トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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やってるソシャゲ多すぎてプレイするやる気でない。何とかせねば。


グルメ28 織斑食堂!

満腹都市グルメタウンの離れ、織斑食堂はそこにあった。

見すぼらしい外見に、大きく「織斑食堂」と書かれた看板、一見普通の店だった。扉には「休業中」の板がかけられている。

 

「あれ、数か月放っておいたのに意外と綺麗だな」

 

「ああ、私やコロナがたまに来てたから」

 

「へぇ~ここが一夏の店かぁ」

 

グルメ世界旅行ご一行たちは織斑食堂へと立ち寄る。もっと大きな外観を予想していたが意外と小さかった。

 

「とりあえず店やるか。皆中で見ててくれ」

 

「あ、ああ」

 

そう言って一行は食堂の中へと入っていく。中も普通で特に変わったものは無い。強いて言うなら厨房に見たことない調理器具やら食材やらがあるだけだ。壁にはメニューがかけられている。

 

「一夏、何の知らせもなくて客来るのか?」

 

「それもそうだな、ネットに告知しよ」

 

そう言って一夏が携帯を取り出した瞬間、小さく地響きが聞こえ始める。それと同時に地面も揺れ始めた。

 

「何ですの一体!?」

 

その地響きの原因は一斉に食堂に来た客たちであった。

 

「一夏!やっと店再会したな!」

「こちとらお前の飯食いたくてたまんなかったんだ!」

「早く食わせて!」

 

老若男女が一斉に中に入ってくる。あっという間に店は満席となった。

 

「待たせてすいません!どうぞ楽しんでいってください!」

 

外にも長蛇の列が並び、まるでずっと前から並んでいたように列ができあがっている。

ここで鈴があることに気づく。

 

「あれ、何で皆食材持ってきてんの?」

 

全員とはいかないが、その殆どの客が飯を食いに来たはずなのに各自がグルメ食材を手にしている。

 

「ああ、一夏の店は持ってきた食材をメニューに無くても調理してくれるのよ。だから皆自分の大好物を持ってきてるの」

 

「こっちの世界の織斑食堂と変わらないってことか…」

 

お客たちは自分たちが持ってきた食材を嬉しそうに一夏へ差し出した。

 

「一夏シェフ!この『神龍エビ』を調理してくれ!」

 

「わっ!よくそんな高級食材手に入れられましたね!」

 

「お前の店に行く用に買ったのさ!品は任せる!」

 

「一夏さん!私は『羽衣ワカメ』をお願いします!」

 

「任せてください!」

 

「俺は『豚ケルベロス』の肉を!」

「儂は『弾道タケノコ』を頼む!」

「私は『鬼灯トマト』をお願い!」

「僕は『オーロラカマンベール』を!」

「おいらは『岩石カボチャ』!」

「俺は『樹海ピーマン』!」

「私は『殿さんま』!」

「何とかして手に入れた『霜降りフグ』を!」

「『ロイヤルコッコの卵』を頼む!」

「私は『七色イチゴ』をお願い!」

 

続々と一夏に食材が渡されていく。その中には稀にしか見ない高級食材や調理が難しい食材もあった。そして一夏はそれを僅か数分足らずのうちに調理する。

 

「はい!『神龍エビのエビフライ』『羽衣ワカメのサラダ』『豚ケルベロスの豚汁』『鬼灯トマトの刺身』『オーロラカマンベールの裂けるチーズ』『岩石カボチャの煮物』『樹海ピーマンの肉詰め』『殿さんまの塩焼き』『霜降りフグのしゃぶしゃぶ』『ロイヤルコッコ卵のスクランブルエッグ』『七色イチゴの練乳アイス』!!ごゆっくりどうぞ!」

 

次々と出される料理を客たちは夢見心地で堪能し、満足した顔で代金を払って店を出ていく。

 

「ご馳走でしたー!!」

「美味しかったぞー!!」

「フェス頑張れよー!!」

 

「ご来店ありがとうございましたぁ!」

 

一夏の調理スピードが速いのか、それとも客が食うのが速いのか、また両方なのか、次々と外で待っていた人たちも中に入っていく。しかしそれでも列は無くならない。

一夏の仕事ぶりを春十たちは傍観していた。

 

「凄いな一夏の奴…どんどん客を捌いていってる…」

 

「当たり前よ!私のコンビなんだから」

 

春十の言葉にリンカは天狗になり、自分のことのように自慢する。

 

「それにしても驚くぐらい客が多いね…いつもこんな感じなの?」

 

「いや、繁盛しているのが普通なんだけど…フェス出場決定のおかげもあって普段より賑わっているわね」

 

それほどクッキングフェスティバルの影響力は大きいものだ。視聴率95%以上が普通の番組。フェスのCM放送権利はなんと100億以上。それが数分で完売するほどだ。例えば決勝時に流れたCMソングが1日で5000万枚売れた、書籍に10億冊の予約が入ったなど、その

経済効果は4000から5000兆円と言われている。

その数字を聞いてIS側の人たちは信じられない顔をする。

 

「100億…!?」

 

「5000兆…!!??」

 

「…さっきから億と兆っていう位しか聞かないような…」

 

結局織斑食堂がいったん落ち着くまで数時間はかかった。客足が途絶えたあと、一夏も座って皆と話し始める。

 

「待たせたな皆」

 

「本当だよまったく…俺たちは観光がしたいんだ」

 

「だけど一夏さんの店、大繁盛でしたわ!」

 

「ありがとうセシリア。でさ、皆を呼んだ理由を話すよ」

 

「理由?観光じゃないの?」

 

「それもある。だけどこの前言った通り手伝ってほしいことがあるんだ」

 

「「「手伝ってほしいこと?」」」

 

「ああ、クッキングフェスで使う食材、それが世界中の美食屋たちに依頼された」

 

「世界中…ってことは」

 

「勿論リンカも含まれている。コンビとして俺も手伝わないといけない。だけど食材を運ぶ人手が足りなくて…」

 

「あれ使えば?別宇宙移動装置っての」

 

「あれは異なる世界間の通路しか作れないし、そもそも依頼された場所全部が特殊な磁場だから使えないんだ」

 

「分かった!俺たちに任せてくれ!!」

 

その依頼を春十たちは意気揚々と受ける。何度も助けてくれた一夏たちに今度はこっちが助けるのだ。

 

「ありがとう皆!だけど全員は行けないな…依頼ごとに行くメンバーを決めるか」

 

「ところで最初はどこ行くんだ?」

 

「最初の場所は…かつて野菜仙人(・・・・)が治めていた地…『野菜仙境』だ!」

 

 

 

 

 

何もない荒れ果てた土地…そこに一人の女性が歩いていた。

緑色のターバンを身にまとった褐色の肌の持ち主。彼女は食材が沢山入った袋を背負っていた。

するとそこに、人型の猛獣の群れが集まる。

全員が涎を垂らし、女性の袋を凝視している。中身を狙っているのだ。

 

「…やめといたほうが良いよ。僕に触れるのは」

 

彼女がターバンを脱ぎ捨てた瞬間、その褐色の肌は感染するかのように紫色へと染まっていった。

数分経てば、彼女を襲った猛獣たちは、泡を吹いて絶命していた。外傷は無い。

 

「一夏…帰ってきたんだ」

 

手に持っているスマホには、「織斑食堂再開!!」とニュースの一文がある。

彼女はスマホをしまい、また荒野を歩き始める。

 

 




次回あのキャラの娘がでてきます!
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