剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

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 お待たせしました。

 ブリテン時代もようやく終わり、この作品も一区切りできそうです。

 あとは、エピローグを書くだけっすね。

 さて、ブリテンが終わったら次はどうしようかな?


日記12

 三度目人生記(43年4ヶ月15日目)

 

 

 どういう訳か、近頃ブリテン島の神秘が一気に減った。

 その影響は神代に近い環境だったエピス山近辺まで押し寄せ、姉御たちは自宅から離れられなくなった。

 俺はまだ活動可能だが、自宅から離れるとドンドン体力が削られていく感覚がするので、無理は出来ないだろう。

 庄之助やワンコ達も一足先に妖精郷に行ってもらった。

 ここ十年で、ブリテン島の幻想種はほぼ全て送った事になるから、管理者としてはこれでお役御免になるはずだ。

 ブリテンに勤めている兄弟たちが心配になったので、姉御が()いた魔術通信で連絡を取ってみると案の定だった。

 俺がギリギリ人間だった時に出来たガウェインとガヘリスは影響が少ないようだが、アグラヴェインは俺と同じ状態になりつつあるそうだ。

 その事を踏まえて、魔術通信でアルトリアにギャラハッドを含めた兄弟四人の退職を願い出た。

 するとギャラハッドはすぐに帰すが、後の三人は後任の選出と引継ぎを行うので1ヶ月時間が欲しいと言われた。

 『体調に関することなので引継ぎ等の諸業務も家から行えないか』と交渉してみたのだが、本人たちの意思もあって引継ぎが終わる一ヶ月後まで働く事になった。

 ガウェイン達はともかく、環境への適正が低いアグラヴェインには帰ってきて欲しかったのだが……。

 あと、アルトリアに一ヵ月後に妖精郷に移る事を伝えたところ、思い切り泣かれてしまった。

 『私にアルトリアでいいと言ってくれたのは、一人の女としている事を許してくれたのは、兄上達だけでした。だから、居心地のいいあの場所が、ありのままの私を家族と受け入れてくれるみんなが居なくなるのが、どうしようもなく寂しい』

 時折つっかえながらもそう言ってくれる妹に、この十年付き合ってきたのは間違いじゃなかったと思えた。

 産まれてすぐに当たり前に受け取れる幸せを奪われ、理想の王という偶像を背負わされたあの子が、そう言ってこちらを惜しんでくれる。

 それだけでもブリテンに手を貸した意味があるだろう。

 『妖精郷で待っているから、やる事をやったらお前も来なさい』と慰めの言葉を掛けると、鼻声で何度も『はい』と返事が返ってきた。

 その時は、俺が迎えに行ってやるとしよう。

 

 三度目人生記(43年4ヶ月19日目)

 

 

 ランスロット絡みであるグィネヴィアの離婚についてだが、どうも難航しているらしい。

 以前にも書いたが、彼女の実家であるカメリアド領はブリテン有数の力を持った諸侯だ。

 父親であるレオデグランスは鬼籍に入っているが、後を継いだ兄が(かたく)なに反対しているのだとか。

 まあ、国王なんて貴族の娘にとっては最大の嫁ぎ先だし、外戚として得られる利益(現状のブリテンで出ているかは疑問だが)や権力も当然捨てがたいだろう。

 とはいえ、むこうも十年近くも嫡子がない事への危機感は持っていたらしく、少し前の話し合いではグィネヴィアと離婚するならば、一族から別の娘を後妻に取ってはどうかと提案されたそうだ。

 アルトリアは今回の件で偽装結婚には()りたそうなので、再婚はしたくないと言っていた。

 本当にままならない。

 凄く無責任な言い方になるが、いっその事どっかの諸侯に王権譲り渡して、引退したらいいんじゃないか?

 あいつにだって個人の幸せを掴む権利くらいあるだろう。

 

 三度目人生記(43年4ヶ月29日目)

 

 

 この頃、ブリテンの情勢が極めて悪い。

 神秘の枯渇が深刻化し、田畑の収穫量が目に見えて落ちて来た。

 それが原因で適正だった税が重税へと変わり、民の不満は治安の悪化という形で現れている。

 他にも、アルトリアの求心力も陰りが見えてきているようだ。

 どうも家臣団や諸侯には『ヴォーティガーン陛下を討ってブリテンを統一すれば、万事上手くいく』的な考えが横行していたらしく、その後も状況を好転させられないアルトリアの治世に不信感を抱くようになったのだと言う。

 いや、『魔王を倒してめでたしめでたし』とか、どこの御伽噺(おとぎばなし)だよ。

 現実の世の中がそんな上手くいくわけねーだろ。

 さらに追い討ちを掛けるように、ローマの手引きでサクソン人の侵入もやむ事がない。

 東西に分かれて衰退したとはいえ、ローマはまだまだ巨大国家。

 今のブリテンの状況では『遠征で打撃を食わせて黙らせる』なんて真似は難しいだろう。

 そんな状況を覆そうとアルトリアは必死に政務をこなすのだが、そもそもの原因が環境の変化による不作な為に成果は芳しくない。

 俺達が妖精郷に引っ込むと告げてから魔術通信で愚痴を零すのが日課になってるのだが、その顔は日に日に痩せこけていくので心配でならん。

 状況の悪さもそうだが、アグラヴェインが長く働けなくなった分のツケがアルトリアとケイに掛かってきているようだ。

 このままではウーサー時代のブリテン末期のように、各諸侯の独立によって国は崩壊を迎える事になるだろう。

 この間ウチに来たアルトリアの疲弊しきった顔を見て、姉御とお袋さんから『国の事など放っておいて、無理やりにでも妖精郷連れて行こう』という意見も出てる。

 このまま状況が悪化すれば、アルトリアが一切合財の責任を負わされて処刑場の露と消える、なんて事にもなりかねない。

 王の責務はわかっちゃいるが、妹を死にかけた国と心中させるなんて御免である。

 この案も真剣に考えるべきだろう。

 

 三度目人生記(43年5ヶ月2日目)

 

 

 どうしてこうなった……。

 今日、昼ごろにアグラヴェインから緊急連絡があった。

 ランスロットとグィネヴィアが兵舎で逢引を行っており、それを目撃したラモラック他2名がランスロットに殺害されたらしい。

 ……あいつはいったいなにをやってるんだ。

 俺もアルトリアも、事が済むまでグィネヴィアに会うなって言ってただろうが。

 その後、ラモラックの弟であるパーシヴァルを中心としてランスロットへの追撃が行われたのだが、確保できたのは逸れて途方に暮れていたグィネヴィアだけだったそうだ。

 アグラヴェインからの報告の後、アルトリアからも通信が来た。

『彼の者達はどうしたら納得したのでしょうね。公の場で私が土下座して、王位を譲りながら二人の仲を認めたら良かったのでしょうか?』

 俺達と同じ金色の目をしながら、物凄くヤサグレた台詞を吐くアルトリア。

 グィネヴィアに尋問を行ったところ、逆に今更ながら性別詐称を責められたらしい。

 その他にも不妊を理由に放逐される事の理不尽さや日ごろの態度の冷たさでグチグチと文句を言われた挙句、ランスロットの方が王として向いているなどと暴言を吐かれたのだとか。

 処刑が決まったも同然だから、あの王妃ヤケクソになってるみたいだな。

 つーか、あの豆腐メンタルに王なんて出来るわけないだろ。

 兎にも角にも、この段に至ってはグィネヴィアを庇い立てする事はできない。

 国王への不義の罪により衆人環視のもと火刑、すなわち火炙りの刑に処されるそうだ。

 刑罰としては妥当だと思う。

 しかし、こうまで入れ込んだ女が処刑されると知って、ランスロットの馬鹿が何もしないとは思えない。

 処刑場の警護は完全武装にするようにアルトリアへは助言を出したが、やはり心配だ。

 体調がどうのなどと言ってる場合ではない、俺も行くべきだろう。 

 

 

 

 太陽が顔を出し、一日の始まりを生きる者全てに告げる。

 この時刻に処刑場から上がったのは、露と消えるべき王妃の悲鳴ではなく、刑場に配置された護衛の騎士達の阿鼻叫喚であった。

 円卓最高の騎士であるランスロットに組する者たちによる王妃奪還。

 それは警備隊の虚を完全につく形で行われ、処刑場は即座に血生臭い鉄火場へと変貌を遂げた。

 従兄弟であるボールスの助力を借りて、愛する女の処刑場に飛び込んだランスロット。

 その前に、執行者たるケイを庇いながらもアグラヴェインが立ち塞がる。

 自身を嫌っていた彼とは接点がなかったが、師であり義兄と慕う男の息子である。

 剣の腕は相当なものであるとランスロットは覚悟していた。

 それを見積もったうえで手早く無力化する算段だったのだが、すぐにそれが甘い考えだと気付かされる事になる。

 『鉄のアグラヴェイン』と揶揄されるほどの卓越した防御技術。

 それはランスロットを以てしても、突破は困難なものであった。

 ランスロットの猛攻を、軽やかな剣閃で捌くアグラヴェイン。

 父のそれにはまだまだ及ばないが、それはまさに『軽きをもって重きを凌ぎ、遅きをもって速きを制す』内家戴天流の技であった。

 予想を超えた堅牢さと尊敬する義兄譲りの技に、焦りを募らせるランスロット。

 このままではグィネヴィアを救う事は叶わないと判断した彼は、アロンダイトを使用した秘技『縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)』を放つ。

 円卓最高の騎士が放つ聖剣の力を収束した一刀、それもまたアグラヴェインが描く剣の軌跡に食い付かれ、あらぬ方向へと導かれようしていた。

 しかし、天はランスロットに味方した。

 ここに来て、アグラヴェインの体力が尽きたのだ。

 いるだけで体力の消耗する環境下なうえに、相対するのは円卓最強の剣士。

 若いとはいえ、実戦経験の多くないアグラヴェインには荷が勝ちすぎる状況だったのだ。

 それをここまで持ちこたえられたのは、一重にランスロットへの怒りのためだ。

 アグラヴェインは父を尊敬していた。

 母の常軌を逸した愛故に、知らぬ間に自分達という子を持ってしまった父。

 彼は真実を知らない間から、叔父としてよく自分たちの面倒を見てくれた。

 兄弟4人全てが幼少から彼を父親だと思った事から、いかに甲斐甲斐しく世話をしてくれたかは分かろうものだ。 

 そして真実を知り、知らない内に犯していた多くの罪に苦悩しながらも、父は自分たちを受け入れてくれた。

 それがどれだけ自分たちを救ってくれたか、あの人は気にもしないだろう。

 母モルガンは、自信ありげに過ごしていた裏で常に怯えていた。

 真実を知れば父に嫌われるのではないか、父が自分から離れてしまうのではないか、と。

 もとより父に並々ならぬ愛情を持つ母だ。

 もし父に拒絶されていたのなら、あの人は道を大きく踏み外していただろう。

 それは自分たちも同じで、幼い頃より慕っていた父に捨てられたならば、さぞや深い心の瑕になったはずだ。

 だからこそ、アグラヴェインはランスロットを嫌っていた。

 自分たち兄弟とほぼ同じ境遇で産まれたギャラハッドをあっさり捨てた事が、自分達を受け入れた父上の行いを穢されたようで嫌悪感を隠しきれなかったのだ。

 それに加えてこの騒ぎである。

 父のみならず王の信頼を裏切っただけでは飽き足らず、同胞に剣を向けて罪人を奪おうなどと……ッ!

 怒りを萎えかけた足に注いで、泳いでしまった体勢を立て直そうとするアグラヴェイン。

 だが、アロンダイトの刃は彼の持っていた剣を断ち切り、その身に聖剣の力を炸裂させた。

 身体を斜めに逬る焼け付くような熱と、それに続いて内側から強大な力が弾ける感覚。

 その一撃は、アグラヴェインの命脈を絶つには十分すぎるものだった。

 倒れ伏すアグラヴェインの脳裏に過ぎるのは、家族の顔だった。

 妖精郷で暮らすという約束が守れない事が、皆を悲しませてしまう事が、彼の胸を締め付ける。

 

 ごめんなさい……

 

 闇に閉ざされた視界に浮かぶ父の顔にむけて紡がれた言葉は、戦場と化した処刑場の声にかき消された。 

 

 

 

 

 三度目人生記(43年5ヶ月3日目)

 

 

 アグラヴェインが死んだ。

 グィネヴィア処刑の責任者であるケイの補佐をしていたあの子は、あの女を助けに来たランスロットに襲われて命を落としたそうだ。

 俺が処刑場に着いた時には、ランスロットとボールス率いるランスロット派の騎士達が引き上げた後で、その場には警護に当たっていた騎士や民衆の死体が多数転がっていた。

 アグラヴェインは、グィネヴィアが磔になっていた処刑台のすぐ傍で倒れていた。

 左肩から右脇に抜ける一刀。

 おそらくアロンダイトによるものだろう、傷口は焼け爛れ、内から外に弾けるように膨れ上がっていた。

 倒された事が無念だったのか、顔は怒りの形相のままだった。

 情けない。

 本当に、自分が情けない。

 俺がもっと早く着いていれば、こんな事にはならなかったのに……。

 庄之助を先に帰したのが、本当に悔やまれる。

 アルトリアが真っ白な顔でこっちを見ていたが、気にするなとしか言う余裕がなかった。

 モルガンやお袋さん、ガレス達は泣き疲れて眠っている。

 連れて帰って来たアグラヴェインを見たみんなは、あの子の身体に縋って泣き叫んでいた。

 あの子の遺体はモルガンの手で保存され、妖精郷に埋葬される事になっている。

 ああ……

 こんなことになるのなら、もっと早く妖精郷に移っていればよかった。

 すまん、アグラヴェイン。

 情けない親父で、本当にすまない……。

 

 三度目人生記(43年6ヶ月12日目)

 

 

 今日、ガウェインとガヘリスが冷たくなって戻ってきた。

 二人ともアグラヴェインの仇を取る為に、ブリテン側が混乱している隙を突いてランスロットを追ったらしい。

 しかも、こちらに居場所を掴ませないように、モルガンの作ったアミュレットを部屋に置いて行くという偽装付きでだ。

 連れて帰ってきてくれたベディヴィエールの話だと、あの子達はフランスに逃亡したランスロットを追って海を渡り、むこうで仇討ちに挑んだそうだ。

 しかし、ブリテンよりもさらに神秘が薄くなった本州ではあの子達の本領を発揮する事ができず、ランスロット派の騎士による妨害もあって、二人とも討たれてしまったらしい。

 あの子達の遺体を嬲らずに送り返したのはランスロットの温情なんだろうが、そんなもの何の慰めにもならん。

 ……あの子達が何をしたってんだ?

 普通に国の為に、苦労してる叔母の為に働いてただけだろう。

 もうすぐ騎士を引退して、妖精郷でゆっくり暮らすはずだったのに……。

 やっぱり、世界ってのはクソッたれだ。

 唐突に、理不尽に、こっちの大事なものを奪い去って行きやがる。

 ……もうブリテンなんざ関係ねえ。

 世界もクソも知った事か。

 ランスロットは殺す。

 グィネヴィアも殺す。

 邪魔する奴も皆殺しだ。

 

 

 

 

 グィネヴィアを救出し、フランス領に逃げ帰って数日経ったある日。

 ランスロットは愛用の甲冑を身に纏っていた。

 一つ一つの部品を丁寧に固定し、動きを阻害しないかをしっかりとチェックする。

 それが終れば傍らに立て掛けていた相棒であるアロンダイトを半ばまで鞘から抜き、歪みや刃こぼれがないかを入念に点検する。

 いつもとは明らかに違う想い人の様子に、グィネヴィアは不安げな表情で声をかける。

「ランスロット、どうしたと言うのですか? ブリテンからの討伐部隊が来たという知らせは何処からも無いのに、戦準備をするなんて……」

 今までであれば、苦笑いと共に『少し熱中してしまいました、騎士の性ですね』と答えが返ってくるのだが、今回に限ってはそうではなかった。

 上げられた顔は悲壮なまでの覚悟を秘めたものだった。

 そう、まるでこれから死地に向かうかのように。

「ランスロット?」

「グィネヴィア。私の勘が言っているのです、もうすぐ敵が来ると」

「やはりブリテン軍なのですか?」

 自分の知らないところで報告があったのか、と不安になるグィネヴィアにランスロットはゆっくりと答えを返す。

「いいえ。来るのは兄……、剣術指南役であったアルガ殿です」

「『剣魔』アルガ……。でもどうして?」

「貴方を救い出す過程で、私は彼の息子を三人殺めました。恐らくはその復讐でしょう」

「そんな……。でも、貴方なら勝てるのでしょう? 円卓最強と言われた貴方なら……!?」

 肯定の返事を求める想い人の顔を見ながら、ランスロットはゆっくりと頭を振った。

「全力を尽くしますが、勝てる可能性は低いでしょう。あの方の剣は神域の位にありますから」

「なら、逃げましょう! 騎士達を連れずに私たちだけで逃げれば、見つかりっこありませんわ!」

「無理です。あの方の奥方は、宮廷魔術師マーリンの弟子であった魔女モルガン。私達の居場所などすぐさま突き止めてしまうでしょう」

「そんな……」

 絶望に青褪めるグィネヴィアの顔に、ランスロットが痛ましげなものを見るように目を細める。

「私は責任を取らねばならない、自分の欲に溺れて犯してきた罪の。あの方は仁と義に厚い人だ。私が討たれれば、貴女にまでは手は出さないはずです」

「いやっ! いやです!! 私はあなたを失っては生きてなどいけない!!」

「聞き分けてください、グィネヴィア。このままでは二人とも殺されて───」

「私のお腹の中には、貴方の子供がいるのです!!」

 グィネヴィアの魂を切るような叫びに、ランスロットは引き剥がそうとしていた手を止めた。

「私の……子供……?」

「そうです。ようやく授かった私達の子」

 愛おしげに自身の下腹部を撫でる想い人を見て、ランスロットは思わず天を仰いだ。

 恩人の子を手に掛けた自分が、まさか想い人との間に子を授かるとは……。

 許されないという背徳感とは裏腹に、グツグツと湧き上がる生への執着によって先程までの覚悟が揺らいでいく。

「ランスロット。この子を父無し子にしない為にも、死なないでください」

 グィネヴィアが発した涙ながらの訴えに、ランスロットの目に新たな意思が宿る。

 己の死によってグィネヴィアに累が及ばなくするというものから、どれだけ無様でも共に生き抜くという物に。  

「───わかりました。生きて帰ると確約はできませんが、貴女とその子の為にも、限界まで抗ってきます」

「はい、ご武運を」

 夫であったアルトリアが戦場に向かうよりも、遥かに真摯に目の前の男の無事を祈るグィネヴィア。

 其の声を背にランスロットは部屋を後にした。 

 時刻は深夜を回り人の気配が絶えた城内を、壁に備え付けられた燭台の光を頼りに進むランスロット。

 そして中階層に設けられた大きなホールに差し掛かった時、騎士は歩みを止めた。

 天窓から射す月明かりに浮かび上がる

 全身に黒を纏い、手には数打ちの鈍らをぶら下げた男。

「兄上……」

「……貴様がそう呼ぶ男はここにはいない」

「え……?」

 普段とは打って変わった地の底から響くような声に、ランスロットは思わず問い返してしまう。

「今ここで剣を取るは、義も忘れ情も忘れた一匹の鬼……」

 だが、男の目が自身に向いた瞬間、ランスロットの顔は一気に険しいものになる。

「貴様を狩る……復讐の、鬼よッ!」

 薄闇に包まれたホールに響く風切り音と刃が噛みあう甲高い叫び。

 其の一刀にランスロットが反応できたのは、幸運以外の何者でもなかった。

 反射的に掲げた鞘入りのアロンダイトが、アルガの振るった剣の軌道を遮った、ただそれだけの事。

 しかし、それでも場の流れに一石を投じる事になったのは事実。

 一刀の元に首を刎ねるつもりだったアルガは間合いを開け、その間にランスロットは迎撃態勢を整える。

「アルガ殿、私が貴方の息子達の命を奪ったのは事実。それについては詫び様もない。だが……っ!」

 言葉を切ると同時に、ランスロットは類稀なる身体能力に物を言わせて数メートルの間合いを一足で消し去る。

「私はまだ死ねないッ! 死ねない理由ができたっ!! だからこそ、ここで倒させてもらう!!」

 そして抜き放ったアロンダイトを大上段に構えて、床が砕けるほどの踏み込みと共に斬撃を放った。 

 初手からの奥義『縛鎖全断・過重湖光』。

 担い手の行いによって黒く染まった聖剣が、その身にそぐわない清浄な蒼を宿して襲い掛かる。

 しかしランスロット渾身の一撃は、暗闇に踊る剣閃によっていとも容易くいなされた。

 正面から受け止めるのではなく、脇より剣の腹を叩くようにして釣り上げる。

 こうして一端ズレた軌道は、打ち手自身の力によってどんどん目標を離れ、最後には大きく空を切る事になる。

 この時代の西洋剣術には存在しない理合の極致。

 それは聖剣と呼ばれる超常の力を持つ器械が相手でも、変わる事無く効果を発揮している。

 しかし、ランスロットに奥義を防がれた事への動揺は無い。

 彼我の実力差に圧倒的なまでの開きがある事を承知しているからだ。

 それでも勝ちの目がないわけではない。

 それが千分の一、いや万分の一であっても己が手に手繰り寄せる為にランスロットはひたすらに剣を振るう。

 一刀ごとに吹き荒ぶ剣風によって分厚いカーテンが千切れ飛び、石の壁に大きく傷が刻まれる。

 並みの兵ならばダース単位で屠るほどの剣撃が、十重二十重とアルガへと襲い掛かる。

 だが、それでもなお届かない。

 全ての剣撃が精妙に踊る切っ先によって、絡め取られてはあらぬ方向に逸らされていく。

「───俺を倒すだと? こんな鈍間(ノロマ)な剣でか」

 鋼が噛み合う音の中であっても聞こえてくる極寒の声に、ランスロットの背筋に怖気が走りぬけた。

 薄闇の中にあってなおギラリと輝く黄金の瞳は、焼け付くような憎悪とは裏腹に酷く冷静に戦況を俯瞰している。

 それは身を焦がす自身の感情を完全に制御している証拠だった。

 自身への怒りで冷静さを失っていれば付け込む隙もあったろうが、これではそれも望み薄だ。

 いっそ口汚く罵りたくなるような劣勢の中でも、ランスロットは剣を振り続ける。

 肺腑は悲鳴をあげ、加熱された全身の筋肉は休憩を求めて苦痛の声を上げる。

 口をつく吐息は火の様になり思考は白濁しても、ランスロットは動きを止めなかった。

 動きを止めれば、眼前の男が持つ剣が死神の鎌となる事が分かっているからだ。

 ロクに働かなくなった頭の中に浮かぶのは『死にたくない』という願いのみ。

 グィネヴィアとの未来も彼女の胎に宿った命も、彼にとって諦めるにはあまりにも尊すぎた。

「先程、貴様は『死ねない理由ができた』と言ったな」

「うおおおおおおおおおおおっっ!!!」

 アルガから放たれる死氷の如き声、それをかき消す為に雄叫びを上げながら、ランスロットは剣を振り下ろす。

 奇しくもそれは忘我の一撃。

 無念無想の境地へと片足を踏み込んだ斬撃は───    

「笑わせるなぁっ!!」

 壮絶な金切り音と共に、アロンダイトが根元から切断されるという結果に終った。

 クルクルと宙を舞い、石畳に切っ先を食い込ませる聖剣であったもの。

 それとは対照的にアルガの手にある凡庸な剣は、刃毀れ一つ見当たらない。

 これこそが二人の実力差を如実に現していた。

 

 階層を挟んでいるにも関わらず足元から響く振動と剣撃の音に、グィネヴィアは目を閉じて両の手を組んだ。

 祈るのはランスロットが無事に帰ってくる事。

「お願い坊や。貴方のお父様が無事に帰ってこられるように、力を貸してちょうだい」

 そう呟いて手を自分の腹部に当てた瞬間、部屋の空気が軋みを上げた。

「あ……身体…が……」

『動かないでしょ? 本来ならあなた程度、初歩の束縛の魔術で事足りるのだけれど、つい最上級のものを掛けてしまったわ』  

 口から零れた呟きに返ってきたのは、聞き覚えの無い若い女性の声だ。

「貴方は誰……なのですか?」

『モルガン、と言えばわかるかしら? グィネヴィア王妃。いいえ、もう王妃ではなかったわね』

 返って来た答えに、グィネヴィアは噴き出した汗でぐっしょりと背中を濡らした。

 魔女モルガン。

 旧ブリテンの王女であり、花の魔術師マーリンを師に持つ超級の魔術師。

 噂ではこの島の古き女神の末裔とも言われ、魔力量と魔術の威力では師を上回るとも。

『ところで貴女、さっきは面白い事言っていたわね』

「な、なんのこと……です?」 

『その腹の中にあの男の子供がいるんでしょ? 随分と虫のいい話だこと。私の可愛い息子達を殺しておきながら、実行犯とその元凶が子供を産もうだなんて、ねぇ?』

 明るい口調ながらドロリとした憎悪を滲ませる声に、グィネヴィアの身体は(おこり)にかかった様に震え始める。

「やめてぇっ!? この子はようやく手に入れた、私とランスロットの愛の結晶なの! 私からこの子を奪わないでぇ!!」

『それを言うなら、ガウェイン達も私と彼の愛の結晶だったわ。あの子達を奪っておいて自分は駄目だなんて、道理が通らないでしょう?』

 クスクスと笑い声が室内に響くと共に、グィネヴィアの足元に血色の魔法陣が浮かび上がる。

「ひっ!? いや、いやああああああぁぁぁぁぁっ!!」

『安心なさいな。私は貴女のような下種ではないから、子供を奪うような真似はしないわ』

 胎の子を護ろうと身体を縮こまらせるグィネヴィアに、声は優しく語り掛ける。

 その言葉に強張っていた彼女の顔は、ほんの少しの希望を取り戻す。

 しかし───

『寂しくないよう、親子共々あの世に送ってあげる』

「あ……あああああああああぁぁぁぁァァァァァッ!?」

 そんな慰めにもならない感情は更なる悪意に踏み潰された。

 絶叫を上げながら宙に浮いた状態でバタバタと足掻くグィネヴィア。    

 しかし魔術師でも騎士でもない、王妃という肩書を無くせばただの女しか残らない彼女には、モルガンの悪意に抗う術は存在しない。

『これは貴女が選んだ運命よ、聞き分けなさい』 

 侮蔑が込められた絶対零度の言葉と共に、城主の寝室から人の気配は消えた。

 瞬転する視界と裏返るような感覚。

 今まで感じた事のない未知の感覚の後、衝撃と共に硬い地面の感触を確かめたグィネヴィアは、荒い息を吐きながら周りを見回した。

 しかし、周囲は暗闇に覆われており手元すら見えない状況だ。

「ここはどこなの!? 帰して! 私を帰してぇぇぇぇぇっ!!」

 先の見えない黒に向かって声を張り上げるグィネヴィア。

 しかし、その訴えに返ってくるものはない。

 耳が痛くなるほどの静寂の中で、待っていても状況に進展がない事を悟った彼女が立ち上がろうとした、その時───

「いっ……!?」

 足に突き刺すような鋭い痛みを感じて、グィネヴィアは再びしゃがみ込んでしまう。

 反射的に傷口を押さえようと手をやると、患部に突き立つように生える固い感触があった。

 痛みに堪えながら引き抜いたそれに目をやったグィネヴィアの口から甲高い悲鳴が漏れる。

 それは彼女の手ほどの大きさがある巨大な芋虫だった。

 通常の物と違うのは身体はムカデのような甲殻に覆われ、口には肉を引き裂く為の鋭く巨大な牙が生えているところか。

『新しいお友達はお気に召したかしら? それは死怪蟲と言って、集団なら牛でも骨も残らず喰らい尽くす獰猛な蟲よ。そいつらは血の臭いに反応して襲い掛かって来るから、気を付けなさいな』

 モルガンの言葉に合わせるかのように、グィネヴィアの周りに蟲が這い回るような不快な音が満ち始める。

「いやあああああぁぁぁっ!? 助けて! たすけてぇぇぇ!!」

 逃げようとしたグィネヴィアの絶叫を、傷を負った足に次々と襲い来る灼熱感が途切れさせる。

 闇の中で仰向けに倒れ伏した彼女は、襲い来る敵に向けて我武者羅に手足をばたつかせる。

 だが、それで飛んだ返り血が死怪蟲を呼び寄せる形となり、足だけでなく腕や腹にも食いつかれてしまう。

「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 獣じみた悲鳴を上げるグィネヴィア。

 半ば正気を失い体をくねらせる彼女は、太腿を伝って股間へと進む一匹の蟲に気が付いた。

『ああ、言うのを忘れていたわ。そいつらは獲物の動きを止めたら内臓から食べ始めるのよ。……ごめんなさい、さっきの言葉は撤回させてもらうわね』 

 言葉だけの謝罪でしかない嘲りを含んだモルガンの言葉に、母としての本能で虫を払い落とそうとするグィネヴィア。

 しかし大量の蟲に集られた彼女の手足は、もはやその機能を果たすことは無かった。

 それから数刻後、光が届かないエピス山の洞窟の奥深くで、王妃だった女は肉の一欠けらも残すことなくこの世から消滅した。

 

 ランスロットはただ放心したまま、刀身を失った聖剣を眺めていた。

 一度折られたあと、義母である『湖の乙女』の力でより強く蘇った相棒。

 再び握った時は、もう失うことは無いと誓いを立てた。

 なのに……

 そんなランスロットの後頭部を掴む手がある。

 アルガのものだ。

 ランスロットがアロンダイトの破壊という事実に心を奪われている隙に、音も無く背後に回り込んでいたのだ。

 頭蓋に押し当てられた冷たい感触は、彼には白刃の鋼も同然に感じられた。

 深く、静かな呼気と共に指に掛けられた力が少し強まるのが分かった。

 ランスロットには何を行うかまでは見当がつかないが、己の命が背後の男に握られているのは理解した。

 死を間近にした時、人間はとりわけ饒舌(じょうぜつ)になる。

 ランスロットは縺れそうになる舌で、必死に自身の心情を語り始めた。

「あ……兄上。グィネヴィアは私の子を宿しているんです! その子の顔を見るまで、私は死ぬわけにはいかない! ガウェイン卿達の事については、どんな事をしてでも償います! だから、命だけは……」

「───いいだろう」

 先ほどまでとは違う、日常聞いていたものに近い声に、ランスロットの顔に光が射す。

「ならば、貴様が手に掛けたガウェイン達に詫びろ。あの子達が許すと言うのなら、俺も命までは取るまい」

 だがしかし、続いて紡がれた言葉によって湖の騎士の表情は凍り付いた。

「なっ…!? ガウェイン卿達はもうこの世にはいません! そんな者達にどうやって返事を───」

「……そうしたのは誰だ」

「~~~~ッ!? ガウェイン卿! ガヘリス卿!! アグラヴェイン卿!!! すまない、私が悪かった! どうか、許してくれっ!!」

 再び死を匂わせ始めたアルガの声に、慌てて謝罪の言葉を紡ぐランスロット。

 当然の事ながら、ホールに響くランスロットの声に応える者はいない。

「残念だったな。あの子達はお前の事が許せないらしい」

「そんなっ!? 待っ───ガッ!?」 

 非情なる判決にランスロットは異を唱えきる事が出来なかった、

 戴天流内功掌法『黒手裂震破』

 後頭部に添えられた掌から放たれた勁は頭蓋を通り抜け、脳を完膚なきまで破壊した。

「…………馬鹿野郎が」

 七孔から血と脳漿を垂れ流しながら崩れ落ちるランスロットに、アルガは小さく言葉を投げつけた。

 数年間、弟分として付き合ったのだ。

 情が無いワケがない。

 だが、それ以上に奴の行いが許せなかった。

 人は関わる人間に優先順位を付けるモノ。

 アルガにとって、ランスロットが家族以上になる事はなかったのだ。

『終わったの、アルガ?』

「ああ。そっちは?」

「こっちも終わったわ。でも、私はもうこちら側にいられないみたい」

 脳裏に響くモルガンの声に、アルガは小さく嘆息する。

 今回の件で自分もモルガンもかなりの無茶をした。

 自身は神秘の失せたヨーロッパ本州まで足を運び、モルガンはこちらを中継点にしたとは言え、長距離で転移等の大魔術を使用した。

 もはや双方共にこちら側に留まる事はできないだろう。

「他のみんなの用意はできてるか?」

「ええ。後は貴方をこちらに戻すだけよ」

「そうか。……アルトリアには悪い事をしたな」

「ええ。一番辛い時に助けてあげられないものね」

 二人の頭に過るのは、今もなおブリテンの玉座で陣頭指揮に立っている妹の事だ。

 今回のランスロットの反乱によって、ブリテンの崩壊は決定的になった。

 国軍は半分以下に減少し、今まで従っていた諸侯たちも王の衰退を見るに次々と領土の独立を始めた。

 さらには、この機に乗じてローマがサクソン人を伴って侵攻を始めているとの情報もある。

 助けてやりたいが、無理に残ったとしてもロクな働きは出来ないだろう。

 なにせ、ランスロットを倒すのでも肝を冷やす場面があったくらいだ。

 現状では実力の1割も出せないだろう。

『あの子はガウェイン達の事を気に病んでいるはずよ。だから、最後に手紙を残していきましょう』

「ああ、そうだな」

 アグラヴェインの時は邪険にしてしまったが、あの子は泣きそうになっていたのではないか?

 今に思えば、もっとうまく対応すればよかったと、アルガは切に思う。

『それじゃあ、こちらに戻すわね』

「頼む」

 転移の魔法陣が足元に浮かび、エーテルの光が闇に覆われたホールを照らす。

 最後にランスロットの亡骸に一瞥をくれて、黒衣の男はその姿を消した。 

 

 





後書きオマケ

ゆるゆる第五次聖杯戦争

退出

剣キチ 「赤い主従に止められてしまった。人類の技術の限界を確かめる高尚な試みだったのに……」
りんりん「そんなんで世界ぶった切られたら、堪ったもんじゃないわよ!」
赤弓  「まったくだ。何故君のような危険人物が抑止に……いや、この話はよそう」
モル子 「ゴメンね、夫が迷惑をかけて」
赤弓  「しかし、君たちは現世に生きる者だろう。こんなところでキャスターに使役されていいのか?」
剣キチ 「昔色々あってね、善良な雇用主は見捨てないようにしてるんだよ」
モル子 「そうね、いろいろあったわね(目そらし)」
りんりん「なんかいろいろ引っ掛かるけど、まあいいわ。さくらんを保護してくれた事に免じて、今回は見逃してあげる」
赤弓  「モノは言いようという奴だ───ではぁっ!?」
りんりん「うっさいわね! さっさと帰るわよ!!」
赤弓  「イタタ……了解した」
剣キチ 「元気な娘さんだ」
モル子 「ガンド撃ちをツッコミ使うのはどうなのかしら」

髑髏

剣キチ 「ふむ、今日は朝から千客万来だな。そこの木の上にいる人、降りてきな」
ハサーン「むむ……。我が穏行を見破るとは、やりますな」
剣キチ 「それほどでも。貴方は?」
ハサーン「ついさっき無職になったハサーンです」
モル子 「ドクロに黒ずくめって、怪しすぎない?」
剣キチ 「いやいや、黒ずくめは俺もだから」
モル子 「そういえば仮面も被ってたわね」
剣キチ 「どうも、デスクィーン師匠です」
ハサーン「お話、よろしいかな?」
剣キチ 「どうぞどうぞ」

依頼

ハサーン「私はある魔術師に仕えていたのですが、その魔術師殿がついさっきポックリ逝きましてな」
剣キチ 「それはご愁傷様です。それでお寺にお経を?」
ハサーン「魔術師殿の宗教が分からないので、迂闊に仏門に出すのは……。あとでお孫さんに聞いてみましょう」
モル子 「本人がその辺を遺してくれてると面倒がなくていいんだけれどね」
ハサーン「まったくです。魔術師殿は高齢も高齢な方なのでいつ逝ってもおかしくは無かったのですが、どうやら私が目を離している隙に逝ったらしくて」
剣キチ 「それは大変だ。ご遺体の方は?」
ハサーン「それが見当たらないんですよ。主従の繋がりからこの辺で逝ったのは間違いないのですが」
モル子 「あらまあ。でも、この辺で亡くなった人なんていないはずなんだけど」
剣キチ 「自分の死期を悟って、人目に付かないところに行ったのかも」
モル子 「……猫みたいな人ね」
ハサーン「ここで反応は途切れた事しか手がかりがないもので、ほとほと困り果てているのです。申し訳ありませんが、ご助力願いませんか?」
剣キチ 「そういうことでしたら。姉御、よろしく」
モル子 「仕方ないわね。かーらす、からす、手伝ってー」
ハサーン「おお! 周囲からカラスが集まってくる!!」
剣キチ 「姉御ってカラスと相性がいいよな」
モル子 「これでもモリガンの分霊だからねぇ。この子達に空から探させてみるわ」
ハサーン「おおおおっ! 感謝いたす───って、そのカラスが咥えているものは……」
剣キチ 「おお、でっけえ蟲だな」
モル子 「汁が飛ぶから振り回したり、仲間同士で咥えたりしないの!!」
ハサーン「魔術師殿ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
剣・モル 「えええええええええっ!?」

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