ひぐらしのなく頃に 嘘   作:HTNN

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【全誑し編④】

北条の家に着いた梨花は、奇妙な事に気付いた。

 

人の気配がなく、最近開けられた様子もない事に。

 

 

梨花「どういう事…?沙都子は何処にいるの…?」

 

 

梨花が呆然と立っていると、御影が追い付いて話して来た。

 

 

御影「梨花ちゃんは、人の話を最後まで聞かないんだから。僕に無駄な労力使わせないでよね」

 

 

御影はヘラヘラ笑いながら言ったが、梨花は御影に急いで問い詰めた。

 

 

梨花「沙都子は!沙都子は何処にいるの!?お願い、教えて!!」

 

御影「沙都子ちゃんなら、入江診療所だよ」

 

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入江診療所に着くと、多くの人達が治療を受けていた。

 

中でも一番重症なのは沙都子で、満身創痍でベッドの上に寝かされていた。

 

梨花と御影が入江診療所に着くと、村人は慌てている梨花を見ているが、御影に対しては誰もが視線を外していた。

 

 

梨花「入江!何があったのですか!?」

 

 

入江の話によるとこうらしい。

 

沙都子は魅音から醤油を貰い、帰る途中の商店街で鉄平と遭遇した。

 

鉄平は、沙都子を無理やり連れて帰ろうとするが、沙都子はそれを強く拒絶した。

 

鉄平は、そんな態度の沙都子に暴力を振るい始め、沙都子もそれに応戦した。

 

勿論、体格の関係から沙都子が勝てる道理はない。

 

それが解っていた村人達は、大勢で沙都子を助ける為に鉄平と闘った。

 

最終的には、警察の手で鉄平は連れて行かれたが、多くの負傷者を残す闘いだったと。

 

 

『信じられない』

 

 

梨花は、心の底からそう思った。

 

これまでの沙都子は、叔父の暴力を耐える事が悟史が帰って来る唯一の方法、そして贖罪だと信じていた。

 

そして、村人も北条家を『村の裏切り者』として扱っている。

 

見捨てる事はあっても、自分達が傷付いてまで北条沙都子を助けるとは信じられなかった。

 

しかし、診療所にいる多くの怪我人を見る限り、嘘を吐いてるとは思えなかった。

 

そこに、御影がやって来た。

 

 

御影「凄い惨状だね。僕が警察を呼ばなかったら、死人が出てもおかしくなかったよ。沙都子ちゃんは凄いね!あんなイカついオッサンに脅されたら、逃げるか従うかしかないのに立ち向かうなんてさ!」

 

 

沙都子は、その言葉に小さくも力強く言い返した。

 

 

沙都子「ホホ…。私、御影さんとは違いますの…。これ位の事…へっちゃらですわ…」

 

御影「今回ばかりは、沙都子ちゃんを称賛するよ!僕は『従う方』に賭けてたからね。結局、沙都子ちゃんにも『負け』ちゃったか」

 

 

御影は、お見舞いにと果物が入ったコンビニ袋を置いて帰って行った。

 

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6月8日(水)

 

 

沙都子は、学校を休んだ。

 

沙都子の事情を聞いて知ったクラス一同は梨花に問い詰めた。

 

 

圭一「梨花ちゃん!沙都子は無事なのか!?」

 

梨花「大丈夫なのです。安静にしていれば、祭りには出られる様なのです」

 

 

沙都子は、重症ではあるが命に別状はなく後遺症もないと判断され、祭りまで診療所で休む事になった。

 

他の大人達も、軽傷者や後遺症がないと判断された人達は退院している。

 

 

圭一「それにしても、沙都子の叔父ってのは本当にロクでもない奴だな。もし、沙都子が連れて行かれたと思うとゾッとするぜ」

 

御影「大丈夫だよ、圭一君!その時は、僕が児童相談所に通報してたからね!ちょっと静かにしてて、面白い物聞かせて上げる!」

 

 

御影がそう言うと、突然叫んだ。

 

 

御影「私を助けて!(沙都子の声)」

 

 

「「「えっ!?」」」

 

 

御影「どう、似てた?声帯模写の特技があってね。一度聞いた声とか真似る事が出来るんだ。これさえ使えば児童相談所なんて簡単に動かせると思うんだ」

 

魅音「そんな事したら、警察に悪質な悪戯で通報されるよ。それ使って変な事してないでしょうね?」

 

御影「大丈夫だって!この特技は、めったに見せないんだ。圭一君も魅音ちゃんもレナちゃんも、僕に『勝ってる』から教えて上げたんだよ。それに、僕は自分の変声で妄想するナルシストじゃないから安心してね!」

 

圭一「まさか、初日のアレも誰かの声なのか?」

 

御影「うん、そうだよ!あれは僕のお母さんの声なんだ!」

 

魅音「へぇ~。御影にも母親が居たんだね。アタシはてっきり桃から生まれたかと思ったよ」

 

御影「魅音ちゃん!それは、いくら何でも酷いよ!僕にだってお母さんはいるさ!」

 

レナ「でも、御影君。今は一人なんでしょ?お母さん…どうしたの?」

 

御影「レナちゃん、そんな気構えないで大丈夫だよ!僕のお母さんは、ある日僕を置いてどっかに居なくなっちゃったんだよ」

 

圭一「置いてって…。そんな、物みたいな言い方…。お前、大丈夫なのかよ?」

 

御影「大丈夫だって!僕には雛見沢がある!ここが、僕の居場所なんだ!こんな話なんて置いて、祭りのオークションの口上でも考えようよ!」

 

 

そう言って、御影はこの話題を止めた。

 

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部活メンバーは時折、御影の言っている事が理解出来ない時がある。

 

それは、御影の『負けた』『勝ってる』の発言である。

 

一体、何に対してそう言っているのか不思議だった。

 

 

 

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