6月19日(日)
綿流し当日。
詩音は少し浮かれていた。
御影が言っていた、今日の勝負事。
もし圭一が勝てば圭一と詩音が付き合う事になり、魅音はどんな反応をするんだろうと楽しみにしていた。
しかし、御影は祭りに姿を現さず、奉納演舞の時間になった。
詩音は、圭一を誘って富竹と鷹野がいる祭具殿まで案内し、祭具殿に入った。
別に興味があった訳じゃない。
ただ面白半分に入っただけだった。
詩音「圭ちゃん。私と会った事は、お姉に内緒にしておいて下さい。お姉、嫉妬深いんです」
詩音は、そう言って園崎本家に帰宅した。
魅音の頭首、園崎お魎が今日一日だけ詩音が本家に泊る事を許し、詩音はそれに甘えた。
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その日の夜中。
詩音は、ふと目が覚めた。
水を飲みに行こうと廊下に出ると、魅音とお魎が話していた。
その会話は聞き取り辛かったので、詩音はさっさとその場を後にしようとした。
『オヤシロさまの祟り』
詩音は、その言葉を聞くと歩を止めた。
詩音は思った。
今日という日、オヤシロさまの祟りが起こったのだと…。
その時、詩音の傍にあった廊下の黒電話が鳴り出した。
急いでこの場を離れようとした詩音は、暗闇から魅音に掴まれた。
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魅音は、詩音の襟首を片手で掴みながら、電話にでた。
「魅音です…。…わかりました。そちらの対応はお願いします。…それから、一切の口封じを宜しくお願いします。…えぇ。…えぇ」
詩音からは、電話の相手が何を言っているか聞こえなかった。
ただ、魅音の口ぶりから只ならぬ事態である事は理解出来た。
魅音「…聞いてた?」
魅音は、詩音に背を向けたまま話し掛けた。
詩音「ハハッ…、何の事か分からない…」
魅音は、詩音を強引に引っ張り、詩音に自分の顔を近づけて言った。
魅音「聞こえた通りです。富竹さんと鷹野さんがオヤシロさまの祟りに遭われました。本当にお気の毒な事です」
魅音は、鋭い目付きで淡々と説明した。
詩音「お姉…。何を…」
魅音「富竹さんは、自らの手で喉を掻き毟ってお亡くなりになりました。鷹野さんは、遠くの山奥でドラム缶に詰められて焼き殺された様です」
詩音「な、何それ…何で、そんな死に方…!?」
魅音「分かりませんか、詩音?理由なんて一つしかないじゃないですか…」
詩音「な…何の理由かな…?」
魅音「オヤシロさまの祟り…!」
魅音は、そう言うと同時に気を失って倒れた。
詩音が、魅音にスタンガンを当てたのである。
詩音「悟史君…。やっと、私…分かったよ。やっぱり、全て園崎本家の仕業だって事…。悟史君の無念は、きっと私が晴らすから…!私は、悟史君みたいに殺されないから…!」
覚悟した詩音は、お魎にも背後からスタンガンを当て、気絶した二人を園崎家の地下牢へと連れて行った。
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詩音は、魅音とお魎から真実を聞く為に二人を問い詰めた。
しかし、お魎はスタンガンのショックで死んでしまい、魅音は「何も知らない」の一点張りだった。
やむをえず、詩音は『魅音』として動き出し、『北条悟史の手掛かり』を探し始めた。