俺が普通に暮らす為の村作り   作:燈祁

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不定期宣言出してるから遅れても大丈夫だいじょーぶ……ですよね?(震え声)
お待たせしました……

追記:プロフだけでなくタグにも更新不定期のタグを追加しました。



出来るだけ警戒させないで

所変わって海辺の施設では、優一郎が目覚めて一日が経過し、現在はシノアと与一が見張りに立っている。

 

昨日は、優一郎が目覚めたことで少し気が抜けたのか、朝食後に士方が倒れた。

夕頃には目を覚ましたが、今までの動きが不思議な位には重い怪我であった為、以降の見張りは優一郎と代わることとなった。

 

また、夕食の際、「この先の命運を共にするなら、鳴海軍曹とミカエラさんも家族なのでは?」とシノアが発言し、士方が「じゃあ鳴海軍曹が長男か?」と寝惚けていたのか天然を発揮。

鳴海とミカエラが固まってしまった間に「…真琴さんとミカ君?」と呼称を考え始めた与一達によって、食べ終わる頃には家族認定されていた。

鳴海・ミカエラと見張りを交代した優一郎・三葉も、次に顔を合わせた際には、既に二人を家族として扱っており、鳴海は「軍属ではなくなったのだし良いか」と、ミカエラは半ばやけくそで、それぞれ家族扱いを受け入れた。

 

鳴海達が、今日は物資の捜索に出ようか、と見張りの二人も交えて話し合っていると、誰も居ない筈の部屋の方からノックの音が聞こえる。

体を強張らせ、それぞれの装備を手元に引き寄せる。

 

「えっと、すいませーん、第一位始祖からの手紙を持ってきましたー…入ってもいいですかね…?」

「──」

 

若い男の声だ。

全員の迎撃態勢が整ったことを確認し、シノアが「どうぞ」と返す。

この面子は、メンバーの大半がシノア隊であった事を考慮し、シノアを長として活動することになったのだ。

 

「失礼します……うぅ」

 

入ってきたのは、黒髪に金の目、尖った耳と犬歯を持つ、声の印象通り、若い男だった。

日本人と思しき顔立ちは、グレンと同じ位の年に見える。

シノア達が武装しているのを見て、居心地が悪いのか目を泳がせている。

 

「これです、どうぞ…」

 

一番近くに居た鳴海に手紙、と言うよりは一枚の便箋を差し出してくる。

警戒しながらも受け取った鳴海は、全員に聞こえるよう内容を読み上げる。

 

「『後三十分もすれば迎えが其方に着くだろう。

君月未来も共にいるが、名古屋でのことは覚えていないようだ。

実験の記憶はあるようで、トラウマになっている可能性がある為余り口にしないことを薦める。

この手紙はそこのスーツの男に返しておいてくれ。

第一位始祖より』………貴様は何者だ」

 

鳴海が便箋を手渡して問う。

受け取った其れを懐に仕舞うと、男は答える。

 

「俺は山崎退。第一位始祖の部下で、君達の護衛を命じられてる。」

「護衛…?」

「空港近くのビルからずっと着いてきてたよ」

「なっ……」

 

誰も気が付くことが出来なかった。

警戒は最大限にしていた筈だ。

 

「あの、其れよりも荷造りとか大丈夫?もうすぐ来るけど」

「…貴男をそのままにしておくわけにはいきません」

「うっ…それもそうか。じゃあ、先に外に出てればいいかな…?」

「…みっちゃん、私が彼を監視しますので、荷物をお願いします」

「私も行こう」

 

鳴海とシノアと共に退が外に出て行った。

残った面々は急いで荷造りをし、二人の分の荷物も持って外に出た。

 

「ありがとうございます」

「すまんな」

 

出入り口脇に立っていた二人の視線の先では、退が施設から十メートルほど離れ、目を閉じて立っている。

 

「あ、来た」

 

退の呟きの直後、住宅街の方から幾人かが歩いて砂浜に下りてくる。

その内の一人、唯一白っぽい服を着た人物が、荷物を持ったシノア達を見て駆けてくる。

 

「お兄ちゃんっ!」

「──未来っ!」

 

荷物を落とすのも構わず、士方が前に出て未来を抱き留める。

 

「お兄ちゃん…お兄ちゃんだ…」

「未来っ…無事で、無事で良かったッ…!」

 

抱きしめ合う二人の後ろで、退が未来と共に歩いて来た者達と合流した。

 

「シノア」

「何です?」

「あの、金髪の吸血鬼、見える?」

「?ええ」

 

彼等を見たミカエラがシノアに話し掛ける。

 

「あれ、第一位始祖代理の吸血鬼とよく似ている」

「…!あれが……アーサー・ペンドラゴン、でしたっけ?」

 

第一位始祖に関する情報の中で、始祖の会議の様子を見ていたミカエラが持っている物の一つ。

それが第一位始祖代理の存在だった。

ミカエラ個人は、冷たい印象を受けた、とシノア達に伝えている。

 

と、アーサーではなく、長い黒髪を束ねた一人が未来に声を掛ける。

ミカエラの記憶と一致する特徴から、この人物がクロウだと思われる。

 

「未来ちゃん、病気のことお兄さんに言うんだろう?」

「!そうだ、お兄ちゃん!私、病気が治ったの!」

「は…!?」

 

体を離し、目を見て告げられた言葉に士方が絶句する。

確かに頬の紋様は無いし、何よりこうして走れるまでに回復している。

混乱する士方に、不安そうな未来が声を掛ける。

 

「お兄ちゃん、病気治ったの、嫌だった…?」

「あ、いや違う、一寸吃驚しただけだ。…凄く、嬉しいよ」

「──良かった」

 

慌ててそう返し、未来をもう一度抱きしめる士方に、未来が笑顔を見せる。

そんな二人を余所に、未来に声を掛けた人物はシノア達に近付いてくる。

 

「えっと、初めまして。ミカエラ君は久し振り。

俺はクロウ・アーキマン、今日は君達を匿いに来ました。」

 

クロウと名乗った人物も金の目を持っており、ミカエラから聞いた「第一位始祖の部下は、他の吸血鬼と違い全員目が金色である」という情報と一致している。

 

「先にある程度の説明をするから、その後で、君達の選択を聞かせて欲しい」

「……選択、とは」

「俺達に、第一位始祖に匿われるか否か。

別に拒否してもいい。第一位始祖は君達を欲していないから、俺達は何もしないで帰るよ」

 

安心させるように語り掛けてくる。

 

「──分かりました。話を聞いた後で、相談する時間を頂けますか?」

「勿論どうぞ。じゃあ、一寸長いけど、説明するね」

 

ほっとしたような、そんな表情を一瞬だけクロウが見せた。

 

「先ずは、未来ちゃんについて」

 

そう言うと、妹を抱き締めていた士方が、未来の手を握って立ち上がり、クロウに厳しい視線を向ける。

 

「手紙に書いてあったのは、俺達の仲間の医者の見立て。彼女のメンタル面をチェックしたときの物だ。

天使の力は第一位始祖が抜き取ったから、今はただの健康体の女の子。

病気については、そのままにしておけば死んで仕舞いかねなかったから、医者に頼んできっちり治して貰ったよ。

誓って治療以外の行為はしてない。

彼女が君達と共に行くかどうかは、彼女の自由意志に任せる」

 

話が聞こえたのだろう、未来が士方の手を強く握り、「お兄ちゃんと一緒がいい…」と言う。

 

「ああ。何処に行くことになっても、一緒だ」

 

そう士方は返した。

シノア達の了承は既に取っている。

 

そんな二人に、クロウは少し微笑んだ後、話を続ける。

 

「次、クルル・ツェペシについて。

彼女はフェリド・バートリーに血を吸われて、今も意識を失ったままだ。

あと数日待っても目覚めなければ、一寸強引に治療する事になる」

 

ミカエラは目を伏せる。

彼女より優一郎を優先した事を後悔するつもりはないが、其れでも自分の恩人なのだ。

 

「次は君達の扱いについて。

匿うときは、第一位始祖の国に、俺の客人として招くつもりだ。

安全は俺が責任持って保障する。

ずっと住み着くことにしても良いし、ほとぼりが冷めたら、物資を補給して出て行くのもアリだ。」

 

これについてはまだ方針が決まりきっていない。

匿われた後のことは、グレンを取り戻したい、と言う優一郎の意志次第だろうか。

 

「また、本人が望むならだけど、百夜優一郎君。君からも天使の力を抜くことが出来る。

あとミカエラ君、君は人間に戻れるだろうね。」

 

その言葉で顔を上げたミカエラが絶句する。

優一郎のことは、未来の例から予想されていたが、吸血鬼が人間に戻るなど、不可能の筈だ。

 

「最後に俺達について。

さっきも言った通り、第一位始祖の部下ではあるけれど、第一位始祖含め、俺達は他の吸血鬼に同調してない。

君達を他に引き渡したり、此処の情報を漏らすことも無い。

───第一位始祖の名に賭けて誓うよ。」

 

部下であるクロウが、主たる第一位始祖の名に誓う。

それは、誇りを賭けた誓いだ。

口約束とはいえ、その言葉は重い物になる。

 

「……どうすんだ?」

 

優一郎が、ブレインたるシノアに問い掛ける。

 

「…乗っても良い、と思います。

安全の保証と物資補給が大きいですし、優さんから、暴走と自我崩壊の危険を無くせる可能性があります。

ミカさんも人間に戻れるかもしれないですし。

未来さんも、悪い扱いを受けたようには見えません。

……反対意見のある方は?」

 

複雑な表情を浮かべた優とミカエラを含む全員が首を横に振り、反対のないことを示す。

 

「──説明ありがとうございます。その誘い、乗らせて下さい」

「オーケー。じゃあ、移動しようか!」

 

シノアの了承の返事に、クロウの顔が明るくなる。

しかし、移動をすると言ったのに、来た方ではなく、他の三人と共にシノア達に近付いてくるクロウに、シノア達は困惑する。

 

「住宅街を抜けて行くのではないのか?」

「いや、そうなんだけど。

さっきは吃驚させないようにと思って、一寸手前で歩きに変えたんだ。

普通に歩いたら何時間か掛かってしまうだろうね。

其れを避けるためにこんな人数で来たんだ」

 

鳴海の尤もな疑問に、曖昧な答えを返す。

 

「意味が分からん、どうすると言うんだ」

「えっとね、こっちはアーサーと(ほむら)。簡単に言うと、君達を俺達が抱えて行きます!」

「……余り意味が無い気がするが」

 

鬼呪装備を持っているシノア達は、吸血鬼と渡り合えるだけの身体能力を有している。

自分で移動するのと変わりないかと思われた。

 

「いや、一寸裏技を使うんだ。それなら1時間位で行ける」

「う、裏技って…?」

「………実際やった方が早いだろう、モタモタしていると面倒が起きそうだ」

 

与一の疑問には答えず、先程から黙っていた、焔と呼ばれた吸血鬼が言い放つ。

彼も黒髪に金目をしており、低い声で威圧感のある口調をしていた。

 

「んー…そうだね。

未来ちゃん、また俺が抱えてくけど良い?それとも今度は焔かアーサーに頼む?」

「クロウで良い」

「ありがと。……お兄さん怪我してるんだよね?出来るだけそーっとやるからしっかり掴まってね…」

「え、ちょっ」

 

未来に聞こえないよう士方に囁くと、クロウはしゃがみ込んで二人の膝裏を抱えて、自分の腕に座らせるような形で持ち上げる。

驚いたのか、思わずと言った感じでクロウにしがみつく士方。

そんな彼を見ていたシノア達にも声が掛かる。

 

「ヒイラギシノア、サングウミツバ、お前達は私が抱える」

「え」

「うわっ」

 

士方達と同様の方法でシノアと三葉を抱えたのは、アーサーだった。

 

「見知らぬ男に抱えられるよりはマシだろう。

髪が崩れても構わん、しっかりと掴まっていろ」

「は、はい」

「ああ。……吃驚した」

 

続いてミカエラと鳴海に声が掛かる。

 

「お前達は俺が運ぶ」

「……あれ以外に抱え方は無いのか」

「……彼と一緒が良いんだけど」

 

心底嫌そうに問う鳴海に、優一郎とのペアを希望するミカエラ。

 

「俵担ぎの方が好みなら悪いが出来ん。

其れではお前達の体に負荷が掛かる。

ペアは体格の問題だ。

全員同じルートで同じ場所に着くから構わないだろう」

 

そう言って二人を抱え上げる。

 

残されたのは退、優一郎、与一。

数㎝の差ではあるが、抱える側も抱えられる側も小さい。

 

「じゃあ、一寸失礼するね」

「おう…」

「よろしくお願いします…」

 

全員が抱えられると、クロウが話す。

 

「三人とも準備できたね?

……皆恐かったら叫んで良いから!着地の時だけは口閉じてね!舌噛むから!」

 

え、と声を上げる間もなく、「せーのっ」と言う掛け声に合わせて、住宅地方面にクロウ達が跳躍する。───そこらのビルを軽く越える高さで。

 

「うわああぁあぁぁあ!?」

「うおおぉぉおおぉぉ!!」

「きゃあぁああぁぁぁ!?」

 

まるで絶叫マシンのような動きに悲鳴を上げる。

……数名は楽しめているようだが。

 

高く跳んだにも関わらず、着地はスムーズで、これと言った衝撃は感じなかった。

しかし、間髪入れずにもう一度跳躍するので、全く落ち着かない。

 

1時間位程して、クロウ達が止まる頃には、シノア達は魂が抜けたように呆然としている者と、途中から、見慣れない景色を観光気分で眺めて興奮している者とに別れていた。

 

「凄かったな!」

「うん、楽しかった!」

 

優一郎と、意外にも絶叫マシン耐性のあった与一は途中の景色について話し込んでおり、未来はクロウに礼を言っている。

他は心此処にあらずと言った様子で、鳴海とミカエラに至っては、酔ったのか口元を押さえている。

 

「此処は、青木ヶ原樹海、ですか…?」

 

付近の看板や、聳え立つ富士山との距離からシノアが推測する。

 

「そう、此処からは一寸歩くよ」

 

これを付けて、とクロウがペンダントを配る。

 

「この森は一寸特殊でね。

其れを付けていない人間は、国に辿り着けないようになってる。

一人で森の中を歩き回りたくなかったら、ちゃんと付けててね」

 

全員の首にペンダントが掛かったのを確認すると、先頭にクロウと焔、間にシノア達を挟み、殿にアーサーと退がついて、森に入る。

まだ午前中の筈だが、育った木が森を覆い隠しているため、かなり暗い。

 

慣れた様子で歩く二人の背中に着いていくと、途中でクロウが口を開く。

 

「えっとね、一寸黙ってたことがあるんだ。

いや、君達の状況には全く関係がないんだけども」

「?……何でしょうか」

 

シノアが首を傾げる。

 

「この先の村に入るなら、知っておいて貰わないといけないんだ」

 

建物や柵が見えている森の出口を背にして、クロウが立ち止まり、告げる。

 

「俺達は、吸血鬼じゃなくて」

 

 

──────魔法使いなんだ。

 




思っていたより長くなってて吃驚してます。
投稿フォームにコピペして字数見てから気付きました…

~山崎退~
第一話からちゃんといました。
外見は銀魂の山崎退。
普段は他の始祖の国にスパイしに行っている。その際に黛千尋を拾ってきた。
スパイとして振る舞う時は、一般の赤目の吸血鬼の中で目立たないように立ち回っており、名を名乗る必要が無いようにしている為、今回偽名が必要なかった。
第一位始祖の部下の金目として動くことは殆ど無い。
ずっとスーツだったけど、ちゃんと砂埃は払ったし、一寸離れた民家で身嗜みも整えたので、あんパン生活の様に窶れてはいない。
護衛中の食事は主にあんパンと魚肉ソーセージ。士郎や燐の作ったおにぎりなどの時もある。
本文で散々若いと言われているが、物凄く童顔なだけ。原作読んでワンチャン未成年あるとか作者が思ってた名残。

~君月未来~
やっとお兄ちゃんと再会。
ずっと手を繋いでいる。
兄の怪我は知らされていない。
女王にアリスを引き合わせる役もそろそろ終わる。

~君月士方~
腹刺されても何とか動けてた根性の人。
とりあえず悩みが解決したのでとても嬉しい。
未来の服装を見て、とても可愛いが第一位始祖かクロウがロリコンなのでは?と心配している。

~柊シノア~
鳴海とミカエラともっと打ち解ける方法を模索した結果が家族宣言だった。
鳴海のフルネーム呼びを長いと指摘した。

~三宮三葉~
絶叫マシンダメだった。
一番可愛らしい悲鳴を上げた。
姉はいるが兄はいない(当小説の勝手な設定)ので、鳴海が兄になって一寸嬉しい。

~早乙女与一~
絶叫マシンで両手挙げれるタイプ(偏見)
優一郎の兄弟ならば吸血鬼でも仲良くしようと思い、ミカエラに良く話し掛ける。

~百夜優一郎~
途中から新幹線ってこんな感じなのかとか考えてた。多分全然違う。
ミカエラと皆が仲良くなるのが嬉しい。

~百夜ミカエラ~
優ちゃんが家族だって言ってるしもういいや、とヤケクソで名前呼びを始めた。
クルルが心配。

~鳴海真琴~
士方よりも年上なので見事長男の座に納まる。
天然入ってそうという作者の偏見によりズバズバ発言するタイプに。
書いてて「ん?ミカエラめっちゃ此奴に懐かない?寧ろミカエラの攻略無意識にしてない?」と思った。
無自覚人タラシのカリスマ持ち。

~クロウ~
黒髪金目の吸血鬼──魔法使いを名乗る人物。
未来の時のうっかりを踏まえて口調にめちゃめちゃ気を遣った。
シノア達が誘いを断った場合を考えて、始祖の部下ロールをしている。
多分最後の台詞格好つけてドヤ顔で言ってる。後でからかわれる。

~アーサー・ペンドラゴン~
名前候補に「アーサー・カークランド」があった。
女性陣運搬担当として出て来た。
シノア達が誘いを断った場合を考えて、始祖の部下ロールをしている。

~焔~
名前候補に「炎青」があった。メタ的に色々不味かったので没。
アーサーの口調を真似ている。
四人の中で一番運び方が雑だった。
シノア達が誘いを断った場合を考えて、始祖の部下ロールをしている。
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