インフィニット・ストラトスVR カジュアルモード   作:鶏唐

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第2話 自己紹介

「そういうわけで八代虎徹だ。よろしくな!」

 

「よ、よろしく」

 

 

女教師に叩かれた後、適当にうろついた後に女教師の言っていた教室へと入った

暫くすると他の生徒達が続々と帰ってきたのでこうして話している。

ちなみに教壇に立って黒板に俺の名前をでっかく書いている。

しかし何でこのクラス、女子ばっかりなんだ。

男子なんて俺以外に一人しかいないじゃねーか。

それにこのクラス、ノリが悪いのか人見知りなのかあんまり反応が返ってこない。

 

 

「おいおいどうした。俺が先陣切ったんだ、次こそって奴はいねーのか」

 

「えっと、じゃあ質問いいかな」

 

「おう、いいぜ。ちなみに名前は?」

 

「あ、鷹月静寐です」

 

「よしアクセルホークだな」

 

「全然違うよ!?」

 

 

鷹って言われて思い浮かんだのがプロボクサーだから仕方ない。

あれ?ホークって鷹だっけ?鷲だっけ?

 

 

「で、質問って何だ?」

 

「・・・入学式にはいなかったけどどうして?」

 

 

アクセルホークの中で何やら葛藤があったようだが無理やり飲み込むようにして質問してきた。

嘘をついても仕方ないので俺は正直に話してやった。

 

 

「・・・って感じだった。まさかコッチでも教師に追いかけまわされるとは思わなかったぜ」

 

「うわ、予想以上の問題児だね八代君は」

 

「いやいや、入学式なんてメンドクサイだろ」

 

「IS学園でそんな事言うのは八代君だけだと思うな」

 

「だいたい遊びに出かけるのにこの学校遠すぎだろ」

 

「そうだよね。街に出かけるには申請が必要だし」

 

 

何てこった。どんだけ規律が厳しいんだ。

ゲームの世界ならもっと自由に過ごさせてくれよ。

 

 

「はい、四十院神楽です。それで八代さんは入学式をサボって何をしていたんですか?」

 

「この学校内を探検していた。でも自爆装置が何処にも無かったのが不思議だ」

 

「逆に何で自爆装置があると思ったのか不思議なのですが」

 

「そりゃ建物には付いてるだろ?自爆装置の一つや二つ」

 

「いやいや、付いてるわけないでしょ」

 

 

中学校や駒王学園でも付いていなかったから俺がわざわざ付けたというのに。

よし、じゃあ今回も俺が付けるとするか。

 

 

「とにかく俺についてはこれくらいでいいだろ。じゃあ出席番号の後ろから行こうか」

 

「最初は1番からじゃないの?」

 

「セオリー通りにやってもつまらないだろ。はい、席立って」

 

 

どうやら俺のおかげか、皆も緊張が解れてきたようだ。

ただ、もう一人の男子生徒は挙動不審なのは変わらないみたいだが。

何人かの自己紹介を受けて教壇に立ったまま聞いていた俺は気づいた事があった。

うん、人の名前覚えられねーや。

 

 

「コホンッ、わたくしはセシリア・オルコットですわ。イギリスの代表候補生にして専用機を預かっておりますの」

 

「だ、代表候補生!?」

 

「しかも専用機持ち!?」

 

 

下手すれば俺以上のざわめきとなる教室内。

あの金髪ドリルはどうやら凄い奴らしい。

いや、それよりもイギリスって言ったか?

 

 

「ドリ・・・オルコットって言ったか」

 

「今、変な事言おうとしませんでした?大体、わたくしのようなエリートに話しかけようなど」

 

「いい天気だな」

 

「っ!えぇ、そうですわね」

 

「以前にイギリスに行った時に食ったパイが上手かったがアレ、何て料理なんだ?」

 

「パイ?どのようなパイですの」

 

「んー、ハンバーグとコロッケの中間みたいな奴」

 

「・・・コテージパイかしら」

 

「へぇ、そんな名前なのか。今度お袋に作ってもらおう」

 

 

険悪な感じがあっさりと会話できてしまった。

洗濯娘こと、リリィ・カーンが言うようにイギリスの人は天気の話から会話するって言うのは本当らしいな。

何でも天気の話をしたら相槌を打つのがマナーだとか。逆に天気の話を振り返すのは駄目らしい。

本当に天気の話をしたい場合はどうしたらいいんだろう?

ともかくイギリスにホームステイした時、飯にパイが出てきてデザートかよって突っ込んだが食ってみたら意外に美味かった。

 

 

「ふん、貴方のような方でもイギリスの文化を理解できる知能はお持ちのようですわね」

 

「おいおい、俺がバカなのは認めるがソレは酷いぜドリコット」

 

「もはや別人でしてよ!オルコットですわ!」

 

「分かった分かった。じゃあドリコットの次の奴ー」

 

 

怒りで肩を震わせながら席に着くドリコットを座らせる。

クラスの皆も本領発揮と言うべきか口々に笑い声やからかう声が飛び交う。

それに一々反応するドリコットはもはやツッコミの鏡と言えるだろう。

 

 

「あ、あのー」

 

「ん?」

 

 

何処か萎縮した声に顔を向ければスーツを着た眼鏡女子がいた。

何で制服じゃないんだろうか?

あ、さては遅刻して焦って間違えたとか?

やれやれ。俺はため息を吐いてソイツに声をかけた。

 

 

「ほら、空いてる席に座れよ」

 

「え?」

 

「大丈夫大丈夫、まだ先生来てねーから。今のうちに座っちまえばバレねーって」

 

「い、いえ、その私がせんせ・・・」

 

「あれ?席が空いてねーな。おい、誰か机と椅子持って来いよ」

 

「八代君が行けばいいんじゃないかな」

 

「んだとテメッ!暴力教師に痛い目にあわされた俺に働けというのか」

 

「いや、それって入学式サボった八代君が悪いんだよね」

 

 

正論過ぎて黙るしかない。

仕方なく俺は机と椅子を捜し求めて教室を出る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、織斑一夏は肩身の狭い思いをしていた。

八代虎徹というIS学園に俺以外に存在する唯一の男子生徒が出ていき、ざわつく教室。

八代のおかげで緊張感が薄れたかと思ったら一人取り残されたおかげで周囲から視線を感じてしまう。

俺も八代に着いていけばよかった・・・

 

 

「あ、あのー皆さん」

 

「あれ、どうしたの?八代君が帰ってくるまで八代君の席に座っていたら?」

 

 

先ほど遅れて入った来た女生徒がおずおずと教壇に立っていた。

視線がそちらに向かい、ほっとしつつもどうしたのかと俺も視線を向ける。

身長や幼さを残す顔からも俺達とは同年代だとは分かるが一部が桁違いだ。

 

 

「ご、ごほん!私、皆さんの副担任の山田真耶と言います!」

 

『・・・え?』

 

 

今、俺達1年1組は八代を除いて一つになった。

え?教師?誰が?

 

 

「うぅ、だ、だから私が皆さんの教師なんですっ!」

 

 

既に涙目となって怯みつつも抗議してくる生徒、もとい山田先生。

確かに制服を着ているわけじゃないけど信じられない。

 

 

「と・に・か・く!自己紹介をしていたようですから続けてください!」

 

 

このまま疑っていると本気で泣きそうだ。

何事もなかったかのように自己紹介を続けよう。

俺達は山田先生に視線を向けたまま、またもや八代を除いて一つになった。

 

 

「はい!私は・・・」

 

 

続々と自己紹介していく中で改めて気づいた。

女子しかいない。いや、まぁIS学園なんだから当然なんだろうけど。

俺や八代が特例なんだろうって事も分かっている。

しかし思わずにはいられない・・・やりづらい、と。

 

 

「ミスト・レックスです。そんな俺が女だなんて・・・こんなに俺と開発者で意識の差があるとは思わなかった!」

 

「ごきげんよう。八雲紫15歳ですわ♪」

 

「ピピピ、フジョウヒスイ、デス」

 

「中島昴!」

 

 

・・・何だろう、突っ込まなくちゃ行けないのに突っ込めない。

物凄く胸がもやもやしてくる。

今まで視線が集中していたから気づかなかったけど今は自己紹介する人に視線が行くから助かる。

だから教卓の前にいる俺も横や後ろを見てクラスメイトを見ることができるけどやっぱり何処かおかしい。

ただ分かったのは俺の幼馴染でもある篠ノ乃箒がいた事だ。

自己紹介の時にちらっとこちらを見た後、何故か不機嫌そうに視線を逸らされてしまったけど。

 

 

「涼宮ハルヒよ。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、 あたしのところに来なさい。以上」

 

「鈴木ぼたんよ」

 

「神崎ゆんです!」

 

「・・・川澄舞」

 

 

まずい、もうすぐ自分の番が回ってくる。

俺は視線を前に戻して深呼吸をする。

自己紹介と言っても名前だけで終わる子もいれば趣味や特技など言ってくる子もいる。

この場合、俺はどうすればいいんだろうか。

IS学園にしかいない男子生徒と言う意味で注目を浴びているのは分かっている。

だとすればもう一人の、八代のようにした方がいいんだろうか?

黒板には未だに八代虎徹と書かれた大きな文字が残っている。

・・・いや、無理!無理だって!

 

 

「・・むら君。織斑君!」

 

「え、は、はい!」

 

 

呼ばれてガタっ!と席を立つ。

見れば山田先生がおろおろとしながらも説明してくれた。

 

 

「あ、あのね。つ、次は織斑君の番なんだけど」

 

「は、はい」

 

 

くるりと反転してみれば視線が思いっきり集中していた。

八代はこんな状態でよく自己紹介なんてできたな、なんて思わず現実逃避しかける。

 

 

「あー、えーと・・・」

 

 

ごくり、と何人かが息を飲むのが分かった。

これはもしかして八代と同じような自己紹介を期待されているんだろうか。

だとすれば八代のやつハードルを上げすぎだ。

頭の中が軽いパニックに起こりつつも何とか声を出す。

 

 

「お、織斑一夏ですっ!」

 

 

しーんと俺の言葉の後に沈黙する一同。

ど、どうすれば・・・

 

 

「い、以上です!」

 

 

ガタっガタっ

 

 

大勢の生徒がその場でずっこけるという器用な真似をする。

思えば日本人が多いためかノリというものを理解しているみたいだ。

 

 

「少しはマシな自己紹介ができんのかバカ者が」

 

 

バシッ

 

 

「あいたっ!え?・・・げぇっ!関羽!?」

 

「誰が美髯公だ」

 

 

痛みが治まる間もなく再度痛みが頭に走る。

手にしている出席簿で叩かれたんだろうがまるで鉄の板で殴ったような痛みだ。

頭を押さえて思わずうずくまると俺を叩いた張本人、俺の姉である織斑千冬の足元に何かいた。

 

 

「おーい、先生。そろそろ離してくれねーかい」

 

「八代。私は教室を抜け出すなと言ったはずだぞ」

 

「いや、だから机が足りないから持ってこようとしたんだって」

 

 

千冬姉に引きずられながら八代が抗議していた。

どうやら席を確保しようと教室を出たはいいが千冬姉に捕まったみたいだ。

 

 

「八代、お前も自己紹介をしろ」

 

「えー、もうやったんだが」

 

「お前の苦情は受け付けんと、たった今決めた」

 

「何この横暴教師。現実でもココまでの奴は・・・いや、まぁいるな」

 

 

どこか諦めたように溜息を吐いて再度教壇へと立つ八代。

当然、背後の黒板には八代の名前が書かれている。

 

 

「・・・はっ!このまま普通に自己紹介してもつまらないな!ならばっ!」

 

 

ダッと今度は走って教室を抜け出す。

千冬姉が呆気に取られたのも一瞬、すぐに追いかけようとする。

 

 

「待て八代!」

 

「すぐに戻るから待ってろー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ。どうしたものか」

 

 

虎徹が1組で自己紹介をしているだろう時間。

当然僕のいる3組でも自己紹介が始まっていた。

しかし、投影ディスプレイをこっそりと見ながら疑問が湧いている。

このインフィニット・ストラトスというゲームはホストユーザがいれば何人でもゲストとして登録して遊べるゲームだ。

だから僕も虎徹をホストユーザとして、ゲストユーザという立場で接続しているわけだが・・・

 

 

「ゲストユーザが50人を超えているのはどうしたものか」

 

 

虎徹が装着したアミュスフィアは僕のものだがオンラインによる接続はユーザ情報が必要だ。

虎徹の持っているユーザ情報を元にインフィニット・ストラトスを起動したのは分かる。

そしてオンラインである故に新規でゲームを始めた場合フレンドにも通知を行うようにデフォルトで設定されている。

あの虎徹の事だ、恐らくはデフォルト設定のままにしていたのだろう。

加えて交友関係も尋常ではない程に広い。

・・・が、幾らなんでも広すぎやしないだろうか。

そう言っている間にまた誰かログインしたようだ。

しかも僕の隣の席らしい。

 

 

「服部半蔵でござる!」

 

「待て」

 

「むむ?何奴?」

 

「僕だ、半蔵」

 

「むむむ?まさか・・・琢磨でござるか!」

 

「この場は拓海だ」

 

 

あろう事か虎徹と同じく親友の服部半蔵がログインしていた。

姿は現実の半蔵と同じ身長のようだが顔は全体的に幼くなっている。

半蔵が女性の場合、こうなるのだろうかという程にしっくりくるのがイラッとくる。

 

 

「あら二人は同じ中学だったわね」

 

「然様!して、殿は何処でござるか!?」

 

「とりあえず今は自己紹介の途中だから席に着いてちょうだい」

 

「むぅ、仕方ないでござるな」

 

 

虎徹に次ぐ問題児である半蔵を何とか大人しくさせる我らが3組の担任、スコール・ミューゼル。

他の難易度であれば敵対組織である亡国企業の幹部である。

このカジュアルモードに限り、亡国企業など存在しない。

そのメンバーは全てこのIS学園関係者に組み込まれているからな。

 

 

「琢磨。殿は何処におられる?」

 

「別のクラスだ。放課後になるまで大人しくしておけよ」

 

 

小声で問いかけてくる半蔵に同じく小声で返す。

自己紹介が続く中、半蔵はキョロキョロと周囲を見渡して再度問いかけてきた。

 

 

「日本人が少ないようでござるがココは異国でござるか?」

 

「いや、日本だが」

 

 

確かに気にもしていなかったがこのクラスは外国人が多い。

フリズ・エメラルド、エルザ・ラ・コンティ、アナザーブラッドなど。

どう見ても虎徹の知り合いにしか見えない奴らもいる。

それ以外の奴も放って置けば虎徹の知り合いに置き換わるだろう。

この3組で置き換わらない者など担任のスコール・ミューゼル、副担任のオータム、そして・・・

 

 

「・・・織斑マドカだ。日本の代表候補生だがその内、代表になるから今の肩書は覚えなくて結構」

 

 

不愛想に言って着席した人物だろう。

カジュアルモードである今回、彼女は原作主人公の双子の妹という事になっている。

但し、他の難易度と同様に原作主人公を一方的に嫌っているようだ。

 

 

「え、織斑って・・・もしかして織斑千冬様の妹さん?」

 

「しかも日本代表候補生!?」

 

「似ていると思ったけど妹さんならば納得ね」

 

 

騒ぎ出すNPC。

織斑マドカの姉である織斑千冬はインフィニット・ストラトスの第一人者だ。

それは難易度が変わろうとも変わらぬ常識であり信奉者がいるほど。

射撃部門以外の部門を悉く制覇し、ブリュンヒルデの称号を得ている正に生きる伝説だ。

 

 

「ふん、そうだろう。姉さんの妹だからな当然だ」

 

 

無愛想なのが一辺、得意げに語る織斑マドカ。

どうやら姉に異常な執着を見せるのはココでも同様のようだ。

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

と、そこへ放送が流れる。

はて、このようなイベントが起こったことは無かったはずだが?

騒いでいた生徒達も止めようとしていた教師もスピーカーへと視線をやる。

そんな中聞こえてきた声に思わず椅子から滑り落ちそうになった。

 

 

『ここで緊急放送を始めます。放送は私、2年の黛薫子でお送りします。さて、今回の緊急放送ですが・・・』

 

『ちわーっす!1年1組の八代虎徹だ!よろしくな!』

 

『なんと2人目の男性IS操縦者の八代虎徹君に来て頂きましたー!』

 

「おぉ、この声は殿ではござらんか!」

 

「落ち着け半蔵」

 

 

虎徹の声を聴いて立ち上がる半蔵を無理やり座らせる。

虎徹の友人達も驚いたようで声に耳を傾けていた。

 

 

『さて、何故緊急放送をしたか、ですが・・・八代君?』

 

『いやー、うちの担任が自己紹介しろって言うからさ』

 

『たった、それだけの為に?』

 

『担任が来る前に一度したんだぜ?教壇に立って黒板にでっかく名前書いてさ。でも2度目じゃインパクト弱いからさ』

 

『ほうほう、それで放送して自己紹介しようと。でも偶々、私がいたからよかったけどどうやって放送室に入るつもりだったの?』

 

『ピッキングするか扉を蹴破って』

 

『泥棒だコレー!』

 

 

早速話が脱線し、最早自己紹介ではなく雑談と化している。

幾ら虎徹が現実世界で問題児とはいえ、まさか初日からここまでするとは僕でも予想できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラッ!

 

 

「どうよ!こんだけ派手に自己紹介すれば・・・あいたっ!」

 

 

意気揚々と教室に戻ってきた俺を待ち構えていたのは暴力教師の出席簿だった。

おのれ、あれぐらいでは不満だというのか。

そうなると今度はテレビ中継にすれば・・・

 

 

「戯け、誰があそこまでしろと言った」

 

「いや、同じ事を繰り返すのもつまらないし」

 

「たかが自己紹介で何を言っているお前は。もういい、席に着け」

 

 

ぐぬぬ。自己紹介しろって言われてからやっただけなのに何で叩かれなくちゃいけないんだ。

自分の席は分からないが空いている席があるので多分そこが俺の席なんだろう。

そこで席に着いて改めて周囲を見回して気づいた。

・・・何か俺の知っている奴らがいるんだが。

俺がいない間に一体何があったんだ?

 

 

「そこの馬鹿者のせいで時間がない。休憩後に授業を始めるので準備しておくように」

 

 

そう言って消えていく暴力教師と眼鏡スーツの生徒。

あれ?何でアイツまで一緒に出ていくんだ?

 

 

「先輩先輩!これってどんなゲームなんですか!?」

 

「うるさいぞワンコ。ってーか何でお前いるんだよ」

 

 

休憩時間になったと同時に俺の傍に駆け寄ってくる後輩の中島昴。

ゲームの中だからなのか英語しか喋らないデバイスは持っていないみたいだ。

 

 

「いやー、マッハキャリバーとナーヴギアをリンクさせていたら先輩がゲームやってるって通知が来まして」

 

「あー、そういう事ね」

 

「それでどんなゲームなんですか」

 

「俺も始めたばかりだから分からないけどパワードスーツを使ったオリンピックらしいぞ」

 

「身体を動かすゲームなら任せてくださいよ!」

 

 

うん、知ってる。正直お前の体力についていける気がしない。

そんなこんなで話をしていると見覚えのない生徒がこちらへと話しかけてきた。

 

 

「えっと八代君。一ついい?」

 

「おう、何だ。ついでに名前は?」

 

「相川清香だよ。あのね、中島さんが言ってたけど先輩ってどういう事?」

 

「それか。俺、本来なら高校2年なんだよ」

 

「えっ、じゃあ留年したの?」

 

「バカ言うな。いや、留年しかけたけど」

 

 

成績上位者のおかげで留年だけはしなかったが。

だというのに何で高校1年になっているのか分からない。

 

 

「あ、そうか。男性操縦者だからか」

 

「あん?どういうこった」

 

「男性操縦者なんて貴重な存在だから一からISについて覚えてもらおうって事じゃないの?」

 

「ふーん。って事はもう一人の奴も・・・っていねーよ」

 

 

俺と同じくもう一人の男性操縦者とやらを見ようと教卓の方を見てみたがいなかった。

まぁ、いいか。男性操縦者なんて琢磨がいるだろ。後で探すとしよう。

 

 

「こほん、少々よろしくて?」

 

「よう、ドリコット」

 

「オルコットですわ!」

 

 

周囲に群がる知り合いを押しのけてドリコットが目の前まで来た。

腰に手を当てていかにも偉そうな感じだが、そういった手合いは見慣れているのでどうでもいい。

 

 

「そうだ!ドリコットに聞きたいんだけど」

 

「ですからオルコットですわ!・・・それで何ですの。このエリートであるわたくしに聞きたい事だなんて」

 

 

・・・どうしよう、知り合いの王子と同じような事を言ってる。

ドリコットも将来М字ハゲになったり市長に捕まって岩盤に叩きつけられたりするんだろうか。

 

 

「お前、代表候補生なんだろ?どの種目なんだ?」

 

「わたくしの場合は射撃部門で代表候補生となりましたわ。いずれは他の部門でも選出され代表となるつもりですけども」

 

「射撃かー。オルコットさん、格闘部門ってないの?」

 

「ありますわよ。というかこの程度の知識は知っていて当然でしてよ」

 

「そっか。よし、あたし格闘部門で挑戦するよ!」

 

「えぇ、中島さん決めるの速いね。私は・・・ソフトボール部門とかないかなぁ」

 

「じゃあ俺は悪戯部門だな」

 

「そんな部門あってたまりますか!」

 

 

馬鹿な、ワンコはよくてソフトボールと悪戯がダメな理由が分からない。

いや、無いなら作ればいいじゃないか。

 

 

「それでドリコットは何か用事があったんじゃないのか?」

 

「はっ!あまりにもおバカな数々に忘れていましたわ」

 

「だってさワンコ。お前も俺と同じくらいバカなんだからちょっとは自重しろよ」

 

「え、でもあたし結構成績いいですよ?」

 

「なん・・・だと?」

 

「お黙りなさい!話が進みませんわ!」

 

 

驚愕の事実である。ドリコットに遮られるがこの衝撃は久しぶりだった。

猪突猛進なワンコが頭がいいだと?

 

 

「こほん、まぁ?わたくしは入試で唯一。そう、唯一教官を倒したエリートですから。泣いて頼めば教えて上げなくもなくてよ?」

 

「うぇーん!教えてよセシリアー!」

 

「ちょ!何であなたが泣いて頼みますの!?」

 

 

ワンコの奴がドリコットの言葉からノータイムで泣きつく。

あれは相当年季が入っているな。たぶん、普段からそうやって知り合いに泣きついて勉強しているんだろう。

あれ?成績がいいってのはワンコじゃなくて、その知り合いのおかげじゃね?

 

 

「八代君は泣きつかなくていいの?」

 

「や、俺は伝手があるからいいや」

 

 

分からない事は琢磨に丸投げすれば問題ない。

 

 

 

 




アカン、調子に乗ってキャラ出しすぎた…
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