剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

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 お待たせしました。

 ごめんよ、今回も異聞なんだ。

 水着ピックアップ十連で、メッフィー1、礼装9なんてトリッキーな爆死をした怒りと悲しみを表現してみたわけではない。

 チクショウッ! 今度は呼符でリベンジだ!!



  異聞『剣キチが第五次聖杯戦争に転生していたら(4)』

 その夜、仏への参道は血生臭い空気に包まれていた。

 肌がヒリ付くほどの張り詰めた静寂の中、剣を構えるは二人の男。

 片方は紫を基調とした陣羽織を身に纏った古風な侍、もう一人は全身黒の衣装を身に纏った白髪金眼の少年だ。

 少年は戴天流・雲霞秒々の構え、対する侍は自然体で微動だにせず、鋭い視線でお互いの隙を(うかが)っている。

 ───否。

 互いに足を浮かせることなく、摺り足でジリジリと間合いを詰めている。

 出会い頭の一合から離れた間合いは、成人男性の身体三つほど。

 二人ともその気になれば一足で消せる距離ではあるが、相対する者の隙の無さが互いの足を留めている。

 闘争の舞台となっているのは山門へと続く急こう配の階段だが、お互いが同じ段にいる為に高低差のハンデはない。

 靴と草履、互いの底が砂を噛む音と共にゆっくりと間を縮める両者。

 この息をするのも難しいような張り詰めた状況が動いたのは、互いの距離が大人二人分ほどになった時だった。

 夜風が運んできた一枚の木の葉が互いの視線を(ふさ)いだ瞬間、銀と黒の(きらめ)きを以て双方が動いた。

 先手を取ったのは侍、アサシン・佐々木小次郎。

 愛刀を振り上げ、普通よりも長大な刀身ながら雷霆(らいてい)の如き速度で袈裟斬りを放つ。

 しかしその一手は少年・陣も察知している。

 前方に突き出すように構えた『原罪(メロダック)』が輝線を描くと、夜闇を舞い踊る切っ先は迫り来る太刀を絡め()る。

 そうして釣り上げるようにして相手の一撃をあらぬ方向へと導けば、次に牙を向くのは陣の剣だ。

 アサシンの斬撃を受け流した勢いのまま相手の腹に食らいつかんと疾る黒い一刀。

 だが、相手は(まが)りなりにも大剣豪の名を名乗る者、そう易々とは肉を()ませることはない。

 アサシンは自身の得物の長大さを活かし、逸らされた刀身を地面に咬ませる事で反動によって体勢を立て直す。

 そして陣の一撃を防ぐと、相手の刃の半ばから切っ先までを自身の刀身を滑らせるようにして、一撃の威を受け流しつつ間合いを取った。

 陣の纏う刃圏(じんけん)より脱出したアサシンは、地に足を付けると同時にスタンスを広げて少し身を低くする。

 その構えに『意』と背筋を走る悪寒を感じた陣がその場から跳び退くと、腰だめに構えられたアサシンの剣が閃光と化した。

 踏み込みと腰の捻りを活かした超高速の一閃、相手の腿を狙ったそれは石段を豆腐のように両断する。

「初見でコレを(かわ)すとは大したものよ。だが、空に逃げたのは悪手であったなッ!」

 気炎を吐くと同時にさらに一歩踏み込むアサシン。

 続いて放たれるのは低い体勢から伸び上がるバネを活かした刺突。

 腹を狙った一手目は空中で身を捻る事で躱し、顔面に伸びてくる二手目は初弾を回避した際の回転の勢いを込めた(つか)を当てる事で()らす。

 続く三手目、それはなんと首を狙った横薙ぎであった。

 上昇中ならまだしも、落下が始まった状況において広範囲をカバーするこの一撃を躱す事は容易ではない。

 剣を盾にしようにも、二撃目を防ぐのに振り抜いているために、先ほどの足薙と同じ一刀相手では間に合わないだろう。

 まさに手詰まり。

 アサシンの講じた攻撃は詰将棋のように、相手の手札を封じて見せたのだ。 

 だが、死神が振るう断頭の鎌と化したアサシンの一撃が迫る中、陣は動じる事は無かった。

 (くつがえ)せぬ状況に覚悟を決めたか?

 否である。

 鋭い呼気と共に陣は空中でその両足に力を溜める。

 そして次の瞬間、勝利を確信していたアサシンは目を見開いた。

 なんと長刀をその身に受ける寸前で、陣の身体が宙を蹴ったかのように上へと跳ね上がったからだ。

 内家氣功術が一手・軽身功。

 その秘奥を極めた者の前では、宙を舞う埃ですらも大地と化す。

 二度、三度と宙を蹴って間合いを詰めた陣は、長刀を振り抜いた姿勢のアサシンの頭へ刃を放つ。

 しかし、眼下の侍も只者(ただもの)ではない。

 閃光の如き鋭さで落ちてくる一撃を、咄嗟(とっさ)に首を捻る事で毛先の数本を斬り飛ばされるだけに留めて見せたのだ。

 必殺を期した一刀が不発に終わると見るや、陣は空中で身を捻り更なる一撃を放つ。

 だが、それも一瞬早く跳び退いたアサシンを捉える事はできなかった。

 陣が歇歩(シェブ)の姿勢で音も無く着地を決めると、静寂を取り戻した山門にアサシンの草履が砂を噛む音が響く。

 余人の目には捉える事のできないであろう打ち合いを終えても、双方ともに息一つの乱れも無い。

「いやはや、恐るべき剣よ。宙を舞う花弁の美しさの裏には、猛禽の爪が如き鋭さが隠れておるか。見蕩(みと)れていれば頭を割られているところであったわ」

「ならば、貴様の剣は毒蛇の牙だな。少しでも隙を見せれば即座に首を咬み千切られる」

 陣の返した評価に、アサシンは端正な顔に薄い笑みを張り付ける。

「仕方あるまい。なにせ私の剣は我流の邪道、正統剣術のような綺麗な戦い方などは出来はせぬ」

「恥じる事などない。所詮剣術は殺人術、剣は人斬り包丁にすぎん。ならば、正邪貴賤になど何の価値がある」

 アサシンの言葉の裏に僅かなコンプレックスを感じ取った陣は、それを容赦なく切って捨てた。

 しかし、その一言で侍の視線はさらに鋭さを増す事になる。

「なんとも鬼らしい言葉よ。だが私も剣の道に生涯を捧げた身、そのような言い方をされては少々不快ではあるな」

「なら、どうする。俺を斬って剣は人道とでも証明するか?」

「剣にそこまで求めるほど童心は持っておらぬさ。とはいえ、こうして刃を交えるからには貴様を斬るのは必定。ならば、邪道を以って鬼道を断つのもまた一興よ」

「断てるか、貴様に?」

「その答えは貴様の身に刻んで見せよう!」

 気迫と共に一刀を放つアサシン。

 長刀のリーチを活かしたレンジ外からの一撃を波涛任櫂で受け流しつつ、陣はアサシンの懐へと足を延ばす。

 だが、そうはさせじと後方に下がりながら足を薙ぐアサシン。  

 先ほど石段をバターのように両断した一撃だが、陣は『原罪』の刃を合わせる事でそれを防ぎ、長刀の刃を剣の腹で滑るようにして間合いを詰める。

 そうして互いの剣が届く間合いへと戦場が移行すると、先の攻防を倍するほどの剣戟の応酬が開始された。

 その卓越した足捌きは石段という不安定な足場など気にも留めず、両者の間には秒間数十もの刃金(はがね)を打ち合わせる火花が咲いては散っていく。

 あっという間に積み上がっていく手数の中で、陣はアサシンの剣の厄介さに舌打ちを漏らす。

 彼の侍が振るう刀には同じものが一つとしてない。

 同じ軌道を描く斬撃でもタイミングや角度、放つ際の挙動などが全て微妙に違うのだ。

 お蔭で相手の癖を掴むことができず、相手の剣を(しの)いでも攻勢に転ずることができないでいる。

 対するアサシンも、顔に張り付いているのは苦虫を噛み潰したような表情だ。

 陣の振るう剣はとにかく察知しづらい。

 普通なら殺気や剣気の後に放たれるはずの一刀が、そういったモノに先んじて飛んでくる。

 達人同士の立ち合いは、相手の挙動を見てからでは迎撃はおろか防御も間に合わない事が多い。

 その為、腕が立つ者ほど攻撃より先に放たれる気を掴む事を肝要とするのだ。

 しかし、目の前の鬼にはその前提が通用しない。

 それが如何にやり辛い事か。

 そんな状況下でアサシンが未だ致命の一撃を受けずにいられるのは、(ひとえ)に生前山野で磨き上げた鋭敏な感覚(ゆえ)だ。

 殺気や剣気が無くとも、相手が踏み込む時に生じる大地の震動や剣が疾る際の空気の乱れ、相手の足捌きが上げる砂を噛む音など。

 そういった動く際に生じる些細な変化を五感の全てで拾い上げ、陣の攻撃に対するセンサーとして利用しているのである。

 無論、並の武芸者ができる芸当ではない。

 類稀(たぐいまれ)なる天稟(てんぴん)を持つ男が、武に全てを捧げて初めて手が届く領域なのだ。

 大英雄ヘラクレスと繰り広げた剛柔のぶつかり合いとは違い、此度の立ち合いは互いに精妙さが際立つ技と技による(しのぎ)の削り合いだ。

 並の英霊ならば、気取られる事すらなく斬って捨てる程に冴えた刃。

 薄い月明りの中で(はし)るそれは、相手の振るうもう一つの剣閃によって払い、誘われ、流されては虚空へと消えていく。

 そうして合わさる剣戟(けんげき)が二百を超えた頃、短期間ながらも濃密な攻防は仮の幕を下ろした。

 申し合わせたように間合いを取った両者だが、互いに細かい傷はあっても致命はもちろん重傷に至る傷すらない。

「───見事。本当に見事だ、鬼よ。生涯に渡って一人磨き続けた剣、こうも存分に振るえるとは思ってもみなかったぞ」

「それはなにより、と言ったところか。こちらも『速さ』『重さ』に偏重(へんちょう)した輩ばかりを相手にしてきたのでな、こうして純粋に技で競い合うのは兄弟子と打ち合った時以来だ」

 アサシンと陣、交わす言葉と共に両者の口元が弧を描く。

 その笑みは命のやり取りには似つかわしくない、遊びに夢中な子供のように純粋なものだった。

其方(そなた)となら夜が明けるまでこうして刃を交えたいところであるが、生憎とそうもいかぬ。こちらを見ている女狐の堪忍袋も、そう丈夫ではないだろうからな。下らぬ横槍など入れられては適わん」

「ではどうする?」

「無論、次で決めさせてもらう。───我が秘剣を(もっ)てな」

 言葉と共に今まで自然体を貫いてきたアサシンは異様な構えを取る。

 長刀を胸元に構え、こちらに背を向けるほどに身体を捻る。

 一見するなら如何なる剣戟も放てそうにない体勢だが、陣はその構えを見た瞬間にヘラクレスの奥義を前にしたように死を幻視した。

「構えるがいい、鬼よ。でなければ死ぬぞ」

 忠告に従う様に雲霞秒々の構えを取る陣、それを確認したアサシンは秘蔵の魔技を解き放つ。

「───受けよ、秘剣・燕返し!」

 

 

 

 

 

 

 

 舞台は変わり、語る事柄も時間を(さかのぼ)る。

 剣鬼と亡霊が刃を交えるより少し前、夕日が赤く照らす衛宮家を三人の女性が訪れていた。

 遠坂凛、間桐桜、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。

 この冬木の聖杯戦争において『始まりの御三家』と呼ばれる魔術大家の系譜にて、此度の聖杯戦争における各家のマスター。

 一名はサーヴァントを失ったものの、協力体制にある彼女たちを迎えた家の主は、今朝別れた時とは想像もつかないほどに厳しい顔をしていた。

「三人ともお疲れ様。話したいことが色々とあるから、入ってくれないか」

 そう言い残して居間へと消える衛宮士郎。

 いつもの彼とは明らかに違う硬質な声に困惑しながらも、三人とそのサーヴァントは玄関に履物を残して後に続く。

 廊下と部屋を(へだ)てる障子を開けた彼女たちを待っていたのは、湯気が立つ人数分のお茶を乗せた机とそこに座るセイバーの姿だった。

「みんな、席は決めてないから適当に座ってくれ」

 そう言いながら、ドカリと音がしそうなほどにぞんざいな仕草で胡坐(あぐら)をかく士郎。

「あの……先輩、何か気に障るようなことがあったんですか?」

 普段の彼ならあり得ないような粗野な態度に、桜が恐る恐る声をかける。

「……知らない間に態度に出てたか。その辺についても説明するから、座ってくれないか」

 いつもなら周囲の事を考えて、苦笑いと共に謝罪の一つでも口にするのだろうが、今の士郎は厳しい表情を崩さない。

 彼の心を占めているのは、養父の残した手記の内容を確認したいという焦りにも似た感情だった。

 『普段怒らない者が怒った時ほど怖い』とは誰が言ったことだろうか。

 今の衛宮士郎は日常の彼を知る桜はもちろん、凜やイリヤすらも身を強張らせるような怒気を孕んでいた。

 士郎に促されるまま、畳に腰を下ろす少女と英霊達。

「なあ、ここにいるみんなは聖杯戦争の仕組みを作った魔術師の家系なんだよな?」

「ええ、そうよ」

「アインツベルン、遠坂、マキリ……は今は改名して間桐ね。この三家が冬木の聖杯戦争の術式を築いた家である事は間違いないわ」

 皆が座ったのを確認してから切り出した士郎の問いに、凜とイリヤは答えを返す。

「なら、『聖杯の呪い』についても知ってるのか?」

 士郎の口から付いて出た言葉に、彼以外の一同は動きを止めた。

 『聖杯の呪い』

 それは聖杯戦争に関わる者にとってはあり得ない、そしてあってはならない言葉だったからだ。

「衛宮君、冗談だとしても言っていい事と悪い───」

 窘めようとする凜の言葉を封じるように、士郎は懐から取り出した古い手帳を机に投げる。

「それは爺さん、前回の聖杯戦争の勝者である衛宮切嗣が残した手記だ。その中に『聖杯の呪い』について書かれていたよ」

「───どういう風に書かれていたの?」

「10年前の大火災の原因であり爺さんの死因、そして陣もこの呪いに掛かってたらしい。その辺は読んでもらったら分かる」

 投げた問いをそう返されると、イリヤは机の上に置かれたままの手帳をめくり始める。

「いいの? 貴女のお父様の手記なのに」

「構わないわ。シロウの言葉が本当なら、ここにいる全員が知るべき事でしょう」

 戸惑う凜にそう返して、イリヤは走り書きのような文字が並ぶメモ欄に目を落とした。

 

─────

 

 

 199X年 ●月■日

 

 

 助けた子供はなんとか病院に搬送された。

 

 見つけたときは虫の息だったけど、救急隊員が合流した頃には呼吸は安定していたので大丈夫だと思いたい。

 

 とりあえず、あの子の容態を知るまではここにいようと思う。

 

 しかし病院の前に広がる焼け跡を見る度に、犯した罪を再確認させられる。

 

 あの時、僕は中に潜んだ邪悪なモノを世に出さない為に、サーヴァントの宝具で聖杯を破壊した。

 

 だけど、それがこんな大惨事を引き起こすなんて夢にも思っていなかった。

 

 この火災で亡くなった人は、現在分かっているだけで400人を超える。

 

 それだけの罪の無い人達を僕は殺したという事だ。

 

 全世界から流血と争いを根絶し、恒久の世界平和を実現する為に聖杯戦争に参加したはずなのに……。

 

 結果がこれでは、アイリや舞弥だって浮かばれない。

 

 あの子の事やイリヤの事、アインツベルンへの言い訳など。

 

 これから考えなければならない事はたくさんある。

 

 でも、今日くらいは何もかも忘れて眠ってもいいだろう。

 

 さすがに疲れた……。

 

 

 199X年 ●月@×日

 

 

 今日、二人の孤児を引き取った。

 

 一人は聖杯に潜む『この世全ての悪(アンリ・マユ)』が引き起こした大火災の中、僕に助ける事が出来た士郎。

 

 もう一人は士郎の隣のベッドを使っていた陣という少年だ。          

 

 士郎ばかりではなく彼を引き取ったのには理由がある。

 

 陣は僕と同じく『この世全ての悪』の呪いに蝕まれている。

 

 あの火災から助かった十数人の孤児の中、呪いを受けていたのは陣だけだった。

 

 彼も士郎が倒れていた場所の近くで保護されたと聞くし、もしかしたらあそこが最も呪詛の汚染が酷かったのかもしれない。

 

 幸いと言うべきか、士郎は僕が埋め込んだ『(さや)』のお蔭で呪いを免れたようだ。

 

 だが陣は違う。

 

 あの子は魔術回路も持たない正真正銘の一般人だ。

 

 こんな強力な呪いを受けては、二年……いや一年()てばいいほうだろう。

 

 そして『鞘』を手放してしまった僕には、あの子を救う手立てはない。

 

 あの子から住む場所も家族、その記憶すらも奪ったのは僕達だというのに……。

 

 だから、僕はあの子の命が尽きる少しの間だけでも、家族のぬくもりを与えてやりたいと思った。

 

 それが僕にできるせめてもの償いだと思うから……。

 

 

 199X年 ■月〇×日

 

 

 陣と士郎が退院した。

 

 今日から本格的に二人との生活がスタートする。

 

 住居として用意したのは、聖杯戦争中に第二の拠点として押さえていた武家屋敷。

 

 隣に住む藤村の親分の助けも借りて、あの子達が退院するまでに人が住める程度には環境を整える事が出来た。

 

 当面はあの子達と一緒にいるとして、落ち着いたらイリヤを迎えに行くとしよう。

 

 士郎はもちろん、陣もぶっきらぼうな所はあるけど面倒見のいい子だ。

 

 イリヤを連れて帰れば良い家族になってくれると思う。

 

 アイリは常々言っていた、イリヤを頼むと。

 

 イリヤはもちろん、アイリの為にもアハト翁に妙な真似をされる前に連れ出さないと。

 

 

 199X年 ▲月〇日

 

 

 …………イリヤを取り戻す事が出来なかった。

 

 聖杯の呪いに身体が冒されている事は知っていたが、まさかその影響が魔術回路にまで及んでいるとは思わなかった。

 

 馴染みの治療魔術師に診てもらった結果、現在無事な回路は全体の二割ほどだという。

 

 さらにはこのままでは後十五年も生きられないとも宣告された。

 

 そんな身体ではアハト翁が張った結界の突破など出来るわけがなく、幻術に惑わされて危うく凍死するところだった。

 

 聖杯戦争の周期は60年。

 

 それを思えばイリヤが次の担い手に選ばれるとは思わないが、だとしても何をされるか分かったものじゃない。

 

 どうにかして方法を考えなければ……。

 

 

 199X年 ▲月〇日

 

 

 士郎たちがウチに来て一年が経った。

 

 士郎は相変わらず元気で、学校の方も上手くいっているらしい。

 

 陣も今のところ問題なく生活している。

 

 余命は一年と覚悟していたものの、それを覆して元気でいてくれるあの子を見ていると嬉しくなる。

 

 普通の子に比べて口数も少なく感情を表す事も無いけれど、士郎の話だと剣術に打ち込む積極性はあるらしい。

 

 聞いた時は大河ちゃんが教えているのかと思ったのだが、どうやら自己流のチャンバラのようだ。

 

 大河ちゃんからの情報だとちょくちょく体調を崩しているそうなので、無理のない程度に頑張ってほしいと思う。

 

 

 199X年 ●▲月〇×日

 

 

 今回もダメだった。

 

 手に入れられるだけの礼装と考え付く限りの方法を使ったが、回路が2割程度しか生きていない僕の魔術ではアインツベルンの結界は突破できない。

 

 ダメ元でアハト翁に呼びかけてみたものの、返ってきたのは侵入者迎撃用の使い魔だけだった。

 

 イリヤと別れてから5年、あの子はどうなっているだろう。

 

 このごろは目に見えて身体が衰えているし、感覚だって以前とは比べられないくらいに鈍くなっている。

 

 僕に残された時間は思っているよりも短いのかもしれない。

 

 そして、その間にイリヤと会う事は出来ないかもしれないと思うと背筋が凍る。

                     

 こんな事になるのなら、アインツベルンにあの子を置いていかなけばよかった。

 

 ……いや。

 

 当時の事を想えば、それは不可能な事だ。

 

 あの時、アインツベルンにイリヤを置いていくのはアハト翁の指示だった。

 

 おそらく、僕とアイリがあちらを裏切らない為の首輪のつもりだったのだろう。

 

 そうでなくとも僕にはあの子を預けられるほどに信頼のおける人間はいないし、アイリも生みの親であるアハト翁を信用していたから連れ出す事など出来なかったと思う。

 

 ともかく、イリヤを取り戻すにはこの呪いを何とかするしかない。

 

 だが、裏で高名な解呪の専門家が軒並み白旗を挙げるコイツを、どうやって取り除けばいいのか?

 

 アイリ、舞弥、教えてくれ。

 

 ……僕はどうすればいい?

 

 

 199X年 ▲月×日

 

 

 陣はまだ生きている。

 

 あれから二年以上経つが、あの子は衰えることもなく平然と日々を過ごしている。

 

 呪詛の強さやあの子の能力からすればあり得ない事態だ。

 

 何故だ?

 

 何故あの子は呪詛に冒されながらも、生き続ける事が出来ている?

 

 先天性の才が目覚めたか、それとも神霊か何かが祖先にいて先祖返りでも起こしたか?

 

 ……知りたい。

 

 もし、これが僕の身体に応用できるのなら、役に立たなくなった魔術回路の修復も不可能ではないかもしれない。

 

 そうすればアインツベルンの結界だって、突破することだって夢じゃなくなるのだ。

 

 今度、あの子が寝たのを見計らって簡易的にでも調べて───

 

 ………

 

 …………

 

 ……………何を考えているんだ、僕は。

 

 僕が陣を引き取ったのは、奪ってしまった家族の代わりになるためだろう。

 

 それを外法の魔術師のように、実験の素材として見るなんて許されるわけがない。

 

 だが、このままではイリヤを取り戻す事ができないのもまた事実だ。

 

 どうすればいい?

 

 僕はどうすればいいんだ……

 

 

 199X年 ■▲月×日

 

 

 今日もまたイリヤの顔を見る事が出来なかった。

 

 今回はアインツベルンから得た前金の半分もの大金をはたいて一級の結界破りの礼装を仕入れたのだが、起動させることもできなかった。

 

 『魔術大家の拠点に乗り込むにはこれくらいは必要』と推された品だが、言うだけのことはある代物だった。

 

 並の魔術工房なら結界諸共工房も吹き飛ばし、時計塔の講師が張った結界も障子紙のように撃ち抜いてしまう。

 

 その威力は攻城兵器と言っても過言ではない。

 

 だが、こいつはその性能に相応しく使用者の魔力を容赦なく持っていく大飯食らいだった。

 

 万全だった頃の僕ならともかく、今の身体ではそんなものに耐えられるはずがない。

 

 結局、予備に買っておいた宝石の魔力も焼け石に水で、僕は礼装が使用可能になるよりずっと早く魔力切れの為に気を失ってしまった。

 

 身体が万全であったならば、イリヤを助けることも出来たかもしれないのに……。

 

 畜生……。

 

 

 199X年 ▲月〇日

 

 

 近頃、礼装を始めとした魔道具が手に入りにくくなっている。

 

 圧力をかけているのは十中八九アインツベルンだろう。 

 

 もともと僕のコネは、はぐれ魔術師や脱走して封印指定を免れた者など、世間のはみ出し者が(ほとん)どだ。

 

 それ故に、アインツベルンのような大物が掛ける圧力に対抗する術を持つ者はまずいない。

 

 そんな事情から、業者の方も『向こうを相手にするくらいなら僕を切り捨てた方がマシ』と踏んだのだろう。

 

 ───冗談じゃない。

 

 只でさえ身体的にハンデがあるのに、道具の補給まで断たれてしまったら完全に手詰まりじゃないか。

 

 アハト翁め、ここまでやるとは何を考えているんだ!?

 

 この状況は本当に拙い。

 

 何とかしなければ……なんとか………。

 

 

 199X年 @月×■日

 

 

 恐ろしい…………。

 

 あの子は、陣は気づいていた。

 

 自身に巣食った呪いや、僕が解呪の研究の為にあの子の身体を調べようと意図していたこと。

 

 それどころか、自分を引き取ったのは僕の罪悪感からくる贖罪行為である事や、僕が大火災の加害者側の人間だという事まで。

 

 昨夜、我慢できなくなってあの子の身体を調べようとしたのだが、こちらに気づいて目を覚ました陣は容赦なく伸ばしていた手の中指をへし折った。

 

 『自慰行為の人形の次はモルモットか? 家族だなんだと嘯いているわりに、趣味の良いことだ』

 

 何時の間にか立ち上がっていた陣は、痛みを噛み殺す僕を見下ろしてこう嘲笑った。 

  

 闇に鈍く浮かぶ金の眼光は十歳の子供とは思えないほど冷たくて、まるで今まで犯してきた罪を突き付けるようなそれに、僕は声にならない悲鳴を上げて陣の部屋を逃げだした。

 

 こうしてペンを取っている間も、中指が疼く度にあの目が脳内にフラッシュバックする。

 

 思えば、僕は今まで巻き込んできた無関係な被害者やその関係者に会った事がない。

 

 魔術は神秘の秘匿を第一とする以上、巻き込まれた者やその遺族が真実を求めても白日の下に晒されることは無いからだ。

 

 そして、それを実行した僕もまた彼等の前に姿を現すこともなく、真相は都合のいいカバーストーリーによって闇に葬られていった。

 

 だからこそ、僕はそんな顔を知る事を許されない人々の為に、僕の理想の礎にしてしまった彼等が無駄でなかった証の為に恒久的世界平和を求めた。

 

 その理想が叶えば、少なくとも戦いによって失われる命は無くなるから。

 

 彼等のような悲劇が起きない世界になるだろうから。

 

 それが…それだけが……僕ができる彼等へのせめてもの贖罪だったのに……。 

 

 もう僕にはそれを叶える力も時間も無い。

 

 このままでは僕がこの手に掛けて来た無関係な人たちが、シャーレイやナタリア、アイリや舞弥の命が全て無駄になってしまう。

 

 その事実が何よりも恐ろしい。 

 

 僕はどうすればいい?

 

 どうすれば、この罪を償える?

 

 どうすれば────

 

 

 199X年 ◇月×日

 

 

 あの夜から、陣とは顔を合わせていない。

 

 大河ちゃんの話だと、あれから陣は家族の事にも興味をなくしたようになり、学校にも行かずに剣術に没頭しているらしい。

 

 大河ちゃんも何とか連れて行こうとしたようだが、逆に剣で黙らされてしまったそうだ。

 

 何とかしてくれと彼女に泣き付かれたし、仮にも親なら学校くらいは行かせるようにするのが責務なのだろう。

 

 だが、僕にはそれはできない。

 

 あの子の顔を見ると、あの闇に浮かぶ金色の瞳を思い出して身が竦んでしまうからだ。

 

 それに僕がどう声をかけたところで、陣がこちらの言葉に耳を傾けるとは思えない。

 

 あの夜に向けられたのは、まさに虫けらを見る目だったのだから。

 

 本当に僕はダメな父親だ。

 

 ごめんよ士郎、ごめんよ、イリヤ。

 

 

 199X年 ◇月×日

 

 

 ───やってしまった。

 

 最後のチャンスと気合を入れていたのだが、例の結界破りの礼装に全てを掛けたところ、掛かる負荷に耐えられずに僕の魔術回路は崩壊した。

 

 救助に来てくれた治療師曰く、魔術回路は全滅。

 

 その余波は身体を蝕み、余命いくばくもないそうだ。

 

 これで完全にイリヤを救う手立ては失われてしまった。

 

 すまない、アイリ。

 

 ごめんよ、イ───

 

─────

 

 

 そこまで目を通したイリヤは、周りのみんなに目線で確認したのちに手帳をそっと閉じた。

 手記はもう少し続いているが、ここから先は文字が滲んで読めないし、紙だってふやけた様にグシャグシャだ。

 父が泣きながら書いたことを読み取ったイリヤは、これ以上を余人に見せる事を良しとしなかった。

「馬鹿なキリツグ……」

 数多の思いを込めて、イリヤは誰にも聞こえない様に言葉を口の中で転がした。

 最後の最後まで自分の事を想ってくれていたのなら、聖杯戦争などに参加せず母と一緒に連れて逃げてくれれば良かったのだ。

 そうすれば母は死なずにすんだろうし、自分も父を憎むことなどなかったのに。

 他の者達の反応も様々だった。

 マスターである桜と凜。

 手記に記された一人の男の苦悩と嘆きは、魔術師とはいえ女子高生でしかない彼女には受け止めるには少々荷が勝ちすぎたのだろう。

 二人は痛ましげな表情で机の上の手帳に視線を向けている。

 ライダーは胸中で『馬鹿な男』と感想を一つ残したのみ。

 家族という最も尊いものを差し置いて理想に傾倒(けいとう)するなど、彼女には全く理解が及ばなかったからだ。

 対するアーチャーは、眉間に(しわ)を寄せながら目を閉じている。

 抑止の守護者たる英霊エミヤ。

 上座(かみざ)に座る少年の未来の可能性である彼には、養父の苦悩と悔恨に塗れた手記をどのように受け止めればよいかなど、皆目(かいもく)見当もつかなかった。

 そして最後はセイバー。

 彼女は苦虫を噛み潰したような表情のまま、自身の膝の上で固めた拳を(にら)みつけている。

「手記の内容には目を通してくれたよな。そこに書かれている『聖杯の呪い』『この世全ての悪』。これに心当たりのある奴はいるか?」

 士郎の問いに皆が沈黙を貫く中、手を上げたのは凛だ。

「これに書かれているモノを指すのかはわからないけど、『この世全ての悪(アンリ・マユ)』なら聞いたことはあるわ。『この世全ての悪』は中東に古代から信仰されていた、ゾロアスター教に登場する悪神の名よ」

「聖杯は神様まで呼ぶことができるのか?」

「いいえ。聖杯が呼び出せるのは英霊が精一杯。神霊クラスになったら、とてもじゃないけどキャパシティが足りないはずよ」

「なら、この『この世全ての悪』というのは、姉さんが言っているモノではないという事ですか?」

「恐らくはね。けど、こいつがどういったモノであれ、聖杯の呪いとやらに関わっているのは間違いないと思うわ」

「待ってもらいたい、リン! 聖杯が呪詛に汚染されていると、貴方は本気で思っているのですか!?」  

 凛の言葉に異を唱えたのはセイバーだ。

 ここに集まるメンツの中で唯一聖杯を求めている彼女にすれば、仮定の話で聖杯を疑うなどという流れになっては堪らない。

「半信半疑だけど、可能性はあると思うわ。そうだと仮定すれば腑に落ちる事だってあるし」

「それは?」

「十年前の火災現場から未だに瘴気が晴れない事よ。犠牲者の怨念だと思っていたけれど、あれが汚染された聖杯を原因と考えれば説明が付くもの」

「私も聖杯が汚染されている可能性は高いと思う」

 次に意見を上げたのはアーチャーだ。

「何故だ、アーチャー? 何故、そう思う」

「私は抑止の守護者だ。人理を護る為の掃除屋が呼ばれるのだから、この聖杯戦争にロクでもないモノが隠されていると見るのは妥当だと思うがね」

 アーチャーがため息と共に吐いた言葉に、凛とイリヤは表情を強張らせる。

 抑止の守護者。

 人類の集合無意識たる阿頼耶識(あらやしき)が使役する人類という種を護る尖兵。

 彼等は人理、もしくは人類の存続を脅かすような事象に介入し、関わる者は善悪の区別なく鏖殺(おうさつ)する処刑人だ。

 彼が召喚されるという事はつまり、この聖杯戦争には人類を滅ぼす要因が隠されているという証明に他ならない。

「セイバー。貴女、前回の聖杯戦争でキリツグの命令で聖杯を破壊したんでしょ?」

「……はい。抵抗しようとしましたが、令呪を二画使われては抗う事はできずに───」

「手記が正しければ、それって聖杯に潜んだ『この世全ての悪』を出さない為よね」

「そうみたいですね。そして陣さんや先輩のお父さまが掛かった『聖杯の呪い』や冬木の大火災は、この『この世全ての悪』が原因という事になります」

「なら、爺さんは正しかったって事か」

 凛と桜、そして士郎が考察を進める中、イリヤは納得がいかないという表情を浮かべるセイバーに極寒の視線を送る。

「ねえ、セイバー」

「何でしょうか、イリヤスフィール?」

「貴女、前回の聖杯戦争で召喚された時の記憶を持ってるわね」

 その瞬間、この会合に参加していた者は場の空気が凍りつく音を聞いた。

 イリヤの紡いだ言葉は問いかけではなく確信。

 それも当然だ。

 先ほどの会話に紛れて出した問いに、セイバーは聖杯を破壊する現場にいなければ知り得ない情報を口にしたのだから。

「手記にはサーヴァントの宝具としか書いていなかった。貴女に前回の記憶がなければ、先ほどの問いには『わからない』と答えるのが普通。でもそうじゃなかった。貴女は手記に書かれていなかった令呪二画を使用したという状況まで答えてみせた。これって前回の記憶がなければ答えられないわよね」

「ちょっ、ちょっと待ってくれ! イリヤ、セイバーは10年前の聖杯戦争に呼ばれていたのか?」

「そうよ。アインツベルン、即ちキリツグのサーヴァントとしてね。セイバー、私の事を憶えているでしょう」

 その身に纏った雪というイメージそのままに、凍てつく様な視線でセイバーを射貫くイリヤ。

 それから目を逸らしながら、セイバーはバツの悪そうな顔で(うなず)く。

「この手記で聖杯を破壊したのはキリツグの指示で、それにも理由があった事は分かったわ。だとしても、憶えているなら一声くらいかけてくれてもいいでしょうに」

「それは……」

「私が敵対するバーサーカーのマスターだから? それとも護衛としてお母様を護れなかった事が気まずかった?」

 セイバーの言葉よりも早く、返ってくるであろう選択肢を潰すイリヤ。

 口調は未だ穏やかだが、その紅玉の瞳は怒りの火がチラついている。

「私だってもう子供じゃないし、聖杯戦争なんて殺し合いに絶対は無い事も理解してる。だから、お母様を護れなかった事を責めるつもりもないわ。そもそもお母様は聖杯の担い手だったんだから、上手くいっても結果は同じだったでしょうし」 

 どこか皮肉気な口調のイリヤに、セイバーの顔に浮かんだ苦渋の色はさらに濃くなる。

「だとしても、貴女は私に伝える義務があったはずよ。前回の聖杯戦争の顛末やお母様がどんな最期を迎えたかを。それとも騎士や兵士は一緒に戦った友の最後を遺族に話す義務を持つ、というのは間違っているのかしら?」

「───いいえ、貴女の言う通りです。イリヤスフィール、まずは謝罪を。私は前回の聖杯戦争でアイリスフィールを護ることができなかった。そして、今回貴女と出会った時も友の遺族に対する義務を果たそうとしなかった」

「私に話しかけなかった理由は何?」

「それは貴方がイリヤスフィールであると分からなかったからです」

「…………十年前、あまり話す機会は無かったけど、顔は何度か合わせていたわよね?」

「はい。ですが、あれから殆ど成長していないとは思っていなかったのです。10年も時が経てば、今頃はアイリスフィール似の淑女となっているものとばかり───」

「…………それ以上言わなくていいわ。理由は分かったから」

 頭を押さえながら、セイバーの答えを遮るイリヤ。

 小さな声で『私だって好きでロリをしてるわけじゃないわよ』などと愚痴っているあたり、本人も気にしているのだろう。

「なあ、イリヤ」

「なにかしら?」

「手記の中で分からないところが一つあってさ。切嗣が俺に鞘を埋め込んだって書いてあるんだけど、これってなんなんだ?」

「それは『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』の鞘よ。持ち主に不老不死の加護を(もたら)すと言われていてね、アインツベルンが前回セイバーを呼び出す際の触媒にしたの」

「ちょっと待って! じゃあ、セイバーってアーサー王なの!?」

「そうよ」  

 騒ぎ立てる凛と驚きに息を呑む桜。

 そんな二人を前にイリヤは事も無げに肯定する。

 セイバーはそんな雪の少女に恨めしそうな目を向ける。

「イリヤスフィール、勝手に人の真名を明かさないでいただきたい」

「いいじゃない。貴女の真名なんて私がいる時点でバレバレなんだし。それよりも貴女の意見を聞きましょうか?」

「意見?」

「貴女が聖杯をどうするつもりか、についてよ」

 イリヤの発した言葉に、緩みかけた場の空気が再び引き締まる。

 手記を始めとしたこの会合で出た情報から、かなりの高確率で聖杯の汚染は事実であると考えられる。

 バーサーカーを失ったイリヤは例外として、アーチャー・ライダー主従が聖杯を求めないと公言している以上、セイバーの意思によっては同盟は決裂。

 彼女のマスターである士郎が聖杯を求めていない、いや家族を崩壊させた原因と知った以上、場合によっては彼がセイバーに引導を渡す可能性だってあるのだ。

「私は───」

 そんな重苦しい空気の中、セイバーはゆっくりと口を開く。

 その答えは─── 

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