トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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今回ちょっと少なめです。


グルメ37 ニジンからの遺言!

『ジンギ…儂はもう永くない……二代目人参仙人の名はお前にやろうジン…』

 

わかってるよ親父、アンタの息子である俺の当然の務めだ。

 

『ただし…仙人参はお前だけにやれないジン…』

 

何でだよ!?俺以外に誰が貰うってんだ!?

 

『いいかジンギ……あの一夏とリンカというコンビにも預けておく、お前が立派な野菜仙人になったら彼らから教わるといい…』

 

一夏とリンカ…?あの下界民のことかっ!?あんなやつらに何で…!!

 

『いずれすぐに分かる…儂たちが何故野菜を作っているのかが…』

 

親父!?おい親父!!親父っーーーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいジンギ!先行しすぎだ!危ないぞ!」

 

「うるせぇ!下界民が俺に指図するな!!」

 

ドラゴーヤの弱点は右脇下、一夏とリンカ、そしてジンギはそこを一点集中に狙うが、ジンギだけが先に突っ走っていた。

ピーラーで何度も斬撃を放つが、右手に全て弾かれてしまう。その度にどんどん近づき、いつのまにかドラゴーヤの目と鼻の先まで行っていた。まるでイラついているように、その猛攻は続く。

 

「落ち着け!お前だけじゃ勝てないぞ!冷静になれ!カカシチョウのことまだ引きずってんのか!」

 

「…ちげぇよ!!カカシチョウ(あいつ)のことじゃねぇ!!これは野菜仙人としての誇り(・・・・・・・・・)のために戦っている!!」

 

「野菜仙人としての誇り…?お前何言ってんだ!?」

 

「…お前には関係ねぇ!!」

 

ジンギの無謀ともいえる特攻は更に勢いを増し、攻撃の手を緩めることは無い。非常に興奮した様子でドラゴーヤに立ち向かっていた。まるで獣のようである。

 

「厚皮剥きぃい!!!」

 

そして凄まじい一太刀を奴の弱点に命中させる。ドラゴーヤはまたも悲鳴を上げて暴れまわる。

 

「厚皮剥き!!厚皮剥き!!!厚皮剥きぃいい!!!!」

 

そのまま止まることなくドラゴーヤの弱点を攻めていくジンギ、いつのまにかドラゴーヤが防戦一方となっている。グルメ界の猛獣をここまで一方的に追い詰められる理由、それは怒りの感情なのか、それとも…

 

 

 

 

 

『何故儂がお前以外に仙人参を託したのかって?それはお前が情けない未熟者(・・・・・・・)だからだジン』

 

うるせぇ!親父はそんなこと言わねぇ!

 

『お前が薄汚いと見下している下界民だって、あそこまでドラゴーヤを追い詰めているではないか。それなのにお前ときたらカカシチョウも守れずに奴らに助けられている始末…』

 

黙れよ……親父の声で好き勝手言ってんじゃねぇぞ…!!

 

『我が息子ながら恥の塊だジン、こんなことなら二代目人参仙人の名も一夏たちに託せば良かったジン…』

 

 

 

 

 

「うるせぇぇええええええええええええええええええええええ!!!」

 

一夏たち下界民に対する劣等感、自分を情けなく思う気持ち、誇り、それらが身勝手な被害妄想となり、幻聴としてジンギに襲いかかっている。

 

(二代目人参仙人に適してないだぁ?…そんなのは仙境のジジィにも耳に胼胝ができるほど言われてるよ!!やれ「もっと相応しくなれ」だの「お前の父親は立派な野菜仙人だったぞ」だの!そんなのはもう聞き飽きた!!)

 

ジンギは2つのピーラーで、ドラゴーヤに向かって斬撃を放ちまくる。勿論脇下を狙っているが斬撃はほぼ全体に放たれている。

 

「(だったらよぉ…1人でこの龍倒して…力の誇示をしてやる!!誰が一番人参仙人に相応しいか!誰が仙人参を持つに相応しいか!!今見せてやる!!)風神桂剥きぃ!!」

 

ジンギは自分の体力など気にせず、超強力な攻撃を更に続ける。もう彼には周りは見えていない。ただ自分の信念を貫くためにピーラーを使っていた。

しかし、それが油断を招いたのか、ドラゴーヤの長い尾がジンギの体に巻き付いた。

 

「糞がっ!放せ!放せ!放せぇ!!」

 

自暴自棄になって何度もピーラーを当てていくが硬い鱗で守られているためまったく効かない。

 

「放せよぉおおおおおおおおおおお!!!」

 

そして自分の尻尾ごとを食らいつこうとドラゴーヤが頭を伸ばしてくる。そして口を大きく開け、齧り付こうとしたその時…

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

横から一夏が飛び出し、2本の包丁でドラゴーヤを邪魔する。それによりドラゴーヤの狙いがジンギから一夏に変わった。邪魔されたので怒ったのか、至近距離で光線を吐く。

 

「まな板シールド!!」

 

「コテシールド!!」

 

一夏は即座にまな板シールドで防御、それに加わってリンカもコテのシールドを一夏の前に作った。それでも吹っ飛ばされた一夏はそのまま飛行に移り、ジンギを抱えてドラゴーヤから離れた。

 

「大丈夫かおい!弱点だけ狙え!」

 

「ぐっ…お前なんかに言われなくても分かってる!お前らは退いてろ!!俺一人で十分だ!!」

 

「…もう!仕方ないな!」

 

ここで一夏は一旦地面に降り、ジンギと向き合った。

 

「ニジンさんからの伝言てか遺言、聞きたくないか!?

 

「親父の遺言…!?何でお前がそんなことを…!!」

 

「最後に会った時、時が来たらお前に伝えてくれって頼まれたんだ!ちょっと早いが今伝えるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンギ……お前も野菜仙人を志すなら、分け合う気持ち(・・・・・・・)を忘れちゃいかんジン。

 

そもそも野菜仙人という存在は、美味しい野菜を世界中の人々に食べてほしいがためにできた存在…それは一龍元会長(・・・・・)の考えでもあるジン。

 

手と手を取り合う…つまり同じ食卓を囲む(・・・・・・・)者たちを見つけるんだジン…

 

 

 

お前は、一人じゃないジン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…親父がそんなことを!?」

 

一夏から伝えられた父親の言葉、ジンギは信じられない顔をしていた。

さっきの幻聴とは違う、正真正銘の言葉―――

 

「ジンギ、お前は昔からニジンさんとしか食卓を共にしたことが無いことも聞いた。だったらこれが終わったら俺たちと一緒に(・・・・・・・)飯を食おう、ドラゴーヤはきっと旨いぞ!」

 

「…」

 

「だから、俺たちと戦って倒そう!」

 

そう言って一夏は右手を差し出す。驚いていたジンギは段々冷静な顔つきに戻っていき、一夏の手を叩いた(・・・・・・・・)

 

「あほ抜かせ!誰がてめぇみたいな下界民の言うことなんか聞くか!!」

 

「…ッ!」

 

「大体、親父は考えが古臭いただのジジィだったんだよ!何が食卓を囲めだ!馬鹿馬鹿しい!!」

 

「ジンギ…お前!」

 

ニジンの想いを踏みにじる言動をしたジンギに対し一度は怒りを見せる一夏。しかし、その言葉はジンギの腹の音によって遮られる。

 

「ただし…後半には賛成だ。良かったな、俺の腹が丁度(・・)減っていて」

 

「…ああ!」

 

そうして2人はドラゴーヤへと向き合う。今はリンカが1人で食い止めていた。

 

「行くぞ、一夏(・・)!」

 

「へっ…!調理は任せておけ!」




こうしてジンギと和解しました。次回でドラゴーヤ戦は終わらせるつもりです。
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