルダイブ型VRを危険視する専門家達の下馬評をひっくり返し、今やそれを使って創られたワールドの数は三桁を軽く超える程にまで広がった。
その影響もあってか、事件によって宙に浮いたままだったALOの営業母体に、劉崎W・Cの子会社が充てがわれる事も決まったそうだ。ただし巧磨自身は、ゲームが面白くなくなるという理由から運営には参加しないらしい。
因みにALOと言えば、前責任者の須郷は病院の駐車場で気絶している所を、巧磨が呼んだ警察に発見されたそうだ。その後懐に隠していたナイフで銃砲刀剣類所持等取締法違反、そして巧磨が掴んだ人体実験に関する数々の物的証拠により、案の定お縄に至った。本人はシラを切ったり情状酌量を求めたりしているらしいが、確たる証拠がある以上全て無駄に終わるだろう。
そんなこんなで、仮想世界という技術は無事廃れる事なく続いていく。まさに
「……まぁ、これから戦いが始まる奴もいるけどな」
SAOから続く戦後の戦争───婿取り合戦は、水面下で未だに繰り広げられているのだ。
「……これはアイツらの問題だろ?俺達が口を出す様な用件じゃないよ」
「啓太郎、本音は?」
「修羅場観戦めちゃ愉悦」
「台無しじゃん」
「ちょっと!聞こえてるわよ!」
「おお、こわいこわい」
この様に、男性陣はニヤニヤしながらこの状況を見守っている。それは彼らだけに留まらず、校内裏市場では馬券まで発行されているとか。倍率?それ以上いけない。
「ねぇ、次の科目って何だったっけ?」
昼食を終えた蘭丸が尋ねる。すると大地は、一瞬気まずそうな乾いた笑いを浮かべ、スッと目線を逸らした。
「確か次は体育だけど……大地、お前何か知ってるな?」
流石の観察眼というべきか、男は大地のその様子を見逃さなかった。そんな親友の勘の良さに舌を巻きつつ、大地は肩を竦めて語り始めた。
「男。体育の先生の名前、覚えてるか?」
「えっと、確か『
「……あの人、兄さんの兄弟子」
『……は?』
その時、窓の外を眺めていた里香や珪子を含め、彼の兄を知る全ての人物が振り向き、言葉を失った。
「……ねぇ大地、兄弟子って、何の?」
「武術」
「巧磨さんより強いんですか……?」
「社長になる前は五分五分だったらしいけど、なってからは筋トレぐらいしか出来てないから、今は多分海舟さんの方が数段上」
「どれくらい強いの?」
「川真っ二つに出来る」
「バケモンかよ」
矢継ぎ早に飛び出してくる質問に、大地はテキパキと答えていく。そしてその衝撃的な内容に皆戦慄し、大地と同じ乾いた笑みを浮かべていくのだった。
……が、衝撃的なのはそれだけでなく。
「なぁ、さっき『兄弟子』って言ったよな?じゃあ、二人の師匠って一体誰なんだ……?」
「源三さん」
即答で挙げられた人物に心当たりがあった啓太郎は、恐る恐るその真偽を確かめた。
「……もしかして、あの
「そ。本当かどうか分からないけど、ちょいと昔に活火山止めた事あるらしいよ?しかも素手で」
さらりと語られた偉業に、啓太郎は頭を抱える。自分達はこれからどこへ向かっていくのだろうか。もしかしたら、とんでもない魔境に足を踏み入れてしまったのではないだろうか。そんな彼の不安を表すが如く、啓太郎は不意に、心の底から湧き出る疑問を口にした。
「……人間ってなんだっけ?」
「少なくとも、僕らは人間だね」
啓太郎は考えるのをやめた。
桜舞う学校の中庭、その一画に設けられたベンチ。そこには真ん中を明ける様にして、二人の少女が腰掛けていた。
その内の一人は、鮮やかな栗色の背中まで伸びたロングヘアが眼を引き、対してもう一人は、透き通る様に美しい黒髪が、コンパクトなショートヘアで纏められている。
栗色の髪の少女の名は、
そんな彼女達は、現在教員に呼ばれて用事を済ませている、同じ想い人を待っている。その間、互いに他愛もない会話を交わしていた時、ふと明日奈の口を突いて出たのは、彼女がずっと抱いていた疑問だった。
「ねぇ、サッちゃん。私が眠ってる間、どうしてキリ───和人君に会いに行かなかったの?」
それは、一種の不安とも言える感情だった。彼女が囚われている間に、もし和人が自分の心を離れていたら。無事生還した幸乃に心を寄せ、自分の事など忘れてしまっていたら。拠り所が和人しかいなかった明日奈にとって、その可能性は最大の恐怖であった。
しかし蓋を開けてみれば、幸乃は和人に会う事を自ら避けていた。明日奈がいない内に和人を掠めとる、といった事を幸乃が絶対にしないのは彼女も理解している。だがそれにしても一切連絡を取らなかったのは明日奈にとって意外な事実だった。
その理由は、幸乃の口から直接聞かなければならない気がした。でなければ、このまま和人と一緒にいる資格が無い様に感じ、それでも変わらず接してくれる幸乃に申し訳無く思えたのだ。
そんな明日奈の心を見透かした様に、幸乃は優しく微笑んだ。
「別に……特別な事じゃないよ。ただ、そうやって私が和人と一緒になっても、きっと私は後悔する。そう思っただけ」
すると幸乃は立ち上がり、その一歩一歩を踏みしめる様に明日奈の前へと歩み出た。
「私はね、みんなに幸せになって欲しいの。和人にも、里香にも珪子ちゃんにも、黒猫団のみんなにも、それから……明日奈にも。友達の幸せは、私の幸せでもあるから。だからちょっと和人に会えないことぐらい、大した事じゃないんだよ」
二人の間を、春風が吹き抜ける。春の日差しに包まれ、喜びに満ち溢れた笑顔を浮かべる幸乃の姿は、明日奈には一層輝かしく見えた。
「……サッちゃんらしいね」
「私には、それしか出来ないから」
「ううん、凄いよ。私なんかより全然」
そうして、互いに笑い合う二人。同じ人を想う恋のライバルであり、同時に唯一無二の親友。SAO・ALOを経て、彼女達の絆はますます深まった様だった。
「ゴメン、待たせた!」
「もう、昼休み終わっちゃうよ?」
「ごめんごめん、ホンットゴメン」
そして、漸くやって来た主役。彼を間に挟み、三人のランチタイムはもう少し続いていく……
To be continued…
待たせた割に短めでスミマセン
公式で本名設定の発表が無いと思われる方々はこちらで名付けをば。とりあえずこの場にまとめておきます。
ケイタ →
ササマル →
テツオ →
ダッカー →
サチ →
コペル →
ディアベル →
そして新たな(?)オリキャラ紹介
一言で表すなら武神。筋力、技術共に常人のソレを遥かに凌駕している。世界各地を放浪し己を磨く一方、その力を世界のために役立てたいとボランティア的活動も欠かさない。日本でSAO事件が終息した後、弟弟子である劉崎 巧磨からの要請を受け、帰還者学校の体育教師に就任した。教員免許は持っているので問題ないらしい。
過去に訪れたあらゆる地に伝説を持つ。時には単騎で紛争を終結させたなどという眉唾物すら存在するが、その殆どが事実だという事はあまり知られていない。教師としての腕も超一流……というか寧ろやり過ぎなくらいで、メソッドを受けた和人は直葉曰く「あらゆる動きにムダが無い」「足音がしなくなった」「三六〇度どこから見ても隙が見当たらない」との事。しかし特に厳しい訳でも無く、そのRI◯AP的ビフォーアフターも相まってかなり人気が高い。
巧磨とは互いに無い物を持つ、という所で認め合っている。巧磨は社長職に就いた事で武道から降りてしまったが、海舟は「人それぞれに戦うべき道がある」と理解しているので、変わらず交流を続けていた。尚、現実世界での実力は海舟の方が格段に上だが、海舟はフルダイブ型ゲームを使用した事が無いため、そちらの中では巧磨の方に分がある。
モデルはご覧の通り、Gガンのドモン・カッシュ。
海舟が武神なら、この人は魔神。経歴全てが伝説と言っても過言ではない。その強さは、巧磨と海舟が全力で挑んでも瞬殺されるレベル。さらに武術以外も人外レベルであり、巧磨と並び会社のほぼ全てを統括出来る数少ない人材。巧磨はCEOとして接する時はタメ口で話すが、源三が師匠モードとなると立場が逆転する模様。性格やCVも某東方不敗風に変化するとか。尚、近頃は和人達にも目を掛けている様子。
「中々筋が良い……どれ、一つ手合わせを」
「みんな逃げて超逃げて」
最近の悩みは、顔を合わせる度に孫娘に泣かれる事。純粋な子どもには本質が解るのかもしれない。