6月21日(火)
その日の夜。
詩音の電話から、公由村長が失踪したかもしれないという事実を聞いた。
詩音が言うには、公由村長に相談した所為で巻き込まれる形で失踪してしまったと仮説を立てたからだ。
圭一も梨花に相談した事を思い出し、梨花に電話をしたが繋がらなかった。
圭一は急いで、魅音・レナ・御影に連絡して合流する事になった。
御影「なんだよ、圭一君!僕はお風呂に入ってたのに!こんな時間に呼び出すなんて非常識じゃないか!」
圭一「ご、ごめん!でも急ぎなんだ…。もしかしたら、梨花ちゃんに何か遭ったかもしれないんだ!」
レナ「圭一君、急ごう!」
魅音「ほら、御影!もたもたしないで!」
御影「人使いが荒いなぁ。でも、魅音ちゃんとレナちゃんからシャンプーの良い香りがするから許して上げるよ」
御影のいつもの言動に圭一・魅音・レナは反応せず、急いで梨花と沙都子の居る家へと向かった。
四人は梨花と沙都子のいる家に着いたが、家は暗闇に包まれており物音も一切せず異常を示していた。
扉は鍵が掛かって開けられなかった。
魅音はハシゴを持ってきて、圭一はそれに登って中の様子を見ようとした。
レナと御影は、合鍵を貰って来ようと二人で駆け出した。
しばらくして、レナが村民の何人かと一緒に戻って来た。
レナ「これ、合鍵!」
圭一「すまん、レナ!御影は!?」
レナ「警察に連絡するって!」
魅音「とりあえず、中に入ろう!」
圭一と魅音とレナは、合鍵を使って中に入った。
部屋は普通の光景だったが、そこには誰も居なかった。
三人は室内を隈なく探したが、二人を見つける事は出来なかった。
やがて、御影が連れて来た警察が着いて大人の村民を含む大勢の人達が村中を隈なく探した。
しかし、誰一人として公由村長を含む三人を発見する事は出来なかった。
圭一は、自分の軽率な行動に後悔して涙を流した。
圭一「俺の所為だ…俺の所為で二人が…」
レナ「大丈夫…圭一君の所為じゃないよ。皆だって、ちゃんと分かってるから…」
御影「そうだよ、圭一君!もしかしたら、今頃、あの二人は呑気に村長さんと興宮のレストランで食事を取ってるかもしれないよ!明日になったら何事もなく登校して来るさ!」
レナの慰めと御影の支離滅裂な言葉に、圭一は泣き続けるしかなかった。
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6月22日(水)
圭一はレナと登校したが、沙都子と梨花は依然として行方不明のままだった。
圭一が意気消沈していると、御影に校舎裏に呼び出されてた。
御影「圭一君。詩音ちゃんの事で何か知らない?」
御影は、そう尋ねて来た。
圭一は、詩音と毎晩電話で話している事を話そうと思ったが、絞め殺されるのではないかと思って答え辛かった。
御影「僕が、詩音ちゃんの事を好きだって知ってるよね?何か知ってるなら教えて欲しいんだ」
御影は、突然大きな声で喋り出した。
しかし、圭一は「何も知らない…」と答えた。
御影「そっか…。じゃあ、詩音ちゃんも失踪しちゃったんだ…。うっ…うっ…」
御影が、妙な事を言って泣き出した。
圭一「詩音が失踪したってなんだよ!?どういう事だ!?」
圭一は、御影に迫って問い詰めた。
御影「詩音ちゃん…綿流しの日以降エンジェルモートに出勤してないんだよ…。あれから毎日行ってるのに無断欠勤してるって言うんだ…うっ…うっ…」
有り得ない。
詩音は、毎晩自分に電話してきている…。
じゃあ、あの電話の相手は一体誰なんだ…と圭一は顔を青ざめてそう思った。
気が付くと、御影は泣きながら教室に戻って行った。
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その日の夜、圭一はいつも掛かって来る電話で『詩音』を問い詰めた。
圭一「君は…綿流し日以降、エンジェルモートに出勤していない…。いや、それどころか姿すら見た人がいない…。園崎詩音は…綿流しの日以降失踪しているんだ…!」
暫くの沈黙の後、電話の向こうから奇声の様な笑い声が聞こえて電話が途切れた。