剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

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 すまない。

 シリアスを書き続けるのに耐えられなくなって、電波を拾ってしまったんだ。

 今回は休憩という事で許していただきたく思う候。


ニートリア・シリーズ(第四次・五次聖杯戦争 特異点ルルハワ)
【ネタ】第四次聖杯戦争のセイバーが剣キチ世界のアルトリアなら


 199X年 〇月 ×日

 

 拝啓、英霊の座にいる甥っ子たちへ。

 

 貴方達を兄上の下に返そうと勇んで参加した第四次聖杯戦争ですが、どうやら私の勝利が確定したようです。

 

 何故かって?

 

 だって、アルガ兄上とモルガン姉上が協力してくれるのですもの!

 

 そのうえアグラヴェインもいるのだから、どう考えても負ける要素はありません!!

 

 というか、最初は本気でダメかと思いました。

 

 倉庫街で金ピカのアーチャーを倒し、バーサーカーを退けた謎の男。

 

 それが兄上と知った時の気持ちは、筆舌し難いものでした。

 

 どんな英雄だろうと戦う覚悟はありましたが、兄上だけは無理です!!

 

 しかもむこうの出で立ちは『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』を斬った時と同じ……ッ!?

 

 久々に感じるこのプレッシャー……もはや絶望しかありませんでした。

 

 相手はただこちらを見ているだけなのに、『もう駄目だぁ、おしまいだぁ』と、どこぞの野菜王子のように崩れ落ちそうになる始末。

 

 というか、実際に崩れ落ちました。

 

 『はわ……はわわわわわわわ』と意味を為さない声しか出ない役立たずな口に見切りをつけた私は、この状況で成せる唯一の手を打つことにしました。

 

 そう、極東に伝わる敗北のベスト・オブ・ベスト! 

 

 『土下座』です!!

 

 言葉は「ははーー!」としか言えませんでしたが、こちらにはボディランゲージという強力な味方がいます。

 

 私が無条件降伏を求めている事は、あちらに十二分に伝わったに違いありません。

 

 え、英霊なのにそんな情けない事でいいのか、ですって?

 

 兄上相手に敗北を認めるのが恥なワケがないでしょう!

 

 むしろ、宝具をぶった切られる前にギブアップするのは英断だと称えられるべきです。

 

 ええ! さっきまで戦っていたランサーやライダーから蔑みの視線を送られても、倉庫街に沸いたフナ虫にじっと見つめられても泣いたりはしていませんとも!

 

 そのあとは紆余曲折あって、ランサーとライダーが撤退。

 

 負傷したバーサーカーも消えたワケですが、場が収まると兄上はあっという間にキリツグとマイヤを捕らえてしまいました。

 

 聞けば、私と出会ってすぐにアイリスフィールが偽のマスターである事を見破ったそうです。

 

 で、私とキリツグのパスを切って彼らを拘束したところで姉上が登場。

 

 黒いゴシックドレスに身を包んだ姉上は、何故か私と同じくらいの見た目と体形なのに、おっぱいがバインバインです。

 

 (うらや)んでなどいませんよ。

 

 姉上と母上のおっぱいは私にとってのアヴァロンです。

 

 今回もあの柔らかい感触といい匂いをたっぷり堪能させていただきました。

 

 アグラヴェインには涙ながらに謝罪をさせてもらいました。

 

 私が国の事を優先したばかりに命を落とすことになって、本当に申し訳なく思っていたのです。

 

 あの子は優しい子ですから、泣いてしまった私を宥めながらも『気にしていない』と謝罪を受け入れてくれました。

 

 そういえば、アグラヴェインから叔母上と呼ばれたのは久しぶりですね……。

 

 色々とあった雑事も問題なく収まった後、あっさりとキリツグから令呪を奪い取った姉上は、それを兄上の左手にペタリ。

 

 これでめでたく、私は兄上のサーヴァントになったワケです。

 

 兄上のサーヴァントが剣士というのは、いささか存在意義について思うところがありますが、そういった難しい悩みは脇に置いておきましょう。

 

 最後に三人を『この者達、凶悪テロリスト』という張り紙と共にクレーンに吊るして、私の初戦は終了しました。

 

 アイリスフィール達が『裏切り者ぉーー!』と叫んでいたような気がしますが、気にもなりません。

 

 短期バイトの上司と家族、どっちを取るかなんて考えるまでも無い事ですから。  

 

 

 199X年 〇月 ▲日

 

 

 アルトリア・ペンドラゴン、絶好調です!

 

 神仙である兄上から供給される魔力は、キリツグとは比べ物にならないほど上質で量もたっぷり。

 

 その効果は、サーヴァントでは起動しないと言われていた竜の心臓も動かすほどです。

 

 さらには、マスターも訳の分からない理由からこちらをガン無視する変人から、コミュゲージ最大で背中も任せられる兄上に。

 

 そして最大の癒しである姉上(小)と甥っ子。

 

 私の直感が『死ぬほどウザいストーカーになる!!』と警鐘を鳴らしていた金ピカも、グロ画像量産機であるカエル面のド変態もいません。

 

 まさに我が世の春!

 

 アルトリウムを使って、アホ毛にビンビン苦情を送ってくる並行世界の私とは天と地の差でしょう。

 

 そんな私達ですが、今日は買い食いやショッピングを楽しみながら他の陣営を挑発してみました。

 

 まあ、冬木観光がメインで聖杯戦争はオマケみたいなものですが。

 

 しっかり楽しんだので、ホテルに帰る頃には日もトップリと暮れています。

 

 本来ならここから聖杯戦争の時間ですが、今日の私達の活動はこれで終了。

 

 ホテルのディナーを楽しんだ後で、姉上と共にベッドにダイブしました。

 

 ああ、聖杯戦争とはかくも素晴らしいものなのですね……。

 

 

 199X年 〇月 ◇日

 

 姉上の使い魔を利用して敵情視察を行ったところ、ランサー陣営がドロドロの愛憎関係であることが判明しました。

 

 そういえば、あのランサー魅了の黒子(ほくろ)を持っていましたね。

 

 その事を姉上に言うと、『この女の魔力を考えれば、魅了にはかからない筈なんだけど……』と首を傾げていました。

 

 ランサーめ。

 

 出会った時はなかなかに涼やかな騎士だと思っていましたが、上司の恋人を略奪しようなどトンでもない奴です。

 

 どれだけ普段の素行が良かろうと戦場で一騎当千の働きを見せようと、下半身の事を自己管理できないような奴は騎士……いえ、人間として失格です。

 

 今回の事で私の中でのランサーの評価は地の底に堕ちました。

 

 次に遭った時は、語るに落ちた奴の騎士道ごとエクスカリバーで吹き飛ばしてやりましょう。

 

 

 199X年 〇月 ■日

 

 

 今日は何故かライダーと共に酒盛りをする事になりました。

 

 なんでも『酒の席で英霊としての格の優劣を定め、聖杯を手にするのが相応しいのは誰かを決めよう』だとか。

 

 正直、英霊の格付けチェックとか興味は湧きませんね。

 

 というか、私は厳密に言えば生者ですから英霊ではありませんし。

 

 で、この格付けチェック。

 

 テレビ番組のようにワインや料理の味を見てどっちが高級か? なんてやると思いきや、自分の王道を語れとか言ってきました。

 

 めんどくさい事この上ない。

 

 まず第一に、ブリテンが滅んだ時点で私は王ではありません。

 

 そして、王であったことを誇りに思った事だってない。

 

 ぶっちゃけ、王座に座らされた事自体、マーリンやエクターの洗の……もとい、教育の影響ですし。

 

 だいたい、あんなどう頑張っても滅びるような国の王なんて、罰ゲーム以外の何物でもないじゃないですか。

 

 あ、王座に就いた事自体は後悔してますが、政策については三つを除いては後悔してませんよ。

 

 私の失敗は三つ。

 

 ランスロットを部下にした事、グィネヴィアを嫁に迎えたこと、そして甥っ子達を帰らせなかったことです。

 

 それ以外はベストを尽くしましたので、誰憚(だれはばか)ることはありません。

 

 まあ、もう一度やるのは死んでも御免ですけどね。

 

 この王道語りですが、『国を次の世代に受け継がせることも出来ずに滅ぼしたボンクラが、何を語っても滑稽なだけ』という私の身も蓋も無い意見でお開きになりました。

 

 空気が読めていない事は自覚しています。

 

 しかし、私の今後には王道など使い終わった爪楊枝ほども役に立ちませんから。

 

 聖杯で甥っ子たちを兄上達の元へ戻したら、私を待っているのはめくるめくニートライフ。

 

 母上や姉上に甘やかされ、ガレスやモードレッドを愛でる。

 

 あと、兄上や甥っ子に養われれば完璧と言えるでしょう。

 

 この至高のライフプランのどこに王道などというモノの入る余地があるというのか。

 

 兄上たちの協力で(にわ)かに現実味を帯びて来た私の理想郷。

 

 この生活を手に入れる為ならば、私は悪魔にでもなりましょうとも。

 

 というわけで、帰ろうとしたライダーをエクスカリバった私は悪くない。

 

 

 199X年 〇月 ■日

 

 

 昨日、ライダーを倒した不意打ちに関しては、兄上からは何も言われませんでした。

 

 流石は『常在戦場』『卑怯は負け犬の遠吠え』『兵法者なら罠に掛けられた事を(いきどお)るよりも、その手腕を()めるべき』なんてことをモットーにしているだけはあります。

 

 姉上も『休戦の約束もしてないのに、無防備に背中を見せたむこうが悪い』と相手に呆れていました。

 

 理解のある兄姉を持って私は幸せです。 

 

 話は変わりますが、姉上がこの戦争の術式は信用ならないと言い出しました。

 

 話を聞いてみると、冬木に着いてすぐに大地のマナを集めようとしたら、地脈が呪詛で汚染されていたとか。

 

 どうもこの冬木市にはそういった汚染された地脈がチラホラ走っているらしく、そのすべてが円蔵山という山に収束しているらしいのです。

 

 なるほど。

 

 言われてみれば、たしかにこの聖杯戦争は怪しい事が多すぎます。

 

 今回で四回目だというのに一度も願望器を使った者の話を聞いたことがありませんし、実際どういう風に叶えるのかも不明のまま。

 

 これはもしかしたら、もしかするかもです。

 

 というワケで円蔵山へ調査に行ったところ、システムの根幹を司る大聖杯はグロ生物と化していました。

 

 絶えず辺りに瘴気を振りまく、目玉と紫色のイカを混ぜたような目に痛い化け物。

 

 このナマモノの何処に聖なる要素があるのでしょうか?

 

 周辺の呪詛による汚染もシャレになりませんし『あ、これは外れだわ』とため息をついたところ、兄上がやってくれました。

 

 なんと大聖杯に巣食った汚染の原因を斬って捨ててくれたのです。

 

 お蔭で大聖杯はグロ生物から巨大な岩へとジョブチェンジし、地脈も汚染も全て解決しました。 

 

 ブリテン時代から色々おかしいと思っていましたが、もう剣に関しては何でもありですね、この人。

 

 で、今回の聖杯に掛ける願いですけど、姉上が大聖杯の魔力をパチって叶えてしまいました。

 

 姉上たちの目的はアグラヴェインの受肉。

 

 私のような例外を除けば、サーヴァントとして召喚されるのは英霊の座から派遣される分霊ですので、ここにいる彼を実体化させても本当の意味で甥っ子たちを取り戻した事にはなりません。

 

 まあ、その辺の事は姉上には『釈迦に説法』ですし、聞けば妖精郷で策があるそうなので良しとしましょう。

 

 あと、カムランの丘に置いて来たはずの私の身体もアポートしてくれました。

 

 どうやったらそんなことができるのか? と頭の中は疑問符でいっぱいだったのですが、その辺は女神としての知識だそうです。

 

 まあ、私の直感も『これは知る必要のない事だ、いいね?』と全力で叫んでいたので、きっと知ってはいけない事なのでしょう。

 

 あと、今回の事で大聖杯に溜まっていた魔力の殆どを使い切ったそうなので、今後聖杯戦争がまともに運営できるかどうかわからないそうです。

 

 まあ、私達は願いを叶えたのですから、その辺の事は気にする必要はないでしょう。

 

 さて、あとは姉上たちと妖精郷に帰るだけだったのですが、ここで兄上から聞き捨てならない情報を耳にしました。

 

 なんと、バーサーカーがランスロットのクソ野郎だというのです。

 

 もはや、私達に聖杯戦争に関わる理由はありません。

 

 だがしかし、奴が参加しているとなれば話は別です。

 

 ブリテン末期に味わった恨み辛み、これを期に万倍にして返してあげましょう!

 

 

 199X年 〇月 ▲〇日

 

 

 今朝テレビをやっていたのですが、とある国際テロリストが警官隊に射殺されたそうです。

 

 なんでも銃刀法違反で現行犯逮捕されたところで、相手は魔術のような物を使って脱走。

 

 相棒の女性二人を連れて、倉庫街を舞台に警官隊と激しい銃撃戦を繰り広げたとの事。

 

 で、最後は日本が誇る対オカルト鎮圧部隊である機甲折伏隊、通称ガンボーズの活躍によって決着を見たとか。

 

 国家が対オカルト部隊を組織しているとは、流石は世界一の治安を誇る日本と言ったところでしょうか。

 

 ところで、ブラウン管に映った死に腐った眼に無精ひげが怪しい犯人。

 

 どこかで見た様な気がするのですが……まあ、気にする事はありませんね。

 

 さて、『立つ鳥、跡を濁さず』という諺が日本にあると言います。

 

 これでも聖杯戦争に参加した身。

 

 他の参加者ほどではないとはいえ、この冬木の街に迷惑をかけた事には変わり有りません。

 

 大聖杯の魔力を使い切った事で聖杯戦争自体も終息していくでしょうが、サーヴァントなる危険物が未だ存在しているのもまた事実。

 

 ここは出来る限り処置を施していくのが人の道というモノでしょう。

 

 というワケで、サーヴァント狩りの開始です。

 

 ライダーの際は上空に向けてぶっ放したので街に被害はありませんでしたが、聖剣や聖槍の使用には細心の注意が必要となるでしょう。

 

 まあ、こちらの方針では基本的に前線に立つのは兄上だそうなので、ランスロット以外で私に出番が回ってくるかは微妙な所ですが。

 

 ともかく、残るサーヴァントはランサー、アサシン、ランスロットの三体。

 

 姉上が飼っているドクロ仮面の話では、アサシンは宝具で分裂するという厄介な特技を持つとのこと。

 

 相手は気配遮断で逃げ隠れができるので、これは厄介なことになりそうです。

 

 と思っていたら、姉上がサクッと解決してくれました。

 

 なんでもドクロ仮面の魔力構成を元に、アサシンにのみ有効な呪詛を掛けるのだとか。

 

 触媒がアサシンの一人格であるドクロ仮面なので、サーヴァントだろうと百パーセント効くとの事。

 

 絶対不可避の即死魔術とか、えげつないにも程があると思うのです。

 

 ともかく、これで一騎はなんとかなりました。

 

 明日はランサーを倒しに行く事にしましょう。

 

 

 199X年 〇月 ▲■日

 

 

 姉上が呪詛の準備に忙しいので、兄上と共にランサー退治をしてきました。

 

 奴の拠点は高級ホテルの最上階。

 

 一般のホテルを魔術工房に改造するなんて、奴のマスターには常識というモノが無いのでしょうか?

 

 説明文にしたら十行くらいは余裕で稼げそうな罠の数々を仕込んでいたようですが、兄上はその一切合切を剣の一振りでぶった切ってしまいました。

 

 こちらとしては『うん、知ってた』の一言なのですが、むこうにしたら堪ったモノではないでしょう。

 

 幸と髪の毛が薄そうなランサーのマスターはヒステリーを起こす中、そんな主を護ろうとランサーが前に出ます。

 

 ぶっちゃけ、兄上に全部任せておけばどうとでもなるのですが、このままでは私はサーヴァント(愛玩動物)になってしまいます。

 

 この聖杯戦争が人生における最後の労働である事も加味して、ここは私の手でランサーを撃破すべきでしょう。

 

 と言う訳で、兄上の許可を得てランサー戦を行いました。

 

 倉庫街土下座事件でランサーの中での私の株は下がっていたらしく、『貴様で俺の相手になるか?』みたいな事を言っていたような気がしますが、まともに聞いていなかったので憶えてないんですよね。

 

 とりあえず『ガタガタ言ってないでかかってこい、寝取り野郎』と挑発したところ、トラウマか何かをスマッシュヒットしたらしく、凄い形相で襲い掛かってきました。

 

 しかし、煽り耐性が低いにも程がある。

 

 この程度、ブリテンでの地方豪族との会合だったら挨拶みたいなモノなのですが。

 

 なんにせよ、相手が冷静さを失ったのは好都合でした。

 

 額狙いの短槍を『全て遠き理想郷(アヴァロン)』で防ぎ、返す刀で『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』の斬撃バージョンを叩き込むという、10年ほど時代を先取りしたコンビネーションによってランサーはあっさり退場。

 

 それを見て相手の女がヒステリーを起こしてマスターに掴み掛っていたようですが、放置して帰路に着きました。

 

 私達が処理するのはサーヴァントであって、マスターの人間関係は管轄外ですから。

 

 二人に幸多からんことを祈っておきましょう。

 

 アーメン・ハレルヤ・ピーナツバター。

 

 199X年 〇月 ▲×日

 

 さて、アサシンも無事に退場が確認されたので、聖杯戦争最終決戦です。

 

 相手は憎きランスロットとそのマスターである真っ赤という悪趣味なスーツを着た紳士。

 

 もしかしたら別のランスロットが呼ばれている可能性を危惧していましたが、兄上を見て明らかに怯えた態度を取っている以上、あの寝取り野郎と見て間違いないでしょう。

 

 あと、後ろの魔術師が何か言ってましたが、どうでもいいので書く必要はありませんね。

 

 というわけで、始まった対ランスロット戦。

 

 リベンジを希望していたアグラヴェインに無理を言って譲ってもらったのですから負けるなどもっての外です。

 

 本音を言えばロシアンフックからマウントを取って、死ぬまで殴ってやりたいところですが、相手は腐っても円卓最強と言われた男。

 

 兄上達はもちろん、妖精郷で待っている家族の為にも万が一のことがあってはいけません。

 

 ここは私の奥義を見せる時でしょう。

 

 黒く染まったアロンダイトを手に襲い掛かって来るランスロット。

 

 その一撃をランサーの時と同じく『全て遠き理想郷』で防いで、すぐさま『約束された勝利の剣』の斬撃バージョンを叩き込む!

 

 この時点でガッツリ致命傷なのですが、まだ終わりではありません。

 

 そこから『全て遠き理想郷』を『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』に持ち替えて、天空に穂先が向くように叩き込むと同時に真名解放!!

 

 相手の一手に宝具三連発で返す、これこそが対兄上用奥義『アーサー三連殺』です!

 

 もっとも、兄上には初手の『全て遠き理想郷』が作用しないという致命的な欠点の為に通用しませんでしたが。

 

 最果ての槍の輝きによって、奴が跡形も無く消し飛んだところで聖杯戦争は終了。

 

 ランスロットのマスターが見事なまでに崩れ落ちていましたが、私達は無言のままに立ち去りました。

 

 いつの時代も、勝者から敗者に掛ける言葉はないのです。

 

  

 妖精郷生活32日目

 

 

 聖杯戦争終結から約一か月が経過しました。

 

 妖精郷の住人たちの力を借りて、兄上が世界からガウェイン達を取り戻す事にも成功し、私達は平和な日々を送っています。

 

 私はと言うと、念願のニート生活をこれでもかと満喫しています。

 

 母上や姉上は優しく、姪っ子達はとても可愛い。

 

 正直、兄上辺りからツッコミが入ると思っていたのですが、王時代の労働があまりにブラックだったためか、生温かい視線を送るのみです。

 

 あと、妖精郷は現世と変わらないくらいに発達していて、娯楽もいっぱい。

 

 ネット通販とか本当に便利で、このままではダメ人間になってしまいそうです。

 

 ジャージ姿が甲冑よりも板についてきたあたり、自分でも少しヤバいと思うようになってきました。

 

 ですが、もう少しこのままでいいですよね。

 

 とりあえず、あと三十年経ったら、また本気を出すことにしましょう。


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