6月20日(月)
圭一は、知恵先生に怒られ、外の流しで顔を洗っていた。
詩音はチャンスだと思い、圭一に揺さぶりを掛けようと思った時だった。
御影「やぁ、圭一君。今日は眠たそうだね!」
御影が何処からともなく現れて、圭一に話し掛けた。
詩音は舌打ちした。
圭一と接触するチャンスを失ったからだ。
二人の様子を見ていると、御影が何やら妙な事を話し始めた。
御影「皆が変な『噂』をしてるんだよ!圭一君と詩音ちゃんが、梨花ちゃんの奉納演舞を行っている最中に抜け出して何か悪い事をやっていたって!それが事実かどうか、こうして尋ねてるんだ!」
詩音は驚いた。
御影の『噂』は完全に嘘だが、中身は真実である。
詩音は、御影がどうやってその事実を知り得たのかは分からなかった。
聞くところによると、御影は祭りの間、一人でゴミ山に居たらしいがその真意は不明だった。
詩音は『御影は、昨晩の圭一と詩音の行動を知っている』のではないかと思い始めた。
詩音は、御影の生み出した嘘の『噂』を利用する作戦を思い付いた。
.
.
.
詩音は『魅音』として村の会合に出席し、御影の生み出した嘘の『噂』を役員会に広めて、本当の『噂』にした。
詩音は、会合の直後に公由村長を園崎家に招き、隙を見てスタンガンを当て、地下牢に連れて来た。
公由村長は、お魎と立場がもっとも近く仲が良い。
詩音は、公由村長を問い詰めた。
答えは、魅音と同じで「何も知らない」だった。
.
.
.
詩音は、圭一に『詩音』として電話を掛けた。
圭一は、詩音に御影の話した『噂』の真偽を聞いた。
詩音は驚いた。
御影が『圭一と詩音の行動』だけではなく『富竹と鷹野の行動』『二人がオヤシロさまの祟りに遭った事』『その死因』まで知っていた。
詩音は、御影をただの変人の異常者だと思っていたが、考えを改め直した。
そもそも、オヤシロさまの祟りは捜査秘匿が掛かっているので一般の人間がその情報を知る事は出来ない。
しかし、御影の語った『噂』は真実である。
詩音は、御影に対してこれまでは違う警戒心を抱いた。
しかし、今は圭一を襲う敵を捕まえる事を第一にしていた。
そのために、圭一に警戒心を抱かせ、圭一を囮に敵を見つけようとしていた。
詩音は、圭一に『御影の言葉は全て本当の事』だと言った。
.
.
.
詩音は、御影の正体をいち早く知る為に再び地下牢に向かい魅音に尋ねた。
詩音「魅音、あの夜白御影って何者?まさか、あいつが鬼婆の共犯なんてないでしょうね?」
魅音は、急に御影の名前が出て驚いた。
理由は分からないが、詩音が御影の事を知りたがっている。
魅音は、知っている限りの情報を語った。
魅音「判らない…。御影は、天涯孤独って言ってたけど何処から来たかも言ってないんだ…。それに、御影が婆っちゃと仲が良いなんて考えられない。婆っちゃは一度会ってたけど、それ以来会うのを拒絶してたんだ…」
詩音「へぇ~、あの鬼婆と面識があったんだ。ただ者じゃないと思ったけど少し驚きね。で、何があったの?」
魅音「この前、引っ越しの挨拶に来たらしいんだ…。その時、私は不在だったから何があったのか分からない…。帰ってみると、ヘラヘラ笑いながら園崎家から逃げる御影と激怒した婆っちゃが居たんだ…。だから、あの二人が繋がってるなんて有り得ないよ!」
詩音「ふぅ~ん。確かに、あいつなら鬼婆を怒らせそうな事しそうだしね」
魅音の説明に納得した。
御影の性格をお魎が受け入れられるはずがないという事に。
だからと言って、御影が事件に関係ないとは言い切れない。
詩音は、近い内に御影を拉致する事を決めた。