大石「お亡くなりになられたのが、昨日なんですよ。つまり綿流しの当日。前原さんにはどういう意味があるのかわかりますか?」
圭一「オ…オヤシロさまの祟り?」
大石「察しが良くて助かります。そこまで知ってるのであれば、ある程度の説明は要りませんよね?」
圭一「教えて下さい。一体、何があったんですか…?」
大石「第一発見者は、祭りの警備を終えて帰還中のウチのワゴンでした。始めは轢き逃げされたものだと思っていましたが、喉が引き裂かれていたんですよ」
圭一「ナ…ナイフとか?」
大石「いいえ。爪でした。しかも、自分の爪です」
圭一「え?それって…どういう事ですか!?」
大石「薬物を疑いましたが、そういう類の物は検出されませんでした。なので詳しい事はお話出来ません」
圭一は、驚きを隠せなかった。
大石「他にも幾つか不審な点があります。富竹さんは、お亡くなりになる直前、複数の人物から暴行を受けた可能性があります」
圭一は、話を頭の中で纏めた。
富竹さんは何者かに取り囲まれて襲われた。
夜道を興奮状態で逃げ惑い、落ちていた角材を拾い抵抗を試みた。
その最中に錯乱しながら自分の喉を掻き毟り始め絶命したと…。
圭一「富竹さんと一緒に居た女性は、どうなったんですか!?」
大石「行方不明です。出勤もしていませんし、自宅にも帰っていません。事件に巻き込まれた可能性が極めて高いです」
圭一は、放心するしかなかった。
大石「我々もあらゆる面から捜査を進めますが、村人はオヤシロさまの祟りの話になると口が重くなる」
圭一「それで…俺の協力が必要なんですか…?引っ越して来たばかりだから捜査に協力してくれると?」
大石「それもありますが、本当の理由は違います。今危ないのは、あなたと夜白御影さんなんですよ」
圭一は、ゾワリと恐怖した。
大石「今だから言いますが…今年の綿流しの犠牲者は、あなたか夜白さんのどちらか、もしくはその両方の可能性が高かったのです。あなたは、祭りの間色々な方々と居た。夜白さんは、お祭りに来なかった。だから、富竹さん達が狙われたという事です」
圭一は、今になって震え出した。
御影の機転がなかったら死んでいたのは、自分達だったかもしれないと。
大石「もし何か分かった事がありましたら、この電話番号までお願いします。今日の話は他言無用でお願いしますよ。んっふっふ」
圭一は、大石との話を終えて車を降りたが、暑い車外に出ても震えを止める事が出来なかった。