御影と帰宅したあの日以来、レナは圭一が早く帰ってきて元通り部活する日々だけを期待して生活していた。
その為、レナは御影の言葉から逃げ続け、家の現状を確認したくなかった。
しかし、御影の言葉は嘘ではない事はレナも分かっていた。
その御影が言った。
『今日やらないと手遅れになる』と。
レナは家に帰宅した。
父親は留守だった。
レナは急いで金庫を開けて、中にある預金通帳を確認した。
そこには、ここ連日でもの凄い勢いで下がっている預金残高が記載されていた。
レナは青ざめた。
今日解決しないと本当に手遅れになると思い始めた。
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深夜、レナの父親は帰宅した。
レナは起きていた。
寝る事など出来なかった。
レナの父親「おい、礼奈。何時だと思ってるんだ?明日が休みだからってこんな時間まで起きてちゃダメだろ」
レナは真っ直ぐな目で父親に言った。
レナ「お父さん。私、預金通帳見たよ。お願い!もうお金を無駄に使うのを止めて!!」
レナの父親はビクっとした。
レナの父親「良いだろ?まだお金はあるんだし…。それにお父さん、間宮リナさんと結婚するんだ。大丈夫だって」
『だから不味い』
レナはそう思った。
出費の原因のほとんどは、そのリナに対する貢物が原因だった。
このまま散財していけば、一年も持たずに破産するのは目に見えている。
レナ「お願い!お父さん!!レナもお父さんを甘やかして放って置いたのは謝るよ!!だから、考え直して!!このままじゃ…お父さん、ダメになっちゃうよ…」
レナは泣いて後悔した。
母親の浮気の所為で離婚した父親の傷付いた心を直すには、父親の自由にさせたい事をさせるべきだとレナは思った。
それが良くも悪くもレナは父親が回復するならそれが正しい事だと思った。
しかし、それは間違いだった。
傷が深くなろうとレナは父親と二人一緒に少しずつ歩むべきだったと…今になって理解した。
これは、レナが家族から目を背けて生まれてしまった結果。
レナの父親「何言ってるんだ…?誰かに変な事、吹き込まれたのか…?」
レナは、自分の体力の限界まで父親をひたすらに説得した。
しかし、説得に応じる事はなかった。
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6月12日(日)
レナが目を覚ましたのは夕暮れ時だった。
父親は居ない。
その時、電話が鳴った。
レナが電話に出ると相手は知らない人物の声だった。
その内容は自分の父親が、リナの為に買った賃貸マンションの敷金礼金の支払い内容だった。
レナは、その話を聞いて以降、電話の内容が頭に入っていなかった。
電話が切れた時、レナは御影の言葉を思い出した。
『今日やらないと手遅れになる』
今日は、すでに終わってしまった。
レナは、もう何もかも手遅れになってしまったと確信した。
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その日の夜、レナの父親はまるでレナに見つからない様にコソコソと帰宅して来た。
レナは、そんな父親に対して説得どころか話し掛ける事さえしなかった。
父親を説得するのは不可能だ。
ならば、リナを説得するしかない。
レナの目に強い決意が宿った。