う~ん、アルトリアのコレジャナイ感が凄い。
現時点での拙作の円卓(名簿はTYPE-MOON Wiki 参照)
パーシヴァル
健在。
ケイ
健在。
ガヘリス
死亡
パロミデス
ランスロット派に所属
フランスにて存命
ガウェイン
死亡
ガレス
不参加
ランスロット
死亡
トリスタン
脱退・失踪
アグラヴェイン
死亡
ベディヴィエール
健在
モードレッド
不参加
ギャラハッド
不参加
ボールス
ランスロット派に所属
フランスにて存命
ペリノア王
参加前に死亡
ラモラック(wikiには名前無し)
死亡
親愛なる妹へ
この手紙を君が見るころには、俺達家族はこの地にはいないだろう。
前にも話した事だが、神秘が失われたブリテンでは俺達のような存在は生きてはいけないからだ。
国難を前にして、君の力になれない事は本当に申し訳なく思う。
今回、慣れない筆を
責任感の強い君は、ガウェイン達の事で自分を責めていると思う。
だが、あの件に関しては君には何の責任もない。
こちらが出した息子たちの退職願に
今回の事件に巻き込まれたのも、間が悪かっただけで君に落ち度はない。
俺やモルガン、子供達やお袋さん、家族の誰も君を恨んでいる者なんていないんだ。
だから、無茶な行動だけは取らないでほしい。
本来なら、無理矢理にでも君を妖精郷に連れて行くという考えもあった。
しかし、それは君が歩んできた道を否定してしまう事だから、どうしても出来なかった。
王として育てられてきた君には難しいかもしれないが、どうか忘れないでほしい。
君はアーサー王という造られた偶像ではなく、アルトリアという一人の女性であることを。
一人の人間として、幸せになる権利を持っているということ、そして君を待つ家族がいるということを。
モルガンの話では、聖剣の鞘に妖精郷に渡りたいと願えば、こちら側で解るらしい。
すべてが終わったら迎えに行くから、その時に会えるのを楽しみにしている。
不肖の兄 アルガ
◆
キャメロットの謁見の間に続くテラス。
そこから見える夕日に赤く染められた景色にアルトリアは目を細めた。
じきにこのブリテンという国は、今ある景色のように赤く染まるだろう。
太陽ではなく人が起こした戦火によって。
ペレス王を始めとする有力諸侯が離脱したこと。
そして彼が暴露したアルトリアの性別詐称によって、ブリテン王家の影響は地に落ちた。
兵達が各々の故郷に帰った事によって国軍はバラバラとなり、永く続く不作から民衆の不満の声は頂点に達している。
聞けば各地で決起を煽る者が出始めているそうなので、彼等が暴徒になるのも時間の問題だろう。
この惨状に加えて、ダメ押しでサクソン人を伴ったローマ帝国の侵攻まであるのだから、もう笑うしかない。
「───理想の王、か」
かつて母から聞かされたことがある。
自分は理想の王となるべく、父やマーリンによって生み出された者だと。
自分の持つ竜の因子や選定の剣、エクターが施した騎士として、そして王としての教育。
幼少期の全てが、そのために用意されていた物だった。
だが、その結果がこれだ。
そこまでお膳立てされてなおこのザマなら、よほど己には王器というものが無かったらしい。
それとも、この身もまた失敗作であっただけの事か。
まあ、それについては仕方が無い。
惜しむらくは己が未熟さで甥達の無念を晴らすことが出来ない事だろう。
「王よ」
背後からの声にアルトリアは振り返らなかった。
この王宮で華の匂いを漂わせている者など一人しかいない。
「何用か、マーリン」
「この現状、どんな打開策を打つつもりかな?」
いつもの調子で問いをかける師である宮廷魔術師に、アルトリアは普段なら見せないであろう皮肉げな笑みを浮かべる。
「どうもしない。ブリテンはこのまま滅ぶ。……私は亡国の王としての務めを果たすだけだ」
至極当然の事を口にしたのだが、かの魔術師にはお気に召さなかったらしく、胡散臭い笑みが不機嫌な表情にとって代わる。
「諦めるのかい?」
「ではどうしろと? 宮廷魔術師マーリンよ、名案があるなら述べてみるがいい」
どこか棘のある声に問い返せば、途端に黙り込むマーリン。
「円卓の騎士も残るはケイとベディヴィエール、パーシヴァルのみ。国軍の兵に至っては一割に満たん。この状況で反旗を翻した諸侯を平定して、異民族とローマを討つか。……成し遂げられたなら魔法の域だな」
「アルトリア」
「私はアーサーだ。そうでなくてはならんと定めたのは貴方達だろう」
振り返ったアルトリアの目に、マーリンは思わず息を飲んだ。
今まで向けられていた物とはまるで違う、何の感情も無い冷え切った目だったからだ。
「マーリン。私が選定の剣を抜くとき、貴方はこう言ったな。『その剣を抜けば人ではなくなる』と」
「ああ」
「お笑い草だ。貴方はそれまでの私が人であると思っていたのか? 性別を否定され『王であれ、騎士であれ』と、ひたすらにそれだけを叩き込まれる。あの時の私は、貴方達の手によって『理想の王』という金型に嵌め込まれた人形に過ぎなかった」
自嘲と共に吐き出される言葉に、マーリンは二の句どころか一の句すらも継げることが出来ない。
「私はな、母上達と過ごす日々の中で初めて人間になれたのだ。アーサー王という偶像に押し潰されていた、アルトリアという小娘を見てくれたあの人達のお蔭で。私が今までこの国を担ってきたのは、王の責務というだけではない。あの人達がいる国だったからだ」
もっとも、それももう終わりだがな。
そう言葉を残して視線を外の景色に移したアルトリアに、マーリンがため息交じりに口を開く。
「いったい、何がまちがっていたのかな……」
「人の感情が分からぬ貴方が、人の王を作ろうとしたことだろう。崩壊の引き金が内紛である事がそれを表している」
「……アルトリア。君は王になった事を後悔しているのかい?」
「戯言を。後悔などするものか、私が悔いるモノがあるとすれば───」
ブリテンの王は最後まで言葉を紡がず、聖剣と聖槍を手に玉座の間を後にした。
一人残された魔術師は、全てを見通す瞳をそっと閉じる。
「人の感情を理解できない者が人の王を作るのが間違い、か。ハハ……ッ。なんだ、最初からボク達は間違っていたんじゃないか」
その言葉は後悔だったのか、それともそう見せようとしただけの空虚なものか。
それは当の本人にしか分からない。
それから数か月後。
アルトリアはカムランの丘の上に立っていた。
眼下に見えるのはローマ兵やサクソン人、諸侯軍と自身の率いた王国軍、各々の亡骸で埋め尽くされた地面だ。
絶対守護と不老不死の加護を纏い、星の聖剣と嵐の聖槍を振るうアルトリアに敵う者は、諸侯軍・ローマの何れにもいなかった。
竜の心臓が生み出す無尽蔵の魔力を用いて暴れまわる様は、まさに赤い竜の名に恥じないものだったろう。
だが、それだけだ。
王が戦に勝ったとしても、それが滅びを回避する手段になるとは限らない。
ローマやサクソン人はいいとしても、諸侯軍は同じブリテン人だ。
反逆者とは言え、その多くを手に掛けた王など民は受け入れない。
そこに住む民に認められなければ王も国も成立しないのだ。
屍山血河の中、アルトリアは深いため息と共に小さな岩に座り込んだ。
(結局、かつてマーリンが言った事と同じ結果になったか)
凶作が続き始めた頃、マーリンはアルトリアに語った事がある。
ブリテンの地で作物が育たないのは、神代が終わりを迎えた為に大気に満ちていたエーテルが霧散したことが原因であると。
その為、神代の環境に適応していたブリテンの作物は育たず、自然の中にある獣達も姿を消す種が現れ始める。
つまり、ブリテンという国の滅びは確約されていたというワケだ。
自嘲と共に向けた眼下に広がる無慈悲な光景に、彼女の脳裏に一つの言葉が思い浮かぶ。
『
東方の言葉で『この世は無常であるから、栄華を極めている者も必ず衰えるときがくる』という意味らしい。
兄はこの言葉を出す時は続けてこう言っていた。
『この世界に永遠なんてものは存在しない。仮にブリテンに滅びが訪れる時が来たとしても、それは世の理であって誰かの所為じゃない』と。
思えば、マーリンと同じく兄もブリテンという国が長く続かない事を知っていたのだろう。
島の管理者という特異な役目を担っていた彼なら、そうであっても不思議ではない。
だからこそ王である自分が自責の念に駆られない様に、何度も言葉を投げかけていたのではないか。
そこまで考えて、アルトリアは腰に下げていた聖剣の鞘を手に取った。
この鞘に願いをかければ、妖精郷への道は開かれる。
ブリテンの滅びが確定した以上、自分がここに残る必要はない。
だが───
頭に浮かぶのは自分の騎士であった三人の甥の顔だ。
グィネヴィアの処刑場でアグラヴェインの亡骸を抱く兄は、涙で頬を濡らしていた。
ベディヴィエールの報告では、ガウェイン達の遺体を家に運んだ時も家族達は涙に暮れたという。
噛み締めた奥歯が軋みを上げ、鞘を掴む手に力が籠る。
兄上から辞意の話を持ち掛けられた時に了承していれば、こんな事にはならなかった。
いや、自分がグィネヴィアと結婚などしなければ……。
それ以前にランスロットを配下にしなければ……。
直接的にではないとはいえ、あの人達から子供を奪った私がどの面を下げて妖精郷に行けるというのだ。
いっその事、鞘を砕いてしまえば未練も晴れるのだろう。
しかし、そうしようとする度に過る皆の顔が、アルトリアの決心を鈍らせる。
おのれの意気地の無さに嫌気がさした時、アルトリアは声を聴いた。
頭に直接響く、老若男女そのどれでもあり、いずれでもない。
声は死後を世界に預けるならば、此方の願いを叶えるという。
次いで示されるのは『聖杯戦争』と呼ばれる万能の願望機である『聖杯』を巡る魔術儀式。
本来ならば死後に『座』という高次元に召し上げられた英雄、英霊と呼ばれるモノしか参加できない。
だが、自分の場合は特別に幽体離脱によって生霊のまま参加させるという。
胡散臭いとは思ったが、他に償う術は自分には見当たらない。
ならば───ッ!!
その日より、アルトリアは新たな戦場へと赴くことになる。
掛ける願いは『甥達を家族の下に帰す事』
その結末がどのような形になるかは、まだだれにも分からない。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
拙作に過分な評価を頂き、正直戦々恐々しておりました。
当初のプロットではロット王の下で平々凡々に暮らしていたはずなのに、いつの間にやら全然違う展開に。
ブリテンの崩壊についてはかなりの力技となってしまいました。
けど、国軍の約半分がランスロットに付いたら他の諸侯も不穏な動きをするよな、とという事でこんな塩梅になりました。
最後はフル武装アルトリアが無双した事になってるけど……国土のダメージを度外視したら、この位いけますよね?
さて、次はどうしたものか……
今後の方針については活動報告でネタとアンケートを行いたいと思いますので、そちらの方に御答え頂けると幸いです。
先の後書きでアンケート紛いの事を行ってしまい、読者の皆様には多大なご迷惑をおかけいたしました。
謹んでお詫び申し上げます。
本当に申し訳ございませんでした。
巻末オマケ(番外)
各オリキャラのイメージ
アルガ 目つきが死ぬほど悪いアーサー・ペンドラゴン(Fate/Prototype)
42番(アルガの前世) 武田赤音(刃鳴散らす)
ヴォーティガーン(人間) 皇帝ベルンハルト(ラングリッサーⅡ)
ヴォーティガーン(勇者) 黒いバーンガーン(勇者聖戦バーンガーン)
ペレス王 キングピン(スパイダーマン)