東方 幻想録   作:秦霊

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第62話 事は一刻を要する

〜永遠亭〜

フォーン

 

時空が裂ける音ともにスキマが開く。

スキマを抜けた先は竹林の中の和風の屋敷の門の前だった。

 

「あー情けねぇ…こんなことでわざわざ永琳に世話になるなんてなぁ」

ポツリと疲れ果てた表情で秋人は一言そう言い放つ。

…すると秋人を支えている両端の紫と美結はその言葉に反応した。

 

「何を言っているの?貴方は十分過ぎるほどの怪我をしてるじゃないの、情けないとは思わないで」

「そうですよ、極魔王様は左足を切断されたんですよ?ただでさえ大量出血ものなのにそれをこんなこととは言わないでくださいませ」

 

「…」

ぐうの音も出ねぇ…

 

そう思う秋人を余所にかなりご立腹な紫と美結にかなり心配され秋人はコクッと一度首を縦に振るしかなかった…

 

 

ガラガラッと音を立て美結が永遠亭の扉を開く。

「永琳!居るかしら!」

紫が叫ぶ…

すると数秒、ドタドタと廊下を走るような音が聞こえてきた。

「紫さん!また患者ですか!?」

 

また…ということは妖斗は無事ここまで来たようだな。

 

そして紫が呼んだはずの永琳…ではなく優曇華が出てきた。

(…永琳を呼んだはずなのだけれど…)

ふと紫はそう思った。

 

「…永琳を呼んだはずなのだけれど…まぁいいわ。優曇華ちゃん秋人を頼むわ」

「えっ?…って!秋人ど、どうしたのその足!?」

「…極魔王様が御自分でお切りになりました」

「えっ!?はぁ!?秋人なにやってるの!?」

優曇華が動揺する前で秋人は涼しげに

「毒くらったから切った。あれだよ、トカゲのしっぽ切りと一緒だ」

「えぇっ!?そんな感覚で足を切り落とさないでよ!」

優曇華はかなりご立腹のご様子、そんな時後ろから声と共に足音が近付いてくる。

 

「…全く妖斗の治療をしていたから優曇華を遣わせたら一向にかえってこないから何かと思えば…貴方って人はまた…」

はぁ…と、ため息を吐きながら永琳は驚きを通り越して呆れの顔をしていた。

それもそうだろう…戦闘の時に毎回かなりの怪我をして帰ってくるのだから心配を通りこして呆れだ。

 

「…すまねぇないつもいつも…」

そんなに永琳を見て秋人も少し反省の色を見せるが…

優曇華は毎回怪我してくる秋人を見抜いていたようで…

「そんな柄にも無いこと思ってないでしょ」

目の前の優曇華にジトっーと見つめられそう言われた。

「…うぐっ…いやな?思ってるから」

秋人が苦笑いしながらそう言うと呆れた声で皆が言う。

…優曇華よ、本当に思ってるからな?マジで…

 

「「「…本当にそんなこと思ってるの?」」」

「…本当にそんなこと思ってるんですか?」

 

「…お、思ってるから」

…すげぇ信用されてねぇじゃん。

そういったのだが帰ってきたのは酷い言われ用だった…

「…絶対に思ってないわね」

「同感よ永琳」

「私も永琳様に同感です」

「…後ろに同じ」

 

はぁ…もう少し信用されるように頑張るか…

そう思う秋人を尻目に4人からジトっーと見られながらそう言われつつ傷の手当てのために永琳の世話になる秋人であった。

 

 

〜天界〜

神々しい光を放つ大きな門を超えるとそこは神殿のような建物の中だった。

破壊神と麗華に連れられ霊夢は神殿のような建物を出ると目下にはこの神殿を囲むように城下町を彷彿とさせる様な大きな街が広がっていた。

「…ここが天界」

「そうだ、どうだ霊夢?なかなかに綺麗な街並みだろう?」

「…うん、綺麗…」

麗華は隣で手を繋いでいる目をキラキラとさせた霊夢に言った。

 

…それもそうだろう。霊夢達のいる神殿は少し高い位置にあるため目下に広がる景色は

 

六角形状に広がっている街並み

綺麗に整理された道を行き交う人々

西洋のレンガ造りの建物と少し高い山のような所にある大きな和風の屋敷

その景色はフランス・パリを思わせるような美しい建造物と綺麗な街並みたのだから。

 

 

「だろう?俺はやってないが出来を見た時は驚いたぜ」

「…お前は破壊専門だからな…破壊神様には街の設計は無理だろ」

ふんっと麗華は鼻を鳴らしながら破壊神をからかう様にそう言っていた。

 

「うっせねぇな、俺にだって出来るわ。今回は天照に任せたけどよ」

「やはり天照か、アイツは几帳面で綺麗好きだからな。お前とは真逆の存在だからなぁ」

「うっせ黙ってろ」

チッっと舌打ちをする破壊神を余所に麗華はふと霊夢の頭に手を置き撫で始める。

麗華に頭を撫でられている霊夢は(母さんと破壊神さんは仲が悪いのかいいのか分からないわ…)そう思っているのだった。

 

そんな霊夢を余所に麗華は話を続ける。

「例え臨死体験を数回経験した者でもこの景色を二度と見る事は出来ないと言われている。だから今のうちに目にしっかりと焼き付けておけよ」

「うん」

頭をゆっくりと麗華に撫でられながらそう言われる霊夢だった。

 

「おかえりなさいませ破壊神様」

 

不意に後ろからそう声が聞こえ3人とも振り向くとそこには、

綺麗な太陽と鳳凰のような大きな鳥の刺繍が入った純白和服を身に纏う艶のある赤髪が特徴的な女性がそこには立っていた。

 

「…綺麗…」

霊夢はふと思ったことを口にしていた。それを聞いた女性はゆっくりと微笑み返すと

「あら、ありがとう」

そう一言言った。

 

「それで?今回はどういった風の吹き回しだ?()()

破壊神はそういった。確かに天照…と

 

「えっ?あま、てらす?」

「えぇそうよ。貴女は初めましてですね。博麗霊夢」

「…な、なんで私の名前を」

動揺した様子で霊夢はボソボソと話している霊夢に対し天照は微笑み返す。

 

「貴女のことは存じております。何故なら貴女があの禍津神様の娘様なのですから」

「えっ?母さん?」

「えぇ、貴女のお母様の禍津神様は私達神の間でも破壊神様と並ぶほど有名な御方ですからね」

 

それもそのはず、禍津神は破壊神と唯一渡り合える神として有名で天災を操るという規格外の力を持っているため天照でさえも一目置いているのだ。

 

「は、はぁそうなんですか?」

「はははっなんだ?私も意外と知られているもんなんだなぁ。神達の間の有名どころは秋人や破壊神と思っていたんだがな〜」

 

すると天照は''秋人''と言う言葉に反応したのか苦笑いを見せた。

「秋人様は古き神々達から最も恐れられておられる方ですからその名を知ってる者は上のものしかおりませぬ。ですので下の神々でも有名な御方方は、破壊神様と禍津神様なのですよ」

…苦笑いしながらそう答えてくれた。

 

……秋人さんってなんでそんなに恐れられてるのかしら…

ふと霊夢はそう思った。なので聞いてみることにしたのだ。

 

「…あの」

「なんでしょうか?」

天照はにこやかに微笑みそう返す。

「秋人s……父さんはなんでそんなに恐れられてるんですか?」

秋人さんと言っては不自然かな?っと思ったのか霊夢は天照の前では秋人のことを父と呼んだ。

すると天照はさっきの苦笑いではなく真面目な顔をした。

 

「…秋人様はかつて神々と悪魔が手を取り合い忌み子と呼ばれる者達を殺そうとした時に忌み子として神々とは敵対する形でいた御方です。…私も伝承として聞かされたので存じ上げませんがゼウス様曰く''あの者に戦争を仕掛けるな…下手すれば世界が滅ぶ''そう仰っておりました」

「…と、父さんってそんな人だったの?」

「私には分かりません。…ですが禍津神様と破壊神様はご存知なのでは?」

天照は少し傾げ霊夢にそういった。

そして話を振られた破壊神と麗華が天照から振られた話を続ける。

 

「…そうだな、以前のあいつはもっとトゲトゲしてたなぁ…というか仲間内でさえ昔は俺も正直ビビってた時もあった。…なにせアイツの本気を見たことがあるからな。なぁ禍津神」

「…まぁそうだな。昔の秋人はサラと私一択だったのもある、だから周りがなんと言おうと私達以外の何ものをも犠牲にしてきた男だ。被害者の具体例で言えば…例えばunknownとかだな…」

「あーあん時は酷かったなぁ…」

破壊神と麗華は2人してバツが悪そうな顔をした。

 

「あの破壊神様、unknownというのは?」

「あーお前ら俺ら6人以外の忌み子を知らないか…」

「えぇ、あなた方の伝承しか我々には伝えられていませんので…」

「そうなのか?まぁあまり聞くのはオススメしないが…」

「…母さんそんなになの?」

頭の上に?を浮かべた霊夢は麗華に質問する。

…が麗華は苦笑いを浮かべ話を始めた。

 

「…まぁかなり昔のことだが…unknownは一度秋人に捨て駒同然の扱いを受けていたからな…」

「す、捨て駒…?」

「そうさ捨て駒だ、昔秋人は一度味方を囮にして私たちを逃がしたことがある…その時の囮が…」

「…unknown、という訳ですね?」

麗華が言おうとした時被せるように天照がそう答えた。

 

「…そうだ、だから昔のアイツはかなり恨みを買っていたし、もし私とサラに被害少しでも出たのであればそれが強大な的であろうと味方であろうとまとめて皆殺しにしていたさ」

 

「…だからアイツは味方である私たちでさえも注意して接していたさ…サラ以外はな」

「…そうなんですか」

「あぁ」

 

霊夢と天照は初めて真実を知った。秋人の過去のことを…

話を聞いた2人は頬を強ばらせていた。それ程までにインパクトが大きかったのだろう…まぁそれも仕方が無いことだろう。

 

 

天照と話していると、ふと後ろから聞こえてくる足音に気づいた。その足音はそこそこ大きくかなり身長のある何者かが歩いてきていた。

「んぁ?」

破壊神も気付いたようで後ろを振り返った。

「どうも破壊神様、お久しぶりですな」

 

そこには白い顎髭を伸ばした厳つい顔のガタイのいいの中年の男がいた。

 

「よぉ、久々にお前の顔を見たな()()()

「ほう?ゼウスか久しく見たな」

破壊神と麗華が口を合わせてそう言っていると天照は一歩出てゼウスにお辞儀をする。

「久しいな」

「お久しぶりです。ゼウス様」

麗華と天照がそう言うとゼウスは、カッカッカッと笑うと天照に笑いながら話を返す。

 

「久しいなぁ禍津神に天照よ、やはり良い女達だ…天照に禍津神よ我の女にならぬか?」

…麗華と天照に自然に求婚を迫る。

 

「おいおいゼウス…お前の女好きまだ治ってねぇのかよ…つーか禍津にナンパとかお前死ぬぞ」

破壊神は呆れたようにゼウスにそう言った。

…それもそのはずゼウスは自分の姉にして正妻の()()という妻が居るがその女癖は悪く今まで多くの神や人間の女を孕ませたことが何度かあるのだ。

…突然その都度正妻であるヘラに激怒されているのだ。

 

 

「…私に求婚とはいい度胸だな、下手しなくても秋人がブチ切れるぞ」

「…ゼウス様申し訳ないのですが私はヘラ様を怒らせたくございませんので。…あっ…」

続けて何かを言おうとした天照だったが何かに気づいたのか、話す口を突然止め血の気の引いた苦笑いをしていた。

 

ゼウスは初めはどうしたのか、と声をかけようとしたがふと後ろから感じ慣れた神力を感じる。

 

それが何かに分かったのかゼウスは額からかなりの汗を流し、まるで油を挿していない壊れた機械の様にギギギッと首をゆっくりと後ろに向けるとそこには…

 

髪を後ろで束ねハーフアップの様な纏め方をした金髪のスタイルの良い女性がそこにはいた。

…ただ顔は少し微笑んでいるもののこめかみ辺りにシワが寄っているためかなりご立腹のご様子。

 

一方それを見たゼウスの顔は青ざめ全身から汗をかいていた。彼は本当的に、あっ不味い…と悟ったことであろう。

 

「…ゼウス?貴方がふらっとどこかへ行くから誰と会うのだろうと思って付けてきたのだけれど…任さかあの禍津神様と天照ちゃんに求婚してるなんて、ねぇ?」

「…あ、いやち、違うんだ()()!こ、これはそのーそっ!そう!挨拶だよ!?挨拶!?か、可愛い子には…あっ…」

「へぇ?可愛い子には?なんですって?」

「あ、いやそのー」

妻の前で完全に墓穴を掘ったゼウスだった。

 

…凄く破壊神を見つめているゼウスのその目はまるで(お願いです!?助けてください!こ、このままじゃ殺られます!!)という目をして破壊神に助けを求めたが、助けを求められた当の本人は何事なかったかのようにプイッと明後日の方向を向いた。

 

やがて…

「ゼウス?人が話をしている時はこっちを向きなさい!」

「グホッ!?」

ヘラはゼウスの頭をガシッと両手で掴むとニコーっと笑って一発ビンタを食らわせた。

 

バチーンっ!

 

「へぶっ!」

「…浮気者」

一言そう言ったヘラはゼウスを置いてスタスタと帰って行く。

「あ、ちょっ!ヘラよ!待っておくれ!」

スタスタと歩いて行くヘラをビンタを食らったゼウスは我に返って追いかけて行った。

 

…まさに嵐と呼ぶに相応しい程騒がしかった。

まぁその嵐はすぐに去っていったのだが…

 

「…なんだったのあれ…」

霊夢はさっきの出来事にポカーンとしていた。

「まさに嵐だったな、はぁ…ゼウスもかなりの女好きみたいだな…」

その一方麗華は溜息をつき呆れていた。

「ま、まぁゼウス様はあの様なお人ですから…」

「…というかお前、前もゼウスのやつにナンパされてなかったか?」

破壊神が天照にそう確認をとると天照は少し困り顔を見せた。

 

「えーと…あれは初対面の時だったでしょうか…いきなりあの方に求婚されましたね」

「「「はぁ…」」」

これには話を聞いていた全員が溜息をついた。

…なんというか秋人と真逆というか…ある意味秋人より酷いような…

そう思う皆であった。

 

 

 

〜魔界・地獄〜

…大変な事になってしまった…。…初代極魔王様からは聞かさせれてはいたもののあの忌み子がまかさか私の前に現れるとは…

 

魔神クザファンはそう思いながら魔王城へと急ぎ足で向かう。

(…早くあの御方に伝えたければ…)

 

ーーーーー

やがて魔王城へ着くとクザファンは人のサイズと同じサイズになり魔王城へと入った。…数分歩いて行く目的の人物が居るであろう部屋の前へと辿り着く。

 

…ふぅっ

一息付きさて入ろうと思いドアをノックしようとしたその時だった。

「早く入ってらっしゃいクザファン。私に用があるのでしょう?」

…ドアの向こうの目的の人物はクザファンがドアの前にいた事を知っていたのかドア越しにそう言った。

 

「…失礼します」

一言そう言うとクザファンは部屋へと入った。

 

ーーーーー

「いらっしゃいクザファン、それで?私になんの用でしょう?」

 

ドアを開け部屋に入ったクザファンの正面には机に両肘を付けゲンドウポーズを構えている綺麗な澄んだ青色の髪をしていてスタイルが良いサキュバスがいた。

 

「どうもお久しぶりです。アリシア様」

「久しぶりねクザファン」

クザファンに挨拶を返したアリシアと呼ばれた女性はニコニコと微笑みながら言った。

「そんな所に突っ立ってないで入ってらっしゃいな」

 

「…っ!失礼致します」

ドアを閉め部屋へと入るとアリシアはスっと椅子から立ち目の前のソファーを指さした。

 

「どうぞ掛けて」

「どうも助かります…」

「お茶は如何かしら?」

「あ、いえ大丈夫です!」

「そっ…」

クザファンがそう返すとアリシアはクザファンの前のソファーへと腰を掛ける。

 

「それで?なんの用でしょう?」

アリシアは机に置いてあった自分の紅茶を取るとスっと一口飲む。

「…破壊神様からアルト様への伝言を伝えて頂きたいのです」

 

クザファンがそう言うとアリシアは驚き顔をした。

「…あの御方がアルト様に伝言ですか?」

「はい」

先程までの優雅なアリシアとは打って変わって、紅茶をテーブルへと置き真剣な眼差しで話を聞きはじめた。

 

「…破壊神様があの御方の弟子であるアルト様になんの伝言を?」

「…それが」

一言クザファンはそう言った。だが、彼の顔は強ばっており何かあった事に違いないとアリシアは確信する。

 

「それが、なんですか?」

「…初代極魔王様と禍津神様が腕慣らしにと軽く戦闘している時に何者かからの攻撃を受け左足を切断、その為永遠亭に療養の為戦線離脱、その時に破壊神様に伝言を頼まれた次第です」

 

「…そんな、あの御方が…」

アリシアは口元に手を当てかなり驚いてる。

…と同時に悲しげな表情を見せる。

「…また最悪の事実が発覚致しました」

 

「な、なんですって?」

…アリシアはこれ以上の事があるのかと驚いていた。

「…忌み子6人の一人リオン様が殺したはずのリスクという忌み子が()()()()()()()がある事が判明致しました。」

「…な!?……じ、事情は分かりました。ではアルト様にお伝えしておきます。…貴方は自分の職務に戻っていただけますか」

「分かりました、では伝言の方よろしくお願いします」

 

 

バタンとドアを閉じる音がする。…正直言って今の私は前も見れていない。…あの御方が心配だ。大丈夫だろうか…そんな事ばかり考えてしまう。

「…いけない、アルト様にお伝えしなければ…」

 

そう思い立ち私は魔界のゲートへと歩みを進める。

…ことは一刻を要する、一刻も早くあの御方の弟子であるアルト様へ伝えるために私はより足早に部屋をあとにした。




皆さんどうもおはこんばんにちわ作者です。
…永らくお待たせしました。仕事が最近かなり忙しく合間合間に書いていましたがこんなに遅くなりましたすみませんm(_ _)m
最近暑いので熱中症にお気をつけください(`・ω・´)ゝ
では次回もよろしくお願いします。
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