トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話 作:ZUNEZUNE
一夏はそれ程空腹では無かった。だがISのシールドエネルギーが尽きた状態を「飢餓」と扱われているらしい。
そこで
しかし
だから、発動限界時間は…5分!
それまでに鵺コッコを倒して、その肉を食べないと死んでしまうのだ。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
一夏の包丁と鵺コッコの爪が交じり合う。金属音を鳴らしながら受け止め合っている。
「
ここで丸い斬撃を放ち鵺コッコの身体を斬り裂く。赤い血が溢れ出た。
しかし鵺コッコの凄まじいラッシュが一夏を襲った。
「ぐあああああああ!!??」
地面に叩きつけられる一夏。こうしている間にも時間は迫りつつある。
(早くしないと…!)
「この野郎っーー!!」
春十は無謀にも暴走状態のラウラに斬りかかるが、弾かれてしまう。
「がはっ!?」
地面を転がり、白式は解除してしまった。
しかし春十の足は止まらず、ラウラに向かう。
そんな無茶を、箒が止めた。
「馬鹿者!何をしている!?死ぬ気か!」
「放せ!あいつふざけやがって!ぶっとばしてやる!」
春十が目前にいるのに、ラウラは攻撃してこない。
「どうして攻撃してこないんでしょう…?」
「武器か攻撃に対して反応する自動プログラムのようなものか」
司令室で千冬と真耶が考察していた。
「じゃあ…ボーデヴィッヒさんの意識は…?」
「…」
「放せよ箒!邪魔するならお前も——!」
「——いい加減にしろ!」
ここで乱心状態の春十の頬にビンタを入れる箒。
今の春十こそが暴走していた。
「一体何だというのだ!」
「あいつ…千冬姉と同じ居合を使いやがる!あの技は俺と一夏が千冬姉から学んだもの…千冬姉だけの技なんだ!」
「今のお前に何が出来る!白式のエネルギーも残っていない状態でどう戦う!お前がやらずとも先生方が対処してくれる!」
「違うんだ箒!俺がやらなきゃいけない事じゃない、俺がやりたいんだ!」
「ならばどうするというのだ!」
「エネルギーが無ければ持ってくれば良いんだよ」
ここでシャルが近寄る。リヴァイヴからコードを伸ばし、待機状態の白式に繋げる。
「リヴァイヴのコアバイパスを解放、エネルギーの流出を許可!」
するとコードが金色に光り、白式にどんどんエネルギーが注入されていく。
それが終わると、シャルは人差し指を構えた。
「約束して、絶対に負けないって」
「ああ…サンキュー!」
そして、白式の右腕だけが展開された。その手には雪片弐型が握られている。
「零落白夜発動!」
ワンオフ・アビリティを発動し、構える春十。ラウラもそれに反応して向きを変える。
「行くぜ…偽物野郎!」
そして、その腹に一撃入れた。
すると斬り口からラウラが押し出され、春十に保護された。
精神世界の中で、ラウラはゆっくり浮かんでいる。
(お前は何故強くあろうとする…?)
この場にはいない。見えない人間に質問した。
(どうして強い…?)
強くねぇよ…俺は、全く強くない。
男の声がした。聞いた事のある声だ。
俺は弱い人間だよ…大事な弟も守れない弱い男だ。
だけど俺は強くなりたい…強くなって…これ以上千冬姉や皆に大事なものを失わせたくない。
(大事な…もの…?)
ああ、一夏や…お前のことだ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。
ラウラは気を失い、春十の腕の中で眠っていた。
「大丈夫か春十!?」
「ああ、大丈夫だ」
そう言って春十は笑みを見せる。それに対し箒は顔を赤らめた。
ラウラをそっと置き、立ち上がってもう一つの戦いを見た。
「…血まみれぇ!!!こっちは大丈夫だ!!思いっきりやってくれ!!」
その叫びは、一夏の耳に届く。そして中で響く。
いつの間にか、口角を曲げていた。
そうだ、あれが織斑春十だ。
「…俺は世界で最高の兄さんを持ったよ」
俺の…自慢の兄だ。
「さて鶏野郎。覚悟は良いか」
一度冷静になり、包丁を静かに構える。
その太刀筋は、2本の包丁をより美しく魅せる。
「時間も無いんでな…一撃で終わらせる!!」
鵺コッコが、何かを察知する。
動物的本能や直感、阿呆の鳥に唯一ある危険察知能力で捉えたのは…命の危機!
「
「高山分け!!!!」
次の瞬間、鵺コッコの首は、胴体に別れを告げていた。
重い頭が地面に落ちる。
「…ふぅ」
久しぶりの大技に少し疲れた一夏は、春十の方を見て…
「!」
サムズアップをした。
それに対し春十も笑顔で返す。
「へへっ…!」
誰もが安心しきっていた…その時!
「うがっ!?」
一夏が身体を掴まれ、アリーナのバリアに叩きつけられる。
見てみると、首が無い状態の鵺コッコが自分を襲っていた。
「こい…つ…首が…無くても…!」
…「首なし鶏マイク」という話がある。
夕食用の鶏が首をはねられた。
しかしその鶏は絶命せず、そのまま歩いたという。
頭部が無いのにも関わらず、羽づくろいや餌をついばむ行為をしたというこの鶏は「マイク」と名付けられた。
しかもこの鳥、その状態で2年近く動いていたという。
このような話は他にもある。どうやら鵺コッコも例外ではないようだ。
鵺コッコの虎腕は、一夏の全身を握りしめる。
「うがが…!?」
もう時間も無い、体力も無い。絶体絶命である。
「…しかた…ねぇ!」
一夏も覚悟を決める。そして口を大きく開け…
「…ガブッ!!」
自分を掴んでいる腕を…少し噛み千切った。
気づいた時には、鵺コッコの両腕は切り落とされていた。
「…えっ?」
その瞬間を見ていた春十達は絶句する。
「血まみれ」が…切り落としたからだ。
現に解放された一夏は包丁を大きく広げている。
「…」
そして次に、軽く包丁を振ると…
鵺コッコの四肢が切断されていた。
「なっ!?」
流石にこれでは生きられない。鵺コッコの身体は完全に絶命する。
何が起きたか周りは理解できない。しかし一夏は理解していた。
(進化した…!俺のグルメ細胞が!!)
元々発動した時点で進化の前兆は起こっていたのである。
すると、先程襲われたせいなのか…
「…!」
一夏の付けていた仮面が、半分欠ける。
「…なっ!?」
春十と箒、そしてそれを映像で見ていた鈴と千冬が、その目を見て驚愕する。
「…一夏?」
行方不明になった弟の名をそっと呟く。
目を見開き、その顔を眺めた。
「一夏なのか!?おい!!答えてくれ!!」
(春十兄…!)
内心悲しんでいる一夏であったが、春十の言葉を無視して、鵺コッコの肉を回収してアリーナを去った。
「おい一夏!!何で逃げるんだ!俺だ春十だ!!」
遠くに行ってしまう弟を必死に呼び止める春十。
しかし無駄だった。
「嘘…でしょ?」
「鈴さん!?」
それを画面で見ていた鈴は、崩れる。それをセシリアが構った。
「何で…あいつ生きてんのよ…」
「鈴さん…?」
その目から、一筋の涙が流れる。
死んだはずの幼馴染みが、今動いていた。戦っていた。前回自分を守っていた。
(何でよ!何でよ一夏!!)
「織斑先生?彼を知っているんですか!?」
「…」
千冬も例外では無い。泣いてはいなかったが、驚きを隠せてなかった。
「知らない…と言えば嘘になる」
「じゃあやっぱり…!」
「だけど…あいつは死んだ。いや正確に言えば行方不明になった!」
「…えっ?」
「一夏…何故私達に会わない?」
「春十、彼を知っているの?」
「…ああ」
何も知らないシャルは困惑している。
彼の素顔ではなく、それを見て驚愕している春十と箒にだ。
「あいつは…一夏、織斑一夏」
「俺と千冬姉の…弟だ」
時々一夏と春十を間違えます。