トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話 作:ZUNEZUNE
IS世界からやってきた次のグルメ時代を代表する美食屋新四天王、親である旧四天王から才能と実績を受け継ぎその力を発揮するその姿はグルメ世界でも戦乙女と名高く人気もある。
トリコとリンの娘であるリンカ、ココの娘であるララ、サニーの娘であるコロナ、ゼブラの娘であるポニー、勿論親の七光りだけではない。既に食儀を習得し、もうグルメ界には踏み入れられる強さにはなっていた。
そして相手はそのグルメ界でも屈指の実力者である四神獣たち、丁度数も合わさってタイマンが可能である。
「よっしゃ!行くわよー!」
クリーム白虎VSリンカ、リンカは2本のコテを刀のように扱い接近戦に持ち込む。コテと鋭い爪が幾度も交差し金属音が鳴り響く。すると両者唾競り合いの形になったところで、白虎は顔を近づけてその口から思い切り青い炎を吐きだしてきた。対しリンカは3本目のコテを盾として展開しガード、青い炎は左右に拡散されていく。彼女は一旦白虎から距離を取りその間合いから外れる。
剣にも盾にもなれる、コテは攻守ともに優れた武器であった。
「スゥ……コテレッグ!!」
一息ついて力を足に込めそのまま一気に振り上げる。コテの斬撃が足の力と共に放たれた。足の力は腕の4から5倍の強さ、その為足から放たれるそれは今まで以上の威力を持っている。
しかし白虎は「それがどうした?」「強くとも遅ければ意味が無い」、と言わんばかりに余裕で回避。大地を蹴り飛ばして空中に避難しリンカに向かって落ちていく。
「コテシールド!からの……打ち返し!」
高所からの突進をリンカは再びコテで防御、そしてそのまま大きく振りかぶって白虎を宙に投げ飛ばした。両者全く引かずの争い、コテが飛び交う修羅場が展開されていく。
空中に逃げた白虎、その姿を見てリンカはニヤリと笑った。
「さっきのコテレッグはただのコテレッグじゃない、気づかなかった?アンタの避けたコテがそのまま軌道を変えて戻ってくるのを……!」
その瞬間、白虎の背中を何者かが斬り裂く。それは誰もいないはずの背後から飛んできたコテであり、それがブーメランのように戻ってきたのであった。
「コテレッグブーメラン!」
トリコの技レッグブーメランを基にした技が炸裂する。ここで初めて傷を負った白虎であったが全く様子を変えず着地し、自分の体を傷つけたリンカに怒る様子もなくただ落ち着いていた。
(流石四神獣、他の獣とは格も誇りも違うってわけね。食物連鎖の頂点に立つ絶対捕食者のプライド、人間如きに付けられた傷に悲鳴は上げない……)
かつての狼王、バトルウルフから作られたクローンがいた。その狼は最後に子供を産み我が子を愛するために殺されたわけだが、その死に様は決して地面に屈するわけでもなく立ったまま絶命した。
その誇りはクリーム白虎も同じ、神獣にとって人間などただの賢い猿に他ならない。操られようともその絶対的なプライドだけは失っていなかった。
しかし1つ間違いがある。目の前にいるその雌は、普通の人間ではない。
「アンタに敬意を評して、私も全力でやらせてもらう!!」
一方その頃朱雀は羽根の弾丸を飛ばし続けている。空の王者と呼んでも過言ではない飛び姿ではあるが、その足を地上に置くことはもう叶わない。紫色の毒の液体が湖のように広がっていき周囲一体を覆いつくしているからだ。
「ポイズンマスカレイド……もう君は地上に降り立つことはできない」
それは毒使いのララが作ったものだった。毒のフィールドは校庭を埋め尽くしていき、もう生き物が足を踏み入れる場所ではなかった。もしこれを自然の中で展開したらどうなるのか?森は枯れ山は崩れ、生きとし生けるものは全て死に絶えるだろう。
尤も、そんな毒が普通にビタミン朱雀に通用するとは限らないが。
「君も浸かりなよ、その綺麗な羽根を洗ってあげる!ポイズンマシンガン!」
そしてララは毒の弾幕を展開、上空の朱雀に放っていく。向こうも負けじと羽根を飛ばしていく。地上と空の狭間で凄まじい銃撃戦が繰り広げられ、その余波は爆風のように毒の踊り場を波立たせる。
「既に私のパラサイトポイズンは、毒ガスとして充満している!一夏たちを退避させて正解だったね」
相手の栄養素や水分を毒素に変換して増殖するパラサイトポイズン、それ既にまでガス状になってばら撒かれており朱雀の体内に侵入していた。
しかし朱雀の様子にあまり変化は見られない、パラサイトポイズンに抵抗できていた。
(電磁波が溢れている……逆に栄養素が多すぎて毒が効かないんだ!)
しかしドラゴーヤと同様、その体の栄養素がパラサイトポイズンの毒を浄化していった。未だグルメ界の人間が発見できていない数百種類のビタミンや栄養素、それらが奴の体内には詰まっている。その為従来の栄養素を吸収して増殖するパラサイトポイズンも、そのまま食べつくすということができず逆に蝕まれているのであった。
「どうやら、一筋縄ではいかないようだね」
そしてソルト青龍VSコロナ、青く輝き空に君臨している神龍と世界で一番美しいのは自分と自負している美食屋が対峙していた。すっかり青龍のものとなっていた制空権にコロナは侵入、髪を巧みに扱い空を飛ぶ。青龍が空を我が物としているように、コロナも触手を伸ばしてダイニングキッチンを展開していた。
すると青龍は青い光弾を発射、次々と口からそれを放ちコロナを撃ち落とそうとする。
「
それに対しコロナは触手でその軌道を誘導し、光弾を全てあらぬ方向へと外させる。外れた光弾はそのままコロナの背後で爆発し、まるで彼女がそれをバックにして決めポーズをしているようになった。いや、実際これは格好つけていた。
「美しき神獣青龍……真に美を極めた存在が誰かを教えてあげますわ!——フッ!」
そこでコロナは触手を伸ばして青龍を追撃、ソルト青龍はそれから逃れようと空高く飛翔するも髪の束はどこまでも追ってくる。
「食儀を習得したダイニングキッチン、その射程は500m!そしてもう人間界には私の髪を斬れる生き物はいませんわ!」
つまりコロナの半径500mは全て彼女の間合い、いくら神獣といえどその範囲を一瞬で抜け出すのは至難の業であった。
コロナはもう人間界の猛獣では自分の触手を切断できないと言った。しかしソルト青龍は別、食の本場グルメ界で君臨する彼らにとってコロナの触手など本当に髪のようであった。
「いっつ——!?」
その瞬間、神経を通る痛点を持つ白の触手から激痛を感じ苦痛の顔を浮かべるコロナ。空の青龍によってその髪が多く噛みちぎられたのだ。
触手一本の切断は麻酔無しでを無理矢理引っこ抜く痛みに等しい。それが数百本となれば想像を絶する激痛だろう。下手をすればショック死するレベルだ。
しかしコロナにとって、その怒りを燃やすポイントはそこではなかった。
「——よくも、よくも私の髪を汚い涎だらけの口で噛みましたわね!」
何よりも怒ったのは自分の髪が噛まれたこと、それが彼女の美意識と潔癖性の逆鱗に触れたのだ。
「神獣だからといって手加減しませんわ!大人しく平伏しなさい!」
「フハッハッハッハッハ!!!アタシとの撃ち合いで互角とはやるじゃないか!」
白虎とリンカ、朱雀とララ、青龍とコロナ、どれも熾烈を極める戦いであった。しかし一番危険で大規模な戦いをしているのは他でもないポニーと玄武であった。
音の爆撃、甲羅からの光線、彼女らの間ではまるで戦争のような過激状態が広がり破壊の音が常に鳴り響いている。
「ボイスバズーカァ!!!サンダーノイズゥ!!!吹き飛べぇぇえ!!!!!!」
空気を震わせる音の破壊力、それが立て続けに力を示していく。周囲にはいくつものクレーターが形成され、近くの校舎も今にも崩壊する寸前な状態であった。
「——ジェットボイス、音速飛行!サウンドォ……ナックルゥ!!!」
時に音速で後ろを取り、拳に音を乗せたパンチが炸裂。その殴打は巨大なはずの玄武をひっくり返す勢いで殴り飛ばした。
それでもその甲羅には傷1つ付かない。それどころか玄武自身も全く表情を変えていなかった。
「心音で分かる……調子にのってるなお前?今すぐその甲羅ごと粉々に粉砕してやるよ!」