トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話 作:ZUNEZUNE
突如として行われることになった一夏対ジンギの試合。野菜仙境の中心にある大広場で行われることになり、かなり広いリングができていた。
リングの上に立つ二人。そしてそれを外から見ている多くの野菜仙人たち、そして春十ご一行。
一夏はISを使わず、あくまで武器の包丁である「黒星」「白海」だけを使うことになった。
「そう言えば…IS無しでの一夏の戦いを見たことないな」
春十たちIS世界側の人は一夏のISを使わない形での戦いを経験したこともないし見たこともない。それ以前に生身の人間同士で起きる戦闘に慣れていないのだ。
「だけど強いよね多分…リンカさんがあんなに強いなら」
なのでIS無しであそこまで戦えるリンカを始めて見た時は本当にびっくりした。あれがグルメ世界での戦い方だと驚愕もした。
「約束は守れよ一夏…」
「ああ、俺が負けたらこの地には二度とこない。お前も守れよ」
「…下界の人間如きが、生意気なんだよぉお!!」
火蓋が切って落とされる。両者ゴングが鳴った瞬間跳びかかり、唾競り合いをする。一夏は二本の包丁で、対するジンギは
ただのピーラーではない。リンカの「コテ」と同じようにグルメ細胞が具現化された武器である。
二人は後退し、お互いに距離を作る。どっちが先に仕掛けるか、それを考える時間になる。
「
ここで最初に攻撃してきたのは一夏だ。二本の包丁で斬撃をジンギに対し放ちまくる。
「土壁剥き!!」
それに対しジンギは大きなピーラーを具現化し、それで地面の表面をまるで野菜の皮のように剥き、剥けた地面を盾にして斬撃を防ぐ。
「すごい!地面を剥いてガードしましたわ!」
ジンギのピーラーはまだ止まらず、また地面を剥く。今度は大蛇のように太く、厚く、そして長く剥いた。
「地表大蛇!!」
長く剥かれた地面の皮は、そのまま倒れこんでくる。一夏はそれを左に避けるが、別の地表大蛇が襲い掛かってきた。
「地面がどんどん削れていく…」
シャルの言う通り、ジンギのピーラーのせいでどんどん大広場がボロボロになっていく。その勢いは止まることを知らない。
「はっ!!」
しかし一夏はそれを逆に利用する。倒れてくる地表を足場にし高く跳んだ。そしてそのままジンギの元へ降下する。
地面に包丁を突き刺すがジンギはそれを避ける。そして一夏の包丁とジンギのピーラーがぶつかり合った。甲高い金属音を鳴り散らし、まるで侍による刀の勝負のように思えるがまったく違う。包丁とピーラーという調理器具の戦いだった。
「剥き斬撃!!」
するとジンギが至近距離でピーラーによる斬撃を放つ。それをギリギリ包丁で受け止めた一夏であったが、その隙を突かれてしまった。
いつの間にか先ほどと同じ地表大蛇が一夏を囲んでいる。そしてそのままとぐろを巻くようにドーム状に伸び、一夏を閉じ込めた。
「どうだ見たか!!そのまま皮ごと切り裂いてやる!!」
そう言って巨大なピーラーを具現化し、自分が作った地面のドームごと切ろうと、高く跳んでピーラーを振り下ろしたが…
「はぁあっ!!」
すんでのところで一夏が土の壁を全て切り、そのままピーラーを受け止めた。
「ジンギ!何で野菜を提供することを拒む!!」
「言っただろ!俺は誇り高き野菜仙人たちが作った野菜を、下界の人間の見世物に使われるのが嫌なんだ!!」
「本当にそれだけか?
「…そうだよ!その通りだよ!!」
ジンギは激昂しながら両手で二つのピーラーを作り、そのまま一夏に向けて振り下ろしたが黒星と白海に防御されてしまう。
「だから許せない!!お前とリンカの野郎が、
「…そうだ、確かに俺は
「そこだよ!!俺だけじゃなく、しかも薄汚い下界の人間風情が仙人参を受け継いだことが許せないんだぁあああああ!!!」
ジンギの感情は更に高まり、その攻撃の威力、速さはより強烈なものへと進化する。
そしてそのピーラーは、スティック状へと変形する。
「受けてみろ!!俺の一撃を!!」
ジンギはそれを剣のように持ち、一夏へと跳びかかる。対する一夏も答えるように包丁を構えた。
「
「高山切り!!」
「厚皮剥きぃ!!」
再び始まる唾競り合い。しかし最初の奴とは比べ物にならない。一夏とジンギ、両者の想いが全て詰まっているのだ。
その押し合いは数分続いたが、遂に決着がつく。
「がっ…!!」
ジンギのピーラーが砕け散ったのだ。対する一夏の包丁は折れていない。勝敗を決めるにはこれ以外無い程の決着。一夏、そしてジンギもそれを認めていた。
「俺の勝ちで良いよな…ジンギ」
「…糞がっ!!」
ジンギは悔しがりながらも一夏に鍵を投げ渡す。その瞬間歓声が沸いた。
「一夏が勝ったぞ!!」
「当たり前、僕のパートナーだもん」
「わ・た・し・の・で・すぅ~~!!」
ジンギはそのままどこかへ消えてしまう。そして一夏たちはそのまま貯蔵庫に置いてあった溢れんばかりの野菜を目にした。
「すげぇ…野菜の山ができてるぞ」
「相変わらずここの野菜はインパクトの強い香りね…」
「お疲れさまでしたタマ一夏殿。休憩のついでにここの野菜を存分に味わってください」
「ありがとうタマギ、ありがたくそうさせてもらうよ」
こうして野菜仙境で、野菜パーティが始まった。
次回は野菜堪能回、そしてジンギの過去話の予定です。