俺が普通に暮らす為の村作り   作:燈祁

19 / 26
前話のあとがきにも追記したのですが、ソウルイーター組の年齢誤認してました…
当小説では高校生位ってことにしといて下され

小さい頃レ〇ブロックで理想のおうち作りしてたなぁ

追記:5000UAありがとうございます!



出来るだけ治して

中に入ると、玄関の先に引き戸が一つ。脇には靴箱だろう、戸棚が幾つかある。

扉を潜ると、そこは広いリビングダイニングだった。

 

言われた通り、大きな窓の前にテーブルとシンプルなデザインの椅子が置かれている他は何も無い。

手前側には、トイレに続く扉が一つと、壁に出来たへこみに棒が渡され、木製のハンガーが幾つか掛かっている。外套掛けだろうか?

正面には、何人かで作業できそうなキッチンと、奥へ続く通路が見える。まだ冷蔵庫は設置されていないようだ。

右側の壁と通路の先には同じ扉が並んでおり、突き当たりは窓になっている。

 

「おー…!」

「広いねー!」

 

後から入ってきた優一郎達も感嘆の声を上げる。

燐とアルトリアは外で待っているらしい。

未来の機嫌も直ったようだ。

 

「えっと、こっちの壁と、通路の扉は全部個室。

広さも殆ど同じ筈だな。

風呂と洗面所は通路の方なー」

 

最後に入ってきたクロウに言われ、刺さっていた鍵を回して抜き、手前の個室を開いてみる。

ベッド以外の家具がない為、とても広く感じられた。

 

洗面所の方は扉がなく、多人数での使用を想定しているのか、鏡、洗面台、湯船が大きめに作られている。

洗濯機を置くだろうスペースは空いていた。

 

「全部引き戸なのは、怪我防止とスペース節約だね。

…うん、じゃあ俺は一寸お先に失礼するわ」

 

そう言って、クロウが玄関から出て行った。

残されたシノア達はどの個室を使うか話し合っている。

 

「何方か希望のある方はいらっしゃいますか?」

「特にないよ」

「ないな」

 

暫く協議した後、じゃんけんで勝った人から奥に詰めることになった。

結果、通路左の洗面所側が、奥から優一郎、未来、右側の奥から士方、シノア、与一、ミカエラ、三葉、鳴海の順で入るようだ。

 

それぞれの荷物を部屋に置いて、食卓に座り魔法について話して待つ。

 

「何なんでしょうね、魔法って…」

「体質、とも言っていたが違う物なのだろうか?」

「未来、他になんか魔法見たりしたか?」

「えっと、待って。

燐とアルトリアに話して良いか聞いてくる」

 

そう言って未来が席を立ったとき、耳慣れない音が鳴る。

呼び鈴だと思い、近くに座っていた鳴海が玄関を見ると、扉の横に付けられたベルが独りでに揺れていた。

音の止まったベルをよく見ると、繋げられた棒が柱を貫通しており、外から揺らせるようになっているのだろうと予想する。

足音に気付いたのか、磨り硝子の向こうから燐の声がする。

 

「未来の兄貴治せる奴が来たぞー、開けてくれー」

「あ、ああ。今開ける」

 

扉を開けると、燐と、その後ろに赤い髪の青年が居た。

黒縁のメガネを掛け、大人しそうな顔をしている。

 

「入るぞ」

「お、お邪魔します」

 

鳴海が二人を連れてリビングに戻ると、青年が口を開く。

 

「僕は入江正一。

えっと、君月士方君って……」

「俺だ」

 

正一を見た未来が燐に尋ねる。

 

「燐、ロマン先生じゃないの?」

「ああ、病気じゃなくて怪我だからな。

分担してんだよ」

 

答える燐の後ろを通り、正一が士方の横で膝をつく。

 

「治癒するから、怪我を見せて貰って良いかな…?」

「…おう」

 

要求を受け、士方が服を捲り上げる。

三葉の手を借りて包帯を取ると、グレンに貫かれた傷が現れた。

簡単に縫われてはいるが、それが傷の痛々しさを増している。

 

「うっ……」

 

怪我を見るのが苦手なのか、口元を押さえて正一が呻く。心なしか顔色も悪いようだ。

 

「あんた、大丈夫か…?」

「…うん、大丈夫。先に抜糸……いや、鋏ないな……燐君に燃やして貰うか?……いやそれだと灰が……ぅわっ!?」

 

不安そうな士方の声に覚悟を決めたのか、真剣な顔つきになる正一。

ブツブツと呟いていると、三葉に肩を叩かれる。

 

「ああ、すまない。驚かせるつもりは無かったんだ。

抜糸なら私がやろう。鋏は持っている。」

 

どうやら部屋の荷物から取ってきたようだ。

三葉が腹側と背中側、両方の抜糸をする。

士方は顔を顰めていたが、妹の手前とあってか声は漏らさなかった。

 

「未来さん、あまり見ない方が良いですよ?」

「…お兄ちゃんはずっと病気の私を見ててくれたから。

私もちゃんと見てるよ」

「──そう、ですか」

 

シノアの忠告にそう返す未来。

隣に居た燐が、無言でくしゃくしゃとその頭を撫でていた。

 

抜糸が終わると、再び正一が士方の前にしゃがむ。

 

「じゃあ、熱くは無いと思うから、じっとしててね」

 

そう言って正一が傷を見つめる。

すると、傷口が突然黄色い炎に包まれた。

 

「!」

「…士方、熱くねぇの?」

「熱くはないな。カイロ当ててるみたいな感じだ」

 

君月は少し驚いただけで、苦しむような様子はなかった。

 

「正一はな、『怪我を燃やす』魔法が使えるんだよ。

他の魔法で怪我をどうにかすると、魔法を使う奴か使われる奴の寿命が削られて、すっごく速く治るだけなんだけどな?

この炎で焼くなら削られるのは魔力だけだからさ。」

 

だからロマンではないのだと、燐が未来に言う。

正一に目を戻す燐は、まるで眩しい物を見ているように未来には見えた。

 

炎が燃え尽きると同時に正一が尻餅をつく。

 

「っはぁ…終わったよ」

「お疲れ、正一」

 

燐の手を借りて立ち上がった正一の宣言に、士方は傷口のあった所に手をやるが、刀傷は何処にも無くなっていた。

 

「おお、すっげぇ」

「痕もないよ…!」

 

見ていた優一郎と与一もペタペタと触ってみるが、違和感は感じられない。

 

「お兄ちゃん、もう怪我大丈夫?」

 

端で見ていた未来が士方に問い掛ける。

 

「…ああ、心配掛けてごめんな」

「ううん、良かった」

 

頭を撫でられつつ告げられた答えに、未来は心底安心した笑みを見せた。

 

「あの、ありがとうございました」

「え、あ、うん。どういたしまして」

 

正一に近づいたシノアが礼を言う。

相手が面識の無い女性だからか、正一はオドオドとしてしまっている。

 

「治療費とか、如何すれば良いのでしょうか」

「あ、それなら大丈夫。

今回はクロウさんの依頼だったから、向こうから貰うよ」

「!そうなんですか」

「…もしお礼がしたいって言ってくれるなら、冷蔵庫とか僕の所で買って欲しいな。

本業は機械技師なんだ」

「…わかりました。

燐さん、案内の時に連れて行っていただけますか?」

「あ、だったら正一送る序でにそっから行こうぜ。

もう士方もガンガン歩き回れるだろ?」

「おう」

「うし、金持ったら出発な」

 

そう言って燐は正一を連れて玄関から出て行く。

シノア達は茶封筒を持ったのを確認して、それに続いて表に出て行った。

 




寸法適当ですが見取り図どうぞ

【挿絵表示】


~入江正一~
滅多に大怪我するような人が居ないので、普段はのんびり農作業と機械いじりしてる。
外見は家庭教師ヒットマンREBORN!の入江正一の十年後の姿。
大学を出てブラック企業に入ってしまい、出張で近くに来たときに樹海に立ち入る。
幻覚だと思って、薬草取りに来ていたクロウに身の上話をした所、「じゃあうちの村でのんびり暮らさない?」と誘われ入村を決意。
会社を辞め、周囲には「富士山の近くで雇われた」と説明し、村と外を行き来する買い出し係になる。
村のバイク好きの青年と意気投合し、二人で機械整備の店を開いている。ここに士郎を加えると、弄れない機械はほぼ無くなる。
魔法が発現して以降は外見の変化が止まっている。実年齢は三十代。
さん付け君付けちゃん付けは外見年齢で変える派。

~君月士方~
ようやく完治。
声を出さなかったのはお兄ちゃんの意地。
妹と被るからと士方呼びされるようになった。

~君月未来~
彼女個人のお悩みはこれでほぼ解決。
兄達より一寸だけ魔法に慣れてる。

~鳴海真琴~
呼び鈴が鳴った際、一応警戒して未来を止めた。
一番の目的は生き延びる事だが、家族となったからには守らねばという気持ちもある。

~柊シノア~
お財布の紐握ってる。
自分の家と違って士方さんの家は仲良いなぁとか思ってる。

~三宮三葉~
男前女子。縫ったのも多分彼女。
縫い跡が残らなくて良かったと思っている。

~早乙女与一~
これで家族全員全快なので安心。
飛び付いたりするのでスキンシップ嫌がらなそう。

~百夜優一郎~
ぶっ倒れた時凄く心配したので、回復して一安心。
何かと触って確かめたがるタイプ(偏見)

~百夜ミカエラ~
吸血鬼なら簡単に回復するのに、と思った。
優一郎達がまた闘うと言うなら吸血鬼のままの方がいいかな、と考えている。

~奥村燐~
炎の扱いを正一に教えたことがある。
自分の炎と違って治すための炎というのが少し羨ましい。
未来を見て、自分の弟を思い出していた。

~クロウ・アーキマン~
村の見廻りと、吸血鬼クロウとしての外廻りが普段の仕事。
村と名乗ってはいるが、規模がもっとでかいので時間が掛かる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。