作者の黛さんへの印象:大人しい顔してるがネタには全力で乗る愉快犯だったりしそう・ラノベ読んでるしネット上のネタにも対応してくれそう
…屋敷面子には他に愉快犯系がいないのでその方面に進んで貰おうかと思っています。
追記:あとがき一寸追加しました
追記2:題名訂正しました
「千尋お兄さんはどんな魔法が使えるの?」
未来の問いに、千尋は少し悩む素振りを見せる。
ややあって口を開く。
「俺は、正確に言えば魔法使いじゃない。魔法で特殊な体質になった奴の、子孫ってだけだ。」
そう言うと、彼はテーブルに掌を俯せにして載せ、「よく見てろよ」と言う。
未来が、言われた通り載せられた手を見ていると、その右手はゆっくりとテーブルに沈み込んでいった。
「えっ!?なんでっ!?」
「どうだ面白いだろう」
千尋の表情は余り変わっていないが、どことなく自慢気な雰囲気が漂う。
右手は、テーブルの天板が無いかのように上下している。
「ものっ凄く簡単に言うと、俺は物をすり抜けたり、透明になったり、体重を少なくしたり出来る。…手、出せ」
手を止めて、差し出された未来の手に自分の手を重ね、透明にして見せたり、軽くして見せたりする。
「すごい!びっくりした!」
「そりゃ良かった」
ぽんぽんと未来の頭を撫でると、少し微笑んだ彼は、「夕飯まで部屋にいる」と言ってリビングを後にした。
アルトリアにトイレに連れて行ってもらい、リビングに戻ってくる。
林檎の皿とフォークを片付け、夕食の仕込みを始めた燐を見ながら、アルトリアに探険と魔法の感想を喋っていると、玄関から「ただいまー」と声が聞こえてくる。
「けーりー、クロウ」
「お帰りなさい」
「ん、ただいま」
玄関に付いていた小振りな洗面台で手を洗ってきたのか、暫くしてから、燐とアルトリアに返しながらリビングに入ってきたクロウは、未来を見ると、「楽しかった?」と一言尋ねてくる。
「うん、すっごく楽しかった!」
広い建物に、不思議な魔法。多くの子供が心躍らされるそれに、未来も興奮していた。
「…そう」
クロウは一瞬ほっとしたような顔をしたが、次の瞬間には朝のようにニコニコしていた。
「転んだりしなかった?」
「うん!」
「じゃあ、明日になったらお兄さんを迎えに行こうか」
「ほんと!?」
「ほんとほんと」
早く兄に病気が治った自分を見せたい。
もう大丈夫だよ、と伝えるのだ。
「んー…、アルトリア、この後夕飯までなんか用ある?」
「特にはありませんね、大丈夫ですよ」
「ありがと。…未来ちゃん、晩ご飯までまだ時間があるし、また俺と、アルトリアも一緒にお喋りしよっか」
聞きたいこともあったので、丁度いいとそれに頷く。
クロウが席に着くと、未来は質問を始める。
「クロウ、ろまに先生とは兄妹なの?」
取りあえず先生と付けてみたが、名前が少し言い辛い。舌っ足らずになってしまった。
「言い辛かったらロマンでいいと思うよ?本人別にあだ名嫌がってないし。…夫婦だよ?血は繋がってないけど息子も居るし」
「そうなの?てっきり私とお兄ちゃんみたいに兄妹だと思ってた」
「えっ、俺が妹?確かにぱっと見は俺の方が若いかもだけど…彼奴も若く見られる方なんだけどなぁ…?」
言動が子供っぽいと思ったから、とは言わない方が良さそうだった。
そんな未来の内心を察したのか、アルトリアは苦笑している。
未来は話題を変えようと、首を捻っているクロウにもう一つの疑問を投げ掛ける。
「クロウ」
「ん?」
「どうして、私をロマン先生の所に連れてきてくれたの?」
クロウは少し目を見開いて、一つため息を吐いた後、未来が初めて見る真剣な顔になる。
「腹が立ったから。」
「…それだけ?」
余りにもあっさりした理由に、思わず問い返す。
「切欠はそれだけ。他の理由は後付けだ。」
「…なんで腹が立ったの?」
「…お前が居た病院の医者じゃ、きっとあの病気を治せなかった。彼処に居続けたら、お前は、色んな物を見て、何にでも成れる筈のお前は、大人達の思い通りに、自由になれないまま何時か死んじまうんだって思った。…それが嫌だった。」
さっきまでと違う、荒い口調で告げられた言葉に息を呑む。
大丈夫だ、と言い聞かせる兄を、疑いたくはなかったけれど。一生病院を出られないのだ、と思ったこともあったのだ。
「俺が勝手に怒って、勝手にやった事だから、恩を感じたりはしなくて良いよ。お礼ならロマニの方に言ってやって。俺は、子供は世界で一番素敵で、大切な物だと思ってるから。その内の一人である未来ちゃんが、楽しいって言ってくれただけで充分だ。」
何時の間にか口調は戻り、帰ってきた直後と同じような微笑みをクロウは浮かべている。
「…それでも」
難しくてよく分からない所もあったが、自分の為に怒って、動いてくれたのは理解できたから。
「それでも、ありがとう」
「………どういたしまして。…………負けたわ………」
笑顔で礼を言った未来を、クロウは呆然と見ながら何とかそれだけ絞り出すように言って、机に肘をついた片手で顔を覆って俯いてしまう。
残されたもう片方の手は、開いた足の太腿に力無く垂らされていた。
何か不味いことを言ったのかとおろおろしている未来の肩を、二人の会話を静かに聞いていたアルトリアが、後ろからトントンと指先で叩く。
「アルトお姉さんっ!どうしよう、クロウがっ」
「安心して下さい、ミライ。クロウは照れているだけです。」
微笑んでいるアルトリアが、「耳を見てみて下さい」と言うので、クロウの方に振り返る。
俯いている為、前髪に隠れなくなった耳の先が、真っ赤に染まっていた。
素直な子供って眩しいよね…
~君月未来~
大人がどうとかはよく分からなかったが、嬉しかったのでお礼を言った。
ロマン先生にもお礼をちゃんと言おうと決めた。
~黛千尋~
調子乗ってバンバン能力使ったので多分部屋で寝てる。
先祖が自ら魔法を使ったのか、誰かに掛けられたのかはわからないが、「不可視の人狼になる魔法」の掛かった人物の子孫。
~クロウ・アーキマン~
かっこつけたのに幼女の方が上手だった恥ずかしい奴。
未来に実験のことを思い出させないようにしていたのに途中大人がどうとか言ったのはうっかり。素の口調が出たのもうっかり。しかし遠坂の血筋ではない。
足開いて座る派。
~アルトリア・ペンドラゴン~
自分の住む屋敷がそんなに楽しんで貰えると思わなかったので一寸吃驚した。
クロウが口を滑らせ掛けたときは肝が冷えた。
足閉じて座る派。
~奥村燐~
士郎の料理がどちらも好評だったので対抗心を燃やしている。
昔同じような会話をクロウとしたが、彼の場合は、お礼にもっと美味い料理作れるようになってやる、と言い放ち、クロウ(火が通れば食えるだろ精神)を色んな意味で泣かせた。