訂正:役所→役場
訂正2:合う→会う
「──は?」
理解できない、というような声がシノアの口から零れる。
「吸血鬼じゃねーって、どういうことだよ!?」
「うん、身分詐称しててごめんね。
吸血鬼じゃないってバレたら寄って集って殺されそうだったから、第一位始祖という架空の人物を担ぎ上げて、吸血鬼の振りをしているんだ。
君達はちゃんと匿うし、治療もするよ」
優一郎の、半ば叫ぶような声に、あくまでも穏やかに、クロウが答える。
「──っ、あの時っ、確かに第一位始祖は空港にいただろう!」
「あー、うん。丁度いいや。
俺の魔法の一つを見せて、魔法使いの説明も同時にしちゃおう」
混乱した三葉が絞り出した言葉に、クロウが頭の横で、天に向かって人差し指を立てる。
「よく見ててねー」
軽い声と共に、指を円を描くように回す。
まるで魔法使いが杖を振るような動きだ。
そして────色が変わる。
クロウの夜のような黒髪と、健康的な色の肌は、空に浮かぶ雲のような純白に。
金の瞳も白に染まり、白目だった部分は、黒曜石のような黒に。
変化が収まると、少し髪を手で整え、優雅に一礼する。
「改めて自己紹介を。
第一位始祖=ロイド役兼、第一位始祖眷族=クロウ・アーキマン役の、『魔法使いの村』村長、クロウ・アーキマンでっす。よろしく!」
顔を上げたクロウは、第一位始祖そのままの姿で、始祖に似合わぬ笑顔を浮かべてそう言ってのけた。
「……は?え?」
「えっと、俺の使える魔法の一つに、『体の色と形を変える』って物があってな?
それと他の魔法を利用して、吸血鬼の始祖に見せ掛けてるんだ」
そう言いながら、もう一度指を振って元の姿に戻る───否、尖っていた牙と耳も、人間と同じように形を変え、先程までとは違う口調で話し出したクロウに、愕然とする三葉。
第一位始祖を直に見た記憶の無い優一郎以外の他の者達も唖然としている。
クロウに注目が集まっている為気付かれていないが、アーサー、焔、退もそれぞれ姿が変わっていた。
そんな中、一足先に復活したシノアが口を開く。
「……始祖に匹敵する力のある『魔法』、其れを扱う者である『魔法使い』を隠すために、第一位始祖の名を隠れ蓑にしている、と言うことですか?」
「そう!俺よりよっぽどわかりやすい説明ありがと。
………何回も説明してる筈なんだけど、やっぱり慣れんなぁ」
頬をポリポリと掻いて話を続ける。
「この先にある、俺達の村───『魔法使いの村』は、その名の通り、色んな魔法を使える人々が暮らしてる。
たまに人間の姿から外れた奴も居るけど、余り怯えないで欲しい。
……入村審査より先にそれだけ言いたかったんだ、混乱させちゃってごめんな」
申し訳なさそうに眉を下げるクロウ。
段々と理解が追い付いてきたのか、首を捻っていた優一郎達の表情は驚きに満ちている。
「……入村審査とは何ですか」
クロウの言葉を精査していたシノアが疑問をぶつける。
魔法が何なのかよりも、此方の方が当面の状況においては重要だと考えたのだ。
「ああ、一寸女の子に会うだけ。
森の出入りの際は全員がやることだから、面倒だろうけど付き合ってくれ」
そう言うと、「ほら、行くぞー」と言って、クロウは森の出入り口に向かって歩き出す。
シノア達ははぐれないよう、慌てて着いていった。
森を抜けると、そこには森の中とは思えない程の広さの畑と、住宅街らしき場所が広がっていた。
上空から見たときには、こんなに開けた場所は無かった筈だ。
森との境目には低い柵が巡らせてあり、その柵の途切れた所に、一組の男女が立っている。
「お待たせ、マカ、ソウル。
審査希望者十二人だ」
「大丈夫ですよー村長さん。
んー…………はい、皆さんの魂はちゃんと健全ですね。
入村審査ごーかくです」
「おー、新入りだな」
全員をぐるりと見回して、何処か気の抜けた敬語で合格を告げた、黒いコートにチェックの赤いミニスカート、白い手袋の女性。
その横で、白い髪をヘアバンドで留め、黄色と黒の上着を着た青年が気怠そうに笑っている。
二人ともシノア達とそう変わらない年に見えた。
「ありがとな、後は見廻りに戻ってくれ」
「はーい」「ウーッス」
クロウの礼に軽く返すと、青年は
「お前等の住居までは一寸歩くぞ-。
その間にさっきの二人とか、この村のルールとか説明するわ」
驚きで固まっていたシノア達に、クロウが声を掛ける。
「退、お前は先帰ってて。疲れてるだろーし暫くは休み取っていいから。
あと、途中で正一にこっち来るよう伝えてくれ。
燐とアルトリアはもう一寸付き合って貰うぞ」
「了解です」「はい」「おー」
クロウの指示に、退が一人別れて別の方向に歩いていく。
焔とアーサーは残っているが、姿が変わっている上に呼ばれた名も違う。
「……焔、と言うのではなかったのか?」
「あー、偽名だよ。俺達部下役は、訳アリの退以外偽名使ってんだ。
ほんとは奥村燐。あっちはアーサーじゃなくてアルトリアな」
鳴海の質問に、砕けた口調で答える焔────燐。
指し示されたアーサー─────アルトリアは、同じようなことを女性陣に話していた。
「強引に抱き上げてしまい、申し訳ありません。
第一位始祖代理の時はああ振る舞うと決めてあって…」
「い、いえ。役なら仕方が無いかと」
「……大分違う性格なんだな」
丁寧な謝罪に、シノアと三葉は警戒心を解かれている。
「おーい、いーくーぞー!」
焦れたような声でクロウが呼ぶ。
慌ててクロウについて歩き出す。
「さっきの二人はマカ=アルバーンとソウル=イーター=エヴァンス。
マカが『人の魂が見える』魔法の使い手で、森の外から来た奴等は、住人に危害を加えようとしてないか、彼女に魂の色を見られる。
もしも説得とかでは止まらないところまで其奴が可笑しくなってたら、ソウルが『魂を刈り取れる武器になる』体質を使って鎌になって、二人で其奴を狩る。
他にも色々やって貰ってるけど、普段は学生やってるよ」
魔法と体質の違いは追々ね、と続けられる。
学生と言うことは、学校があるのだろうか。
「次に、一寸したルールが…とりあえず二つ。
一つ、村では誰であれ同年代として扱って構わない。
具体的に言うと誰でもタメ口呼び捨てでオーケー。
住人の見た目と実年齢は必ずしも一致するわけじゃねーから、面倒くさいし無礼講になってる。
まあそういう口調ってんなら、敬語でも構わん。
一つ、村に来るまでのこととか、使える魔法・持ってる体質なんかについて、深く詮索しないこと。
自分が話したからお前も話せ、とか絶対無しな。
トラウマだったり、地雷だったりする人も居るから。
代わりにお前等の過去も詮索されない。
隠すかどうかは皆で決めろよ」
「分かりました」
帝鬼軍や吸血鬼がどう思われているのか分からない以上、隠すつもりで居たので好都合だ。
暫くすると、クロウが立ち止まる。
「そら、着いたぜ」
「……でけぇ」
優一郎の呟き通り、そこには其れなりに大きな一軒家があった。
日光を遮らないようにか2階は無い。
庭と、家より少し大きいくらいの畑も付いている。
「此処がこれからお前等の家な。
畑は住民全員で食料賄ってるから、お前等も好きなもん作って、余ったのは市場で売って。
家具は全員分のベッドと、居間の食卓と椅子だけ置いたから、他は好きに買って弄ってくれ。庭もどーぞ。
とりあえず家具の分と、一週間分の生活費渡すから、その間に働き口探してくれ。
若いし引く手数多だろうから見付かる見付かる。
村を出たくなったら俺に言いに来ること。
ちゃんと手続きとかあるから。」
そう言いつつ、クロウがシノアに茶封筒と人数分の鍵を渡して来た。
怒涛の勢いで垂れ流される情報を頭に叩き込む。
村の新しい住人として扱われるようだ。
「一寸他の仕事があるから、部屋を案内したら俺は別行動。
一通り見て回って荷物置いたら、燐とアルトリアに役場に連れてって貰って、そのあと家具とか買って回って。
序でに村の案内もして貰ってくれ。」
「よろしくー」
燐がそう言うと、近くに居た与一が、「よろしくお願いしますっ!」と言って小さく頭を下げる。
「あ、でも出掛けるのは一寸待ってからな」
「……何で?」
「士方の治療を頼んだ奴が来るから」
恐らく、警護していたという退から、怪我の事を聞いたのだろう。
「!お兄ちゃん、怪我してるの!?」
「あ、いや、大したことないからあんまり心配しなくていい…」
怪我を隠していた士方は、未来に詰め寄られている。
「まあまあ未来さん、とりあえず中を見てみましょうよ」
「…はーい」
シノアが未来を止める。
二人を先頭に、一行は家の扉を潜っていった。
恋愛より相棒な公式ソウマカも好きです。でもドラマCDのソウマカも大好きです。
ようやく村の生活に移れる!
追記:ソウルイーター組調べたら13歳とか出て来ちゃったぞぅ…高校生だと思ってたなぁ…
当小説では高校生位ってことにしといて下され…
~クロウ・アーキマン~
一人二役。この村が「やさしい世界」であるための舞台装置。故に最強設定。
自分を拾って育ててくれた田舎の村の村長に憧れて村を設立した。
~マカ=アルバーン~
学生服のような服装の少女。
外見はソウルイーターのマカ=アルバーン。
17才くらい。服装は原作初期の黒コート。
村生まれ村育ち。
普段は学生兼治安維持手伝いをやっている。「ジャッジメントですの!」みたいなもん。
~ソウル=イーター=エヴァンス~
ヤンキーのような服装の青年。
外見はソウルイーターのソウル“イーター”エヴァンス。
マカと同じく村生まれ村育ちの17才くらい。
一時期は「ソウル=イーター」と名乗っていた。
マカのパートナーとして活動している。
~君月未来~
お兄ちゃんに頼られたいお年頃。
無事アリスと女王を引き合わせたので、今後はウサ耳ではない服装になっていく。
海に行くまでに、クロウに素の口調で良いと伝えた。
兄達にも吸血鬼の振りをするから、なんか可笑しいと思っても、少しだけ黙っていて欲しいと言われていた。
~君月士方~
妹を心配させたくなかったのに怪我の事をばらされた。
でかい一軒家は初めてなので少し興奮気味。
~柊シノア~
代表で喋って貰ってる。
可愛い。
実は魔法にめっちゃワクワクしてる。
~百夜優一郎~
吸血鬼じゃないのが嬉しい。
魔法使ってみたい、と思っている。
でかい一軒家は初めてなので少し興奮気味。
~早乙女与一~
上から見たときはこんなに森に開けた場所は無かった、と気付いている。でかい一軒家は初めてなので少し興奮気味。
匿ってくれる人達がそこまで恐く無さそうで安心した。
~三宮三葉~
姉とよく似た色と声のアルトリアに戸惑っている。
姉より可愛げがあると思っている。
~鳴海真琴~
魔法とかあり得ないだろ、と思ったが、ソウルを見て「そういうもんなのか」と思考放棄した。
~百夜ミカエラ~
でかい一軒家は初めてなので少し興奮気味。
優一郎と一緒に暮らせそうなのが嬉しい。
~奥村燐~
村の案内役。
多分男性陣と上手く馴染めるだろう、と役を割り振られた。
住人が増えるのが嬉しい。
~アルトリア・ペンドラゴン~
村の案内役。
女性陣の警戒心を解きやすいだろう、と役を割り振られた。
外見年齢がほぼ同じ女子が増えるのが嬉しい。
~山崎退~
三日ぶりの休み。
多分士郎と燐のご飯食べてだらだらする。
彼の魔法は身体強化と色変えが主で、気配を消したりは長年の経験に培われた彼の技術である。