ひぐらしのなく頃に 嘘   作:HTNN

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【祟騙し編⑦】

圭一「ど、どうした、沙都子…?お前、頭撫でられるの…嫌いだったか…?」

 

沙都子「あ…あ…」

 

 

沙都子は、焦点の定まらない目をして両手で頭を押さえて叫んだ。

 

 

沙都子「あああぁぁ…!!嫌ぁ…!嫌ぁあああ!!」

 

 

沙都子は、物を辺り構わず投げ、覚束ない足で教室の隅に逃げ、怯える様にカーテンの束にしがみ付き謝り続けた。

 

 

沙都子「ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!」

 

圭一「さ、沙都子どうしたんだ…!」

 

 

圭一は、沙都子の急変に何が起こったのか理解出来なかった。

 

魅音が、御影を渾身の力で掴み、鬼の様な形相で言い放った。

 

 

魅音「御影!!これが、あんたの仕出かした結果だよ!!あんたの所為で沙都子が…!沙都子が…!!」

 

 

御影は、それに対して言った。

 

 

御影「魅音ちゃん。それは、お門違いだよ。僕は、沙都子ちゃんを助けようとしたんだ。でも沙都子ちゃんは、僕の救いに手を延ばさなかった。これは、沙都子ちゃんが望んだ結末なんだよ」

 

 

御影がそう言うと、魅音は御影を握り拳で思いっきりぶん殴った。

 

御影は、教室に派手に転がり、机と椅子に強打して用具と散乱して倒れ、クラス一同が騒ぎ始めた。

 

 

レナ「皆黙って!!…沙都子ちゃん、ごめんね…ごめんね…。無力な私達を…許して…」

 

 

レナは、優しく包む様に沙都子を抱きしめて泣きながら謝った。

 

騒ぎに気付いて知恵先生がやって来た。

 

 

知恵先生「これは…一体何事です!?何があったんですか!?」

 

 

すると、御影がよろよろと起き上がって知恵先生に言った。

 

 

御影「ごめんなさい、知恵先生。僕が、沙都子ちゃんをからかったら大泣きしちゃったんです。そしたら、魅音ちゃんに殴られちゃってね。そうだよね?沙都子ちゃん」

 

 

沙都子は、御影の言葉に気付くと涙を拭いて言った。

 

 

沙都子「そ、そうですわよ。御影さんったら、酷い事を言うんですの…!私も傷付いて泣いてしまわれたから…魅音さんが怒るのも無理はないですわ…!」

 

知恵先生「…事情はわかりました。夜白君、職員室に来なさい」

 

 

御影は、知恵先生に職員室へ連れて行かれた。

 

 

沙都子「ホホ…。御影さんったら…ザマァないですわ…」

 

 

沙都子は笑顔でそう言ったが、クラス一同には痛々しい思いしか残らなかった。

 

その日、御影は授業に出なかった。

 

職員室で長い説教を受けたのか、保健室で傷の手当てを受けているのかは判らなかった。

 

.

.

.

 

放課後。

 

圭一は、御影を校門で待っていた。

 

全員が下校し、辺りが暗くなり始めた頃に御影は出て来た。

 

 

御影「あれ!?圭一君じゃないか!?どうしたんだい、こんな時間にこんな所で!?」

 

 

御影は、顔に包帯、片手にギブスをしていた。

 

 

圭一「大丈夫か…?その怪我…」

 

 

圭一は、御影の怪我の具合に驚いて尋ねた。

 

 

御影「大丈夫だって!全治二週間程度の怪我だよ!お医者さんに言われたよ~、若いんだから、もっと運動して体鍛えとけってさ。僕に運動能力なんか期待しても無駄なのに、酷いよね~!」

 

 

圭一は、そんな御影を心配して一緒に下校した。

 

 

圭一「魅音が言ってたけど…。毎日、児童相談所に電話してたんだってな…」

 

御影「そうだよ!毎日、四六時中電話してたんだ!なのに、沙都子ちゃんったら追い返しちゃうんだもん!僕も意地を張り過ぎた所為かもね。それに対抗して一日に何度も通報してやったんだ」

 

 

魅音は、御影による度が過ぎた悪戯と解釈した。

 

圭一も、実際そう思った。

 

しかし、今日の沙都子を思い出して気が付いた。

 

沙都子の壊れるタイムリミットは存在していた。

 

もし、御影が通報を止めてもそのタイムリミットがいずれやって来て、沙都子は壊れてしまったのではないかと思った。

 

 

御影「ここでお別れだね!大丈夫だよ、口さえあれば児童相談所に通報出来るからね!そんな気を落とさないでよ!」

 

圭一「え…?お前、まだ通報するのか…?」

 

御影「何言ってるの!?沙都子ちゃんはまだ助かってないんだよ!沙都子ちゃんに止められようが、魅音ちゃんに毎日殴られようが、両腕の骨が折れようが、僕は通報し続けるよ!」

 

 

御影は、圭一と別れて早足で帰宅した。

 

 

 

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