圭一「…え?」
御影「昨日、富竹さんと鷹野さんが死んだって言ったんだよ」
圭一「な、なんで!?どうして!?」
圭一は、我を忘れて御影に問い詰めた。
御影「祭具殿に忍びこんだからじゃないの?あそこは古手神社の大切な場所だし」
圭一は、その答えに震え出した。
自分が起こした行動がとんでもなくマズイ事だと気付いてしまった。
御影「凄い死にザマだったらしいね。富竹さんは自分の爪で喉を引き裂いて死んで、鷹野さんはドラム缶の中で生きたまま焼かれたらしいよ。僕も祭具殿に忍び込んでいたら、そうなったんだろうな~。ちょっと残念だよ」
圭一の震え顔とは対照的に、御影はヘラヘラ笑っている。
御影「圭一君は、当事者である可能性があったから皆が黙っていたんじゃない?でも、圭一君には何も起こってないって事は、圭一君と詩音ちゃんの『噂』は嘘だったんだね!きっと、魅音ちゃん辺りが僕に対して嫌がらせする為に付け足ししたんだよ!まったく、酷いと思わないかい!?」
圭一は、何も答えなかった。
御影「もし本当に、圭一君と詩音ちゃんが祭具殿の中でデートしてたなんて事があったら、僕が圭一君を殺しちゃうよ!例えば、圭一君を生きたまま縛り付けて、手足の指全部に釘を打ち突けるとかしてさ!僕に嘘吐いて詩音ちゃんと祭具殿でデートしたんだから、これ位はしないと気が済まないもんね!」
冗談には見えない御影の表情に、圭一は苦笑いして誤魔化した。
御影「僕、こっちの道だから。じゃあね~」
御影は、ヘラヘラ笑いながら圭一と別れた。
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その日の夜。
圭一は、詩音と電話した。
詩音の無事を確認すると少し安堵した。
圭一は『噂』の事について話した。
圭一「…って事なんだ。詩音は、この『噂』知っているか?」
詩音は、少し沈黙して答えた。
詩音「私も園崎の人間です。その『噂』なら知っています。私達がまだ生きているのは確証がないからだと思います」
圭一「か、確証…?」
詩音「はい。富竹さんと鷹野さんには、祭具殿に入った確証があった。しかし、私達にはそれがなかった。だから、まだ無事なんだと思います。もし確証が出た時は…」
詩音は、その先を言わなかった。
圭一「…って事は、俺達はギリギリの状態で生かされているって事なのか?なぁ…詩音、これから毎晩で良いからこうやって連絡し合わないか?お互いの無事を確認する為にも」
詩音「ええ、良いですよ。それにしても御影ったら、何処で『噂』を知ったのでしょうか?この『噂』は一部分でしか流れていないのに…」
圭一「ま、まぁ…。御影は、詩音の事になると無我夢中になるし…」
実際、御影の詩音に対する行動力は凄い物だった。
詩音に会ったと思えば噛み付くし、圭一と詩音の会話にはひたすら割り込んで来るし、いつもは勝負から逃げているのに詩音の事になると敵対心を燃やして来るし、魅音の嘘とはいえ祭りの間ずっとゴミ山で待っているし…。
御影が『噂』を本当だと知ったら御影に殺されるんじゃないか?…と圭一は、本気で思った。
詩音「じゃあ、圭ちゃん。また明日。…もし、何か分かったら隠さないで教えて下さいね」
圭一「ああ、俺達は運命共同体だもんな」
圭一は、受話器を置いた。
圭一「毎晩、詩音と話してるなんて御影にバレたら、それだけでも殺されるかもな…」
圭一は、そう笑って眠りに付いた。