明けましておめでとう御座います。
本年も宜しくお願い致します。
お久し振りです、この作品のセンター試験前最後の更新になると思います。
今話書いてる途中で二部序章完走しました。おらワクワクが止まんねぇだよ……!
あと今日のご飯アニメ化おめでとう!やったぜ、飯テロだ!
追記:余分なルビが入っていたので消しました(燐の台詞の彼奴(リーダー))
ミカエラがリビングに戻ると、この家の住人だろうか、知らない顔が増えていた。
ミカエラに気付いた優一郎が、退との会話を中断して声を掛ける。
「お、ミカおかえりー」
「ただいま。ねぇ、与一と話してるのもこの家の人?」
「らしいぜ。アルトリアと燐にはしろうって呼ばれてた」
自分達とそう年が変わらないだろう赤髪の青年が与一と談笑している。
微かに聞こえる内容から、話題は弓に関する物だと予測された。
「ミカエラ、ロマニ先生は一緒じゃないの?」
一緒に戻ってこなかったからか、とてとてと歩み寄ってきた未来がロマニの事を尋ねてくる。
「彼ならカルテを仕舞うって言って外に行ったよ」
「ああ、家の隣に保管庫があるからな」
未来についてきたゲーティアが補足を入れる。
と、その声で気付いたのか、燐が声を上げた。
「お、これで全員終わったな?まだ街の反対側案内してねーから、そっち回りに行こうぜ」
そう言って、台所の端に掛けていた大きめのトートバッグに、先程シノア達が貰った野菜などを入れて持ってくる。
彼は面談の途中で「着替えてくる」と言って一度リビングを出て行っており、現在はラフなパーカー姿をしていた。
因みにアルトリアは食事の間椅子の背に掛けていた背広を再び着込んでおり、未来に「アルトお姉さんは着替えないの?」と問われると「私はこういうかっちりとした服装が嫌いではないので」と答えていた。
言い方からして、恐らく燐は"かっちりした服装が好きではない"のだろう。
「ああ、すまない。私が持とう」
「良いって良いって、お前は案内される側なんだし、手ぶらで良いんだよ」
「しかし……」
「ほら、俺ならこれ位ヨユーだから任せろって!」
そう言った燐は、見るからに重そうなバッグを小指一本で支えていた。
「む………わかった、すまないが宜しく頼む」
「おー!」
やり取りに気付いたのか、他のメンバーも立ち上がる。
見送ると言った退と赤髪の青年、ゲーティアと共に玄関へ向かうと、丁度ロマニが戻って来た所だった。
「もう行くの?」
「まだ案内が半分しか終わっていませんので」
そう返すアルトリアの手には、先程武器屋で林檎を買った際に借りた袋が握られている。
案内が終わった後にでも返しに行くのだろう。
「ゲーティア、また遊びに来ても良い?」
「構わないが、出来るだけ午後に来い。午前中は大抵ロマニについて外を回っているからな」
「わかった!」
未来はどうやらちょくちょくここに彼に会いに来る心算のようだ。
彼の方も口調こそ無愛想であるが、訪問自体は歓迎しているように見える。
かなり懐いた様子を見せる妹に、士方は少々ショックを受けていた。
「あの、士郎さん!お話楽しかったです、ありがとうございました!」
「いや、俺も弓の事話せて楽しかった。機会があればまた語ろう」
「はい、是非!」
与一と青年もかなり打ち解けたように見える。
「またねー」と手を振る住人達に見送られて、今度は村の西部に向かう。
西から東へ村を突っ切る形で、最終的に正一とブルーノの店に辿りつくよう案内して貰えるようだ。
「今日中に必要なのは布団と着替え、調理器具、あとは風呂関係ですかね?他は明日以降自力で買い集めて貰うことになるのですが…」
「あ、着替えとタオルはあるので今日はとりあえず大丈夫です」
「石鹸の類はありますか?」
「それは、ないですね…」
「ではそれと、布団、調理器具を売っている所を回りましょう」
「おっ!こんにちは、優一郎!調子どうよ?」
森との境目を歩いていると、奇妙な白い面を被り腕に入れ墨を入れた首の太い男が、リュックサックを背負い、まるで待ち伏せでもしているように道に立っていた。
自己紹介どころか一言も此方は言葉を発していないというのに、何故だか優一郎の名前を正確に言い当てた上、親しげに声を掛けてきたものだから、シノア達は警戒態勢を取る。
が、どうやら杞憂だったようだ。
「あー、大丈夫だ。彼奴は何でだか話す相手の名前を絶対知ってるんだよ」
燐が苦笑しながら教えてくれる。彼も詳しくは知らないようだ。
面識があるのか、アルトリアが声を掛ける。
「お久し振りです、ザッカリー。珍しいですね、貴方がこの村の中に居るなんて」
「よう、アルトリア。ちゃんとチェックは受けたからな、不法入村じゃあないぜ?」
「それは良かった。所で、彼に御用ですか?案内の途中なので、手短に願いたいのですが…」
「おお、そうだった!」
陽気に、だが何処か飄々とした印象を受ける彼は此方に近付くと自己紹介をしてくる。
「オレはザッカリー。どんな冒険にもいなくちゃならない、由緒正しきアイテム商人ってヤツさ。
これからはいつでもあっちこっち、気づくとアンタの目的地に先回りしてる羽目になるのさ。
武器に治療の魔法のアイテム、ドーピングの薬も取り扱ってるぜ。
ま、今は優一郎、アンタには必要なさそうだが。
旅に出てなんか買いたくなったら、オレを見付けてくれよな」
そう言って握手を求めてくる。
優一郎はどうにも信用できず燐の方を見るが、「どうかした?」とばかりに首を傾げているので、恐らく害は無いのだろうとその手を取った。
「よろしく」
「よ、よろしく…?」
先回りしている、と言ったが、何故そんなことをするのか尋ねようと優一郎が口を開く前に、彼の方が先に喋りだす。
「にしてもステキなお仲間じゃないの、優一郎。アンタらも、どうぞオレを贔屓にしてくれ」
胡散臭い。とても胡散臭い。HAHAHAという笑い声がそれを更に加速させていた。
士方やミカエラなどは彼を睨みつけている。
……未来は興味を引かれたのか目をきらきらさせてガン見しているが。
「はぁ……行きましょうか」
「あ、はい」
アルトリアに連れられて一行はザッカリーの横を通り過ぎる。
特に何をするでもなく、彼はそれを見送っていたが。
「アンタが面白いことをしでかすの、楽しみにしてるぜ」
そんな言葉が聞こえて優一郎が振り向くと、既に其処にザッカリーの姿はなかった。
「優ちゃん?」
「あ、いや…なんでもない」
ぼーっとしてしまっていたのだろう、皆は少し先を歩いていた。
優一郎が追い付いたのを確認すると、歩きながらアルトリアが話し出す。
「彼…ザッカリーはなんと言いましょうか、『旅人相手に商売をする者』、としか言い様がないのです。魔法使いには恐らく分類できません」
「え、でも俺の名前知ってたし、さっきいきなり居なくなったし…魔法使いじゃねーのか?じゃあなんかの体質?」
「そちらの方がまだ近いですかね…」
「近いって事はそれも違うのか?」
「妖精とか神様とか呼ばれてる、『そういう存在』って言うしかない奴はけっこう居るんだよ。どういう風に生まれてきたか、とかはバラバラだけど。で、彼奴はそれの可能性が高い」
アルトリアの説明を燐が引き継ぐ。
…しかし今度は妖精に神と来た。この村に入ってから、今までの常識がまるで粉微塵にされているようで落ち着かない。
「あえて言うならってのが、さっきの『旅人相手に商売をする者』なんだよ」
「…ん?旅人?」
「優一郎、多分もっかい"外"行くんだろ?これから旅人になるから先声掛けたってトコだろ」
「……」
矢張り、優一郎はグレンを助けに行くのだろう。
…それを成せるだけの力を得られるのだろうか。
「付け加えるなら、彼は商品の対価を実質求めません」
「…商売になってないんじゃないの…?それって」
呆れたように与一が言う。
「実質、ですよ。彼が求めるのは、『何かを倒した実績があること』のようです。」
「実績……」
「ええ。クロウ……私達が彼の商売相手に選ばれたときは、極稀にですが取引に応じてくれないこともありましたから、きっと独自に基準を決めているのでしょうね」
「……商売相手に選ばれた、と言ったか?」
「ええ。他の村人にも、旅の途中で彼と取引した者が居ましたが、全員対価は『実績』で、期間は被っていませんでした。彼は一人を顧客に選び、その旅が終わるまで他とは商売をしないようです」
「……つまり、優一郎の旅は何かを倒す旅になるのか」
そう真琴が呟くと、アルトリアが振り向いてこてりと首を傾げる。
その仕草は先程の燐とよく似ていた。
「───倒すのでしょう?吸血鬼を」
アルトリアの言葉にハッとする。
そうだ、村の外は吸血鬼と人の争いが続く世界。
自分の身を守るためには、他の者達を踏み越えて行かねばならない。
村が平和すぎて、それを意識の外に追いやってしまっていた。
「ヨハネの四騎士ってのも居るんだろ?」
そう言ってポンポンと燐が優一郎の頭を撫でる。
先程までの子供っぽさは何処へやら、その微笑みは見る者を安心させる大人のそれだった。
「俺達も手は貸すからさ。頑張れよ」
「おう!……ってかガキ扱いすんな!」
「俺より年下だろー?」
「う……でも背は大して変わんねーじゃねーか!」
「伸びる前に成長止まっちまったんだよ!もう一寸伸びる筈なんだっての!」
ぎゃいぎゃいと騒がしくなった一行は、ゆっくりと道を進んでいった。
きっと彼等の旅が始まれば、夢を見る間も、空想に浸ることもないのだろうから。
今は、今だけは、幻想と願望で出来たこの村で、ほんの少しの安息を。
村に入ってからも長いですね、登場キャラ数的に仕方ないかもですけど…
……自分で設定しといてなんですが武器屋で林檎を買ったって違和感凄い…
今後についてですが、終セラ組が村を一周したら時系列・主人公バラバラの短編形式になっていきます。その際後書きのマテリアルの内容を掘り下げますが、もし活動報告へのコメントなどで『この村人の話が読みたい』系の要望があればその村人の話から優先して書きます。
なければ登場順ですかね?
今回はマテリアルの人数少なめです。
多分今後も一寸ずつ省きます。元々全員ではなかった筈ですし。
~衛宮士郎~
住み込みの家政夫業(ほぼ家族扱いなので職と言うよりは家事担当・お小遣い有り、みたいなもの。引き取られてきた士郎に気を遣わせないよう、クロウ達がそういうことにしている)と何でも屋のバイトを両立しており、その業務として午前中他の家の畑の手伝いなどをしていた。
周りの人間が剣使い・魔法使いばかりで弓使いが居なかったため、与一はいい話し相手だった。
~山崎退~
優一郎(と士郎が来るまでは与一も)にどうやって気付かれないようにしていたか質問攻めにされた。
魔法でなく技術なので、口頭でポンと教えられるほど簡単ではない。
~ザッカリー~
ブエノス・ディアス、親愛なる
ここからはオレの説明だけど、もしアンタがプレイヤーだったなら、ある程度予想はついてるんだろうな。
オレはザッカリー。OFFって名前のPCゲームのアイテム商人だ。
入れ墨はどこから来たのかって?ゲームの製作者が俺の絵を描いたときに付けてたのさ。ゲームの中には無い絵だけどな。
この物語では、いつでもあっちこっち、気づくと『主人公』って呼べるような旅人の目的地に先回りしてる羽目になってる。
『存在』ってよりは、『現象』に近いかもしれないな。
優一郎の名前を知ってるのは、最初に呼び掛けるように決められているからさ。
ま、当分出番はなさそうだが。
ああ、商品の代金についてだが、あれはちゃんと貰っているぜ。ほら、ゲーム出てきた敵を倒すと金が貰えたりするだろ?あれを貰ってるのさ。
発言がメタいって?HAHAHA、そう言うキャラだからな。プレイヤーにメタ男って呼ばれたこともあったなぁ。
ま、タワゴトはこのへんにしとくか。
アンタにじっくり耳を傾けてもらえるほど、オレは重要なキャラじゃないんでね。
~奥村燐~
素で怪力。クロウ達と旅をしている際にザッカリーには会っている。
実年齢は結構行ってるので十分大人。
長らく姉弟のように過ごした為、アルトリアと仕草が似ている。
~アルトリア・ペンドラゴン~
ザッカリーのような、掴み所の無い奴の相手は疲れる。燐よりは年上。
長らく姉弟のように過ごした為、燐と仕草が似ている。
~百夜優一郎~
名前をいきなり呼ばれてびびった。
実質タダで買い物が出来るのはいいが、ザッカリーは少々苦手だと思った。
~百夜ミカエラ~
ザッカリーが現れた際、真っ先に優一郎を背に庇った。
自分と背も年も変わらないように見える燐が余裕綽々っぽいのがちょっと羨ましい。