トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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今回は1話完結と言ったな……あれは嘘だ。


グルメ58 新四天王集合!

「なぁ一夏、依頼された食材はあといくつあるんだ?」

 

休みの織斑食堂にて、春十が椅子に腰かけ暇そうにそう聞いてきた。一応今日はどこにも行くあてが無く、全員が織斑食堂に集まっている形だ。

対する一夏は厨房に立っており仕込みをしながらそれに応答する。

 

「といってももう依頼は全部終わったんだよなぁ……それにそろそろフェスも近いし、ここいらで料理人として腕を鍛えたいところだ」

 

「じゃあフェスの日まで俺たちで一夏に付き合ってやろうぜ!!」

 

「春十は一夏さんの料理がただ食べたいだけでしょ?」

 

春十の食い意地に呆れるIS組、すると一夏が仕込みを終えエプロンを脱いだその時、突如として扉が開く。

 

「あ、すいません今日お休み……ってIGOの……」

 

店が休みなのにも関わらず、遠慮なく入ってきたのは1人の黒服、まるでアフロのような髪型をしたサラリーマンにはにつかない男であった。

 

「美食屋リンカ様、そして一夏シェフ、IGOから食材調達の依頼をお持ちしました。これはマンサム会長直々のものです」

 

「会長から?一体何の用よ」

 

すると今まで一夏の料理を食っていたリンカも身を乗り出してその男の話を聞く。

 

「――タイラントターニップ(・・・・・・・・・・)が実りました」

 

「なッ――あのカブの王様がか!?」

 

その言葉を聞いた瞬間、一夏とリンカは驚いた顔をする。一方IS組は何のことやらと首を傾げる。

 

「つきましてはそのタイラントターニップを、新四天王全員で調達せよとのことで……」

 

「「……し」」

 

新四天王全員で――!?

 

 

 

 

「わぁー!凄く広い畑ですの!」

 

そう言ってセシリアは訪れた畑の広さに圧巻する。地平線の向こうまで野菜畑のこの土地は、周りに建物が無く広々とした雰囲気であった。

 

「IGOの開発局……ヨハネスさんが局長やっているところだな、そこが所有する野菜の品種改良を目的とした専用野菜畑だ。その広さは2000平方km」

 

「広い畑だな……ドイツでもそんな広い畑は作らんぞ」

 

IGOの開発局は第1ビオトープでも勿論新種の食材の開発を進めているが、こういった自然の力に任せて行う品種改良も行われている。野菜畑にそこまで広い面積を使えるのはIGOぐらいしかない。

 

「ところで一夏、そのタイラントターニップというのはどんなのだ」

 

「春十兄の足元に生えてるぞ」

 

「え――ってこれか!ちょっと抜いて見よ」

 

そう言って春十は足元の根を掴み、力強くそれを引き抜こうとする。想像した以上の重量感に少し驚いたが、一応グルメ細胞持ちなので難なく抜くことができた。

 

「うおすげッ!バスケットボール並みだぜこれ!それにずっしり重い!!」

 

「それがタイラントターニップの普通のサイズだよ。元々そのカブはそれよりちょっと小さいカブを品種改良して大きくしたのがタイラントターニップ」

 

「だけどそれよりもっと大きくなるのが稀にあるのよ、所謂スーパー(・・・・)タイラントターニップね。今回の目的はそれよ。それにしても四天王全員でって……何考えてるんだかあの人は……」

 

ちなみに同じ時でのIGO本部にて、会長が「ハンサムって言った今!?」とご乱心になったのはまた別の話。

 

「でも……この広さならこのメンバーを呼んでもおかしくないと思うな」

 

「あ、ララ!!」

 

すると野菜仙境で共に戦った新四天王の1人であり、美食屋ココの娘であるララがやってきた。新四天王の中で彼女は2番目である。

 

「それに最大級のタイラントターニップは重いだけじゃなくて引っこ抜かれることに抵抗してくる。100人の力でも抜けなかったっていう話もあるくらいだ」

 

「しかしそれでも、今回ばかりはリンカに同感ですわ」

 

「ゲッ、コロナ……」

 

そして次に来たのはサニーの娘であるコロナ、マグマカレー調達の際一夏と共に火山に行った、美しさを求める女性である。

 

「ララはまぁ良いとして、何で私が汚い泥――しかも醜い人たちと一緒に来なければならないんですの」

 

『そんなことはどうでもいい!とっととそのタイラントターニップってのを探すぞぉ!!』

 

すると今度は聞き覚えのある声が大音量で辺りに鳴り響く。遠くを見れば1人の女が木に寄りかかってこちらを見ている。ゼブラの娘であるポニーだ。

 

「ポニーまで!」

 

「この際だ、どいつが一番大きいカブを手に入れるか勝負しようぜ」

 

そして挑発的な言葉をその場の全員に投げかける。四天王一の凶暴さを持つ彼女なら当然の発言だろう。しかし他の3人はそれに積極的ではない。

 

「どうして私がそんな品の無いことをしなければならないんですの」

 

「協力しろって言われてるじゃないの、私も嫌よ」

 

「……僕も遠慮する」

 

「ほぉー……じゃあこうしよう、この勝負で勝った方が一夏のコンビってことで」

 

「「ッ!!」」

 

「ちょ!?何勝手に決めてんだお前!!」

 

「そうよ!一夏は私のコンビよ!」

 

勝手に勝利の報酬になった一夏、それに対し本人とリンカは全力で反対するも今の発言で嫌がっていた2人にも火がつく。

 

「その勝負、乗りましたわ!」

 

「やっぱ僕も参加する……!」

 

「なッお前ら!?」

 

そのまま一夏の話も聞かず別方向へ散っていく3人たち、IS組は突然の展開に呆然として立ち止まっていた。

 

「こ、こうなったら私が勝って一夏が私のコンビだと改めて実感させてやるんだから!!」

 

「リンカまで……じゃ、じゃあ俺たちも行くか」

 

「お、おう……」

 

こうして今回の依頼は、リンカ、ララ、コロナ、ポニー、IS組の5組による競争となった。




もう分かっている人もいると思いますが、今回のお話は原作のマダムフィッシュを元にしています。釣り以外で何か協力して調達する食材が無いものかと探していたところ、大きなカブの童話を思い出しカブにしました。
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