6月11日(土)
圭一は、父親の仕事関係のホームパーティに出席していた。
大事なパーティであったが、圭一にとっては退屈だった。
圭一は、電話に呼ばれた。
圭一「もしもし、俺ー!」
沙都子「『もしもし、俺ー!』なんて挨拶はございませんですわよ。もう少し言葉遣いをお勉強なさいませ!」
圭一「何だ、沙都子じゃねーか!お前が俺の所に電話して来るなんて珍しいなぁ」
沙都子「呑気な事を言ってる場合ではありませんのよ!それよりも、いつになったらこっちに来れますの!?」
圭一「わ、わりぃ…。こっちも何だが長引いちゃってさ…。なかなか、解放して貰えないんだよ。俺も早く部活に加わりたいんだけどさ…」
沙都子「違いますわよ!今日は部活ではありませんわ!実戦ですのよ!」
沙都子の声の焦る様な声から緊迫感が感じられた。
圭一「じ、実戦!?何だか穏やかな話じゃないな…。どういう状況なんだ?」
電話先から御影の声が聞こえた。
御影「説明してる暇なんかないよ!相手は九人がかりで僕達をボコボコにしてるんだ!!魅音ちゃんとレナちゃんが時間を稼いで、沙都子ちゃんが連絡してるんだよ!圭一君が早く来ないと取り返しの付かない事になっちゃうよ!!」
圭一「お、おい!場所は何処だ!?今行く!」
御影「興宮小学校のグラウンドだよ!駅まで来れば看板があるから判るよ!」
そう言って、電話が切れた。
圭一は、ただならぬ事態を感じ、父親からゴルフクラブを借りて自転車に乗って飛び出した。
スピード違反、信号無視、銃刀法違反も上等で急いで向かった。
途中、御影と出会った。
圭一「だ、大丈夫か!?一体何があったんだ!?」
御影「初めは、こっちが優勢だったんだ!でも、相手が助っ人を呼んで魅音ちゃんやレナちゃんを容赦なくボコボコに倒したんだよ!」
圭一「なっ!?部活メンバーとはいえ、女の子相手に助っ人まで呼んでボコボコにしてるのか!?男の風上にもおけない奴等だ!!」
御影「案内するよ!急いで!」
圭一は、学校に着くと自転車を走らせて校庭のど真ん中にゴルフクラブを持って参上した。
圭一「前原圭一、参上ぉぉぉ!!敵は何処だぁぁぁ!!」
辺りの空気がしんと冷えた。
レナ「あの…圭一君、そのゴルフクラブ何かな?かな?」
圭一「え…?いや、お前らがバタバタ倒されたからって…」
沙都子「…圭一さん。また御影さんに一杯食わされたのですのね…」
圭一「や、野球の試合なら始めからそう言えぇぇぇ!」
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誰もが圭一の登場に驚かされたが、試合の結果が変わるとは思わなかった。
しかし、圭一と沙都子による『連携』と『表では語れない買収劇』により見事に逆転劇を決めた。
御影「凄いね、圭一君!やっぱり、君を見込んで助っ人として呼んだのは正解だったよ!」
圭一「御影、さっきはよくも~!…って、そういえば、何でこんな所にいるんだよ!?」
御影は、汗も疲れも見せておらず服も汚れていない。
詩音「ほんっと御影ったら、役立たずなんですから」
ひょこっと詩音が姿を現した。
御影「ごめんね~。スポーツってのは昔から苦手でさ。野球のルールなんて相撲と区別が付かない位、弱いんだよ」
入江「それは、苦手とか言うレベルではありませんよ」
野球監督の入江は笑った。
圭一は、合点がいった。
部活メンバーでもなく、スポーツが苦手な御影がここに居る理由は『詩音が居るから』だ。
御影は、詩音の話を聞いて以降、彼女にぞっこんで彼女がマネージャーをやっている雛見沢ファイターズに顔を見せに来ていた。
一方の詩音は、御影に対しては好意の『こ』の字もない。
御影は、初対面で会った詩音に対して速攻告白して速攻玉砕し、抱き付こうとしたらスタンガンで反撃を食らったと噂されていた。
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夕暮れ時。
圭一が、水場で顔を洗っていると詩音と出会った。
詩音「圭ちゃん、今日は大活躍でしたね~」
圭一「そうか?俺より沙都子の方が活躍してたよ」
詩音「ははっ…。悟史君とは大違いです。きっと、運動神経は全部妹に取られちゃったんですね…」
圭一「知ってるのか?兄貴の事?」
詩音「圭ちゃんこそ、知ってるんですか?」
圭一「会った事はないけど、両親が亡くなった後に転校したんだっけ…」
圭一は、入江から聞いた話を部分的に話した。
それに対して、詩音の顔が険しくなった。
詩音「転校…?誰が…!誰がそんな事…言ったんですか!?」
圭一「いや…誰って、なんだよお前…急に…」
詩音は、ハッと我に返って顔を伏せた。
詩音「…すみません。でも圭ちゃん、よく知りもしないで悟史君の事…転校とか言わないで下さい…」
詩音がそう言うと、圭一の後ろから御影が現れた。
御影「そうだよ、圭一君。悟史君の事を全然知りもしないで、そんな事を言うと詩音ちゃんが困っちゃうよ」