トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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トリコの世界から始まります!


プロローグ 料理人 一夏!

誰かが言った——

 

海の底で、深海の水圧で味と栄養が凝縮され、プリップリの身を持った蟹がいると—

極上の喉越しを持ち、この世の物とは思えない程の純白を見せる牛乳の雨を降らせる雲があると—

太古からある火山で、極上の具材がマグマで煮込まれているカレーがあると—

人々は魅せられる!未知なる美味に——!

 

世はグルメ時代—— 未開の味を探求する時代——

 

 

 

 

 

暗い森の中、一人の青年が茂みに隠れていた。怪鳥達の唄が空に鳴り響く中、青年は静かにそれを待つ…

すると、体長10mはあろう黒い龍が現れる。赤い眼に大きな翼。恐怖を現したその姿。

龍は落ち着いているのか、静かに歩いていた。敵意などは見られない。自分に襲いかかってくる者などいないだろう—と思っているに違いない。

それに対し青年は目を光らせる。その手に長刀が握られた時、茂みの中から飛び出た!

 

「…!」

 

そして一瞬の内に龍の顎の下の鱗…つまり逆鱗を刀で剥ぎ取り、直ぐさま龍から逃げる。

言葉の通りの逆鱗に触れる行為。龍は怒り、青年を追いかけた!

 

ブラックコーヒードラゴン 〈翼竜獣類〉 捕獲レベル72

 

「うしっ!ブラックコーヒードラゴンの逆鱗ゲット!」

 

その青年…一夏は黒い逆鱗を眺めながら逃げる。ドラゴンはまだ追いかけていた。

 

「たく…こいつの相手面倒なんだよなぁ…」

 

冷や汗を掻き、溜息を吐く一夏。しかし彼には策があった。それは——

 

「今だ!リンカ!」

 

すると、ドラゴンの前に現れたのは、お好み焼きをひっくり返す時に使われる「コテ」であった。

 

「返し飛ばし!」

 

そのコテは地面の土ごとドラゴンを持ち上げ、遙か彼方へと投げ飛ばす。

コテを使った青髪の女性は、一夏とハイタッチする。

 

「やった!一夏!」

 

「ああ!リンカ!」

 

リンカと呼ばれた女性は一夏と共に喜び合う。そして手に入れた逆鱗を見て高揚の笑みを見せた。

 

「ブラックコーヒードラゴンの逆鱗は煮込むことで最高のコーヒーができる…やっぱこれだね!」

 

「帰ったら『入道牛の牛乳雨』と混ぜて飲もうぜ!」

 

そうやって嬉々と帰って行く二人に、携帯電話の音がなる。リンカの物であった。

 

「もしもし…ってママ!何か用?」

 

そうやって暫く話していると…

 

「一夏に用だってさ、すぐIGO本部に行けって…」

 

「IGO本部に?」

 

 

IGO本部にて

 

「「元の世界に戻れる装置が完成した!?」」

 

「ああ、遂に完成させたのだ!」

 

「それって本当!?マンサム会長!」

 

「ん?今ハンサムって…」

 

「「「いってない(し)」」」

 

今二人の前にいる男は、IGOの現会長の「マンサム」であった。

そしてその横に居るのが、グルメ研究所所長でもあり、リンカの母である「リン」。

 

「本当だし!一夏君の為に用意したんだし!」

 

「俺のために…?」

 

「ああ、もともと君をこの世界の呼び寄せてしまったのは我々だからな。その責任だよ」

 

一夏はこの世界の住人では無い。元々IGOが別宇宙のグルメ食材を調達するために開発していた「別宇宙移動装置」の暴走で来てしまったのだ。

 

「いえいえ!あの事件が無ければ俺は死んでいました。俺は助けられたんですよ!」

 

「そう言ってくれるとありがたい…どうするんだ?帰るのか?自分の世界に」

 

マンサムがそう言うと、横に居たリンカの表情が一瞬暗くなる。それを見逃さなかった一夏はニッコリ笑い…

 

「いえ、今の俺の世界はこのグルメ世界です。俺のいるべき場所はここです」

 

「そう!」

 

リンカの顔がまた変わる。今度は嬉しそうだ。

 

「まぁ1回ぐらいなら帰りますが」

 

「「「結局帰るの!?」」」

 

「向こうに家族もいます…それが気になっていたんですよ」

 

「この装置は何回でも使える。好きなときに帰って好きなときに戻ってくるといい!」

 

「ありがとうございます!」

 

そう言って一夏は装置を受け取る。小型化されており、腕輪のように装着する。

 

「帰るらしいな!一夏!」

 

突然男の声が後ろから聞こえる。そこには…

 

「トリコさん!?」

 

「パパ!?」

 

「トリコ〜♥」

 

世界一の美食屋「トリコ」と、そのコンビ、ホテルグルメレストランのコック長「小松」がいた。

リンはトリコを見ると直ぐに彼に抱きついた。

 

「師匠!いつ帰ってきてたんですか?」

 

「ついさっきだよ」

 

一夏は小松を師匠と呼ぶ。一夏はプロの料理人であり、彼に調理の技術と食材の知識を教えたのは小松だからだ。

ちなみにリンカは父と同じく美食屋で、一夏とコンビを組んでいた。

 

「来たなトリコ!どうだった今度の宇宙食材は?」

 

「それが絶品の酒を吹き出す水星に似た星を見つけたんだ!ありったけ汲んで来たから後で一杯やろうぜ!」

 

「ほほう!そいつは楽しみだ!」

 

そうマンサムと会話を進めた後、トリコと小松は一夏に向き合う。

 

「一夏、すぐ戻ってこいよ。お前の飯、楽しみにしてるぜ!」

 

「一夏君、僕も待ってるよ!」

 

「…はい!ありがとうございます!」

 

この二人にそんなことを言われると、中々涙腺が危なくなるから止めて欲しい。

 

「…絶対帰ってきてよね、一夏」

 

「当たり前だ、まだお前とのフルコース完成してないもんな」

 

リンカは顔を赤らめて俯く。周りの人間(トリコを除く)もニヤニヤとしていた。

 

「じゃあ!行ってきます!」

 

そうやって一夏は、優しい光に包まれる——

 

 




どうでしょうか?次は束さんの部屋に現れる話です。
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