剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

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 お待たせしました。

 今回は本編の更新です。

 この頃私事で時間が取れずに更新に間が開いてしまってますが、もう少しだけお時間をいただきたく思います。

 次はコミュ障を完結させるぞーー!

 セイバーウォーズⅡ

 石150個使って来たのがキュケオーン3枚目と死んでしまいますのキャスターでした。

 スペース・イシュタルなんて幻やったんや……


剣キチが行く人理修復日記(20)

 レフ・ライノール……否、魔神柱フラウロスは絶望していた。

 

 原因は数瞬前に自らが相対した男だ。

 

 もちろん、奴と対峙した当初はこんな事態になるなど予測もしていなかった。

 

 第二特異点における彼の拠点である連合ローマ王宮、その最奥へと潜入した身の程をわきまえない愚昧。

 

 それがかつて後れを取った男であると知った時は、こちらの命を絶たずに姿を見せた事を嘲りながらも汚名を雪ぐ機会が来たとほくそ笑んだモノだ。

 

 ソロモン72柱の魔神たる自身に正面から相対して打ち勝てる人間などいないのだから。

 

 しかし、そんな慢心は男が取り出したある物によって打ち砕かれた。

 

 彼の纏うジャケットのポケットから魔法の様に現れた一本の鍬。

 

 それを武器として構える男に愚弄するかと激昂したフラウロスだが、その怒りはすぐさま冷水を掛けられたように消失した。

 

 何故なら彼の全身に備えた魔眼は見てしまったからだ。

 

 鍬の刃にベッタリと纏わり付く同族の無念と慟哭を。

 

 彼等魔神柱は個にして全、そして全にして個。

 

 ソロモンの本拠である時間神殿に座するオリジンを元に無数の同胞と感覚が共有されている。

 

 だからこそ理解してしまった。

 

 自分の同族がどのように始末されてしまったのかを。

 

 そして己が敗北した際、その先にある物を予見したフラウロスは恐怖した。

 

 死ぬ事など恐れはしない。

 

 ここにある己が死んでも時間神殿には無数の同胞がいる。

 

 それは無尽蔵にスペアが用意されているのと同義だからだ。

 

 しかし、己は至高の魔術によって生み出された誇り高き魔神柱だ。

 

 断じて『ミミズ』と同一視され、害虫として駆除されるなどあってはならない!!

 

 半ば錯乱しながらも魔眼からの魔力で空間爆砕を引き起こすフラウロス。

 

 並の英霊では防ぐこともできない一撃は、凛という鈴の音に似た音を残して消失した。

 

 男が振り抜りぬいた鍬の刃によって。

 

 この時点で驚愕が一周回って妙な笑いに変わってきたフラウロス。 

 

 彼はとてもとてもイイ笑顔を浮かべた男の『肥やしになれ』の一言により、為す術も無く根元から伐採されたのだった。

 

◇ 

 

 連合ローマの宮殿からこんにちわ。

 

 かなり久しぶりのような気がする剣キチです。

 

 第二特異点攻略の為の戦いも大詰めを迎え、正統ローマとカルデア本隊は雄々しく聳えるYの字の構えを持つ男、神祖ロムルスと戦っている事だろう。

 

 というか、あの構えを見た時に吹かなかった自分を褒めてやりたい。

 

 筋肉ムキムキの偉人がかくも珍妙な構えを取るなんて、あんなん誰だって笑うわ!

 

 ローマ史上もっともインスタ映えする構えの事は置いておくとして、まずは俺達がここに忍び込んだ目的を語ろう。

 

 事は昨夜に次男の相談に端を発した。

 

 ガヘリスの悩みはもちろんエスィルトさんの受肉、その魔力リソースについてだ。

 

 現状では連合ローマにあるという聖杯を強奪するか、もしくは地中海の女神を生贄に捧げるしかないのだが、双方共に後のリスクが半端ない。

 

 安全かつ合法的に魔力をブン取れる相手がいない物かと頭を悩ませていると、ガヘリスの胸元からピーピーとアラームが鳴った。

 

 音を発していたのはガヘリスの携帯端末だったのだが、その中で起動していたのは魔神柱発見機だったのだ。

 

 特異点は魔術王の手で作り出されているので、あのミミズ共がいても可笑しくはない。

 

 余計な手間が増えた事に嘆息する俺を他所に、次男は何故か歓声を上げていた。

 

 奴等の処理など嫌気がさしているはずの息子の態度に首を傾げていると、ガヘリスはこれで魔力問題は解決したという始末。

 

 取り合えず説明させてみると、事の次第はこうだった。

 

 俺が人理修復に出て少しした頃、『フェアリーブレイバー』では度重なる魔神柱の出現に対応する為、奴等の事を徹底的に調査する事が決定したらしい。

 

 その結果、奴等の核と言うべき物には聖杯に負けない程の高密度な魔力が存在している事を発見。

 

 妖精郷各地にポコポコ湧き出る所為で人や物にかなりの被害が出ている事を鑑みた陛下は『倒すついでにコイツを奪って復興の資源にしたらいいじゃない』と提案。

 

 旦那様のゴーサインにニニューさんがはっちゃけた事もあり、早期に魔力抽出ツールは完成した。

 

 このツールはフェアリーブレイバー機動班各員に配布されており、ミミズ討伐時には必ず魔力を回収する事が義務付けられているのだとか。

 

 あのグロいナマモノから取り出した魔力なんて大丈夫かと不安が過ったものの、エスィルトさんにベタ惚れの次男が彼女を害する真似をするはずがないと思い直した。

 

 そんなワケでガヘリスのナビの元、俺達はミミズ狩りの為に宮殿最深部まで足を運んだのだ。

 

 入る時に神祖が俺に気づいて居たっぽいのが気に掛かるが、その辺はアルトリアを始めとするカルデアの面々を信じる事にしよう。

 

 俺達が成すべきは可愛い嫁を助ける事である。

 

 さて、視点を現実に戻して今回のターゲットを見てみよう。

 

 発見当初はカルデアに潜入していたレフ・某とかいう魔術師の姿を取っていたミミズ野郎だが、今は切り倒された材木のように床へと転がっている。

 

 前回の事が気に食わなかったのだろう、『卑怯者』だの『正面から戦って勝てると思って云々』だのと唾を飛ばしていた割には口ほどにも無い奴だ。

 

 まあ、ガヘリスがミミズモードでないと抽出する魔力が落ちるなんて言わなければ、背後を取った時点で首を刎ねて終わりだったのだから、これが妥当なのだろう。

 

 嘆息一つを漏らした後、俺は得物をジャケットのポケットへ収納する。

 

 今回俺が握ったのは倭刀ではない。

 

 この数百年愛用している鍬『耕すクン3世』だ。

 

 ニニューさん曰く、魔術には相性というモノがあるらしい。

 

 例えるなら竜を斬り続けた剣は竜に対して威力が増すといった具合だ。

 

 その法則に乗っとるなら、多くの魔神柱を土諸共耕したこの鍬は奴の天敵という事になるのだろう。

 

 とはいえ、切断面からどす黒い体液がピューピュー出ていてもミミズ野郎が死んだわけではない。

 

 こちらの目的からして、ここで死んでもらっては困るのだ。

 

「やれ、ガヘリス!!」

 

「おおっ!!」

 

 俺の合図によって、先端に針が付いたシビンのような抽出ツールを抱えて走るガヘリス。

 

 その姿はなんというか……あれでスキンヘッドだったら魔人ブウ編に出てきたスポポビッチである。

 

「そりゃああああああああああっ!!」

 

『ぐああああああああああああっ!?』

 

 気合一閃、ガヘリスは勢いそのままにミミズの表皮にキットを突き刺す。

 

 すると重低音の起動音がツボのような本体から響き、次の瞬間掃除機のような吸気音が辺りに木霊した。

 

「なんだこれは……!? 吸われるッ! 私の全てが吸われていく……ッ!?」

 

 こちらの意図に気づいたのだろう、床に横たえた身体を揺すって抽出キットを振り落とそうとするミミズ。

 

「オラァッ! 大人しくウチの嫁の養分になれやぁぁぁぁぁっ!!」

 

 しかしガヘリスの剛力によって根元までグッサリと刺さった先端は、すっぽんの様に奴に食らいついて離さない。

 

『こ…これ以上は…ダメだ……! あ…あぁ…ああ────ぬふぅッ!?』

 

 抽出開始から数分、なんともアレな断末魔を残して魔神柱は動かなくなった。

 

 倒れ伏した躯に目を向ければ、巨木のようだった身体も炎天下に晒されたミミズのように干からびている。

 

「これはもう肥料にもならんな」    

 

 養分が完全に失われた残骸から目を離すと、抽出キットが軽い電子音を立てた。

 

 壺の上部に備わった蓋が左右に開くと、中から現れたのはスイカ並の大きさをした聖晶石によく似た魔力結晶だった。

 

「出来たぜ、父ちゃん!!」

 

「……ホントに大丈夫か? あんなミミズから採れたもの、エスィルトちゃんに悪影響が出るんじゃ」

 

「心配すんなって、復興に使った時は変な事は起きなかったんだからよ。だいたい、アイツ等を原料に肥料作ってるの父ちゃんじゃんか」

 

 それを言われるとぐうの音も出ない。

 

 たしかに奴等を養分に育った野菜は妙な特性が付くものの美味で栄養価も高い。

 

 切れ端を鶏のエサにしたら鳴き声が破壊音波になって、鶏泥棒を『鳳凰脚』で撃退したくらいなのだ。

 

 それを思えば安易に悪影響が出ると断ずるのは早計だろう。

 

 そんなやり取りをしていると、エスィルトちゃんが柱の陰から出てきた。

 

「待たせたな、エスィルト!」

 

「本当に大丈夫なの? アレから出来てるって思うと不安なんだけど……」

 

 得意満面に魔力結晶を渡すガヘリスだが、当のエスィルトちゃんは先ほどのミミズがグロすぎた所為か乗り気ではない。

 

 気持ちは死ぬほどわかるが、悲しい事に現状ではこれが最も波風の立たない受肉方法である。

 

 義父として申し訳ないしブーディカ女史に顔向けできない気がするが、ここは涙を呑んで勧めるしかないのだ。

 

「大丈夫だって! もし副作用があっても、悪い要素を父ちゃんに斬ってもらえばいいんだよ!!」

 

「本気になったら出来そうだから返答に困る……」

 

 無茶ぶりをしてくる息子に苦笑いを返していると、 覚悟を決めたのだろうエスィルトちゃんは緊張した面持ちながらも結晶を胸に押し当てた。

 

 エーテルで編まれた身体が音もなく虹色の結晶体を飲み込むと、彼女の全身が柔らかな光が撫でていった。

 

「どうだ?」

 

「う~ん。特に変わった感じはしないんだけど……」

 

「そうでもない。さっきとは気配が変わっているから、ちゃんと受肉は果たされてると思うよ」

 

 先ほどまではサーヴァント特有のそれだったのが、今では湖の乙女の姐さん達と同じモノになっている。

 

 第四次でアグラヴェイン達を受肉させた際、姉御は存在が精霊に近くなると言っていた。

 

 なら、エスィルトちゃんの受肉は成功したと思っていいだろう。

 

「ところで、お義父様はどうして目隠しをされているのですか?」

 

「以前サーヴァントを受肉させる現場に立ち会った事があるんだが、その時は全員全裸になってしまったんだよ」

 

「大丈夫ですよ、服は消えてませんから」

 

 くすくすと笑う声にネクタイを使った目隠しを外すと、そこには先ほどと同じ武装を纏った義娘が立っていた。

 

 あのアナコンダ大王が印象的過ぎてついやってしまったが、今回は余計なお世話だったようだ。

 

「よっしゃ! エスィルトの事も何とかなったし、後はあのローマ野郎を倒すだけだな!!」

 

 最後に大暴れでもするつもりか、掌に拳を打ち合わせて気合を入れるウチの次男。

 

 しかし悲しいかな────

 

「残念だったな、ガヘリス。たった今神祖の気配が消えたぞ」

 

「えぇ~」

 

 しょんぼりと肩を落とす次男に苦笑いを浮かべていると、床に転がる黄金の盃が目に入った。

 

 これが第二特異点の根幹である聖杯に違いない。

 

 人理修復の最重要アイテムを放置するのは拙いと手を伸ばしてみると、カップの淵に指が触れた途端に黄金の光と共に魔力を放出し始めた。

 

「うおっ!? 眩しっ!!」

 

「どうした、父ちゃん!?」

 

「ガヘリス、聖杯が光ってるわ!!」

 

 無駄に多い光量に目を庇っていると、床を奔る魔力は聖杯を中心に複雑な文様を描いていく。

 

 ヤバい、あれって確かサーヴァントの召喚陣だったはずだ。

 

「二人とも聖杯から離れろ! 英霊が召喚されるぞ!!」

 

 こちらの忠告にガヘリス達は大きく後ろに飛びのいた。

 

 これで奇襲を受ける心配は無くなったものの、ここでサーヴァントが出て来るのはいただけない。

 

 俺だけなら幾らでもウエルカムだが、受肉したばかりの大事な義娘を危険に晒すのはNOサンキューだ。

 

 そんな思いから召喚陣の中央に浮かぶ聖杯をどけようと鷲掴みしたのだが、空間に固定されているらしく押しても引いても動く気配がない。

 

 召喚陣諸共ぶった切れたら一番楽なんだが、それをやったら色々な意味で詰みである。

 

「父ちゃん!?」

 

「お義父様!?」

 

 エーテルが巻き起こす風の中、二人の焦る声を耳にした俺は最後の手に打って出た。

 

 聖杯を握る右手から内功掌法の要領で勁を送り込んだのだ。

 

 これがミミズ野郎の仕業なら、出てくる奴はマスター不在で呼び出されることになる。

 

 ならば、召喚に割り込んで俺がマスターになればいい。

 

 幸いこの身はマスターの端くれだし、聖杯に掛けた右手には令呪が刻まれている。

 

 垂れ流しの魔力は兎も角、ここで内勁をブチ込めば何とかなるはず……きっと、多分。

 

「うおおおおおおおっ! 出てこいやぁッッ!!」

 

 安易な素人考えを押し通す為に黒手裂震破レベルで勁を送り込むのと、閃光と共に召喚陣から何者かが現れるのは同時だった。

 

「姓は項、名を籍、あざなを羽。人にはそう名乗れと指示されていたが……よもやこのような姿で呼び覚まされるとは。汝とは果たしていかなる縁にて結びついたのだろうか?」

 

 渋い声に霞む視界に鞭打ってみれば、目の前にいるのは人と思われる上半身に馬の下半身。

 

 さらには四本の剛腕に剣を持つ謎のナマモノだった。  

 

「……しまった。強引に割り込んだ所為で英霊じゃなくて超人を呼んでしまったらしい。なあ、サムソン・ティーチャー」

 

「なに言ってんだ、父ちゃん。あれはパーンサロイドを付けた鋼鉄ジーグだ」

 

「二人とも、彼が名乗った名前と全然違うんだけど……」

 

「我が名は項羽である、主導者よ」

 

 俺とガヘリスの真名看破は本人によって一刀両断されてしまった。

 

 いやいや、項羽と言えば古代中国の武将で漢朝の祖である劉邦のライバルよ?

 

 こんなケンタウロスとアシュラマンが合体したような謎生物なワケねーじゃん。

 

 即座に否定しようとした俺だが、竜を(物理的に)沈めた聖女とか『深き者ども』に首まで突っ込んでるフランス元帥など、『事実は小説よりも奇なり』を地で行く英霊達の事を思い返しては一笑に伏す事は出来なかった。

 

「えーと……確認が遅れたが、俺がマスターって事でいいのか?」

 

「魔力の経路が繋がっているのも確認している。貴殿が主導者で間違いはない」

 

 俺の問いかけに重々しく首肯する項羽。

 

 予想の斜め上な人物(?)が現れた事で少々焦ったが、そもそも召喚に割り込んだのは戦力増強が目的じゃない。

 

 彼が敵でないなら結果オーライである。

 

「おっ! 叔母さん達がこっちに来たみたいだな」

 

 入り口側の通路から近づいてくる話声に、ガヘリスは声を上げる。

 

 感じる気配は全て見知ったモノ、一人の欠員もない事に内心で胸を撫で下ろす。

 

 ウチの妹は怠惰なニートだが、本気になったら勝てる英霊は片手で数える程度しかいない。

 

 それにあれだけの人員がいるのだ、いかにローマ建国の王でも負ける事は無い。

 

 なんて思っていたのだが、やはり心配なモノは心配である。

 

 もしもに備えてモードレッドには緊急コールを持たせていたのだが、杞憂に終わってなによりだ。

 

 なんにせよ、これで第二特異点も修復完了。

 

 最終決戦の話は後で聞くとして、ネロ帝と別れを惜しんでいる立香ちゃん達の為にも撤収準備をしておこう。

 

◇ 

 

 ところ変わってここはカルデア内に備えられたコールドスリープルーム。

 

 ここにはレフ・ライノールの仕掛けたテロによって瀕死の重傷を負ったマスター達が、人理修復を成し得た際に治療を受ける為に冷凍睡眠で命を繋いでいる。

 

 そのコフィンの一つでは、今まさに異変が起ころうとしていた。

 

 何度か内側から叩く音が響き、一際大きい打撃音と共に強化ガラスで作られた蓋が破片をまき散らしながら天を舞う。

 

 そうして立ち上がった一つの影、それは損傷が激しく凍てついた身体でありながら一歩一歩出口へと歩き始めた。

 

「項羽様のニオイがする……」

 

 真紅に染まった瞳は確固たる意志に輝き、大きく抉れた口元には笑みを浮かべて。

 

 人理焼却より64日、芥ヒナコ復活。

 

 

水着剣豪小ネタ

 

長男『行くぞ、軍師に次男! 奴等のカジノから有り金全部巻き上げてやれぃ!!』

 

次男『ヒャッハーーー! 身ぐるみ剥いでやるぜぇぇぇぇっ!!』

 

ちんきゅー『敗北者は全てを失う、それが世の中の摂理ですからね。存分に略奪してみせましょう!!』

 

オッキー『あれが剣キチ軍──って、どう見ても世紀末モヒカン集団じゃない!!』

 

黒ヒー『アイツ等、本当に騎士でござるか? ウチの手下並に手慣れてるだけど……』

 

きょぬー海賊『まあ、あの方の息子さんですし』

 

ひんぬー海賊『あれくらいはっちゃけてもおかしくないよね』

 

エリⅡ『どうするの、リーダー? このままだと蹂躙されるわよ』

 

オッキー『まともに戦ったらあの連中の方が上! だったら姫達の有利なフィールドに誘い込むまで!!』

  

黒ヒー『ではジャングルエリアでアンブッシュでござるな』

 

きょぬー海賊『では、さっそく移動しましょう』

 

ひんぬー海賊『むこうには妙なバイクもあるし、もたもたしてると追いつかれるしね』

 

ぐだ子『オッキー達、転送装置でどっかにいっちゃったね』

 

イオリん『刑部姫達はサバゲ―で水着剣豪を張ってる異色のチーム。彼等の特異なフィールドに移動したんでしょう』

 

中二病『それでどうするんでぃ。オレ達も後を追うのかい?』

 

うさぎ『それはいけない。無法の徒とはいえ、あれは水着剣豪としての戦い。部外者が介入していいモノではありません』

 

トリ『とはいえ、むこうのガウェイン達も円卓の騎士。彼女らの勝算は薄いのでは?』

 

ニート『というか、あの二人が奥の手を使うと円卓が束になっても勝てませんけどね』

 

ベティ『奥の手、ですか。彼等はどこまでの力を手に入れたと?』

 

ニート『気にする必要はない、ベティヴィエール卿。兄上に毒されているとはいえ、あの子達がそれを使うとは思えん』

 

すまない『ともかく、今は彼等の戦いを見守るしかあるまい。幸い、戦闘の様子は野外スクリーンに映し出されるようだしな』

 

なすび『皆さんが無事に終わればいいのですが……』

 

ちんきゅー『ほう、転送先は密林ですか。待ち伏せされると少々厄介ですね』

 

長男『問題ない。私に任せてもらおうか』

 

次男『お! ヤルつもりだな、兄貴!!』

 

長男『この剣は太陽の移し身……以下略! 転輪する勝利の剣!!』

 

中二病『おいおい! あのヤロウ、問答無用で森を焼き払っちまったぞ!!』

 

ニート『今日の長男は何時になく容赦がありませんね』

 

トリ『騎士たる者が焼き討ちとは、私は悲しい』

 

ニート『なにを甘ったれた事を。世の中勝てば官軍負ければ賊軍ですよ』

 

うさぎ『貴様には騎士としての誇りは無いのか?』

 

ニート『そんな戯言、とっくの昔に忘れたわッ!』

 

ぐだ子『……ニートさんも剣キチさんの影響受けてない?』

 

なすび『先輩、多分あれは素です。ニートさん、自分が王をやってたの黒歴史って言ってましたし』

 

すまない『ふむ、奴らの思惑通りに刑部姫達が燻り出されてきたな』

 

イオリん『エグいけど有効な手だったみたいね』

 

ベティ『ですね。その証拠に刑部姫はメンバーが一人欠けている』

 

オッキー『まさか、こんな非道な手に出るなんて……』

 

きょぬー海賊『私達は何とか助かりましたが』

 

ひんぬー海賊『黒ひげは一瞬で灰になっちゃったね』

 

長男『出てきたな、ドブ鼠の親玉め』

 

オッキー『くっ、セリフも世紀末……』

 

エリⅡ『どうするの、リーダー?』

 

オッキー『こうなったら奥の手よ! エリちゃん準備を!!』

 

エリⅡ『あれを使うのね、了解したわ』

 

次男『ヒャア! 余計な事なんてさせるかよぉ……っと!?』

 

きょぬー海賊『邪魔はさせませんわ!』

 

ちんきゅー『跳弾で軌道を読ませない飛び道具……厄介ですね』

 

ひんぬー海賊『今だよ、リーダー!!』

 

オッキー『ありがとう、二人とも!! 姫路城中、四方を護りし清浄結界。こちら幽世醒める高津鳥、八天堂様の仕業なり。すなわち白鷺城の百鬼八天堂様、ここに罷り通ります!』

 

ぐだ子『ゲ、ゲェーーッ! あれは!?』

 

なすび『見る者にトラウマを植え付けるキ●ガイ建築。チェイテピラミッド姫路城です!』

 

オッキー『これが私達の奥の手!固有結界であの世界を再現すれば───』

 

エリⅡ『私の本体が使えるという事。如何に聖剣とはいえ、あの巨体を制する事は不可能、降伏しなさい』

 

長男『ふふふ……ハーッハハハハハハ!!』

 

エリⅡ『何が可笑しいのです?』

 

長男『この程度で降伏勧告とは片腹痛い』

 

エリⅡ『強がりなら止めることね。魔道と科学の結晶たるメカエリチャン・G相手では、貴方達の勝算はゼロよ』

 

オッキー『そうだそうだ! 巨大ロボットが出たら勝ち確定! これってジャパニメーションの鉄板なんだから!!』

 

長男『それについては異論はない。だが、巨大ロボットを持つのは貴様等だけではないぞ!!』

 

エリⅡ『なんですって!?』

 

長男『見せてやろう、ファイアージェット! サンライズブレスター!!』

 

うさぎ『ば、バカな!?』

 

トリ『空飛ぶ機械とガウェイン卿が……』

 

ベティ『合体したぁぁぁぁっ!?』

 

長男『武装合体! ファイヤーガウェインッッ!!』

 

オッキー『う…うそぉ……』

 

アナウンス『水着剣豪七色勝負!』

 

ひんぬー海賊『えっ! ここでアナウンス来るの!?』

 

アナウンス『太陽の勇者・ファイヤーガウェイン対汎用エリ型決戦兵器・メカエリチャン・G! いざ尋常に勝負!!』

 

ぐだ子『水着要素が欠片もねーよ!!』

 

続かぬ……

 


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