6月15日(水)
レナが起きると、いつもは寝ているレナの父親が朝食を作っていた。
レナの父親は、レナが話し掛ける前に謝った。
鉄平に暴行を受けた事と、連日のレナの無断欠席に対して、レナの父親はレナが言っていたリナの事を考え直したのだ。
レナは、それを許した。
レナの父親は、レナと一緒にゆっくりだが前に進もうとしている。
レナは、それを感じて涙が出そうになったが、笑顔で誤魔化した。
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レナは、学校に登校した。
今日から全てをやり直せる。
まずは、御影に謝ろう。
そして、皆で楽しく部活をしようと思っていた。
クラスはいつも通りの光景だった。
しかし、最後に登校して来た御影はマスクをしていて、体調不良の状態だった。
それに、いつもは開口一番で挨拶をして注目を浴びるのに目立った行動は何もしなかった。
御影は、授業の時も、休み時間の時も、昼休みの時も、静かで何も目立った行動はしなかった。
そんな御影を見た知恵先生は、早退を勧めたが御影は頑として拒否した。
放課後。
圭一は、御影を部活に誘った。
今日は出来なくても良いから、明日から一緒にやろうと。
しかし、御影はこう言い返した。
御影「嫌いな人達と関わりたくない」
御影は、早足で帰った。
これまでとは違う言い訳だった。
今までは「引っ越しの整理が終わっていない」「部活メンバー全員が揃って居ない」など、先延ばしにした言い訳だった。
今回は、明らかな『拒絶』。
レナは気になった。
『嫌いな人』ではなく『嫌いな人達』という言葉。
それは、レナだけの拒絶ではなく部活メンバーを含む言い方だった。
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レナは、御影の家に来ていた。
御影に謝りたい事と、今日の御影の言葉が気になっていたからだ。
レナは、御影の家のチャイムを鳴らす。
中から体調不良の姿をした御影が出て来た。
御影「なに?」
御影は、それしか喋らなかった。
レナは、御影が本当に部活メンバーを嫌いになっていると確信した。
レナ「トイレ貸してくれないかな?以前、約束してくれたでしょ?トイレならいつでも貸してくれるって…」
レナは、言葉を慎重に選んだ。
お見舞いに来た、お話に来た、と言えば追い返されるかもしれないと。
御影「そんな約束してたね。さっさと済ませてよ」
御影はキーチェーンを外して、レナを中に入れた。
レナは、閑散としている御影の家に入って、御影に聞いた。
レナ「御影君…。なんで、そんなに怒ってるかな…?レナだけじゃなくて皆にも怒ってるよね…?お願い、レナ達が悪い事したなら謝るよ!教えて、御影君!」
御影は答えた。
御影「以前言ったよね?ここに住んでいるのは『静かだから好き』っていう理由」
レナ「う、うん!レナも好きだよ!ここ!!」
嘘ではない。
レナの秘密基地も御影の自宅選びも同じ理由だ。
その気持ちは分かる。
御影「見ての通り夏風邪引いてるんだよ。まだ完治もしてない。なんでか分かる?」
レナ「え…?え…?」
御影「一昨日、家で休んでたら悲鳴が聞こえたんだ。何事かと思ったら、レナちゃんが人を殺してたのを見ちゃったんだよ」
レナ「…!?」
御影は、不運にも学校を休んでいた。
そして、リナの悲鳴を聞き、レナが人を殺していた所を目撃していた。
御影「警察には通報してないよ。いくらレナちゃんの事が嫌いだからって、そんな事でレナちゃんを警察に売ったりはしない。ただ、何があったのか確認したかっただけなんだ」
御影は、淡々と言い続けた。
御影「一昨日は悲鳴の所為でロクに寝られなかったんだ。その所為か病態が悪化して、昨日も休んでいたんだよ。すると、また悲鳴が上がったんだ」
レナ「あ…」
それは、鉄平の叫び声。
リナの時より、大きく汚く醜い声だった。
御影「それで、ノイローゼ気味になってね。日課の散歩も止めたんだ。それどころか、ゴミ山を見る度にあの悲鳴声が頭に響いてね。正直、こんな所にもう居たくないんだよ」
レナは理解した。
間宮リナがレナの空間を汚した様に、竜宮レナも御影の空間を汚してしまったと。
御影「それにその後、またゴミ山で騒々しい事が起こってね。フラフラになりながら見に行くと君達五人が、なんか騒いでる訳でしょ?ここに居るのも、君達の顔を見るのも、嫌なんだ」
それは、部活メンバーがレナの告白を聞いて、リナと鉄平の死体を隠そうと算段していた話だった。
御影「早い話、もう雛見沢には居場所はないって事。家にいれば悲鳴が聞こえるかもしれない、学校に行けば嫌でも君達と顔を合わせる。だから、近い内に引っ越そうと思うんだ。どうせ、僕なんか嫌われ者なんだ。皆すぐ忘れてくれるでしょ?」
レナは、違うと言いたかった。
しかし、レナが御影の居場所を全て汚してしまったのは間違いない。
レナは泣きながら、御影に謝る事しか出来なかった。