君月未来ちゃんの年齢どーしよ…もう一寸考えさせて下され
その人物は急いでいた。
風除けとして第一位始祖の羽織る、上等で、厚く暖かいマントで覆い、己が力を注いで、回復とウイルスの排除を図っているが、それでもその腕の中の少女は何時死んでも可笑しくない所まで命を削られていたのだ。
一刻も早く、安静に出来る場所が必要だった。
吸血鬼や帝鬼軍に見付からないよう、少女と自分に透明化の魔法を掛けている為、周囲を警戒する事無く、ただ全力で、自分の拠点へと走っていた。
(空間移動は今のこの
そうして走る内に、その人物にとっては見慣れた森が見えてきた。
と、そこで君月未来の意識が戻る。
「…う、あ…」
「あ、目、覚めちゃった?ごめんね、揺らしちゃって」
まだ朦朧としているのか、目の焦点は合っていないが、自分が抱きかかえられていることは理解できたらしい。
「ここ…どこ…?」
「お医者さんの家への道だよ。君の病気を治せる人が見付かったから、そこへ向かってるんだ」
目が覚めた時点で、急いで痛覚を一時的に麻痺させたが、上手くいったのか、苦しげな表情では無かったことに安堵する。
「お兄ちゃんは…?」
「今は別のとこにいるよ。君が元気になったら一緒に迎えに行こう」
「…うん…」
「…おやすみ、もう一寸だけ寝ててね」
魔法を使い、少女を眠らせる。
少女の瞼が再び落ちる前に捉えたのは、漆黒の髪と、月のような金色の瞳だった。
…紳士的な態度を心掛けていた件の人物であるが、内心は割と荒れていた。
(こんな可愛い
つーかウイルスのせいで若いのばっかだって聞いてたけど、年の近いだろう女の子に酷いこと出来るって、割と精神状態ヤバい奴が多いのでは?
…ウイルス感染しても未だ生き延びてる老害とか居そうで嫌だな…)
そんなことを考えている内に、拠点が見えた。
(とりあえずは屋敷で治療続行だな)
少女の命を繋ぐ為、その人物は拠点の中心地へと駆けていったのだった。
「優、君は運が良いんだねぇ」
阿朱羅丸の声が聞こえる。
確か俺はラッパを吹いて…あの後いったいどうなったんだろう。
「君は悪魔を倒した後、第一位始祖に気絶させられたのさ」
第一位始祖?気絶?…殺されなかったのか?
「君と君の家族を匿うつもりらしいからね。御丁寧にラッパに封印まで掛けてったよ」
皆…無事なのか…?グレンは…?
「生きてはいるだろうね」
そっ…か…
「目が覚めたら体も動かせるようになってるでしょ、おやすみ、優」
…ああ…おやすみ…阿朱羅丸…
少年が目を覚ますまで、あと数時間。
魔法がどういうシステムかは後々書きますが、根源到達の関連ではないです。