境内にて。
鷹野「あなたを助けに梨花ちゃんは来るかしら?」
御影「来る訳ないよ!今頃、全員が警官隊に突撃命令を出してるさ!」
御影は、ヘラヘラ笑いながら答えた。
鷹野「命が惜しくないの?前に言ってたわね。綿流しの生贄になりたいって。あれは本当かしら?」
御影「本当だよ!でも僕の本当の願いは、鷹野さんに殺される事なんだ!そしたら、鷹野さんもきっと喜ぶよ!」
言ってる意味が解らなかった。
なぜ、死にたい?
なぜ、鷹野が喜ぶ?
御影が何を考えているのか分からない…。
鷹野がそう考えてると、境内に圭一と梨花が現れた。
御影「やぁ、圭一君!僕を助けに来てくれたんだね!僕は信じてたよ!やっぱり、持つべきものは友だよね!」
圭一「お前、さっき『きっと来ないよ~』とか言ってただろ!」
鷹野「どうやら、お友達は来たようね。さぁ、さっさとお帰りなさい」
御影「ちぇっ…」
御影は鷹野に開放され、しぶしぶ圭一と合流した。
鷹野は、圭一達を目で見張っている。
圭一「で、次はどうすれば良いんだ?」
鷹野「はぁ?さっさと梨花を渡しなさい。その為に来たんでしょう?」
圭一「おいおい、俺は梨花ちゃんを『連れて来い』と聞いただけで『引き渡せ』とは聞いてないぜ。これ以上の要求がないなら帰らせて貰うぞ」
圭一の滅茶苦茶な物言いに、鷹野と山犬は怒りを表していた。
鷹野「あら、そんな道理が通ると思う?あなた達が選べるのは『御影君が残る』か『梨花ちゃんが残る』かの二択。さぁ、早くしなさい」
圭一「じゃあ…交渉決裂だ!!」
圭一は、懐から手りゅう弾を取り出し、鷹野の前に投げた。
山犬「ふ、伏せろ!手りゅう弾だ!」
その言葉に、山犬は全員伏せたが、鷹野はその手りゅう弾を躊躇せずに足で押さえた。
手りゅう弾は爆発しなかった。
元々この手りゅう弾は爆発せず、圭一がハッタリで用意した物だった。
鷹野「私は、こんなもので揺るがない!私の意志の力を舐めるな!!」
鷹野は、圭一に銃を取り出し銃口を向けて発砲した。
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死ぬ瞬間が目に見えるというのがあれば、今の状況が一番判る。
圭一の胸の前には、弾丸が距離30cmほど手前で止まっている。
しかし、止まっているのは弾丸だけではない。
人も時間もなにもかもが止まっている。
圭一と梨花は足掻いた。
今動かなければ、いつ時間が動きだし、この弾丸が圭一を貫くか判らなかった。
しかし、体は動かせなかった。
体だけではなく、口も指先ですらも動かせなかった。
圭一と梨花は、これは運命…。
死を受け入れるしかない…と思い始めた時だった。
御影「もう無理だよ、圭一君、梨花ちゃん!諦めよう!君達は頑張ったし、死んでも誰も文句は言わないよ!皆で雛見沢に名を残せるんだ!それを受け入れようよ!」
圭一と梨花は驚いた。
言葉の内容ではなく、なぜ御影が喋れるのかを。
勿論、御影の身体は動いていない。
それは、御影の強い意志。
御影はこの場に置いても、圭一と梨花に言葉を伝えるという強い意志が御影の口だけを動かす事が出来たと二人は理解した。
その御影の言葉で、圭一と梨花は諦めかけていた闘志に火をつけた。
そして、二人は止まった時の中で動いた。
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鷹野「なっ…!?」
鷹野は驚いた。
彼らが弾丸を避けたという事に。
御影を連れて逃げる圭一と梨花に対して、鷹野が捕獲命令を出そうとした時だった。
突然、後ろから大勢の村人が現れ、山犬達に襲い掛かった。
山犬は、奇襲に驚いて初動が遅れた。
鷹野「な、なによこれ…!?どういう事よ!?」
慌てふためく鷹野と山犬を置いて、圭一と梨花は御影を連れて雑木林に逃げて行った。