トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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今回でマグマカレー編は終了です!


グルメ57 火山のカレー!

「おい!あの四天王の娘と料理人一夏がマグマカレーを取りに行ったって本当か!?」

「ああ、数時間前にここを通ったらしい」

 

ステナ温泉街のドーイド火山に続く門にて、そこには一夏たちの姿を見て噂している野次馬と住人たちで溢れかえっていた。門番も一夏たちを待ち望んでいた。

しかしそれは、とある地響きで収束する。

 

「な、何だありゃ!?」

 

住民が指さす方向には巨大な鉄塊が2つ、それは建物のように大きい鍋であった。それを運んでいるのはリンカとコロナ。

リンカは両手で踏ん張って持っているのに対し、コロナは触手を使い片手しか使ってなかった。

 

「ちょっとアンタァ!触手余ってるならこっちにも貸しなさいよ!」

 

「貴方みたいながに股持ちしている品性の無い女性に力なんか貸したくないですわ」

 

「新四天王のリンカとコロナだ!一夏もいるぞ!!」

「うわッすげーカレーの香り!」

 

やがてステナ温泉街に帰ってきた一夏たちは持っていた2つの巨大鍋を一斉に下ろす。そこには零れそうな程のマグマカレーが入っていた。

一夏は運んでいた2人に「お疲れ様」と言った後、集まっていた野次馬の前に立った。

 

「皆!マグマカレーを取ってきた!皆で食べようぜ!!」

 

「おーマジか!」

「マグマカレーなんて久しぶりに食うぜ!」

 

「一夏いいのか?」

 

「春十兄、結構カレーは余ってるから大丈夫だよ。それにみんなで食べた方が美味しいに決まってるだろ!」

 

「――それもそうだな!」

 

こうして始まったステナ温泉街で開催されたマグマカレーパーティ、ルーの中の有毒物質の除去は一夏を始めとした街のシェフが尽力して行われた。

そうして除去した後のマグマカレーを再び煮る。

 

「マグマカレーは本来地域によって辛さも味も違うが……このドーイド火山産のは別だ。煮る時の温度で辛さを調節できる。まぁそれも結構難しい技術だけどな……できたぞ!食いたい辛さを教えてくれ!」

 

全てのルーの仕込みが終わり、一夏たち料理人が横に並び配膳する。予め辛さごとにグループ分けされていた机の上にどんどんカレーライスが置かれていった。

 

「よし!この世の全ての食材に感謝を込めて……」

 

「「「いただきます!!!」」」

 

 

 

 

「うーんこのコク!舌の上でカレーの味が一気に口の中へ広がったわ!」

 

「甘口のマグマカレー……甘い分ゆっくりとその味を堪能できる……」

 

「辛口もいいわよ!この辛さが癖になるわ!」

 

IS組も当然ステナ温泉街の住民観光客全員がそのカレーを堪能していく。子供に好かれている甘口、少し辛いがそれが病みつきになってスプーンが止まらなくなる辛口。一夏たちはマグマカレーを煮る温度でどんどん辛さを分けていった。

するとその場に、とある料理人が突如現れた。

 

「あぁん……ドーイド火山のマグマカレー、久しぶりに見たな」

 

「あ、貴方は……チリサイシェフ!?」

 

その顔を見て一夏は驚愕する。この男は料理人ランキング30位のチリサイ。激辛専門店のオーナーシェフであり辛い食材を基本的に扱っていた。

 

「チリサイってあのチリサイか!?」

「その料理はあまりにも辛くて食べる前には全ての責任を自身で負う契約書を書かないといけない程危険と聞くが……」

 

「お前が一夏か、話は聞いている。ちょっとそのルーを貸してもらうぞ」

 

するとチリサイは一番辛いマグマカレーのルーを少しだけ貰い、そこから他の料理を作っていく。途中いかにも辛そうな調味料を入れ、できたのはカレーパンであった。

 

「さぁ食って悶絶しろ!チリサイ特製マグマカレーパンだ!!」

 

「ハム――辛ッ!!!!」

「舌全体が痛くて堪らねぇ!!」

「それでも……何故か止められない!」

 

「凄い!今閻魔七味を入れてましたよね!あの食材をあんな一瞬で調理しちゃうんなんて……少しお話聞かせてください!」

 

「ああ、俺もお前とは話がしたかった」

 

そうやって突然のプロ介入に祭りは更に盛り上がっていく。皆絶品のカレーを口にして踊り出し騒ぎ出した。そんな中一夏は目を光らせてチリサイから話を聞いていた。

 

「……」

 

その様子を、鈴はただ傍観するだけである。

 

 

 

 

夜、一夏たち一行はマグマカレーのお礼として無料でこの町で一番の温泉に入らせてもらった。ドーイド火山で掻いた汗をここで一気に洗い流す。

一夏が上がり外に出て見れば、すぐそこのベンチに鈴が座っていた。

 

「おー鈴!どうだったステナ温泉街の温泉は」

 

「本当に美味しかったわよ、ちょっと飲むのに気が引けたけどね」

 

何気ない会話を始め、一緒にベンチに並び星空を眺める。

ここで鈴は何かを言いたそうにモジモジとしだす。それに気づかず一夏は会話を続けた。鈴は今日チリサイと楽しそうに話している一夏の姿を見てある杞憂――といえど、本当にそうなりそうなことを想っていた。

 

(一夏は元々こっちの世界の人間なのに……そのフェスが終わったら、グルメ世界に残るのかしら?)

 

そう、鈴は一夏にゆくゆくは自分たちの世界にいて欲しかった。しかし彼自身はこのグルメ世界の住人の色に染まっている。何とかそのことを聞き出そうとするもそう易々と聞けることではなかった。

 

「あ、あの一夏……」

 

「そう言えば鈴、さっきチリサイシェフから聞いたんだけどさぁ」

 

勇気を出して聞いてみようとするも、一夏の話に遮られてしまう。すると一夏はさっきまでのキラキラした目を更に輝かせて鈴を見た。

 

「マグマカレーはグルメ界にもあるらしい、あそこにはもっと美味しいマグマカレーが噴火する火山があるんだ!ワクワクしないか!?」

 

「……そうね」

 

しかし一夏は料理の才能を導き出しすっかりその道に夢中になっていた。それでも鈴は諦めない、いつか一夏を説得してIS世界に帰らせるのだと決意した。

 

「一夏様ー!私も只今上がりましたわー!!」

 

するとコロナが浴衣姿で建物から出てくる。触手で優雅に空を飛び、一夏と鈴の間に無理やり入り込んだ。

 

「一夏様一夏様!!今回今一度貴方のお傍にいて行動を共にした結果、ますます惚れさせてもらいました!!」

 

ここでなんとコロナは右側に一夏に体を預け、そのまま触手でその顔を引き寄せると口づけをした。

 

「なッ!?」

 

「ちょッ……!?」

 

「これはその……印ですわ」

 

突然のキスにコロナを除く2人が赤面していると突如として温泉の方から爆発音が鳴り響く。一体何事かと後ろを向くとそこには天井を貫き空へと伸びる巨大なコテ。

 

「やばいリンカだ!逃げるぞコロナ!!」

 

「所謂駆け落ちですわね♡」

 

「待ちなさいコラァアアアア!!!!」

 

そうして始める一騒動、それを傍から見て鈴は、今まで真面目に考えていた自分が馬鹿らしくなり微笑んだ。




次回は1話完結で新四天王集合の予定です。
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