トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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最近また太ってきた…


グルメ49 さらば天国の海!

「やったー!倒したー!」

 

崩れていくポセイドンオクトパスの亡骸を見て一行は歓声を上げる。皆で力を合わせて強大な敵を倒せたのだ。その達成感は尋常じゃない。

その中リンカとポニーだけが汗を垂らしながらハァハァと息を荒げている。久しぶりの合体必殺技「音速コテ釘パンチ」を使ったためか疲労が残っている。

その後お互いの顔を見合わせ、両者顔を崩し拳を合わせた。

 

「ふぅ…何とか倒せたな」

 

一夏も笑い顔の汗を拭う。恐ろしく強いタコだった。皆の力があったからこその勝利だと一夏は思う。

するとそんな時、マロボシが慌ててやってきた。

 

「おーい!皆~!」

 

「あ、マロボシシェフ。そんなに慌ててどうしたんですか?」

 

「カミノクニクジラが出産しそうなんだ!潮を吹くぞ!」

 

「えぇ!?」

 

そうだ、勝利の達成感ですっかり忘れていたが、本来の目的はポセイドンオクトパスではなくミカエルフィッシュ。カミノクニクジラが潮と共にその魚を噴き出すのだ。

一行は急いで鯨の元へと急ぐ。到着してみるとカミノクニクジラがそこでプルプルと震えていた。一夏はそれを捕まえようとグルメケースの準備をし、そこにヘブンオーシャンの海水を入れるがそれをマロボシが止めた。

 

「ミカエルフィッシュをグルメケースに入れるにはカミノクニクジラの潮以外の水だと魚が不味くなるぞ?」

 

「えぇ!?そうだったんですか!?」

 

ここにきて意外な真実。ミカエルフィッシュは自分の体に合った海水を求めカミノクニクジラの潮の中に移動した。そのためそれ以外の海水につけると味が劣化しストレスで死んでしまうのだ。

 

「そんな!あいつの潮水なんて取ってませんよ!」

 

「どうすんのよ!?」

 

このままだと折角のミカエルフィッシュが台無しになってしまう。全員が慌てて解決策を考えていたその時、箒が手を上げる。

 

「潮は取ってあるぞ。後で飲もうとペットボトルに」

 

「あ!そう言えばアンタ入れてたわね!」

 

「でかしたぞ箒!今回のMVPはお前だ!」

 

早速一夏は箒のペットボトルを受け取りその中の潮水をグルメケースに入れた。するとグッドタイミングのようにカミノクニクジラがピークに達し大きく鳴く。そして次の瞬間、背中の穴から思い切り潮を噴き出した。さっきの時の潮とは勢いが違う、噴水から消防車のホースのように水圧が高まっている。

そして同じようにお目当てのミカエルフィッシュも数匹飛び出してきた。

 

「あれがミカエルフィッシュか…!」

 

「なんて綺麗さなのよ…」

 

その体はプラチナのごとく白銀に輝いており、まさしくそれは天使のような美しさであった。大きさは普通の鮭程度、打ち上げられたミカエルフィッシュたちは宙で必死にヒレを動かしている。

それを見た一夏は一気に加速、凄まじいスピードながらも優しく触れるようにミカエルフィッシュを受け止めた後、流すようにグルメケースへと入れた。瞬間、ケース内の潮水もミカエルフィッシュの輝きに同調するかのように発光を始めた。

 

「すげぇ…まるで宝石みたいだ…」

 

するとカミノクニクジラの方を見るとその傍に小さな鯨が生まれている。あれが赤ん坊なのだろう。

 

「ようこそ、グルメ時代へ――!」

 

その出産を祝うようにそう呟くと、カミノクニクジラが再び震え始め、出産を終えたというのに再び潮を噴き出した。それに伴いミカエルフィッシュも出るが、その数はさっきのとは比べ物にならない程多く、潮水を噴き出しているというよりかはミカエルフィッシュの大群を出しているように見えるほどだ。

 

「うおおお!?こんなに出んのかよ…!」

 

「…恐らく一夏君たちに礼を言っているんだろう。自分と子供を守ってくれた礼をな」

 

「駄目だ俺一人じゃ足りねぇ!皆も手伝ってくれ!」

 

「「「おう!!」」」

 

そう言って一夏は全員にグルメケースを配りその中に潮水を入れていく。そして総員であふれ出るミカエルフィッシュを受け止めに行った。

いつしか一夏が持ってきていたグルメケース全部にギリギリ入り切るような数のミカエルフィッシュを捕まえることができた。まるでその輝きは宝石の山のようだった。

 

「よし!こんなに数があれば俺たちが食う分もあるだろ!マロボシシェフ!手伝ってくれませんか?」

 

「面白いものを見せてくれたんだ。喜んで手伝おう」

 

「ありがとうございます!リンカたちは他の海の幸も採ってきてくれ!」

 

そう言って一夏とマロボシは雲渡り食堂に向かっていく。他の者は食材の調達を命じられた。

 

「ミカエルフィッシュの競争は決着がつかなかったんだ。今度はどっちがより多くの食材をとってくるかで勝負だ!リンカ!」

 

「望むところよ!」

 

「わ、私だっているんだから!」

 

ここでリンカとポニー、それに加わるように鈴が海に向かっていく。箒とラウラもその後ろをやれやれと呆れながら付いていく。

数時間経てばミカエルフィッシュの料理に加え、大量の海の幸の料理がそこに並べられた。

 

「よし!この世の全ての食材に感謝を込めて…」

 

「「「いただきます!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ早速刺身を食べてみよう…」

 

まずリンカが手を伸ばしたのは白銀に輝く刺身、ミカエルフィッシュの身は中身まで白色に輝いていた。

箸でつまみ醤油をつけ、そっと口に入れてみる。

 

(大トロの数倍に匹敵するこの油と甘み!それなのに上品な甘みでいて…なんともインパクトの強い味…!)

 

「かぁ~!こんなに美味い刺身は初めてだ!」

 

「うわ千夢!いつのまに!」

 

千夢もいつからか混じっており、どんどんミカエルフィッシュを食していく。

 

(この寿司…シャリとネタが絶妙な触感でとても合っている…どんどん口の中に入れてしまう。病みつきだ…!)

 

(こんなに甘い身だから天ぷらなんて合わないと思ったのだが…揚げると香ばしさとこの魚の旨味がスッと口の中に流れて鼻から出ていく…!)

 

「他にもあるぞー!どんどん食ってくれ!」

 

こうしてその宴は一晩続き、皆がヘブンオーシャンに感謝しながら食材を口にしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして依頼者に渡す分のミカエルフィッシュを残し、一夏たちはヘヴンオーシャンから帰る準備をする。

マロボシはまだこの海に残るという。

 

「一夏君、君の料理は大変興味深い。フェスで再び会うのを楽しみにしてるよ」

 

「はい!俺も勉強になりました!」

 

そして一行は千夢のグルメアクアマスターに乗り込むが、ポニーだけは行きと同じようにボートで帰るらしい。

 

「本当に乗ってかなくていいのか?いくらそれで天国の門を突破できるとはいえ疲れるだろ?」

 

「ふん、アタシはアンタラみたいに乗り物には頼らないのさ」

 

「そっか…じゃあまたどこかでな!」

 

「…」

 

するとポニーは急に黙り込むと、無言でジェットボイスで一夏のところまで加速、瞬時にその唇を奪った。

 

「なぁ!?」

 

「今度はお前を食うぜ、一夏」

 

そう言ってボートに乗り込み、ジェットボイスを応用してそのまま一気に水平線の彼方へと突き進んでいく。

 

「千夢ゥ!あいつ追いなさい!」

 

「リンカさん落ち着いて!」

 

「早く行きなさいよ!」

 

「なんで鈴まで怒ってるんだ!?」

 

こうして慌ただしく終わりながらも、こうして一行はヘヴンオーシャンを去った。




これでグルメオーシャン編は終了です。次は単発回をやろうと思います。
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