トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話 作:ZUNEZUNE
一夏を含めた料理人たちが互いに競い合い、食材を抱えながらゴールへ進んでいる中観客席は沸騰寸前にまで盛り上がっていた。歓声が鳴りやむ時は来ず、全てが騒がしい。
唯一静かなのは、リンカや春十たちがいるVIP席かもしれない。
「一夏、周りのライバルに苦戦してるわね……あの人たちって相当強いの?」
「ええ、料理人の中には元美食屋もいる。基本的に強くなければフェスで勝ち残ることはできないわ……小松さんは除いてね」
この世界に慣れていないIS組に説明しているのは一夏のコンビであるリンカ、ちなみに他の四天王も同じ席にいた。逆にリンカ以外の四天王が質問責めにしているのは春十であった。
「君……一夏のお兄さんなんでしょ?何か一夏のエピソードとかないの?」
「出しゃばらないでくださいましララ!でも……確かにそれは興味がありますわ」
「お前、奴の弟なら一夏とアタシがコンビになるのを認めてくれよ」
「アンタらぁ!抜け駆けしてないで試合を見なさいよ試合を!」
「ははッ……」
VIP席が静かというのを撤回しよう、今現在その空間は別の意味で盛り上がっていた。
「チリサイシェフは激辛専門店のシェフ、世界中のありとあらゆる激辛食材を極めている辛さの天才とも呼ばれているわ」
「チリサイ……あの火山であった人ですか」
チリサイはドーイド火山で面識があり、IS組で彼の顔を知っているのはマグマカレーを取りに行った春十、簪、鈴の3名であった。
「そのフルコースは当然どれも辛い食材、特にドリンクの激辛神水なんか取り扱いを間違ってあまりの辛さにショック死した人が星の数ほどいる食材よ」
「ショ……ショック死!?辛さ!?」
「それを的確に調理できるのがチリサイ……といっても調理が成功したものでも気絶するケースが多いんだけどね。あまりに辛いそのフルコースは、食べる前にどんなことがあっても全責任を自分で負うという契約書を書かないと食べられない程」
「……何でそんな人がランキングに?」
「何で……って、そりゃ美味いからに決まってるじゃない」
グルメ世界の住民の食事概念についていけないIS組、唯一納得しているのはこの世界に一番慣れていた春十だけであった。
「そしてクレイシェフ、臭い食材だけを取り扱う料理人。あの人もまた多くの気絶者を出せる程危険な食材を使って料理してるわ」
「私……あの人は好きになれませんわ、あの人の
「俺のことを呼んだか?」
そう言って現れたのは薄汚い1人の美食屋、獣の皮で作られた服を身に纏い豪快さを醸し出し斧を携えたこの男の名は……
「あ、ゾンビさん」
「違うよ死霊のはらわたですよ」
「げ……ザンゲリア」
「何だ腐った死体か」
「ゾンゲだゾンゲ!!何故かVIP席にお呼ばれされなかったゾンゲ様だぁーー!!」
リンカたちに間違った名前で呼ばれたことに怒るロンゲ、しかしその両腕はVIP席のスーツマンに掴まれる。
「お客様、ここはVIP席ですので一般席にお戻りを」
「何を言ってやがる!俺はゾンゲだぞ!放せッー!!」
「……何今の人」
「クレイシェフのパートナー、覚えなくていいわよ」
「お待たせしました、こちらクジラ豚のステーキにございます」
「おっ♡待ってました~~♪」
するとウエイターに出されたステーキを豪快に頬張るリンカ、その食べっぷりに春十を除くIS組は驚き、ポニーも同じような食欲を見せていた。
「ん~♪この豚の上品な脂にクジラのクセの無さ、相当の脂肪分だけでどんどん食べれるわ~!」
「あのぉ……一夏は勝てますかね」
「ん……当然でしょ?何故なら一夏は……」
「私のコンビなんだから!」
「僕のコンビだから大丈夫だよ」
「私のコンビですので心配いりませんわ!」
「アタシのコンビなんだから当たり前だろ!」
「――って何でアンタらまだ諦めて無かったの!?」
「寧ろ僕らがそう簡単に諦めると思う?」
「貴方みたいな下品な人に一夏様は似合っていませんわ!」
「好き勝手言ってんじゃねぇぞテメェら!」
「あ……また喧嘩だ」
もう何回目かも忘れた喧嘩、それに春十たちは大分ウンザリしていた。それをよそに、フェスは更に盛り上がっていくのであった。
正月があっという間に過ぎましたね(今頃)。今回はちょっと少なくてすいません。