6月20日(月)
圭一は、昨夜はあまり眠れなかった。
好奇心とはいえ、祭具殿に入ってしまった事に少し後悔していた。
授業中、うつらうつらと顔を揺らしていると知恵先生に怒られた。
知恵先生「前原君、顔を洗ってらっしゃい」
圭一「あ、はい!」
圭一は、教室を飛び出し、顔を洗いに行った。
外で洗った方が気分が良いと思い、外の流しで顔を洗っていた。
何処からか御影が姿を現した。
御影「やぁ、圭一君。今日は眠たそうだね!」
圭一「ん…御影か。ふぁ~ぁ。授業、さぼるなよな~」
圭一が顔を洗っている様子を、御影は眺めていた。
すっかり眠気を解消させて、圭一が教室に戻ろうとした時だった。
御影「圭一君。昨日の綿流しの晩、詩音ちゃんと居なかった?」
圭一は、体が強張った。
圭一「さ、さぁ…。会ったかもしれないし、会わなかったかもしれないし…」
圭一は、曖昧な答えで誤魔化そうとした。
御影「『会った、会わなかった』じゃなくて、詩音ちゃんと『一緒に行動してなかった?』って聞いてるんだけど」
ドキンと心臓が跳ね上がった。
圭一「ど、どうして、そんな事を気にするんだよ!?」
御影「皆が変な『噂』をしてるんだよ!圭一君と詩音ちゃんが、梨花ちゃんの奉納演舞を行っている最中に抜け出して何か悪い事をやっていたって!それが事実かどうか、こうして尋ねてるんだ!」
圭一は、血が凍った。
昨日、圭一と詩音が奉納演舞の最中に抜け出した事、その間に『何か悪い事』をやっていたと『噂』になっている事。
御影は詩音までしか言及してないが…もしかしたら、それ以上の行動まで『噂』になっているのでは…と圭一は疑念に思った。
そこに、追い打ちを掛ける様に御影は言った。
御影「そうだよね、圭一君と詩音ちゃんが悪い事なんてする訳ないよ!富竹さんと鷹野さんの二人なら、ともかくさ」
圭一「えっ!?」
御影「ごめん!変な『噂』の所為で圭一君を疑って悪かったよ!僕って詩音ちゃんの事になると、つい後先考えずに行動しちゃうからさ。この話はもうしないよ!じゃあね~」
圭一「あ…」
御影は、スキップしながらこの場を去った。
圭一は、御影に対して『噂』について知りたかったが、御影はさっさとこの場から離れてしまった。
圭一の手は、汗でびっしょりになっていた。
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放課後になり、圭一と魅音が体調不良の事から部活はなかった。
圭一は、親に頼まれて図書館に本を返しに行った。
そこで、詩音に出会って二人で話をしていると、今度は大石と遭遇した。
大石は、圭一と話をする為に圭一と詩音を引き離してしまった。
詩音は先に帰ってしまい、圭一は時間差を置いて帰宅する事になった。
圭一は、帰宅の最中にコンビニ袋を持った御影と出会った。
御影「やぁ、圭一君!」
圭一は、今日一日で色々な事があって疲れていた。
しかし、今日の昼間に御影が話していた『噂』について聞きたかった。
圭一「よ、よう。話があるんだけど良いかな…?」
御影「良いよ、良いよ。詩音ちゃんへの恋愛相談以外なら何でも話して良いよ!」
疲れ切っている圭一とは対照的に、御影のテンションは高かった。
圭一「昼間、言ってただろ?俺と…詩音の『噂』。どんな物か詳しく教えて欲しいんだけど…」
御影は、悩んだポーズをしてから口を開いた。
御影「綿流しの晩にね、圭一君と詩音ちゃんと富竹さんと鷹野さんの四人が梨花ちゃんの奉納演舞の最中、祭具殿に忍び込んだって『噂』だよ。酷い言い掛かりだよね!これが本当なら、圭一君は詩音ちゃんとデートしたばかりか、僕に何も教えてくれずに祭具殿の中を見たんだよ!僕としては、男の友情を二回も踏みにじられた気分だよ!」
圭一は、その答えに恐怖した。
なぜ、昨日今日でその事実が判明して『噂』になっているのか。
そして、『噂』を知る事がなかったのか。
圭一「…なんで、そんな『噂』が広まってるんだ?…そんな『噂』をお前以外に語ってる奴見た事ないんだけど」
御影「そうなの?じゃあ、教えて上げるよ。昨日の夜、富竹さんと鷹野さんが死んだんだよ」