東方 幻想録   作:秦霊

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第64話 手の上で踊らさせる人形達

〜旧橘邸〜

縁側に木々の木漏れ日が差す昼過ぎの事。

庭では鹿威しが心地よい音を立てる中、屋敷の中では慌ただしくメイド長が至急メイド達を屋敷のキッチンへとメイド達を集める。

 

「…それで?華蓮、突然どうしたんですか?」

副メイド長のLostが緊急招集を掛けたメイド長:華蓮を問いただした。

 

聞かれた華蓮は目の前のカウンターにバンッと紙を置いた。

 

「…旦那様からの司令よ」

 

「「「「…」」」」

皆が黙り込む。何せ主人である秋人は基本的にメイドそれぞれに仕事を振り分けている。なので余程のことが無い限り華蓮も緊急招集なんて掛けないのだ。

 

華蓮は四つ折りの手紙をゆっくりと開いて見せる。

 

"これより俺の計画を始動する。長年積み上げてきたものだ。…一応言っておくが妻達は知らない。この計画を知っているのは白蛇、アルト、美結、そしてお前達だ。この計画を外に漏らすことは許さん。

以上を踏まえた上で読んでくれ。

 

計画案 《幻想郷完全遮断計画》

 

計画の目的:幻想郷を外界と完全に遮断し、何者をも出さず何者をも入れない結界の構築により、敵の侵入を拒む。

…だが、副作用としてこちらからも出ることが出来ず紫の結界を超えるスキマでさえも通さない。

 

其ノ壱:幻想郷と外界との完全遮断にするにあたって不干渉の結界を張らなくてはならない。だが、それには12時間もの時間を要する必要がある上、邪魔されれば完全な遮断が出来なくなり初めからやり直すことになる。

そして、結界を張る時はお前達にはその為に護衛をしてもらい霊夢達を足し止めしてもらう。

 

其ノ二:もし命の危険がある場合、敵が完全に殺しに来ていてその上格上の場合は引くこと、これは最重要案件だ。

 

其ノ参:計画の始動は一週間後の月曜 AM0時 を予定している。理由は…当日空を見上げてみろ。理由がすぐ分かる。

 

…以上この三つだ。絶対に外部に漏らすことは許さん。お前達が頭に司令を叩き込んだらこの紙は焼却処分しろ。"

 

 

「…それで?皆頭には叩き込んだかしら?」

華蓮は紙を手に取るとヒラヒラとさせ見せる。

 

「「「「……」」」」

それに対しコクっと頭を小さく縦に振る各メイド達。

 

 

「…なら各員気を引き締めて行くわよ」

メイド長の声に反応し各メイド達も気持ちを固める。

…その目は覚悟を決めた目だった。

 

 

そんな時だった。突然として玄関に気配を感じたかと思えば

「へーい、帰ったぞー」

そんな声と共に帰ってきたのはこの屋敷の主 秋人だ。

 

「「「「「!?」」」」」

それに気づいたメイド長を含むメイド達が急いで玄関へと向かい出迎えに行く。

 

「お帰りなさいませ、旦那様」

メイド長の言葉と共に他のメイド達も礼を合わせお辞儀をする。

 

「お、おう?」

突然のメイド全員での出迎えにちょっと驚きつつも家へと上がる。

 

 

〜旧橘邸・居間〜

木漏れ日が縁側に丁度よく差す午後3時過ぎ頃、秋人からの連絡は何もされていないにも関わらずそこには秋人の手紙の中に書いてあった《幻想郷完全遮断計画》を知るものだけが集まっていた。

 

当然ながらついさっき帰宅してきて居間でゆっくりと過ごそうとしていた秋人は驚いた。

…それもそうだろう、呼んでも無いはずの計画メンバーが障子を開けた瞬間、木製の味のある長机を囲むようにしてお互い向き合い座って茶を飲んでいるのだから…。

「……お前ら…なんで居んの?」

 

「うむ?我はここに住んでおるから居るのは当然じゃろう?」

「…いやお前はさっき永遠亭で会ったろ…俺の安否確認して直ぐに用事とか言ってどっか行ったと思ったらなんでゆうゆうと茶飲んでんだよ…」

「うむ?ダメかの?」

「いやダメじゃねぇんだが…」

顔を引き攣らせてながら話す秋人は お前がメンバー呼んだんだろ!?

そうだろ!? と現在進行形で心で思っていると。

 

「…極魔王様、ご無事でなりでございます。」

ニコッと美結は笑っているが分かって頂きたい…美結はついさっき永琳達と話す前に治療が終わり安否確認が済むと用事があると言って出て行ったと言うことを…。

「…はぁ…んで?お前がここに集まってるってことは俺の計画について質問か何かあるって事か?」

 

秋人がそう言うと、白蛇が手に持っていた茶を机に置くと口を開いた。

「…うむ、そういう事じゃ我の他にも知りたい者はおると思ってな。それで…」

「俺が計画に挙げていたメンバーを集めた、と」

「うむ、そういう事じゃ」

 

秋人は はぁ… とため息を一つ着くと

「…今夜あたりに集めようと思っていたが…こうして集まったんなら集める手間が省けたな…。んじゃ、計画について話す。頭にしっかり入れとかないと知らねぇぞ…」

 

 

…

……

………

 

〜博麗神社〜

丁度よく日が差す昼過ぎの縁側でゆったりと夢から帰還する者が一人。

 

「ふぁぁっ〜あぁ…よく寝たわね…」

んんっーと背伸びするのはこの神社の巫女の 博麗 霊夢 だ。

ついさっき夢から覚めたこともあり少し体からダルいご様子。

そんな霊夢に近づいてくる足音が聞こえてくる。

 

「…霊夢やっと起きたのか?もう境内の掃除終わったぞ?」

「霊夢…寝過ぎだろ。私が揺さぶっても起きなかったぜ?」

風により銀髪と金髪の髪を靡かせながら近寄ってくるのは145位の少女と170程ある少年だった。

博麗 妖斗と霧雨 魔理沙だ。

 

「…あれ?私、そんなに眠ってたっけ?」

少しとぼけ顔の霊夢が自分を指差しながらそう言うと後ろから障子を開ける音と共に突然声が聞こえてきた。

 

「かなり眠っていたぞ?朝から飯を食べてから直ぐにフラフラと縁側に向かったかと思うと急に寝だしたからなぁ」

そう言って神社から出てきたのは霊夢の母である 博麗 麗華 である。

 

「…あれ?そうだっけ?…って!妖斗!」

何かを思い出したかのように突然妖斗に抱き着いた霊夢は妖斗の右腕をサッと持ち上げ異常がないか確認しているようだった。

 

「うぉ!?霊夢!?」

「な、なりしてるんだぜ霊夢!」

魔理沙が驚いたと同時に妖斗に抱き着く霊夢を剥がしには入るが…魔理沙には出来なかったようだ。

 

「はぁ…霊夢、少し離れろ」

麗華がそれを見兼ねて霊夢を妖斗から引き剥がす。

「ちょ!ちょっと待って!母さん!あ、妖斗は怪我してっ!」

「はぁ?怪我?何言ってるんだ霊夢?まだ寝ぼけてるのか?」

「えっ!?でも!だって!」

混乱する霊夢を余所に麗華は冷静に霊夢に話をする。

 

「よく見てみろ、妖斗は怪我なんてしてないじゃないか…」

「えっ?…あれ?でも…魔界で…右腕を…」

そうブツブツ言っている霊夢に妖斗は

「見てみろ、ほら怪我なんてしてないだろ?」

と両手を拡げて見せる。

 

「あ、あれ?…じゃぁあれは夢だったのかしら…」

「そうなんじゃないか?俺は今日魔界なんて行ってねぇし」

「そ、そうなの?。じゃ、じゃぁ夢ね!良かったぁ」

そう言って霊夢はニコッと笑うのだった。

 

 

…

……

………

〜博麗神社〜

あの後霊夢と魔理沙は紅魔館へと飛んで行った。魔理沙の誘いだ。

…なんにしても霊夢に夢だと思わせられて良かった。

そう思いながら妖斗は幻(・)影(・)術(・)式(・)の(・)か(・)け(・)ら(・)れ(・)た(・)右(・)腕(・)へと視線を合わせる。

 

「…もし霊夢にバレていたら夢ということで済ませられなかったからなぁ」

そう言う声の正体は麗華だ。

「…えぇそうですね。もし霊夢が気付いていたらトラウマ植え付けてましたから…」

「…そうだな…好いた男の右腕が目の前で弾け飛んだんだ…トラウマになるさ」

麗華はゆっくりと縁側の支柱に背を預け座りながらそう答える。

「…にしても秋人には感謝だな」

「えぇそうですね、あの人が魔法かけてくれなかったら霊夢は今頃トラウマ植え付けられてましたよ」

「…そうだな…それにしても秋人のやつ実態のある幻影魔法なんて創造魔法じゃないか…」

「んーでも正確には実態があるんじゃなくて人の感覚意識に干渉する魔法だとか何とか言ってませんでした?」

「言ってたなぁ…よく分からんが…リオンならわかるんじゃないか?」

「…そうですね、今度聞きに行きますよ」

ふふっと笑い麗華は

「それがいい」

そう言った。

 

「…それと、あの人が俺に打ってくれた注射って…」

「あぁ、もしかしなくてもあれはサラ直伝の超回復剤だ」

「…ですよねぇ…」

「そうだな、それだけお前の身を案じているということだ。…それと超回復剤なら右腕を修復出来るしな」

「えっ!?ホントですか!?」

 

驚きを隠せない妖斗を尻目に麗華は

「そうだと秋人も言っていただろう?…それと超回復剤となると完全修復までは一週間、と言ったところだろうか」

「はやっ!」

「なんせ回復がかなり遅い秋人用の回復剤だからな。当然だ」

「…サラさんって人ほんとにヤバいですね…」

「あぁアイツは昔から凄かったよ…それに元々は…」

「ん?元々はなんですか?」

妖斗が聞くと麗華は一瞬自分が言おうとしていることを考えると、顔を上げて天を仰いだ。

「いやなんでもない…気にするな」

そう一言だけ言った。

 

 

…

……

………

…………

 

~???〜

「そろそろ秋人が動くって彼から報告が入ったけど、どうするんです?アステラ様」

「うーん、動こうとは思っている。…だが…」

「…だが、なんです?」

女は、最後の言葉が気になりアステラに問う。

 

それに対しアステラは顔を強ばらせ言った。

「…不自然過ぎるんだよ…今回の話」

「えっ?不自然?何がですか?」

女はアステラが何を言っているのか分からずに思わず聞き返した。

 

「…そもそも奴が僕らに手を貸してくれるのが意味がわからない上に仮にもサイキョウの6人の中でも上位に君臨するし、警戒心の強いあの男が、警戒網を強化してないことがまずおかしい。…だから」

「…罠の可能性がある、と?」

「あぁ、その可能性が高い…なんたって奴は…秋人は、自分の妻を世界と天秤にかけても妻を取るほどの愛妻家だよ?…なのに僕が攻撃を仕掛けても警戒さえ上げない…おかし過ぎるんだよ」

「…確かに不自然ですね…」

「だろう?だからリアも警戒を怠らないでくれ…もしかしたら僕らは奴に嵌められるかもしれない…」

「…分かりました。頭に置いておきます。」

「あぁ、そうしてくれ、じゃいつも通り頼むよ」

「はい、アステラ様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜????〜

薄暗くだだっ広い図書館の中で僕は計画を練り直す。

…奴を、橘 秋人を殺しこの世界を得る為に…

(…彼らはそろそろ動くかな?…まあと言ってもアステラはあんなでも頭がキレる。…僕の情報を元に動くはずだが、どこかできっと探りを入れてくる、ぼろを出さないようにしなければ…)

 

「さてさて…やっと秋人が動き始める。アステラも秋人殲滅に動き出した。ふははっ!これでやっと邪魔な秋人を潰せる。

 

さぁて、始めようじゃないか!計(・)画(・)の(・)最(・)終(・)フ(・)ェ(・)ー(・)ズ(・)を(・)!」




おはこんにちは作者です!
いやーお久しぶりです。
…いやほんと申しわけないです…投稿めっちゃ頻度落ちてます。
まあ色々あったんです。
…と、とまぁかなり遅れましたがやっと出来ました!
次回もお楽しみください!
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