トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話   作:ZUNEZUNE

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もうすぐ受験、やけくそです。


グルメ6 血まみれの正体!

自食作用(オートファジー)とは、栄養飢餓状態の生物が自らの細胞内のタンパク質をアミノ酸に分解し、一時的にエネルギーを得ることである。この事について現実世界で発見してノーベル賞を取った者もいる。

一夏はそれ程空腹では無かった。だがISのシールドエネルギーが尽きた状態を「飢餓」と扱われているらしい。

自食作用(オートファジー)はあくまで細胞エネルギーを増大させる手段、ISのシールドエネルギーを増やせない。

そこで食欲悪魔(ブラッド・ディアボロス)に宿っている一夏の「悪魔」がその細胞エネルギーをISのエネルギーに変換、ISと謎の関わりがある「食欲の悪魔」だけが為せる技だった。

しかし自食作用(オートファジー)は餓死に対しての一時的な回避に過ぎない。長時間発動していれば自分自身の細胞を食い尽くして死んでしまうリスクがある。

だから、発動限界時間は…5分!

それまでに鵺コッコを倒して、その肉を食べないと死んでしまうのだ。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

一夏の包丁と鵺コッコの爪が交じり合う。金属音を鳴らしながら受け止め合っている。

 

無限の料理術(インフィニット・クッキング)!満月輪切り!!」

 

ここで丸い斬撃を放ち鵺コッコの身体を斬り裂く。赤い血が溢れ出た。

しかし鵺コッコの凄まじいラッシュが一夏を襲った。

 

「ぐあああああああ!!??」

 

地面に叩きつけられる一夏。こうしている間にも時間は迫りつつある。

 

(早くしないと…!)

 

 

 

「この野郎っーー!!」

 

春十は無謀にも暴走状態のラウラに斬りかかるが、弾かれてしまう。

 

「がはっ!?」

 

地面を転がり、白式は解除してしまった。

しかし春十の足は止まらず、ラウラに向かう。

そんな無茶を、箒が止めた。

 

「馬鹿者!何をしている!?死ぬ気か!」

 

「放せ!あいつふざけやがって!ぶっとばしてやる!」

 

春十が目前にいるのに、ラウラは攻撃してこない。

 

 

 

「どうして攻撃してこないんでしょう…?」

 

「武器か攻撃に対して反応する自動プログラムのようなものか」

 

司令室で千冬と真耶が考察していた。

 

「じゃあ…ボーデヴィッヒさんの意識は…?」

 

「…」

 

 

「放せよ箒!邪魔するならお前も——!」

 

「——いい加減にしろ!」

 

ここで乱心状態の春十の頬にビンタを入れる箒。

今の春十こそが暴走していた。

 

「一体何だというのだ!」

 

「あいつ…千冬姉と同じ居合を使いやがる!あの技は俺と一夏が千冬姉から学んだもの…千冬姉だけの技なんだ!」

 

「今のお前に何が出来る!白式のエネルギーも残っていない状態でどう戦う!お前がやらずとも先生方が対処してくれる!」

 

「違うんだ箒!俺がやらなきゃいけない事じゃない、俺がやりたいんだ!」

 

「ならばどうするというのだ!」

 

「エネルギーが無ければ持ってくれば良いんだよ」

 

ここでシャルが近寄る。リヴァイヴからコードを伸ばし、待機状態の白式に繋げる。

 

「リヴァイヴのコアバイパスを解放、エネルギーの流出を許可!」

 

するとコードが金色に光り、白式にどんどんエネルギーが注入されていく。

それが終わると、シャルは人差し指を構えた。

 

「約束して、絶対に負けないって」

 

「ああ…サンキュー!」

 

そして、白式の右腕だけが展開された。その手には雪片弐型が握られている。

 

「零落白夜発動!」

 

ワンオフ・アビリティを発動し、構える春十。ラウラもそれに反応して向きを変える。

 

「行くぜ…偽物野郎!」

 

そして、その腹に一撃入れた。

すると斬り口からラウラが押し出され、春十に保護された。

 

 

 

精神世界の中で、ラウラはゆっくり浮かんでいる。

 

(お前は何故強くあろうとする…?)

 

この場にはいない。見えない人間に質問した。

 

(どうして強い…?)

 

 

強くねぇよ…俺は、全く強くない。

 

 

男の声がした。聞いた事のある声だ。

 

 

俺は弱い人間だよ…大事な弟も守れない弱い男だ。

 

 

だけど俺は強くなりたい…強くなって…これ以上千冬姉や皆に大事なものを失わせたくない。

 

 

(大事な…もの…?)

 

 

ああ、一夏や…お前のことだ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

 

 

 

ラウラは気を失い、春十の腕の中で眠っていた。

 

「大丈夫か春十!?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

そう言って春十は笑みを見せる。それに対し箒は顔を赤らめた。

ラウラをそっと置き、立ち上がってもう一つの戦いを見た。

 

「…血まみれぇ!!!こっちは大丈夫だ!!思いっきりやってくれ!!」

 

その叫びは、一夏の耳に届く。そして中で響く。

いつの間にか、口角を曲げていた。

そうだ、あれが織斑春十だ。

 

「…俺は世界で最高の兄さんを持ったよ」

 

俺の…自慢の兄だ。

 

 

 

「さて鶏野郎。覚悟は良いか」

 

一度冷静になり、包丁を静かに構える。

その太刀筋は、2本の包丁をより美しく魅せる。

 

「時間も無いんでな…一撃で終わらせる!!」

 

鵺コッコが、何かを察知する。

動物的本能や直感、阿呆の鳥に唯一ある危険察知能力で捉えたのは…命の危機!

 

無限の料理術(インフィニット・クッキング)…」

 

 

 

 

 

 

「高山分け!!!!」

 

 

 

 

 

次の瞬間、鵺コッコの首は、胴体に別れを告げていた。

重い頭が地面に落ちる。

 

「…ふぅ」

 

久しぶりの大技に少し疲れた一夏は、春十の方を見て…

 

「!」

 

サムズアップをした。

それに対し春十も笑顔で返す。

 

「へへっ…!」

 

誰もが安心しきっていた…その時!

 

「うがっ!?」

 

一夏が身体を掴まれ、アリーナのバリアに叩きつけられる。

見てみると、首が無い状態の鵺コッコが自分を襲っていた。

 

「こい…つ…首が…無くても…!」

 

…「首なし鶏マイク」という話がある。

夕食用の鶏が首をはねられた。

しかしその鶏は絶命せず、そのまま歩いたという。

頭部が無いのにも関わらず、羽づくろいや餌をついばむ行為をしたというこの鶏は「マイク」と名付けられた。

しかもこの鳥、その状態で2年近く動いていたという。

このような話は他にもある。どうやら鵺コッコも例外ではないようだ。

鵺コッコの虎腕は、一夏の全身を握りしめる。

 

「うがが…!?」

 

もう時間も無い、体力も無い。絶体絶命である。

 

「…しかた…ねぇ!」

 

一夏も覚悟を決める。そして口を大きく開け…

 

 

「…ガブッ!!」

 

 

自分を掴んでいる腕を…少し噛み千切った。

 

 

 

 

 

気づいた時には、鵺コッコの両腕は切り落とされていた。

 

「…えっ?」

 

その瞬間を見ていた春十達は絶句する。

「血まみれ」が…切り落としたからだ。

現に解放された一夏は包丁を大きく広げている。

 

「…」

 

そして次に、軽く包丁を振ると…

鵺コッコの四肢が切断されていた。

 

「なっ!?」

 

流石にこれでは生きられない。鵺コッコの身体は完全に絶命する。

何が起きたか周りは理解できない。しかし一夏は理解していた。

 

(進化した…!俺のグルメ細胞が!!)

 

自食作用(オートファジー)の状態で、極上の肉を食った結果、一夏の細胞レベルは格段アップ。

元々発動した時点で進化の前兆は起こっていたのである。

すると、先程襲われたせいなのか…

 

「…!」

 

一夏の付けていた仮面が、半分欠ける。

 

「…なっ!?」

 

春十と箒、そしてそれを映像で見ていた鈴と千冬が、その目を見て驚愕する。

 

「…一夏?」

 

行方不明になった弟の名をそっと呟く。

目を見開き、その顔を眺めた。

 

「一夏なのか!?おい!!答えてくれ!!」

 

(春十兄…!)

 

内心悲しんでいる一夏であったが、春十の言葉を無視して、鵺コッコの肉を回収してアリーナを去った。

 

「おい一夏!!何で逃げるんだ!俺だ春十だ!!」

 

遠くに行ってしまう弟を必死に呼び止める春十。

しかし無駄だった。

 

 

 

「嘘…でしょ?」

 

「鈴さん!?」

 

それを画面で見ていた鈴は、崩れる。それをセシリアが構った。

 

「何で…あいつ生きてんのよ…」

 

「鈴さん…?」

 

その目から、一筋の涙が流れる。

死んだはずの幼馴染みが、今動いていた。戦っていた。前回自分を守っていた。

 

(何でよ!何でよ一夏!!)

 

 

 

「織斑先生?彼を知っているんですか!?」

 

「…」

 

千冬も例外では無い。泣いてはいなかったが、驚きを隠せてなかった。

 

「知らない…と言えば嘘になる」

 

「じゃあやっぱり…!」

 

「だけど…あいつは死んだ。いや正確に言えば行方不明になった!」

 

「…えっ?」

 

「一夏…何故私達に会わない?」

 

 

 

「春十、彼を知っているの?」

 

「…ああ」

 

何も知らないシャルは困惑している。

彼の素顔ではなく、それを見て驚愕している春十と箒にだ。

 

「あいつは…一夏、織斑一夏」

 

 

 

「俺と千冬姉の…弟だ」

 

 

 

 




時々一夏と春十を間違えます。
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